WEBVTT 00:00:01.619 --> 00:00:05.761 ここ数年 私たち女性は 男性を糾弾(call out)してきました 00:00:07.052 --> 00:00:08.632 起こるべくして起こったことです NOTE Paragraph 00:00:08.656 --> 00:00:10.302 (拍手) NOTE Paragraph 00:00:10.302 --> 00:00:15.706 しかし最近は もっと力を 入れるべきことがあると考えています 00:00:16.567 --> 00:00:20.149 良き友人でもある トニー・ポーターの言葉を借りると 00:00:20.173 --> 00:00:23.960 男性を呼び入れる(call in)方法を 見つけることです NOTE Paragraph 00:00:25.412 --> 00:00:29.770 5歳の時 父による性的虐待が始まりました 00:00:30.586 --> 00:00:33.681 父は決まって真夜中に部屋に入ってきました 00:00:33.705 --> 00:00:35.802 正気とは思えない様子でした 00:00:36.476 --> 00:00:39.150 虐待は10歳になるまで続きました 00:00:39.846 --> 00:00:42.149 私が父を拒もうとした時 00:00:42.173 --> 00:00:44.960 ようやく「嫌だ」と言えるようになった時 00:00:44.984 --> 00:00:46.792 父は暴力を振るうようになりました 00:00:46.816 --> 00:00:48.560 父は私を馬鹿呼ばわりし 00:00:48.584 --> 00:00:50.218 嘘つき扱いしました NOTE Paragraph 00:00:50.974 --> 00:00:53.625 性的虐待自体は 10歳の時に終わりましたが 00:00:53.659 --> 00:00:56.718 本当の意味で終わることは ありませんでした 00:00:57.371 --> 00:00:59.773 虐待は私を変えてしまったからです 00:00:59.773 --> 00:01:04.298 私はいつも 不安と後ろめたさと 恥ずかしさでいっぱいでしたが 00:01:04.322 --> 00:01:06.121 その理由は わからずにいました 00:01:06.145 --> 00:01:09.200 自分の体を嫌悪し 自分自身を嫌悪し 00:01:09.224 --> 00:01:10.970 病気がちになり 00:01:10.994 --> 00:01:12.300 思考力が衰え 00:01:12.324 --> 00:01:14.006 物忘れが多くなりました 00:01:14.343 --> 00:01:17.545 危険なタイプの男性や女性にばかり惹かれ 00:01:17.569 --> 00:01:22.438 ひどい扱いを容認し むしろ自ら招いていました 00:01:22.462 --> 00:01:25.359 それが 父に教わった愛の形だったからです NOTE Paragraph 00:01:26.708 --> 00:01:31.282 父が謝ってくれるのを ずっと待ち続けていましたが 00:01:32.058 --> 00:01:33.470 そんな素ぶりさえないまま 00:01:33.494 --> 00:01:34.939 謝ることなく亡くなりました 00:01:34.983 --> 00:01:37.794 そして最近 男性の有名人のスキャンダルが 00:01:37.818 --> 00:01:41.207 次々と明るみに出たことをきっかけに 00:01:41.231 --> 00:01:42.681 あることに気づきました 00:01:43.481 --> 00:01:46.536 レイプや暴力行為を行った加害者の男が 00:01:46.560 --> 00:01:50.758 公の場で被害者に謝罪するのを 00:01:50.782 --> 00:01:54.987 私は聞いたことがないのです 00:01:56.294 --> 00:01:58.116 疑問が湧いてきました 00:01:58.140 --> 00:02:03.501 真の 心の底からの謝罪とは どのようなものなのだろうか? NOTE Paragraph 00:02:08.179 --> 00:02:11.828 すると奇妙なことが起こりはじめました 00:02:12.404 --> 00:02:14.282 私が執筆を始めると 00:02:14.306 --> 00:02:17.376 父の声が降りてくるようになりました 00:02:18.235 --> 00:02:20.782 父は自分が何をしたのか なぜそうしたのかを 00:02:20.806 --> 00:02:22.245 語り始めました 00:02:22.269 --> 00:02:24.863 そして謝罪を始めたのです 00:02:25.128 --> 00:02:27.589 父が死んでから 31年近く経つのに 00:02:27.613 --> 00:02:29.361 その謝罪の言葉 — 00:02:29.385 --> 00:02:31.977 父に代わって私が 書くことになった言葉の中に 00:02:32.001 --> 00:02:36.486 謝罪の持つ力が見えてきたのです 00:02:36.510 --> 00:02:39.375 これこそ 今私たちに 突きつけられている — 00:02:39.385 --> 00:02:43.234 男性と虐待される女性たちという 悲劇の構図を抜け出す鍵であると 00:02:43.258 --> 00:02:44.850 気づいたのです NOTE Paragraph 00:02:45.136 --> 00:02:49.276 謝罪は非常に厳粛な誓約です 