WEBVTT 00:00:14.502 --> 00:00:16.560 ある種の昆虫はどうして 00:00:16.560 --> 00:00:18.135 池の表面を歩くことができるのでしょうか? 00:00:18.135 --> 00:00:19.815 でもあなたが水面を歩こうとすると 00:00:19.815 --> 00:00:21.417 すぐ底に沈んでしまいます 00:00:21.417 --> 00:00:24.811 池はなぜ冬に表面から 凍っていくのでしょうか? 00:00:24.811 --> 00:00:28.823 答えを一言でいえば 極性です 00:00:28.823 --> 00:00:30.490 水は酸素原子1つと 00:00:30.490 --> 00:00:33.946 水素原子2つからなる 単純な分子ですが 00:00:33.946 --> 00:00:35.862 それは 生命に欠かせません 00:00:35.862 --> 00:00:39.324 事実 水は 00:00:39.324 --> 00:00:41.954 大人の体重の60%を占めます 00:00:41.954 --> 00:00:44.372 分子内の極性は 00:00:44.372 --> 00:00:46.624 水という ありふれた物質に 00:00:46.624 --> 00:00:49.413 独特でかつ 生命を維持する特性を 与えています 00:00:49.413 --> 00:00:51.545 極性とは1つの分子内での 00:00:51.545 --> 00:00:53.604 電子の不均等な配分を意味します 00:00:53.604 --> 00:00:56.551 水では酸素原子1つと 00:00:56.551 --> 00:00:59.635 水素原子2つが 1つの水の分子の中で 00:00:59.635 --> 00:01:03.020 堅強なフットボール選手と可愛らしい幼児の 00:01:03.020 --> 00:01:05.188 綱引きのように結合しています 00:01:05.188 --> 00:01:07.063 酸素原子は水素より大きく 00:01:07.063 --> 00:01:09.772 核には より多くの陽子を持っています 00:01:09.772 --> 00:01:13.170 このような正電荷は人の 身体的な強さのようなものです 00:01:13.170 --> 00:01:14.485 正の電荷をもった陽子は 00:01:14.485 --> 00:01:16.855 結合中の電荷をもった 電子を引きつけます 00:01:16.855 --> 00:01:19.450 それは綱引きで力の強い人が 00:01:19.450 --> 00:01:22.021 力の弱い人を圧倒するようにです 00:01:22.021 --> 00:01:24.204 酸素は 00:01:24.204 --> 00:01:27.123 公平な配分以上の電子を引き寄せます 00:01:27.123 --> 00:01:30.273 それは水素が小さくて弱く 00:01:30.273 --> 00:01:31.550 陽子の数も少なく 00:01:31.550 --> 00:01:33.547 綱引きに負けて 00:01:33.547 --> 00:01:36.733 公平な配分以下の電子しか 引き寄せられないからです 00:01:36.733 --> 00:01:39.720 ですから 酸素は水の中で負に帯電し 00:01:39.720 --> 00:01:43.139 水素は正に帯電しています 00:01:43.139 --> 00:01:45.846 水の1分子中の結合は 00:01:45.846 --> 00:01:48.163 極性共有結合と呼ばれます 00:01:48.163 --> 00:01:50.859 共有とは 電子を共有するという意味です 00:01:50.859 --> 00:01:52.945 しかし先ほど学んだように 00:01:52.945 --> 00:01:56.277 極性とは電子が均等に 共有されていないことを意味します 00:01:56.277 --> 00:01:58.938 水では酸素が負に荷電し 00:01:58.938 --> 00:02:01.655 水素は正に帯電したものとして 作用します 00:02:01.655 --> 00:02:03.701 負と正は互いを引きつけるので 00:02:03.701 --> 00:02:06.495 酸素は近くにある水分子内の 00:02:06.495 --> 00:02:08.149 水素原子に引きつけられます 00:02:08.149 --> 00:02:11.932 水分子同士の このタイプの結合は 00:02:11.932 --> 00:02:13.962 水素結合と呼ばれます 00:02:13.962 --> 00:02:16.770 水素結合は水の中に限って 起こるのではありません 00:02:16.770 --> 00:02:18.961 水分子とその他の物質― 00:02:18.961 --> 00:02:22.470 極性を有するかイオン化した 物質との間でも起こります 00:02:22.470 --> 00:02:25.602 水同士が結合する能力を凝集力と言い 00:02:25.602 --> 00:02:28.323 一方 水が他の物質と結合する能力を 00:02:28.323 --> 00:02:30.560 接着力と呼びます 00:02:30.560 --> 00:02:32.987 では元の質問に戻りましょう 00:02:32.987 --> 00:02:36.903 昆虫はなぜ水面を歩く事ができるのでしょうか 00:02:36.903 --> 00:02:39.571 水素結合によって生じた表面張力が 00:02:39.571 --> 00:02:41.698 水面に薄い膜を張り 00:02:41.698 --> 00:02:43.159 それが抵抗力を与え 00:02:43.159 --> 00:02:45.586 極軽い昆虫が歩く事ができます 00:02:45.586 --> 00:02:46.769 しかしあなたは歩けません 00:02:46.769 --> 00:02:48.805 水素結合はあなたを支えるほど 00:02:48.805 --> 00:02:50.545 強くはないからです 00:02:50.545 --> 00:02:52.918 なぜ氷は水に浮くのでしょう 00:02:52.918 --> 00:02:54.685 ほとんどの物質では 00:02:54.685 --> 00:02:57.888 固体は液体より密度が高いですが 00:02:57.888 --> 00:03:00.390 水の場合は違います! 00:03:00.390 --> 00:03:02.599 氷の水素結合においては 00:03:02.599 --> 00:03:05.554 分子間の距離が液体の水の場合に比べ 離れているからです 00:03:05.554 --> 00:03:07.518 分子が離れるほど 00:03:07.518 --> 00:03:09.773 密度は低くなります 00:03:09.773 --> 00:03:13.227 そのため 氷は水より9%密度が低く 00:03:13.227 --> 00:03:15.441 氷が水に浮かぶわけです 00:03:15.441 --> 00:03:17.943 これが湖が表面から凍り始め 00:03:17.943 --> 00:03:19.861 水中の生物が 00:03:19.861 --> 00:03:21.947 毎年寒い冬にも生き延びられる理由です 00:03:21.947 --> 00:03:24.656 水の分子の極性と 00:03:24.656 --> 00:03:26.907 水素結合の結果が 00:03:26.907 --> 00:03:29.996 水の特性を作り出しています 00:03:29.996 --> 00:03:33.127 あなたの細胞の中の水から 00:03:33.127 --> 00:03:34.440 世界中の海まで 00:03:34.440 --> 00:03:35.877 水が特別なのは 00:03:35.883 --> 00:03:41.053 単にそれが極性分子だからです