WEBVTT 00:00:01.944 --> 00:00:05.677 ロボット開発者としてよく聞かれます 00:00:05.677 --> 00:00:09.111 「ロボットが朝ご飯を作って くれるようになるのはいつか?」 00:00:09.111 --> 00:00:14.184 未来のロボットは 人間の姿に 近づくのではないかと考えました 00:00:16.114 --> 00:00:18.099 自分に近い容姿になると考えたので 00:00:18.099 --> 00:00:21.978 自分の目を模倣した目を作成しました 00:00:22.813 --> 00:00:27.881 物を私に渡せるように 器用な指を作りました 00:00:27.881 --> 00:00:29.873 野球のボールとか NOTE Paragraph 00:00:31.837 --> 00:00:33.736 こちらのような 00:00:33.736 --> 00:00:37.066 古典的なロボットは 決まった数の関節と 00:00:37.066 --> 00:00:40.817 駆動装置で構成され 機能します 00:00:40.817 --> 00:00:45.127 このことが意味するのは 機能と形状は構想の段階で 00:00:45.127 --> 00:00:47.514 確定してしまうということです 00:00:47.514 --> 00:00:50.369 このロボットアームに 素晴しい投球ができ 00:00:50.369 --> 00:00:53.740 カメラの三脚に 当てさえしたとしても 00:00:54.015 --> 00:00:57.190 朝ご飯を作ってくれるわけでは ありません 00:00:57.190 --> 00:01:00.926 スクランブルエッグを 作るのには向いていないのです NOTE Paragraph 00:01:00.926 --> 00:01:05.639 これが 未来のロボットのビジョンを 思いついた瞬間です 00:01:06.101 --> 00:01:08.040 変形ロボットです 00:01:08.989 --> 00:01:12.317 車のように走り 人のように駆け 鳥のように飛び 00:01:12.317 --> 00:01:16.878 新しい環境とその時の作業に 合わせて変形します 00:01:17.267 --> 00:01:19.117 これを実現するために 00:01:19.117 --> 00:01:22.708 ロボットデザインの方法を 考え直さねばなりません 00:01:23.448 --> 00:01:27.474 多角形型のロボットモジュールがあるとして 00:01:27.474 --> 00:01:29.664 その単純な多角形を使って 00:01:29.664 --> 00:01:32.654 様々な形を再構築して 00:01:32.654 --> 00:01:37.637 異なる作業向けに異なる形のロボットを 作り出すことを想像してください 00:01:37.637 --> 00:01:41.270 コンピュータグラフィックスでは 目新しいことではありません 00:01:41.270 --> 00:01:44.791 かなり前から 多くの映画が そのように作られています 00:01:44.791 --> 00:01:48.592 でも物理的に動くロボットを そのように作ろうとするなら 00:01:48.592 --> 00:01:50.724 まったく別の新しい話で 00:01:50.724 --> 00:01:53.089 まったく別のパラダイムです NOTE Paragraph 00:01:54.307 --> 00:01:56.700 でも皆さんは 既に やったことがあります 00:01:57.434 --> 00:02:02.928 紙飛行機や 紙の船や 折り鶴を 作ったことのない人は? 00:02:03.893 --> 00:02:07.749 折り紙はデザイナーにとって 万能の道具です 00:02:07.749 --> 00:02:11.849 一枚の紙から様々な形状を作ることができ 00:02:11.849 --> 00:02:15.567 もし気に入らなければ広げて もう一度折り直せます 00:02:15.947 --> 00:02:21.975 折ることで 二次元の面から どんな三次元の形でも作れ 00:02:21.975 --> 00:02:24.825 そのことは数学的に証明されています 00:02:26.555 --> 00:02:30.975 もし知的な紙があって 自律的に折り上がり 00:02:30.975 --> 00:02:34.558 求めるどんな形にも いつでも変形できるとしたら 00:02:34.558 --> 00:02:35.989 どうでしょうか? 00:02:36.322 --> 00:02:38.738 それこそが私の取り組んでいることなのです 00:02:38.738 --> 00:02:41.687 私はこの折り紙のロボットを 00:02:41.687 --> 00:02:43.510 「ロボガミ」と呼んでいます NOTE Paragraph 00:02:45.387 --> 00:02:48.985 これが最初のロボガミの変形の様子です 00:02:48.985 --> 00:02:52.252 私が10年くらい前に作ったものです 00:02:52.252 --> 00:02:54.098 平坦なシート状のロボットが 00:02:54.098 --> 00:02:57.288 ピラミッド型になって また平らなシートに戻り 00:02:57.288 --> 00:03:00.329 今度はスペースシャトルになります 00:03:00.822 --> 00:03:02.442 すごく愛らしいです NOTE Paragraph 00:03:02.789 --> 