00:02:49.758 --> 00:02:52.421 何もかもさらけ出す必要があり 00:02:52.679 --> 00:02:55.948 深い内省と時間も要します 00:02:55.972 --> 00:02:57.671 急かすことはできません 00:02:58.002 --> 00:03:01.141 謝罪には 4つの段階があることに 私は気づきました 00:03:01.164 --> 00:03:04.133 よろしければ ここで紹介させてください NOTE Paragraph 00:03:04.157 --> 00:03:08.115 1つめは 自らの行いについて つぶさに語ること 00:03:08.858 --> 00:03:10.947 言葉を濁してはいけません 00:03:11.146 --> 00:03:12.696 「傷つけたのなら謝る」も 00:03:12.716 --> 00:03:14.707 「性的虐待をしてしまったなら謝る」も 00:03:14.731 --> 00:03:15.979 不十分です 00:03:16.310 --> 00:03:19.658 実際に何が起きたのかを 言わなければなりません 00:03:20.261 --> 00:03:22.676 「私は真夜中に お前の部屋に入って 00:03:22.700 --> 00:03:25.202 お前の下着を下ろしたね」 00:03:25.810 --> 00:03:28.041 「お前が妬ましかった 自尊心を傷つけたくなった 00:03:28.041 --> 00:03:30.014 だから 傷つけてしまった」 00:03:30.333 --> 00:03:33.654 こういった具体性こそが 解放への鍵なのです 00:03:34.088 --> 00:03:36.930 謝罪とは忘れないことであり 00:03:36.954 --> 00:03:39.426 過去と現在とを結びつけ 00:03:39.450 --> 00:03:42.830 過去に起きたことを 実際に起こったことだと認める行為です NOTE Paragraph 00:03:43.838 --> 00:03:48.412 2つめは自分自身に 「なぜ」と問うことです 00:03:48.997 --> 00:03:52.019 被害者は「なぜ」という疑問に 頭を支配されています 00:03:52.043 --> 00:03:57.139 なぜ父は長女を性的に 虐待しようと思ったのだろうか? 00:03:57.163 --> 00:04:00.686 なぜ父は私の頭を掴んで 壁に打ち付けたりしたのだろうか? 00:04:03.565 --> 00:04:05.668 私の父の話をすると 00:04:05.692 --> 00:04:09.796 父は 他のきょうだいから ずっと年の離れた末っ子でした 00:04:10.671 --> 00:04:14.170 予定外の妊娠の結果できた子で のちに奇跡ともてはやされ 00:04:14.495 --> 00:04:18.125 溺愛され 期待を一身に受けました 00:04:18.714 --> 00:04:21.954 しかし溺愛は 本当の愛ではないのです 00:04:22.410 --> 00:04:23.863 溺愛とは 相手に 00:04:23.887 --> 00:04:26.157 完璧でいてほしいという欲求を 00:04:26.181 --> 00:04:27.331 投影することです 00:04:27.788 --> 00:04:30.731 父は 周囲の無理な理想に応えるために 00:04:30.755 --> 00:04:33.079 自分らしく振る舞うことを許されず 00:04:33.441 --> 00:04:36.602 優しさや脆さ 好奇心や迷いを 00:04:36.630 --> 00:04:38.741 表に出すことを許されず 00:04:38.763 --> 00:04:40.999 泣くなんてもっての他でした 00:04:41.023 --> 00:04:44.187 このような感情をすべて 心の底にしまい込む他にすべがなく 00:04:44.211 --> 00:04:47.100 最終的には病んでしまったのです 00:04:47.124 --> 00:04:51.295 やがて 抑圧された感情は心の闇と化し 00:04:51.319 --> 00:04:53.023 父自身の手に負えなくなり 00:04:53.037 --> 00:04:56.751 ついには激流となって私に 襲いかかったというわけでした NOTE Paragraph 00:04:58.215 --> 00:05:02.215 3つめは 心を開いて 00:05:02.239 --> 00:05:06.313 被害者の生の心情を感じることです 00:05:07.072 --> 00:05:09.032 自ら深く傷つくことです 00:05:09.056 --> 00:05:11.204 相手の恐怖心 裏切られた気持ち そして 00:05:11.228 --> 00:05:15.420 自分の犯した虐待が長きに渡って 相手に与える害を 身をもって感じ 00:05:15.883 --> 00:05:19.266 相手が被った苦しみと じっくり向き合わなねばなりません NOTE Paragraph 00:05:19.729 --> 00:05:21.373 そして4つめは もちろん 00:05:21.397 --> 00:05:24.594 自分がしたことへの責任を取り 00:05:24.618 --> 00:05:26.529 償うことです NOTE Paragraph 00:05:26.977 --> 00:05:32.526 では こんなにも過酷で屈辱的なプロセスを わざわざ進もうとする動機は何でしょう? 00:05:32.912 --> 00:05:35.921 自分の身を引き裂くような行為の動機とは? 