WEBVTT 00:00:00.770 --> 00:00:03.755 皆さんに私の専門分野である 人工知能(AI)について 00:00:03.755 --> 00:00:06.583 新しい見方を 提供しようと思います 00:00:06.607 --> 00:00:08.205 AIの目的は 00:00:08.205 --> 00:00:12.429 人間の能力を機械の知性により 高めることだと思います 00:00:13.286 --> 00:00:15.590 機械がより賢くなるにつれ 00:00:15.590 --> 00:00:17.793 私たちも賢くなるという訳です 00:00:17.907 --> 00:00:20.419 私はこれを「人間的なAI」と呼びます 00:00:20.443 --> 00:00:23.968 人々と協力し能力を拡張して 00:00:23.968 --> 00:00:27.739 そのニーズを満たすように デザインされた人工知能です 00:00:28.149 --> 00:00:29.763 こんにち 嬉しいことに 00:00:29.763 --> 00:00:31.934 インテリジェント・アシスタント という考えは 00:00:31.934 --> 00:00:33.763 主流のものになりました 00:00:33.763 --> 00:00:38.837 これは人間とAIとの間のインターフェースの メタファーとして広く受け入れられています 00:00:39.556 --> 00:00:42.453 私が手がけたものに 「Siri」があります NOTE Paragraph 00:00:42.877 --> 00:00:44.109 Siriをご存知でしょう 00:00:44.133 --> 00:00:46.682 Siriはあなたの意図を理解し 00:00:46.682 --> 00:00:48.598 あなたがそれを遂行するのを手助けし 00:00:48.598 --> 00:00:50.479 物事をこなすのを手伝います 00:00:50.479 --> 00:00:52.095 ご存知無いかも知れないのは 00:00:52.095 --> 00:00:55.575 Siriは人間的AIとしてデザインされ 00:00:55.575 --> 00:00:58.946 会話式インターフェースを用いて 人々の能力を拡張し 00:00:58.946 --> 00:01:01.867 誰でも能力の差異に関係無く 00:01:01.867 --> 00:01:05.681 モバイル・コンピューティングを 使えるようにしたことです NOTE Paragraph 00:01:06.744 --> 00:01:08.481 私たちのほとんどにとっては 00:01:08.481 --> 00:01:10.980 この技術の影響は 00:01:10.980 --> 00:01:13.883 モノをほんの少し 使いやすくするという程度ですが 00:01:13.916 --> 00:01:16.535 でも友人のダニエルには 00:01:17.352 --> 00:01:21.193 こうしたシステムの中のAIの影響は 人生を変える類のものでした 00:01:21.217 --> 00:01:26.050 ダニエルはとても社交的な男です 00:01:26.074 --> 00:01:28.503 彼は盲目で四肢麻痺であるため 00:01:28.514 --> 00:01:32.097 私たちが何気なく使うデバイスを 使うのも難しいのですが 00:01:32.097 --> 00:01:34.703 この間彼の家に行くと彼の兄がこう言いました 00:01:34.703 --> 00:01:36.485 「待って ダニエルはまだ忙しいから 00:01:36.485 --> 00:01:39.387 ネットで出会った女性と 電話で話してるんです」 00:01:40.250 --> 00:01:42.260 「そりゃすごい どうやったんだろう?」 00:01:42.284 --> 00:01:45.998 ダニエルはソーシャルライフを 管理するのにSiriを使っています 00:01:46.731 --> 00:01:48.671 メール、メッセージング、電話— 00:01:48.695 --> 00:01:51.171 介助者に頼らずにです 00:01:52.501 --> 00:01:54.239 これはちょっと面白いでしょう? 