0:00:06.728,0:00:08.488
インスリンポンプは世界中に

0:00:08.488,0:00:13.438
4億1500万人いる[br]糖尿病患者の生活を

0:00:13.438,0:00:16.245
血糖値を監視し インスリンを[br]注入することで改善しています

0:00:16.245,0:00:20.255
しかも いつも指先に針を指したり[br]血液検査をする必要がありません

0:00:20.255,0:00:25.305
ポンプと針を備える[br]これらの小型機器は血糖値を測定し

0:00:25.305,0:00:26.655
ポンプへフィードバックしてから

0:00:26.655,0:00:30.275
注入するインスリン量を計算します

0:00:30.275,0:00:33.595
ただし問題があります[br]一時的にしか使えないのです

0:00:33.595,0:00:37.705
数日以内に血糖センサーを[br]取り替える必要があります

0:00:37.705,0:00:42.595
これは血糖値測定器や[br]インスリンポンプに限らず

0:00:42.595,0:00:46.284
時間尺度は異なるものの[br]体に用いる全てのインプラントに伴う問題です

0:00:46.284,0:00:50.994
プラスチック製の人工ひざ関節の場合[br]約20年ほどで取替える必要があります

0:00:50.994,0:00:54.311
美容整形などで使用される[br]他のインプラントも

0:00:54.311,0:00:57.031
10年程で同じ運命をたどります

0:00:57.031,0:01:01.561
ただ面倒なだけでなく [br]高額で 危険もあります

0:01:01.561,0:01:05.296
この不都合は体の免疫システムに[br]起因します

0:01:05.296,0:01:08.706
何億年もの進化によって磨かれた

0:01:08.706,0:01:10.016
これらの防御の最前線では

0:01:10.016,0:01:14.366
異物の発見が飛躍的に向上しました

0:01:14.366,0:01:15.706
我々の免疫システムには

0:01:15.706,0:01:20.036
そこに存在してはならないものは全て[br]攻撃 妨害そして破壊するための

0:01:20.036,0:01:22.926
素晴らしい仕組みがあるのです

0:01:22.926,0:01:25.766
しかし 常に監視下に置いた結果として

0:01:25.766,0:01:29.766
インスリンポンプのような[br]体に役立つインプラントにも

0:01:29.766,0:01:34.366
有害なウィルスやバクテリアと[br]同じような疑いがかかります

0:01:34.366,0:01:37.482
インスリンポンプが[br]皮膚から埋め込まるとすぐに

0:01:37.482,0:01:41.842
その存在が「異物反応」を[br]誘因するのです

0:01:41.842,0:01:44.054
これは自由に浮遊している[br]たんぱく質が

0:01:44.054,0:01:47.144
インプラントの表面に [br]付着することで始まります

0:01:47.144,0:01:49.534
このたんぱく質には 抗体が含まれ

0:01:49.534,0:01:52.194
見慣れぬ物質を[br]中和しようと試み

0:01:52.194,0:01:55.624
攻撃を強めるために

0:01:55.624,0:01:58.154
他の免疫細胞を呼ぶ信号を送ります

0:01:58.154,0:02:00.164
初期に反応する ―

0:02:00.164,0:02:02.514
好中球やマクロファージのような[br]炎症細胞は

0:02:02.514,0:02:05.094
この危険信号に応じます

0:02:05.094,0:02:08.284
好中球は酵素が多く含まれた[br]顆粒を放出し

0:02:08.284,0:02:12.014
インスリンポンプの針の表面を[br]壊そうとします

0:02:12.014,0:02:14.484
マクロファージも[br]ラジカル分子である一酸化窒素と共に

0:02:14.484,0:02:16.764
酵素を分泌し

0:02:16.764,0:02:21.424
物体の腐食を進行させる[br]化学反応を起こします

0:02:21.424,0:02:25.571
マクロファージが異物を[br]さっと「食べる」ことができないときは

0:02:25.571,0:02:30.867
融合し 「巨細胞」という[br]細胞の塊を作ります

0:02:30.867,0:02:34.031
それと同時に[br]線維芽細胞と呼ばれる細胞が

0:02:34.031,0:02:39.011
その地点へと移動し[br]密性結合組織を層状に蓄積し始めます

0:02:39.011,0:02:43.005
ポンプがインスリンを届け[br]血糖値の測定に使う針を

0:02:43.005,0:02:45.275
これらの細胞が覆ってしまいます

0:02:45.275,0:02:47.755
付着物が徐々に溜まっていき

0:02:47.755,0:02:51.325
インプラント周辺に傷を作ります

0:02:51.325,0:02:54.765
この傷は [br]堅固な要塞のような働きをして

0:02:54.765,0:02:57.095
体とインプラントでおこる

0:02:57.095,0:02:59.615
重要な相互作用を[br]遮断することもあります

0:02:59.615,0:03:03.205
例えば [br]ペースメーカー周辺にできた傷は

0:03:03.207,0:03:07.477
機能するのに不可欠な[br]電気信号の伝達を妨害することもあります

0:03:07.477,0:03:11.387
人工膝関節は擦り切れると[br]小片を放出し

0:03:11.387,0:03:15.047
これら欠片の周辺で免疫細胞が[br]炎症を起してしまうかもしれません

0:03:15.047,0:03:19.887
悲惨なことに免疫システムの攻撃は[br]生命を脅かすこともあります

0:03:19.887,0:03:23.400
しかし 研究者たちは[br]免疫システムを騙して

0:03:23.400,0:03:28.210
体の組織に埋め込んだ新たな装置を[br]受け入れさせる方法を見つけつつあります

0:03:28.210,0:03:31.677
ある種の化学物質や薬品を[br]インプラントの表面にコーティングすることで

0:03:31.677,0:03:33.997
免疫反応を抑えられることを[br]発見しました

0:03:33.997,0:03:37.987
それらは基本的に 免疫システムに対し[br]インプラントを隠蔽します

0:03:37.987,0:03:41.307
また より多くのインプラントを[br]天然素材を用いて

0:03:41.307,0:03:44.077
体の組織に似せて作ることで

0:03:44.077,0:03:46.547
体が完全に人工的なインプラントに[br]出くわすより

0:03:46.547,0:03:50.997
弱い攻撃になります

0:03:50.997,0:03:53.131
インプラントを使用する治療の中には

0:03:53.131,0:03:56.791
失われたり損傷した組織を[br]再生する目的のものもあります

0:03:56.791,0:04:00.301
その場合[br]可能なインプラントの設計とは

0:04:00.301,0:04:02.591
特定の信号を出し

0:04:02.591,0:04:06.811
免疫システムを注意深く変えていくような[br]成分を含めるようにすることです

0:04:06.811,0:04:11.018
将来 このように免疫システムと[br]上手くやっていくことは

0:04:11.018,0:04:14.088
完全に人工的な臓器や

0:04:14.088,0:04:16.308
完全に体と一体化した義肢[br]そして

0:04:16.308,0:04:19.158
自己治癒力による傷の治療法を[br]開発する手助けになるかもしれません

0:04:19.158,0:04:22.268
これらの治療は[br]いつの日か医療に革命を起し

0:04:22.268,0:04:25.878
我々の体を永遠に[br]作り変えることになるかもしれません