00:03:09.377 10年経って私たちのグループの ニンジャ折り紙ロボット研究者は 00:03:09.377 --> 00:03:11.910 22名ほどになりましたが 00:03:12.332 --> 00:03:15.752 新しい世代のロボガミができ 00:03:15.752 --> 00:03:19.463 少し効率的になって できることが増えました 00:03:20.105 --> 00:03:23.558 新世代のロボガミは 実用的な目的を果たします 00:03:23.558 --> 00:03:28.672 例えばこのロボットでは 地形によって自動的に進み方を変えます 00:03:28.672 --> 00:03:32.469 地面が平らで乾いていれば 這って進みます 00:03:34.256 --> 00:03:36.747 急に荒れた地形になると 00:03:36.747 --> 00:03:38.078 転がり始め 00:03:38.078 --> 00:03:40.609 同じロボットですが こうなります 00:03:40.609 --> 00:03:43.531 地形に応じて 00:03:43.531 --> 00:03:48.308 駆動装置の動かし方を 変えるのです 00:03:50.459 --> 00:03:53.873 障害物があれば 跳び越えます 00:03:55.485 --> 00:03:58.907 この動作では それぞれの脚に エネルギーを蓄え 00:03:58.907 --> 00:04:02.773 パチンコのように放っています 00:04:02.773 --> 00:04:04.967 体操技だってします 00:04:05.688 --> 00:04:06.962 ジャーンプ NOTE Paragraph 00:04:06.962 --> 00:04:08.320 (笑) NOTE Paragraph 00:04:08.828 --> 00:04:13.017 ロボガミが単体でどのように 動くのかをご覧いただきました 00:04:13.017 --> 00:04:16.041 では グループで行動したらどうでしょうか? 00:04:16.041 --> 00:04:19.872 もっと複雑な作業に力を合わせて取り組みます 00:04:19.872 --> 00:04:23.274 モジュールにはアクティブなもの パッシブなものがあり 00:04:23.274 --> 00:04:26.649 組み合わせて 異なる形状を作り出せます 00:04:26.649 --> 00:04:27.919 それだけではなく 00:04:27.919 --> 00:04:33.994 関節を制御することで 異なるタスクを作り 挑むことができ 00:04:33.994 --> 00:04:37.737 形が新たなタスク空間を作るのです 00:04:37.737 --> 00:04:42.102 ここで最重要なのは組み立てです 00:04:42.192 --> 00:04:46.388 違った場所にいる相手を 自動的に見つけ出す必要があり 00:04:46.388 --> 00:04:51.082 環境と作業に応じて くっついたり離れたりします 00:04:51.616 --> 00:04:54.438 そしてもう実現できているのです NOTE Paragraph 00:04:54.438 --> 00:04:55.873 さて次はどうなるのか? 00:04:55.873 --> 00:04:57.696 想像力を働かせましょう NOTE Paragraph 00:04:57.704 --> 00:04:59.797 これは このタイプのモジュールで 00:04:59.797 --> 00:05:01.897 達成できることの シミュレーションです 00:05:01.897 --> 00:05:05.232 4本足で歩くものを作ろうと決め 00:05:06.870 --> 00:05:10.061 よちよち歩く子犬にしました 00:05:10.061 --> 00:05:13.919 同じモジュールで別のものを 作ることもできます 00:05:13.919 --> 00:05:17.361 ロボットアームは典型的で 古典的なロボットの用途です 00:05:17.361 --> 00:05:20.207 ロボットアームで物体を つかみ上げられます 00:05:20.207 --> 00:05:24.630 更にモジュールを追加すれば より大きな あるいはより小さな物体を 00:05:24.630 --> 00:05:28.010 掴み上げられるよう ロボットアームの腕を長くでき 00:05:28.010 --> 00:05:30.446 3本目の腕だって付けられます 00:05:31.545 --> 00:05:36.020 ロボガミには 決まった形状や 作業はありません 00:05:36.628 --> 00:05:41.037 いつでも どこでも どんな形状にも 変形できるのです NOTE Paragraph 00:05:42.408 --> 00:05:45.096 ではどのように製作するのでしょうか? 