WEBVTT 00:00:14.197 --> 00:00:16.601 歩きやすい都市について お話ししたいと思います 00:00:16.810 --> 00:00:18.170 歩きやすい都市とは何でしょうか? 00:00:18.194 --> 00:00:20.674 より分かりやすく定義すると 00:00:20.698 --> 00:00:26.026 自動車が必要不可欠というより 00:00:26.050 --> 00:00:27.934 選択肢の1つであるような 都市のことです 00:00:27.958 --> 00:00:30.913 そこで 歩きやすい都市の 必要性について説明し 00:00:30.937 --> 00:00:35.095 その実現方法について お話ししたいと思います 00:00:35.219 --> 00:00:39.559 最近お話ししているのはほとんどが その必要性についてですが 00:00:39.583 --> 00:00:42.679 皆さんは もうご存知のことでしょうし 00:00:43.854 --> 00:00:47.101 ちょうど1か月前に行ったトークを 00:00:47.125 --> 00:00:49.192 TED.comでご覧になれますから 00:00:49.216 --> 00:00:52.216 今日はその実現方法について お話しします 00:00:53.180 --> 00:00:55.119 この事を考え続けて 00:00:55.143 --> 00:00:58.243 歩きやすさについての 一般論を思いつきました 00:00:58.267 --> 00:01:01.197 口幅ったい言い方ですし 少々もったいぶった感じですが 00:01:01.221 --> 00:01:03.795 私が長い間温めてきて 00:01:03.819 --> 00:01:07.203 理解したことを紹介したいと思います 00:01:07.227 --> 00:01:10.066 アメリカの都市は― 典型的な都市ということですが 00:01:10.090 --> 00:01:12.550 ワシントンD.C.でもなく 00:01:12.574 --> 00:01:14.882 ニューヨークでも サンフランシスコでもありません 00:01:14.906 --> 00:01:18.153 グランドラピッズやセダーラピッズや メンフィスといった都市です 00:01:18.177 --> 00:01:21.288 この典型的なアメリカの都市では ほとんどの人が車を持ち 00:01:21.312 --> 00:01:23.633 常に車に乗っていたい と思うものです 00:01:23.657 --> 00:01:27.436 ですから そこで歩いてもらうには 歩くことが運転と同じくらい 00:01:27.460 --> 00:01:29.308 魅力的だと思ってもらう 必要があります 00:01:29.332 --> 00:01:30.483 これはどういうことでしょう? 00:01:30.507 --> 00:01:33.048 4点セットを同時に 提供する必要があるということです 00:01:33.072 --> 00:01:35.209 歩く理由 00:01:35.233 --> 00:01:37.703 安全・安心感があること 00:01:37.727 --> 00:01:39.422 快適に歩けること 00:01:39.446 --> 00:01:41.215 楽しいことです 00:01:41.239 --> 00:01:43.849 この4つが同時に必要です 00:01:43.873 --> 00:01:45.903 これが本日のトークの柱です 00:01:45.927 --> 00:01:47.556 それぞれ お話ししていきますね 00:01:47.580 --> 00:01:50.844 私はメンターたちから 歩く理由を学びました 00:01:50.868 --> 00:01:53.228 アンドレス・デュアニーと エリザベス・プラター・ザイバーグで 00:01:53.252 --> 00:01:55.253 ニューアーバニズム運動の創始者です 00:01:55.277 --> 00:01:59.100 本日の内容の半分は 00:01:59.124 --> 00:02:00.450 この2人から学んだことです 00:02:00.474 --> 00:02:02.253 これは都市計画の話 00:02:02.277 --> 00:02:05.517 職業としてのシティプランナーの 成立についてです 00:02:05.541 --> 00:02:08.271 19世紀の人々はおぞましい工場から 排出される真っ黒なすすに 00:02:08.295 --> 00:02:10.788 悩まされていました 00:02:10.812 --> 00:02:15.189 そこで プランナーは住居と工場を 引き離せばいいと考え 00:02:15.213 --> 00:02:18.680 するとほどなく人々の寿命が 劇的に向上しました 00:02:18.704 --> 00:02:19.855 それ以来プランナーは 00:02:19.879 --> 00:02:23.071 この体験を再現しようとしてきたと言っても 過言ではないでしょう 00:02:23.095 --> 00:02:25.737 私たちがユークリッド・ゾーニングと 呼んでいるものが始まり 00:02:25.761 --> 00:02:29.836 土地を単一目的の 広大な敷地に分断していきました 00:02:29.860 --> 00:02:32.337 私が都市計画を行うため 現地に到着すると 00:02:32.361 --> 00:02:36.400 土地がこういったデザインに なっていることが多いのですが 00:02:36.424 --> 00:02:38.126 こうした計画では 間違いなく 00:02:38.150 --> 00:02:40.189 歩きやすい都市にはならないでしょう 00:02:40.213 --> 00:02:43.133 何も近くにないからです 00:02:43.157 --> 00:02:46.797 その代わりに― ご存知の 最も歩きやすい都市 マンハッタンです 00:02:46.821 --> 00:02:49.351 先ほどの地図はロスコーの絵のようですが 00:02:49.375 --> 00:02:50.883 こちらは点描画家の 00:02:50.907 --> 00:02:52.740 スーラの絵のようです 00:02:52.764 --> 00:02:55.723 それぞれの手法で街が作られていますね 00:02:55.747 --> 00:02:59.322 このマンハッタンの地図も 少し紛らわしいですね 00:03:00.451 --> 00:03:03.155 赤色が一面に塗られていますから 00:03:03.179 --> 00:03:05.691 これはニューアーバニストの壮大な物語― 00:03:05.715 --> 00:03:08.005 コミュニティを構築するため 歴史を通じて世界中で 00:03:08.029 --> 00:03:10.969 何千回も試されてきた方法は 2通りだという話です 00:03:10.993 --> 00:03:12.871 そのひとつがこんな伝統的な界隈です 00:03:12.895 --> 00:03:16.309 これは マサチューセッツ州 ニューベリーポートの界隈です 00:03:16.333 --> 00:03:20.200 コンパクトで多様性に満ちていて 00:03:20.224 --> 00:03:24.366 住居や職場、店舗や 娯楽施設、学校は 00:03:24.390 --> 00:03:26.269 徒歩圏内にあり 00:03:26.293 --> 00:03:28.429 歩きやすいように街が設計されています 00:03:28.453 --> 00:03:29.987 細い通りがいくつもあって 00:03:30.011 --> 00:03:31.737 どれも歩きやすい道です 00:03:31.761 --> 00:03:34.275 この対照例として挙げるのは 00:03:34.299 --> 00:03:37.118 第二次世界大戦後に起こった 郊外地域の 00:03:37.142 --> 00:03:38.400 スプロール化(無秩序な拡大)です 00:03:38.424 --> 00:03:43.001 どう見てもコンパクトではなく 多様性に欠け 歩きづらい 00:03:43.025 --> 00:03:44.923 つながっている通りが少なく 00:03:44.947 --> 00:03:47.830 つながった通りは渋滞し 00:03:47.854 --> 00:03:49.944 子どもを歩かせられるような 道ではありません 00:03:50.268 --> 00:03:53.119 航空写真家のアレックス・マクリーンが 本日お見せする 00:03:53.143 --> 00:03:56.198 美しい航空写真を数多く 提供してくれました 00:03:56.452 --> 00:03:57.918 彼も建築家です 00:03:57.942 --> 00:04:01.562 スプロール化した都市の パーツを見てみるのは面白いですよ 00:04:01.586 --> 00:04:03.163 見分けるのは非常に簡単です 00:04:03.187 --> 00:04:06.190 住むだけのための場所 働くためだけの場所 00:04:07.044 --> 00:04:09.000 買い物のためだけの場所 00:04:09.024 --> 00:04:12.368 巨大な公共施設 00:04:12.392 --> 00:04:13.832 学校はどんどん大きくなり 00:04:13.856 --> 00:04:16.252 ますますお互いから 離れていくようになります 00:04:16.276 --> 00:04:19.404 駐車場と学校の建物の 00:04:19.428 --> 00:04:20.644 大きさの比率を見ると 00:04:20.668 --> 00:04:22.285 徒歩で登校できない 00:04:22.309 --> 00:04:24.847 ということは一目瞭然です 00:04:24.871 --> 00:04:26.776 歩いて登校している子など いないでしょう 00:04:26.800 --> 00:04:30.640 上級生が下級生を 自動車に乗せ登校するので 00:04:30.664 --> 00:04:33.288 それが交通事故の統計に表れます 00:04:33.312 --> 00:04:36.780 そして巨大化した公共施設 00:04:36.804 --> 00:04:37.974 運動場などですが 00:04:37.998 --> 00:04:41.871 フォートローダーデール地区の ウェスティンには 00:04:41.895 --> 00:04:44.963 サッカー場が8面、野球場が8面 00:04:44.987 --> 00:04:46.846 テニスコートが20面もありますが 00:04:46.870 --> 00:04:50.482 そこへ続く道路に注目してください 00:04:50.506 --> 00:04:52.452 子どもを自転車で 行かせたりしますか? 00:04:52.476 --> 00:04:54.606 車で送迎する サッカーマムが必要なわけです 00:04:54.630 --> 00:04:56.872 私が子供の頃はサッカー場と野球場と 00:04:56.896 --> 00:04:58.921 テニスコートが1面ずつだけでしたが 00:04:58.945 --> 00:05:01.803 私は歩いていくことができました 近所にあったからです 00:05:01.827 --> 00:05:04.678 つい忘れがちなスプロールの最終段階は 00:05:04.702 --> 00:05:07.522 何もかもお互いから離してしまって 00:05:07.546 --> 00:05:10.080 それらを自動車道路だけでつなげると 00:05:10.104 --> 00:05:12.626 このような風景に なってしまうということです 00:05:12.650 --> 00:05:13.865 ここでいちばん言いたいことは 00:05:13.889 --> 00:05:17.491 歩きやすい都市にしたければ スプロールモデルは使えないことです 00:05:17.515 --> 00:05:19.586 都市モデルには 骨格が必要です 00:05:19.610 --> 00:05:22.458 これがその通りに設計した結果です 00:05:22.482 --> 00:05:23.873 このとおりです 00:05:23.897 --> 00:05:26.486 これがアメリカ人の多くが 望むものなのです 00:05:26.510 --> 00:05:29.223 しかしアメリカンドリームには 2つの面があります 00:05:29.247 --> 00:05:30.607 もし これを夢見て 00:05:30.631 --> 00:05:32.647 自動車優先の風景を作り上げると 00:05:32.671 --> 00:05:35.151 悪夢になるでしょう 00:05:35.175 --> 00:05:37.272 その夢は馬鹿げた極端な風景を 00:05:37.296 --> 00:05:39.913 生み出すことが多いのです 00:05:39.937 --> 00:05:42.178 こういう場所に行ってみると [この信号は青になりません] 00:05:42.202 --> 00:05:43.219 (笑) 00:05:43.243 --> 00:05:44.623 画像の加工はしていませんよ 00:05:44.647 --> 00:05:46.649 ウォルター・クラシュが このスライドを撮りました 00:05:46.673 --> 00:05:48.370 これは パナマシティにある 00:05:48.394 --> 00:05:50.183 実在する場所です 00:05:50.947 --> 00:05:53.426 スムーズな運転は難しく 00:05:53.450 --> 00:05:55.916 歩くのもなかなか厄介です 00:05:55.940 --> 00:05:57.883 こんなところではね 00:05:58.367 --> 00:06:01.839 次は疫学研究でよく目にするスライドですが 00:06:01.863 --> 00:06:03.159 (笑) 00:06:03.296 --> 00:06:06.537 私たちの社会では スポーツジムまで車で行き 00:06:06.561 --> 00:06:08.735 入り口にはエスカレーター 00:06:08.759 --> 00:06:10.687 何かが間違っています 00:06:10.711 --> 00:06:12.283 でも 改善策は分かっています 00:06:12.307 --> 00:06:13.990 対照的なモデルが2つあります 00:06:14.014 --> 00:06:15.169 30年ぐらい 00:06:15.193 --> 00:06:17.979 ニューアーバニズムの教科書的なものだった 00:06:18.003 --> 00:06:19.407 このスライドをお見せします 