00:05:36.636 --> 00:05:40.829 なぜならこれが 自分自身を 解放できる唯一の方法であり 00:05:40.853 --> 00:05:44.540 被害者を解放してあげられる 唯一の方法だからです 00:05:44.564 --> 00:05:46.224 あなたがズタズタにしたのは 00:05:46.224 --> 00:05:49.455 被害者だけではなく あなた自身です 00:05:49.479 --> 00:05:52.419 他人に暴力を振るっておいて 00:05:52.445 --> 00:05:56.755 その反動に苦しまない人は 存在しないからです 00:05:57.348 --> 00:06:03.988 暴力は この上なく邪悪で 有害な精神を生み 00:06:04.012 --> 00:06:06.689 あなたの人生を隅々まで蝕むのです NOTE Paragraph 00:06:07.962 --> 00:06:10.732 私が自分で書いた謝罪から 学んだことがあります 00:06:10.756 --> 00:06:13.156 私自身 そして無数の女性たちが 耐え忍んできた 00:06:13.180 --> 00:06:16.203 男性による暴力という問題を 理解するために 00:06:16.227 --> 00:06:20.271 取り入れなければいけない 別の視点についてです 00:06:20.398 --> 00:06:22.921 私たちは まず「罰」に目を向けがちです 00:06:23.576 --> 00:06:25.959 それが本能だからですが 実のところは — 00:06:25.959 --> 00:06:29.866 確かに罰が有効な場合もありますが 00:06:29.886 --> 00:06:32.714 それだけでは足りないのです 00:06:32.738 --> 00:06:34.442 父は私を「罰」しました 00:06:34.849 --> 00:06:36.406 私は心を閉ざし 00:06:36.430 --> 00:06:38.129 深く傷つきました 00:06:38.537 --> 00:06:42.142 罰は人を頑なにはしても 教訓は与えてくれません 00:06:42.166 --> 00:06:44.694 屈辱から悟りは生まれないのです 00:06:45.228 --> 00:06:50.190 むしろ 私たちが作るべきなのは 罰を伴うことはあっても 00:06:50.214 --> 00:06:52.529 道を開いてやれるプロセスです 00:06:52.553 --> 00:06:57.441 男性が本当に改心し 生まれ変われることができるように NOTE Paragraph 00:06:57.847 --> 00:07:00.232 すごく長い年月 私は父を憎んでいました 00:07:00.256 --> 00:07:03.234 死ねばいい 刑務所に 入れられてしまえと願いました 00:07:03.258 --> 00:07:07.399 でも そういった怒りが かえって 父の過去に私を縛りつけていたのです 00:07:08.086 --> 00:07:12.657 私が本当に望んでいたのは 父の行いが止まることだけではなく 00:07:12.681 --> 00:07:14.283 父が心を改めることであり 00:07:14.297 --> 00:07:16.137 父からの謝罪だったのです 00:07:16.161 --> 00:07:17.769 それこそが被害者の望みなのです 00:07:17.851 --> 00:07:20.172 相手の男性をズタズタにしたいわけでも 00:07:20.196 --> 00:07:22.950 懲らしめたら済むというのでもありません 00:07:22.974 --> 00:07:27.632 私たちを見てほしいのです 自分が傷つけた被害者のことを 00:07:27.656 --> 00:07:29.651 そして自分の行いを悔いて 00:07:29.651 --> 00:07:31.205 改めてほしいのです 00:07:31.375 --> 00:07:33.820 それは可能なはずだと私は心から信じています 00:07:34.474 --> 00:07:37.438 それこそが正しい道だと心底信じています 00:07:37.928 --> 00:07:40.951 しかし それには男性の協力が必要です 00:07:41.354 --> 00:07:46.935 男性には 今こそ勇気を出して 変化の一部を担ってほしいのです 00:07:47.677 --> 00:07:52.075 私は人生の大半を男性への 糾弾(call out)に費やしましたが 00:07:52.344 --> 00:07:54.511 今 ここに立っているのは 00:07:55.186 --> 00:07:56.587 あなた方男性を 00:07:57.049 --> 00:07:59.697 呼び入れる(call in)ためなのです NOTE Paragraph 00:08:01.104 --> 00:08:02.256 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:08:02.280 --> 00:08:04.690 (拍手) NOTE Paragraph 00:08:04.714 --> 00:08:05.865 どうも NOTE Paragraph 00:08:05.889 --> 00:08:06.905 (拍手) NOTE Paragraph 00:08:06.929 --> 00:08:08.198 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:08:08.222 --> 00:08:10.317 (拍手)