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Dialogue: 0,0:00:08.62,0:00:13.05,Default,,0000,0000,0000,,1822年5月 クリスチャン・ルートヴィヒ・\Nフォン・ボスマー伯爵は
Dialogue: 0,0:00:13.05,0:00:17.74,Default,,0000,0000,0000,,北ドイツの城の敷地内で\Nコウノトリを撃ち落としました
Dialogue: 0,0:00:17.74,0:00:23.02,Default,,0000,0000,0000,,しかし その鳥を仕留めたのは\N彼が初めてではありませんでした
Dialogue: 0,0:00:23.02,0:00:25.06,Default,,0000,0000,0000,,コウノトリを回収した際に
Dialogue: 0,0:00:25.06,0:00:30.21,Default,,0000,0000,0000,,ボスマーはその鳥に約90センチの\N木の槍が突き刺さっているのを目にけました
Dialogue: 0,0:00:30.21,0:00:34.46,Default,,0000,0000,0000,,地元の教授は その武器は\Nアフリカのものだと同定しました
Dialogue: 0,0:00:34.46,0:00:38.65,Default,,0000,0000,0000,,このコウノトリはどういうわけか\Nアフリカで槍で刺された後
Dialogue: 0,0:00:38.65,0:00:44.01,Default,,0000,0000,0000,,伯爵の城まで \N2500キロ以上飛んで来たのです
Dialogue: 0,0:00:44.01,0:00:48.71,Default,,0000,0000,0000,,この驚異的な飛行は \Nコウノトリの回復力の証拠のみならず
Dialogue: 0,0:00:48.71,0:00:54.58,Default,,0000,0000,0000,,何世紀にもわたって科学者を悩ませてきた\N謎を解く重要な手がかりとなったのです
Dialogue: 0,0:00:54.58,0:00:57.65,Default,,0000,0000,0000,,鳥が季節ごとに姿を消すという謎です
Dialogue: 0,0:00:57.65,0:01:02.54,Default,,0000,0000,0000,,現在 私たちが渡りと呼ぶ \N鳥が毎年姿をくらます行動について
Dialogue: 0,0:01:02.54,0:01:05.61,Default,,0000,0000,0000,,古代の博物学者たちの中で\Nさまざまな学説がありました
Dialogue: 0,0:01:05.61,0:01:11.04,Default,,0000,0000,0000,,アリストテレスは 特に評判のよい\N３つの説を提唱しました
Dialogue: 0,0:01:11.04,0:01:16.75,Default,,0000,0000,0000,,その１つに 鳥は季節に合わせて\N体を変化させるという説がありました
Dialogue: 0,0:01:16.75,0:01:20.15,Default,,0000,0000,0000,,例えば夏場に姿を現すウグイスは
Dialogue: 0,0:01:20.15,0:01:24.15,Default,,0000,0000,0000,,毎年冬になると黒い帽子をかぶる\Nとされていましたが
Dialogue: 0,0:01:24.15,0:01:28.92,Default,,0000,0000,0000,,決して同時に現れることがないものの
Dialogue: 0,0:01:28.92,0:01:31.91,Default,,0000,0000,0000,,実際には形や大きさが似ている別種です
Dialogue: 0,0:01:31.91,0:01:36.40,Default,,0000,0000,0000,,その後 何世紀にもわたり\N鳥は人間
Dialogue: 0,0:01:36.40,0:01:40.07,Default,,0000,0000,0000,,植物 さらには船の材木にまで\N変身すると言われていました
Dialogue: 0,0:01:40.07,0:01:45.44,Default,,0000,0000,0000,,この最後の変身は多くのキリスト教の聖職者に\N特に人気がありました
Dialogue: 0,0:01:45.44,0:01:48.48,Default,,0000,0000,0000,,もしカオジロガンが\N本当に木でできていたなら