00:06:19.431 --> 00:06:23.590 スプロールと伝統的な界隈は 色分けされた 同じ建物要素を含んでいることがわかります 00:06:23.614 --> 00:06:25.000 その違いは大きさと 00:06:25.024 --> 00:06:26.623 お互いの距離 00:06:26.647 --> 00:06:28.322 分散の仕方であり 00:06:28.346 --> 00:06:31.263 袋小路よりも 道路のネットワークが多いか 00:06:31.287 --> 00:06:33.322 通りが密集しているかの違いです 00:06:33.346 --> 00:06:35.163 あるダウンタウンの地域を 00:06:35.187 --> 00:06:37.322 もっと歩きやすい地域へと 改善することを考えるとき 00:06:37.346 --> 00:06:39.904 アメリカの都市や 町や村の 00:06:39.928 --> 00:06:41.696 大部分のダウンタウンにあてはまりますが 00:06:41.720 --> 00:06:44.785 用途のバランスを適正にしましょうという 話を始めます 00:06:44.809 --> 00:06:46.944 欠けたり不足しているのものは 何でしょうか? 00:06:46.968 --> 00:06:50.628 アメリカ人の大部分が住んでいる 典型的な都市部では 00:06:50.652 --> 00:06:52.662 不足しているのは住宅であり 00:06:52.686 --> 00:06:54.876 職と住のバランスが偏っています 00:06:54.900 --> 00:06:57.083 住居を取り戻してやると 00:06:57.107 --> 00:06:59.173 他の建物も戻ってきますので 00:06:59.197 --> 00:07:01.673 まず住居の配置ありきなのです 00:07:01.697 --> 00:07:04.801 そしてもちろん 最終的には 00:07:04.825 --> 00:07:05.990 学校が戻ってきます 00:07:06.014 --> 00:07:10.835 それは人が引っ越してくると 若者が成長して子供を持つようになり 00:07:10.859 --> 00:07:13.897 競争が起きて 学校がよくなっていきます 00:07:13.921 --> 00:07:16.398 そしてその他の部分について 都市部の便利さ 00:07:16.422 --> 00:07:17.727 公共交通機関です 00:07:17.751 --> 00:07:21.116 なくても完璧に歩きやすい地域の整備は できますが 00:07:21.140 --> 00:07:24.445 都市を完璧に歩きやすくするためには 交通機関が必要です 00:07:24.469 --> 00:07:27.910 歩行者として町全体にアクセスできないと 00:07:27.934 --> 00:07:29.095 自動車に乗ることになり 00:07:29.119 --> 00:07:30.274 そして 自動車が増えると 00:07:30.298 --> 00:07:32.846 都市はそのニーズに応じて 再び形を変え 00:07:32.870 --> 00:07:35.552 道路が広くなり 駐車場が広がり 00:07:35.576 --> 00:07:37.453 もはや歩きやすい都市ではなくなります 00:07:37.477 --> 00:07:38.632 交通機関は不可欠です 00:07:38.656 --> 00:07:41.057 どんな交通機関を使うにしても 00:07:41.081 --> 00:07:42.976 最初と最後は徒歩です 00:07:43.000 --> 00:07:46.798 ですから駅の周囲を 歩きやすくする必要があります 00:07:47.322 --> 00:07:50.067 次のカテゴリーは一番大切で 安全に歩けることです 00:07:50.091 --> 00:07:52.307 これが歩きやすさには不可欠ですが 00:07:52.331 --> 00:07:56.372 それだけでは十分ではありません 00:07:56.396 --> 00:07:59.539 歩きやすい都市をつくる 多くの要素があります 00:07:59.563 --> 00:08:01.139 まずは1ブロックの大きさです 00:08:01.163 --> 00:08:02.510 こちらはオレゴン州ポートランドで 00:08:02.534 --> 00:08:06.100 1ブロックが60メートルで 歩きやすいことで有名です 00:08:06.124 --> 00:08:07.442 こちらはソルトレークシティです 00:08:07.466 --> 00:08:09.546 1ブロックが200メートルあって 00:08:09.570 --> 00:08:10.939 歩きにくいことで知られています 00:08:10.963 --> 00:08:13.969 比べてみると まるで別の惑星のようですが 00:08:13.993 --> 00:08:16.309 どちらも人類が作った場所です 00:08:16.333 --> 00:08:19.973 ブロックが60メートルの都市ならば 00:08:19.997 --> 00:08:21.531 2車線あるいは 00:08:21.555 --> 00:08:22.972 2車線から4車線の都市になります 00:08:22.996 --> 00:08:27.021 ブロックが200メートルの都市は 6車線でこれは問題です 00:08:28.085 --> 00:08:29.563 交通事故の統計によると 00:08:29.677 --> 00:08:31.763 ブロックサイズが倍になると 00:08:31.787 --> 00:08:33.820 カリフォルニアの 24都市での研究ですが― 00:08:33.844 --> 00:08:35.336 ブロックサイズが倍になると 00:08:35.360 --> 00:08:38.986 一般道における死亡事故が 00:08:39.010 --> 00:08:41.010 約4倍になります 00:08:41.595 --> 00:08:44.306 では 何車線がいいのでしょうか? 00:08:44.330 --> 00:08:47.807 ここからは講演のたびに お話しすることなんですが 00:08:47.831 --> 00:08:50.561 「需要が誘発されること」について 考えてもらうことにしています 00:08:50.585 --> 00:08:55.022 「誘発需要」現象は幹線道路にも 一般道にも当てはまります 00:08:55.046 --> 00:08:58.531 誘発された需要から分かるのは 00:08:58.555 --> 00:09:01.653 予期される交通渋滞に対応するために 道路を広げたり 00:09:01.677 --> 00:09:04.014 渋滞のために迂回するといった ことを予測する 00:09:04.038 --> 00:09:07.951 混雑に対応するシステム自体が 00:09:07.975 --> 00:09:09.968 需要を刺激しており 00:09:09.992 --> 00:09:11.754 道路が拡大されるようになり 00:09:11.778 --> 00:09:14.894 それにつれてまた新たに迂回が起こります 00:09:14.918 --> 00:09:16.307 人々は更に職場から遠ざかり 00:09:16.331 --> 00:09:18.564 通勤時間帯を変えたりして 00:09:18.588 --> 00:09:20.962 これらの車道が 瞬く間に渋滞するようになり 00:09:20.986 --> 00:09:23.487 再び道路を広げれば また満杯になります 00:09:23.511 --> 00:09:25.737 これが渋滞した システムから学んだことです 00:09:25.761 --> 00:09:28.176 自動車を優先した都市作りは不可能です 00:09:28.200 --> 00:09:31.650 ニューズウィーク誌からです 深遠な記事などみかけない雑誌ですが 00:09:31.674 --> 00:09:33.342 「こんにちエンジニアは 00:09:33.366 --> 00:09:36.592 新たな道路の建設で 交通渋滞が悪化すると認めている」 00:09:36.616 --> 00:09:40.179 これを読んで私は 「このエンジニアに会いたい」と思いました 00:09:40.203 --> 00:09:42.269 ただのエンジニアではないなと思ったのです 00:09:42.293 --> 00:09:44.883 私が実際知っている 素晴らしい技術者は例外で 00:09:44.907 --> 00:09:48.213 都市計画でお目にかかる ごく一般的なエンジニアは 00:09:48.237 --> 00:09:51.703 「交通渋滞するから 車線を増やそう」 と考えるものです 00:09:51.727 --> 00:09:53.887 車線を増やすと渋滞するようになり 00:09:53.911 --> 00:09:56.368 「ほら 車線が必要だったでしょ」と 言うようなね 00:09:56.883 --> 00:10:00.675 これは幹線道路や一般道 どちらの渋滞にもあてはまります 00:10:00.808 --> 00:10:03.843 私が仕事をしている アメリカの都市については不思議なことに 00:10:03.867 --> 00:10:05.156 典型的な都市の多くには 00:10:05.180 --> 00:10:08.212 現在直面している渋滞に比べて 00:10:08.236 --> 00:10:10.643 広すぎるような道路が多くあります 00:10:10.667 --> 00:10:12.390 オクラホマシティの例ですが 00:10:12.414 --> 00:10:14.933 市長があわてて連絡をして来ました 00:10:14.957 --> 00:10:17.361 「プリベンション」誌で 00:10:17.385 --> 