[Script Info] Title: [Events] Format: Layer, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Dialogue: 0,0:00:06.96,0:00:12.01,Default,,0000,0000,0000,,アルスターの英雄クー・フーリンは\Nクーリーの浅瀬に立ち Dialogue: 0,0:00:12.01,0:00:15.51,Default,,0000,0000,0000,,いまや たった1人で\N全軍隊を相手にするところでした― Dialogue: 0,0:00:15.51,0:00:19.51,Default,,0000,0000,0000,,それも1頭の雄牛のために Dialogue: 0,0:00:19.51,0:00:23.62,Default,,0000,0000,0000,,軍隊を率いていたのは\Nコノートの女王メイヴ Dialogue: 0,0:00:23.62,0:00:28.13,Default,,0000,0000,0000,,すさまじい力を持つ白い雄牛を\N夫が所有していることに憤怒して Dialogue: 0,0:00:28.13,0:00:32.03,Default,,0000,0000,0000,,名高い アルスターの褐色の雄牛を\Nなんとしてでも我がものにしようと Dialogue: 0,0:00:32.03,0:00:33.56,Default,,0000,0000,0000,,遠征に乗り出したのです Dialogue: 0,0:00:33.56,0:00:37.56,Default,,0000,0000,0000,,アルスターの王は\Nこの時 折り悪く決断を下し Dialogue: 0,0:00:37.56,0:00:41.99,Default,,0000,0000,0000,,妊娠中の女神マッハに命じ\N無理やり戦車競争に参加させました Dialogue: 0,0:00:41.99,0:00:47.64,Default,,0000,0000,0000,,その報復に マッハは呪いをかけ\N王とその軍隊全員に腹痛を― Dialogue: 0,0:00:47.64,0:00:53.82,Default,,0000,0000,0000,,陣痛に似た腹痛を 皆に与えたのです\Nクー・フーリンだけが無事でした Dialogue: 0,0:00:53.82,0:00:56.52,Default,,0000,0000,0000,,クー・フーリンは\Nアルスター最強の戦士ではありましたが Dialogue: 0,0:00:56.52,0:01:02.10,Default,,0000,0000,0000,,メイヴ女王の軍隊を一度に相手にすることは\Nできないと分かっていました Dialogue: 0,0:01:02.10,0:01:05.10,Default,,0000,0000,0000,,彼は一騎打ちという聖なる習わしを求め Dialogue: 0,0:01:05.10,0:01:08.58,Default,,0000,0000,0000,,侵入者と1人ずつ戦えるようにしました Dialogue: 0,0:01:08.58,0:01:10.78,Default,,0000,0000,0000,,ところが メイヴ女王の軍隊が\N迫るにつれて Dialogue: 0,0:01:10.78,0:01:15.56,Default,,0000,0000,0000,,待ち構える大仕事よりも\Nあることが彼の心にかかっていました Dialogue: 0,0:01:15.56,0:01:19.32,Default,,0000,0000,0000,,何年も前のこと クー・フーリンは\Nスコットランドに出向き Dialogue: 0,0:01:19.32,0:01:22.74,Default,,0000,0000,0000,,名声轟かせる戦士スカアハのもとで\N修行をしていました Dialogue: 0,0:01:22.74,0:01:27.48,Default,,0000,0000,0000,,そこで 彼はある若い戦士に出会いました\Nコノート出身のフェル・ディアドです Dialogue: 0,0:01:27.48,0:01:32.50,Default,,0000,0000,0000,,2人は共に暮らし 共に修行に励み\Nやがて親友になりました Dialogue: 0,0:01:32.50,0:01:35.19,Default,,0000,0000,0000,,それぞれの故郷に帰ってみれば Dialogue: 0,0:01:35.19,0:01:39.72,Default,,0000,0000,0000,,クー・フーリンとフェル・ディアドは\N敵対する陣営に属することとなりました Dialogue: 0,0:01:39.72,0:01:43.95,Default,,0000,0000,0000,,彼には分っていました フェル・ディアドが\Nメイヴ軍の一味として進軍を続けていて Dialogue: 0,0:01:43.95,0:01:46.47,Default,,0000,0000,0000,,自分が相手を倒し続ければ Dialogue: 0,0:01:46.47,0:01:48.57,Default,,0000,0000,0000,,いずれはフェル・ディアドに\N出会うということを Dialogue: 0,0:01:48.57,0:01:53.51,Default,,0000,0000,0000,,来る日も来る日もクー・フーリンは\Nアルスターを1人で守り続けました Dialogue: 0,0:01:53.51,0:01:57.51,Default,,0000,0000,0000,,とった敵の首は\Nメイヴ女王の陣営に送ることもあれば Dialogue: 0,0:01:57.51,0:02:01.04,Default,,0000,0000,0000,,浅瀬の流れに\N運ばれていくこともありました Dialogue: 0,0:02:01.04,0:02:06.46,Default,,0000,0000,0000,,時にはトランス状態に入り\N何百もの兵を次々斬り伏せました Dialogue: 0,0:02:06.46,0:02:10.46,Default,,0000,0000,0000,,女王の姿が遠くに見えれば\N毎回 石を投げつけました Dialogue: 