Dialogue: 0,0:01:48.48,0:01:54.41,Default,,0000,0000,0000,,聖職者たちはベジタリアンとみなされ\N肉を断った期間も楽しめたことでしょう
Dialogue: 0,0:01:54.41,0:02:00.08,Default,,0000,0000,0000,,アリストテレスの より真実味がある\N２番目の仮説は鳥は冬眠するというものでした
Dialogue: 0,0:02:00.08,0:02:02.21,Default,,0000,0000,0000,,これは それほど非現実的ではありません
Dialogue: 0,0:02:02.21,0:02:08.55,Default,,0000,0000,0000,,種によっては 短く深い眠りに入り\N心拍数や代謝を低下させるものもいます
Dialogue: 0,0:02:08.55,0:02:12.33,Default,,0000,0000,0000,,実際 冬眠する鳥は少なくとも１種はいます
Dialogue: 0,0:02:12.33,0:02:16.94,Default,,0000,0000,0000,,プアーウィルヨタカは\N北アメリカの砂漠で冬眠します
Dialogue: 0,0:02:16.94,0:02:21.34,Default,,0000,0000,0000,,しかし研究者たちは19世紀に入ってからも
Dialogue: 0,0:02:21.34,0:02:23.97,Default,,0000,0000,0000,,もっと奇抜な冬眠の方法を提案しました
Dialogue: 0,0:02:23.97,0:02:29.02,Default,,0000,0000,0000,,ツバメは羽が抜け \N穴の中で冬眠したり
Dialogue: 0,0:02:29.02,0:02:33.59,Default,,0000,0000,0000,,湖や川の底で冬を越すという考えでした
Dialogue: 0,0:02:33.59,0:02:36.95,Default,,0000,0000,0000,,アリストテレスの３つめの説は
Dialogue: 0,0:02:36.95,0:02:40.37,Default,,0000,0000,0000,,より合理的で \N現実的な移住のようなものです
Dialogue: 0,0:02:40.37,0:02:44.50,Default,,0000,0000,0000,,しかし この説はまた極端なものに発展します
Dialogue: 0,0:02:44.50,0:02:50.76,Default,,0000,0000,0000,,1666年に 移住論を唱える第一人者が\N毎年冬になると 鳥は月に向かって
Dialogue: 0,0:02:50.76,0:02:52.89,Default,,0000,0000,0000,,飛んでいくと確信しました
Dialogue: 0,0:02:52.89,0:02:58.08,Default,,0000,0000,0000,,著名な研究者がこのような奇想天外なことを\N考えるのは奇妙に思えるでしょう
Dialogue: 0,0:02:58.08,0:03:01.14,Default,,0000,0000,0000,,しかし実際のところ \N渡りの本当の話は
Dialogue: 0,0:03:01.14,0:03:05.18,Default,,0000,0000,0000,,彼らの荒唐無稽な理論よりもさらに\N信じがたいものなのかもしれません
Dialogue: 0,0:03:05.18,0:03:09.31,Default,,0000,0000,0000,,全鳥類の約20％が毎年
Dialogue: 0,0:03:09.31,0:03:12.99,Default,,0000,0000,0000,,温暖な気候と新鮮な食料を求めて\N地球上を移動しています
Dialogue: 0,0:03:12.99,0:03:16.44,Default,,0000,0000,0000,,北半球で夏を過ごす鳥の場合
Dialogue: 0,0:03:16.44,0:03:22.21,Default,,0000,0000,0000,,この旅は700kmから\N17000km以上にも及び
Dialogue: 0,0:03:22.21,0:03:26.36,Default,,0000,0000,0000,,中には４ヶ月もかけて\N移動するものもあります
Dialogue: 0,0:03:26.36,0:03:32.100,Default,,0000,0000,0000,,大洋を渡る鳥たちは 100時間以上も\N休むことなしに空を飛ぶこともあるでしょう
Dialogue: 0,0:03:32.100,0:03:37.44,Default,,0000,0000,0000,,飛んだままで 眠たり食べたりしながら\N果てしなく続く大海原を