00:01:54.263 --> 00:01:55.580 アイロニーも素晴らしい 00:01:55.604 --> 00:01:58.500 彼のAIとの関係が 00:01:58.524 --> 00:02:02.151 彼が本物の人間との 関係を持つことを手助けしている 00:02:02.805 --> 00:02:05.935 これが人間的AIです NOTE Paragraph 00:02:07.404 --> 00:02:09.802 人生を変えてしまうような例としては 00:02:09.826 --> 00:02:11.513 がんの診断もあります 00:02:12.795 --> 00:02:14.894 医師ががんを疑う時 00:02:14.894 --> 00:02:16.511 患者から検体を取り 00:02:16.511 --> 00:02:19.653 それを病理学者が 顕微鏡で精査します 00:02:20.145 --> 00:02:22.800 病理学者たちは数百というスライドや 00:02:22.800 --> 00:02:25.470 数百万もの細胞を毎日見ています 00:02:25.470 --> 00:02:27.177 この作業を支援するために 00:02:27.177 --> 00:02:30.333 研究者がAIで分類器を作りました 00:02:31.548 --> 00:02:33.795 その分類器は画像を見て 00:02:33.795 --> 00:02:37.270 「これはがんだろうか それとも違う?」 と問います 00:02:38.315 --> 00:02:39.919 分類器は優秀でしたが 00:02:40.967 --> 00:02:43.272 ほとんどを正解する人間よりは 00:02:43.945 --> 00:02:45.713 劣ります NOTE Paragraph 00:02:46.427 --> 00:02:52.607 ですが機械と人間の能力を合わせた時 00:02:52.631 --> 00:02:55.906 精度は99.5%になりました 00:02:57.150 --> 00:03:03.051 AIを相棒にすると 人間の病理学者が 1人で作業をした時に起こる誤りの 00:03:03.051 --> 00:03:05.861 85%を無くせたのです 00:03:06.690 --> 00:03:10.389 見落とされていたであろう たくさんのがんを見つけたのです 00:03:11.097 --> 00:03:13.027 ご興味のある方の為の詳細ですが 00:03:13.051 --> 00:03:16.525 人間の方が偽陽性の判別が上手く 00:03:16.549 --> 00:03:20.121 機械は見つけにくいケースを 見つけるのが人より上手かったんです 00:03:20.145 --> 00:03:23.382 しかしここでの教訓は どちらが画像識別タスクで 00:03:23.406 --> 00:03:25.788 優れているかではありません 00:03:25.788 --> 00:03:27.727 そんなものは日々変わります 00:03:27.751 --> 00:03:29.319 教訓は 00:03:29.343 --> 00:03:32.703 人間と機械の能力を合わせることで 00:03:32.727 --> 00:03:37.678 人間を超えた能力を持つ 協力関係ができたということです 00:03:38.543 --> 00:03:41.483 それが人間的なAIです NOTE Paragraph 00:03:42.787 --> 00:03:44.773 他の例を見てみましょう 00:03:44.797 --> 00:03:47.084 能力を飛躍的に向上させる例で 00:03:47.108 --> 00:03:48.511 デザインの話です 00:03:48.535 --> 00:03:50.220 あなたがエンジニアだとしましょう 00:03:50.220 --> 00:03:52.857 ドローンのための 新しいフレームを作りたいとします 00:03:52.857 --> 00:03:55.739 お気に入りのCADツールを使い 00:03:55.739 --> 00:03:59.868 形と材質を入力し 性能を分析します 00:03:59.868 --> 00:04:02.102 そして1つのデザインが出来上がります 00:04:02.162 --> 00:04:05.733 AIに同じツールを与えると 00:04:05.733 --> 00:04:09.257 何千ものデザインを生み出せます NOTE Paragraph 00:04:10.113 --> 00:04:11.801 このAutodeskによるビデオは 00:04:11.801 --> 00:04:13.641 本当にすごいものです 00:04:14.092 --> 00:04:17.163 これがデザインの手法を変革します 00:04:17.187 --> 00:04:18.615 人間のエンジニアが 00:04:18.639 --> 00:04:21.848 デザインの要件を入力すると 00:04:21.848 --> 00:04:23.098 機械はこう返します 00:04:23.098 --> 00:04:25.268 「これらが可能なデザインです」 00:04:25.758 --> 00:04:28.182 するとエンジニアの仕事は 00:04:28.182 --> 00:04:31.822 