00:05:45.096 --> 00:05:50.069 ロボガミ最大の技術的な課題は 非常に薄くし 00:05:50.069 --> 00:05:51.612 柔軟にしながら 00:05:51.612 --> 00:05:54.038 機能を維持することです 00:05:54.562 --> 00:05:58.095 多層の回路やモーターや 00:05:58.095 --> 00:06:00.828 マイクロコントローラーやセンサーを 00:06:00.828 --> 00:06:02.795 すべて本体内に持ち 00:06:02.795 --> 00:06:05.835 一つ一つの接合部を制御して 00:06:05.835 --> 00:06:08.180 指示通りに動き 00:06:08.180 --> 00:06:11.244 こんな柔らかな動きもできます 00:06:14.013 --> 00:06:18.884 一つの作業のためだけに 作られたロボットとは違い 00:06:18.884 --> 00:06:23.329 ロボガミは複数の作業をすることに 最適化されています 00:06:23.366 --> 00:06:24.988 このことは 00:06:24.988 --> 00:06:28.821 地球上の過酷で独特な環境や 00:06:28.821 --> 00:06:32.082 宇宙での作業で重要になります NOTE Paragraph 00:06:33.782 --> 00:06:37.158 宇宙はロボガミにぴったりな環境です 00:06:37.673 --> 00:06:42.295 宇宙では 作業ごとに専用のロボットを 用意する余裕はありません 00:06:42.966 --> 00:06:46.843 宇宙では どれほど多様な作業が 必要になるかわかりません 00:06:46.846 --> 00:06:53.910 様々な作業向けに変形するような ロボットが必要になります 00:06:55.188 --> 00:07:00.173 ロボガミのモジュール一式が 変形して 00:07:00.173 --> 00:07:05.001 いくつもの作業を こなすようにしたいのです 00:07:06.322 --> 00:07:09.544 私だけが言っているわけではないですよ 00:07:09.544 --> 00:07:12.521 このコンセプトに 資金援助をしているのは 00:07:12.521 --> 00:07:15.582 欧州宇宙機関とスイス宇宙局だからです NOTE Paragraph 00:07:15.582 --> 00:07:20.619 ここにはロボガミのいろいろな構成の イメージが描かれていますが 00:07:20.619 --> 00:07:24.897 異星の地表を探査するものもあれば 00:07:24.897 --> 00:07:27.141 地面を掘っているものもあります 00:07:27.141 --> 00:07:29.208 探査だけではありません 00:07:29.208 --> 00:07:31.820 宇宙飛行士にも手伝いが必要です 00:07:31.820 --> 00:07:34.789 インターンを連れて行く余裕はありませんから NOTE Paragraph 00:07:34.789 --> 00:07:36.180 (笑) NOTE Paragraph 00:07:36.357 --> 00:07:39.303 宇宙飛行士はあらゆる退屈な作業を こなさねばなりません 00:07:39.303 --> 00:07:40.868 単純な作業かもしれませんが 00:07:40.868 --> 00:07:42.742 とてもインタラクティブです 00:07:42.762 --> 00:07:46.352 ロボットに実験を手助けさせる必要があります 00:07:46.352 --> 00:07:49.505 コミュニケーションをとりながら 宇宙飛行士を支援し 00:07:49.505 --> 00:07:54.038 いろいろなところに張り付いて 道具を支える3本目の腕となります 00:07:55.245 --> 00:07:58.390 でも 例えば宇宙ステーションの 外側にいるロボガミを 00:07:58.390 --> 00:08:00.253 どう制御するのでしょうか? 00:08:00.253 --> 00:08:04.028 このケースでは ロボガミが宇宙ゴミを 捕えている様子が描かれています 00:08:04.028 --> 00:08:07.656 目で見ながら操作できますが 00:08:07.656 --> 00:08:13.438 感触を直接 宇宙飛行士の手に伝えられたら 00:08:13.438 --> 00:08:15.757 もっといいでしょう 00:08:16.248 --> 00:08:18.683 必要になるのは触覚デバイスで 00:08:18.683 --> 00:08:23.037 触覚インターフェイスが 手触りを再現します 00:08:23.051 --> 00:08:25.908 ロボガミを使えば それも可能です NOTE Paragraph 00:08:27.276 --> 00:08:31.819 これは世界最小の触覚インターフェイスです 00:08:32.316 --> 00:08:37.668 指先に触感を 再現することができます 00:08:38.104 --> 00:08:39.351 ロボガミに 00:08:39.351 --> 00:08:45.352 巨視的な動きと微視的な動きを させることで実現しました 00:08:45.812 --> 00:08:49.454 これを使うことで 物体の大きさや 00:08:49.454 --> 00:08:51.981 物体の曲率やまっすぐさを 00:08:51.981 --> 00:08:54.247 感じられるだけでなく 00:08:54.247 --> 00:08:58.006 硬さや手触りも感じられるのです 00:08:59.019 --> 00:09:03.059 アレックスがこのインターフェイスを 親指で操作しています 00:09:03.059 --> 00:09:08.028 そしてこのインターフェイスに VRゴーグルとコントローラーとを合わせると 00:09:08.028 --> 00:09:11.509 仮想現実はもはや仮想ではなくなり 00:09:11.509 --> 00:09:14.226 触れられる現実となります 00:09:16.529 --> 00:09:20.228 彼が見ている青 赤 黒のボールは 00:09:20.228 --> 00:09:22.938 その色だけで区別されるものではなくなり 00:09:22.938 --> 00:09:28.673 青いゴムボール 赤いスポンジボール 黒いビリヤード球として感じられます 00:09:28.673 --> 00:09:30.632 すでに可能な技術です 00:09:31.263 --> 00:09:32.956 ちょっとお見せしましょう NOTE Paragraph 00:09:34.150 --> 00:09:38.331 これを一般の方の前で ライブ公開するのは 00:09:38.331 --> 00:09:41.201 本当に初めてで 00:09:41.201 --> 00:09:43.344 うまくいくといいのですが 00:09:43.668 --> 00:09:47.981 ここに示すのは解剖学の人体図と 00:09:47.981 --> 00:09:50.879 ロボガミの触覚インターフェイスです 00:09:50.879 --> 00:09:53.367 他の再構成可能なロボットと同様に 00:09:53.367 --> 00:09:54.757 複数の作業をします 00:09:54.757 --> 00:09:56.881 マウスと同じように操作できるだけでなく 00:09:56.881 --> 00:09:59.655 触覚インターフェイスとして機能します NOTE Paragraph 00:09:59.655 --> 00:10:03.167 たとえば物体のない白い背景部分では 00:10:03.167 --> 00:10:05.243 何も触るものがないので 00:10:05.243 --> 00:10:08.967 インターフェイスの反応は とてもスムーズです 00:10:09.352 --> 00:10:12.516 マウスのように操作して 肌や 00:10:12.516 --> 00:10:14.416 筋肉質の腕のほうに移動して 00:10:14.416 --> 00:10:15.936 上腕二頭筋や 00:10:15.936 --> 00:10:17.642 肩を触ってみましょう 00:10:17.642 --> 00:10:20.389 固くなったのが 分かると思います 00:10:20.389 --> 00:10:22.007 もう少し調べてみましょう 00:10:22.007 --> 00:10:24.718 胸郭に近づいてみましょう 00:10:24.718 --> 00:10:27.304 肋骨の上か 00:10:27.304 --> 00:10:29.613 肋間筋の上かで 00:10:29.613 --> 00:10:31.415 柔らかくなったり 固くなったりし 00:10:31.415 --> 00:10:33.598 固さの違いを感じることができます 00:10:33.598 --> 00:10:34.796 本当ですよ 00:10:34.796 --> 00:10:39.023 ご覧のように 私の指に対して 固いあるいは強い力で 00:10:39.023 --> 00:10:41.172 押し戻してきます NOTE Paragraph 00:10:41.822 --> 00:10:45.812 動いていない表面についてお見せしましたが 00:10:45.812 --> 00:10:49.389 動いているものに 近づいたらどうでしょうか? 00:10:49.389 --> 00:10:51.480 たとえば拍動する心臓ではどうでしょう? 00:10:51.480 --> 00:10:53.362 何か感じられるでしょうか? NOTE Paragraph 00:10:59.573 --> 00:11:05.719 (拍手) NOTE Paragraph 00:11:07.158 --> 00:11:09.654 自分の心臓の脈だって取れます 00:11:10.010 --> 00:11:13.632 オンラインショッピングを楽しんでいる時に 00:11:13.632 --> 00:11:15.664 ポケットに入れておけば 00:11:16.361 --> 00:11:20.162 買おうとしているセーターの感触の違いや 00:11:20.162 --> 00:11:21.475 どんな柔らかさなのか 00:11:21.475 --> 00:11:24.268 カシミアかどうかも分かり 00:11:24.268 --> 00:11:26.568 あるいは買おうとしているベーグルが 00:11:26.568 --> 00:11:29.897 どのくらいの固さか カリカリの程度も分かるのです 00:11:30.229 --> 00:11:32.257 もうできるようになっています NOTE Paragraph 00:11:34.774 --> 00:11:40.598 このロボット技術は皆さんの日常のニーズに 合わせて パーソナライズされ 00:11:40.598 --> 00:11:44.227 適応できるよう進化しています 00:11:44.457 --> 00:11:47.966 再構成可能なこの独特なロボットは 00:11:47.966 --> 00:11:54.096 視覚的でない直感的なインターフェイスを ニーズに的確に合わせて提供する 00:11:54.096 --> 00:11:56.600 プラットフォームです 00:11:58.169 --> 00:12:02.824 そのようなロボットの姿はもはや 映画で描かれるようなものではなく 00:12:02.843 --> 00:12:07.245 皆さんの望み通りのものになるのです NOTE Paragraph 00:12:07.245 --> 00:12:08.726 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:12:08.726 --> 00:12:12.110 (拍手)