Dialogue: 0,0:03:37.44,0:03:42.36,Default,,0000,0000,0000,,星や風の流れ\N地球の磁場を頼りに移動します
Dialogue: 0,0:03:42.36,0:03:47.13,Default,,0000,0000,0000,,これらの壮大な旅の詳細を追跡することは\N極めて困難です
Dialogue: 0,0:03:47.13,0:03:51.13,Default,,0000,0000,0000,,また鳥たちは可能な限り最も直線的なルートを\N通ることが多いのですが
Dialogue: 0,0:03:51.13,0:03:54.73,Default,,0000,0000,0000,,嵐や人間による開発のせいで\Nそのルートが変わることがあり
Dialogue: 0,0:03:54.73,0:03:58.57,Default,,0000,0000,0000,,移動経路の解明が\Nさらに複雑になります
Dialogue: 0,0:03:58.57,0:04:02.99,Default,,0000,0000,0000,,幸いなことに \Nフォン・ボスマー伯爵のコウノトリは
Dialogue: 0,0:04:02.99,0:04:06.99,Default,,0000,0000,0000,,ヨーロッパのコウノトリが冬に南下することを\N物理的に証明してくれただけでなく
Dialogue: 0,0:04:06.99,0:04:10.19,Default,,0000,0000,0000,,どこへ移動していたのかも\N示してくれました
Dialogue: 0,0:04:10.19,0:04:12.30,Default,,0000,0000,0000,,ヨーロッパ中の鳥類学者たちは
Dialogue: 0,0:04:12.30,0:04:15.44,Default,,0000,0000,0000,,このコウノトリの航跡を\N地図に表そうと躍起になりました
Dialogue: 0,0:04:15.44,0:04:18.45,Default,,0000,0000,0000,,ヨハネス・ティエネマンもその１人でした
Dialogue: 0,0:04:18.45,0:04:22.32,Default,,0000,0000,0000,,世界初の常設鳥類観測所の所有者です
Dialogue: 0,0:04:22.32,0:04:26.45,Default,,0000,0000,0000,,ティエネマンは鳥類研究における\N第一人者でありました
Dialogue: 0,0:04:26.45,0:04:28.87,Default,,0000,0000,0000,,そして この分野における\N最大の謎を解くために
Dialogue: 0,0:04:28.87,0:04:32.87,Default,,0000,0000,0000,,ドイツ中から\N大勢のボランティアを集めました
Dialogue: 0,0:04:32.87,0:04:38.82,Default,,0000,0000,0000,,彼のチームは2000羽のコウノトリの足に\Nアルミの輪をつけ
Dialogue: 0,0:04:38.82,0:04:42.82,Default,,0000,0000,0000,,そこに 個体番号と\N彼のオフィスの住所を記しました
Dialogue: 0,0:04:42.82,0:04:47.45,Default,,0000,0000,0000,,そして \Nこの実験をできるだけ広く宣伝しました
Dialogue: 0,0:04:47.45,0:04:51.59,Default,,0000,0000,0000,,彼の願いは 実験の話が\Nアフリカにまで伝わり
Dialogue: 0,0:04:51.59,0:04:57.11,Default,,0000,0000,0000,,タグを見つけた人たちが 情報を添えて\Nこれを送り返してくれることでした
Dialogue: 0,0:04:57.11,0:05:00.96,Default,,0000,0000,0000,,案の定 1908年から1913年まで
Dialogue: 0,0:05:00.96,0:05:07.100,Default,,0000,0000,0000,,ティエネマンは178個の輪を受け取り \Nそのうち48個はアフリカで発見されました
Dialogue: 0,0:05:07.100,0:05:13.01,Default,,0000,0000,0000,,このデータをもとに 彼は\N初の発見となる移動ルート図を作成し
Dialogue: 0,0:05:13.01,0:05:18.03,Default,,0000,0000,0000,,コウノトリが月に飛んでいたのではないことが\N決定的になりました