デザインの目的に最もかなうものを 選び出すことになり 00:04:31.846 --> 00:04:34.989 人間としての判断と専門性によって 00:04:34.989 --> 00:04:37.344 最良の判断ができるのです 00:04:37.344 --> 00:04:38.994 この例では 選ばれたものは 00:04:39.018 --> 00:04:41.683 自然によって形作られた かのように見え 00:04:41.683 --> 00:04:44.248 進化のための数百万年の時間と 00:04:44.248 --> 00:04:46.753 不要な毛皮がないだけです NOTE Paragraph 00:04:48.424 --> 00:04:55.773 ではこの人間的なAIの可能性を 考えてみましょう 00:04:56.118 --> 00:04:59.122 皆さん どのような能力を 拡張したいと思いますか? 00:04:59.529 --> 00:05:02.805 知覚力の増強とか? 00:05:03.734 --> 00:05:06.433 「私たちは機械を どれだけ賢くできるだろう?」 00:05:06.433 --> 00:05:07.468 と問う代わりに 00:05:07.492 --> 00:05:10.295 「機械は私たちを どれだけ賢くできるだろうか?」 00:05:10.295 --> 00:05:11.594 と問うのです 00:05:13.105 --> 00:05:15.195 記憶を例に取ってみましょう 00:05:15.511 --> 00:05:18.597 記憶は人間の知性の基盤です 00:05:19.687 --> 00:05:23.148 しかし人の記憶が不完全なのは よく知られたことです 00:05:23.461 --> 00:05:25.725 私たちは物語を語ることに長けていますが 00:05:25.725 --> 00:05:27.590 詳細を正確には記憶できません 00:05:27.614 --> 00:05:30.694 そして私たちの記憶は時間とともに劣化します 00:05:30.694 --> 00:05:34.076 「60年代はどこへ消えてしまった? 私もそこに行けるかな?」みたいな NOTE Paragraph 00:05:34.100 --> 00:05:35.567 (笑) NOTE Paragraph 00:05:36.648 --> 00:05:45.017 コンピューターのような記憶を 自分の人生について持てたならどうでしょう? 00:05:45.714 --> 00:05:48.487 もし出会う人すべてを 記憶できたなら? 00:05:48.487 --> 00:05:50.347 名前の読み方も 00:05:50.347 --> 00:05:52.193 家族構成も 好きなスポーツも 00:05:52.193 --> 00:05:54.460 最後に交わした会話の内容も 00:05:54.460 --> 00:05:57.255 もし全人生についての記憶があったなら 00:05:57.279 --> 00:06:02.018 AIがあなたの今までの会話全てを調べて 00:06:02.042 --> 00:06:06.135 あなたが自分の人間関係の軌跡を 省みるのを手伝ってくれるでしょう 00:06:06.530 --> 00:06:11.500 もしもAIに 自分の読んだものすべてを読ませ 00:06:11.500 --> 00:06:15.004 聞いた曲すべてを 聞かせることができたなら? 00:06:15.344 --> 00:06:19.083 ほんの少しのヒントで 自分が見聞きしたものを何でも 00:06:19.107 --> 00:06:21.410 取り出せるようになるでしょう 00:06:21.771 --> 00:06:24.485 それが新たな関連を見つけ アイデアを生み出す上で 00:06:24.485 --> 00:06:26.785 どれほど力になるか 想像してみてください NOTE Paragraph 00:06:26.809 --> 00:06:29.407 私たちの身体についてはどうでしょう 00:06:29.732 --> 00:06:32.084 自分の口にした食べ物 00:06:32.084 --> 00:06:35.885 飲んだ薬 徹夜した夜のすべてについて 00:06:35.885 --> 00:06:39.060 その影響を 記憶できたとしたらどうでしょう? 