0,0:02:10.46,0:02:12.11,Default,,0000,0000,0000,,命中することはありませんでしたが Dialogue: 0,0:02:12.11,0:02:17.00,Default,,0000,0000,0000,,1回だけ 女王の肩にいたリスに当たり\Nはたき落としおおせました Dialogue: 0,0:02:17.00,0:02:20.37,Default,,0000,0000,0000,,コノートの陣営では\Nフェル・ディアドが身を潜めていました Dialogue: 0,0:02:20.37,0:02:25.97,Default,,0000,0000,0000,,親友を相手取って戦う羽目から逃れようと\Nあらゆる手を尽くしていたのです Dialogue: 0,0:02:25.97,0:02:29.58,Default,,0000,0000,0000,,しかし女王のほうでは\N雄牛を早く手に入れたい思いが募り Dialogue: 0,0:02:29.58,0:02:33.82,Default,,0000,0000,0000,,クー・フーリンへの勝ち目が一番大きい戦士が\Nフェル・ディアドであることを知っていました Dialogue: 0,0:02:33.82,0:02:36.71,Default,,0000,0000,0000,,そこで彼をしきりに駆り立て\N彼の名誉を問うて Dialogue: 0,0:02:36.71,0:02:40.58,Default,,0000,0000,0000,,戦わざるを得ないところまで\N追い込みました Dialogue: 0,0:02:40.58,0:02:46.05,Default,,0000,0000,0000,,2人は浅瀬で対決しました\N力も技も互角の関係― Dialogue: 0,0:02:46.05,0:02:48.82,Default,,0000,0000,0000,,どんな武器を手にしても\N拮抗状態でした Dialogue: 0,0:02:48.82,0:02:54.08,Default,,0000,0000,0000,,3日目に入ると フェル・ディアドが\N優勢になりつつありました Dialogue: 0,0:02:54.08,0:02:56.93,Default,,0000,0000,0000,,クー・フーリンは疲れきっていたのです Dialogue: 0,0:02:56.93,0:03:00.93,Default,,0000,0000,0000,,ところがクー・フーリンには\Nあと1枚 切り札が残されていました Dialogue: 0,0:03:00.93,0:03:05.32,Default,,0000,0000,0000,,彼らの師スカアハが\Nクー・フーリンにだけ伝授した秘伝の奥義です Dialogue: 0,0:03:05.32,0:03:09.32,Default,,0000,0000,0000,,彼女が教えたのは\N「ゲイ・ボルグ」の召喚― Dialogue: 0,0:03:09.32,0:03:15.87,Default,,0000,0000,0000,,海底に横たわる海獣の骨から作られた\N魔法の槍を召喚する技でした Dialogue: 0,0:03:15.87,0:03:22.56,Default,,0000,0000,0000,,クー・フーリンは槍を召喚し\Nフェル・ディアドを刺し殺し 彼も倒れました Dialogue: 0,0:03:22.56,0:03:26.83,Default,,0000,0000,0000,,その機会を捉えたメイヴ女王は\N残りの軍隊もろともに Dialogue: 0,0:03:26.83,0:03:29.15,Default,,0000,0000,0000,,褐色の雄牛を捕まえようと\N攻め入りました Dialogue: 0,0:03:29.15,0:03:33.36,Default,,0000,0000,0000,,その時ようやく アルスターの軍隊は\N呪術による病気から回復しつつあり Dialogue: 0,0:03:33.36,0:03:35.98,Default,,0000,0000,0000,,女王の軍に殺到し 追撃しました Dialogue: 0,0:03:35.98,0:03:40.48,Default,,0000,0000,0000,,しかし時はすでに遅く\Nメイヴ女王は傷ひとつ負わず Dialogue: 0,0:03:40.48,0:03:43.41,Default,,0000,0000,0000,,褐色の雄牛を引きずって\N国境を越えていました Dialogue: 0,0:03:43.41,0:03:47.05,Default,,0000,0000,0000,,帰還したメイヴ女王は\N改めて戦いを挑みました Dialogue: 0,0:03:47.05,0:03:52.03,Default,,0000,0000,0000,,今度は彼女の褐色の雄牛と\N夫の白い雄牛との対決です Dialogue: 0,0:03:52.03,0:03:55.87,Default,,0000,0000,0000,,雄牛2頭の力は伯仲\N戦いは夜までもつれ込み Dialogue: 0,0:03:55.87,0:03:59.88,Default,,0000,0000,0000,,アイルランド全土にわたって\N互いを引きずり合いました Dialogue: 0,0:03:59.88,0:04:03.59,Default,,0000,0000,0000,,ついに褐色の雄牛は白い雄牛を殺し Dialogue: 0,0:04:03.59,0:04:07.77,Default,,0000,0000,0000,,メイヴ女王はようやく満足を得ました Dialogue: 0,0:04:07.77,0:04:11.14,Default,,0000,0000,0000,,しかし褐色の雄牛にとって\N勝利はなんの意味もありませんでした Dialogue: 0,0:04:11.14,0:04:15.63,Default,,0000,0000,0000,,疲れ 傷つき 絶望していました Dialogue: 0,0:04:15.63,0:04:20.83,Default,,0000,0000,0000,,ほどなくして彼も失意のうちに死に\N後に残されたのは Dialogue: 0,0:04:20.83,0:04:26.02,Default,,0000,0000,0000,,メイヴの戦争のために 長い間\N荒廃したままとなる地でした