00:06:39.060 --> 00:06:42.138 自分のデータを用いて 00:06:42.138 --> 00:06:45.642 何が気分や体に良いのかを 自分で研究できます 00:06:45.666 --> 00:06:48.142 これが私たちのアレルギーや慢性疾患の 00:06:48.166 --> 00:06:51.206 管理のあり方を変えてしまうのを 想像してみてください NOTE Paragraph 00:06:52.909 --> 00:06:58.113 AIは個人の記憶の拡張を 現実のものにするでしょう 00:06:59.122 --> 00:07:01.946 いつ どんな形で ということは分かりませんが 00:07:02.627 --> 00:07:04.800 必ずそうなると思います 00:07:05.923 --> 00:07:10.314 なぜなら現在のAIの 成功を支えているのは 00:07:10.314 --> 00:07:13.121 包括的なデータの存在 00:07:13.121 --> 00:07:16.663 それを読み解く マシンの力ですが 00:07:16.663 --> 00:07:20.212 これは私たちの生活データにも 適用できるからです 00:07:20.505 --> 00:07:23.992 そうしたデータはこんにち 私たちの手中にあります 00:07:24.016 --> 00:07:27.884 なぜなら私たちは携帯でもネットでも 00:07:28.480 --> 00:07:31.375 デジタルを介して生活しているのですから NOTE Paragraph 00:07:31.833 --> 00:07:35.597 個人的な記憶はプライベートな記憶です 00:07:35.597 --> 00:07:40.184 何を記憶に残し 何を消し去るか 決めるのは自分です 00:07:40.517 --> 00:07:44.521 これが安全に保護されていることが 非常に重要です NOTE Paragraph 00:07:45.214 --> 00:07:46.756 ほとんどの人には 00:07:46.780 --> 00:07:49.673 拡張された個人の記憶の影響は 00:07:49.697 --> 00:07:52.256 知力の向上や 00:07:52.256 --> 00:07:55.531 願わくば 社交的に より洗練されるということでしょう 00:07:56.658 --> 00:08:01.485 しかしアルツハイマーや認知症に苦しむ 何百万人という人々にとっては 00:08:03.209 --> 00:08:05.346 拡張記憶がもたらす違いは 00:08:05.346 --> 00:08:09.226 孤独な人生か それとも 尊厳や人との繋がりのある人生か 00:08:09.226 --> 00:08:11.355 という違いになるでしょう NOTE Paragraph 00:08:12.166 --> 00:08:17.813 今 私たちは人工知能における ルネッサンス時代の真っ只中にいます 00:08:18.652 --> 00:08:20.517 過去数年だけで 00:08:20.517 --> 00:08:25.838 何十年も解けずにいた AIの問題の数々が 00:08:25.838 --> 00:08:28.272 解け始めています 00:08:29.226 --> 00:08:31.677 音声認識、文章理解 00:08:31.677 --> 00:08:33.237 画像認識 00:08:34.177 --> 00:08:38.612 私たちには この強力な技術を どう使うかという選択肢があります 00:08:39.268 --> 00:08:44.132 AIに自動化をさせ 人間と競争させることも出来れば 00:08:44.156 --> 00:08:48.133 AIに人間の能力を拡張させ 協力させることで 00:08:48.157 --> 00:08:51.228 人間の知力の限界を広げ 00:08:51.252 --> 00:08:54.338 我々がやりたいことを もっとうまくできるよう 00:08:54.338 --> 00:08:56.309 手助けさせるという選択も 出来るのです 00:08:56.339 --> 00:09:02.843 私たちが機械に知性を与える 新たな方法を見つけたら 00:09:02.867 --> 00:09:05.936 その知性を世界中のAIアシスタントへ 00:09:05.960 --> 00:09:08.295 配備することができ 00:09:08.295 --> 00:09:12.509 その人の状況を問わず あらゆる人々を益することができます 00:09:13.189 --> 00:09:14.718 このようにして 00:09:14.742 --> 00:09:17.903 機械が賢くなる度に 00:09:18.628 --> 00:09:20.342 私たちも賢くなるのです NOTE Paragraph 00:09:21.028 --> 00:09:24.745 それが「広める価値のあるAI」です NOTE Paragraph 00:09:24.745 --> 00:09:26.097 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:09:26.097 --> 00:09:29.964 (拍手)