00:10:20.538 歩行者にとって最悪な町だと こき下ろされたからです 00:10:20.562 --> 00:10:22.268 そんなはずはありませんが 00:10:22.292 --> 00:10:25.421 市長としては 何とかしなければなりません 00:10:25.445 --> 00:10:26.754 まず歩きやすさを調査しました 00:10:26.778 --> 00:10:30.113 通行する自動車の数を数えて 分かったことは 00:10:30.137 --> 00:10:33.812 3千、4千、7千台 だったのですが 00:10:33.836 --> 00:10:37.783 2車線の場合は 1日1万台が通行できるはずで 00:10:38.207 --> 00:10:42.864 この数字を見ると どれも1万台未満ですね 00:10:42.888 --> 00:10:45.162 新たなダウンタウン計画の一環として 00:10:45.186 --> 00:10:47.068 4車線から6車線幅で 00:10:47.092 --> 00:10:49.726 設計された道路でしたが 00:10:49.750 --> 00:10:52.995 車線数とそれを必要とする 自動車の数との間に 00:10:53.019 --> 00:10:55.261 根本的なずれがあったのです 00:10:55.285 --> 00:10:59.200 こうして ダウンタウンの 全ての道路の再設計を任されました 00:10:59.224 --> 00:11:00.959 縁石に至るまで全てを任されて 00:11:00.983 --> 00:11:02.985 50ブロックについて設計しました 00:11:03.009 --> 00:11:04.366 現在 再建設中です 00:11:04.390 --> 00:11:07.430 こんな典型的な無駄に広い道路は 00:11:07.454 --> 00:11:09.654 幅を狭めるように 現在工事中です 00:11:09.678 --> 00:11:11.318 プロジェクトは半分完了しました 00:11:11.342 --> 00:11:13.333 典型的なこんな道路が— 00:11:13.357 --> 00:11:16.803 適切な車線幅がわかり 00:11:16.827 --> 00:11:18.809 自転車レーンが作れるようになります 00:11:18.833 --> 00:11:21.000 路上の駐車スペースを2倍にしました 00:11:21.024 --> 00:11:24.973 今まではなかった自転車ネットワークを 追加しました 00:11:24.997 --> 00:11:28.244 でも 誰もがオクラホマシティのように お金持ちではありません 00:11:28.268 --> 00:11:31.352 ここは資源ビジネスが好調ですからね 00:11:31.376 --> 00:11:33.428 多くの都市は セダーラピッズのように 00:11:33.452 --> 00:11:37.442 4車線を基本にして 半分は一方通行です 00:11:37.466 --> 00:11:38.915 ちょっと見にくいですが 00:11:38.939 --> 00:11:42.223 私たちがやっていること 今進めていることは 00:11:42.247 --> 00:11:43.851 現在施工中なのですが 00:11:43.875 --> 00:11:47.666 4車線が基本で 半分は一方通行というシステムを 00:11:47.690 --> 00:11:51.267 2車線が基本で 対面通行のシステムに変えることで 00:11:51.291 --> 00:11:54.532 路上の駐車スペースを70%増やしました 00:11:54.556 --> 00:11:55.915 店舗は喜ぶでしょうし 00:11:55.939 --> 00:11:57.359 安全な歩道も守れます 00:11:57.383 --> 00:11:59.145 駐車場があることで歩道が安全になり 00:11:59.169 --> 00:12:02.375 しっかりとした 自転車ネットワークも加えました 00:12:03.951 --> 00:12:06.532 では車線の幅はどうでしょうか? 00:12:06.556 --> 00:12:07.766 これは非常に重要です 00:12:07.790 --> 00:12:10.956 規格は幅広くなり続け アンドレス・デュアニー いわく 00:12:10.980 --> 00:12:13.074 アメリカ郊外の典型的な道路では 00:12:13.098 --> 00:12:15.290 地平線が見えるのだそうです 00:12:15.314 --> 00:12:16.353 (笑) 00:12:16.377 --> 00:12:19.622 この分譲地は 1960年代のワシントン郊外です 00:12:19.646 --> 00:12:21.967 通りの幅をよく見てみてください 00:12:21.991 --> 00:12:24.098 これは 1980年代の分譲地です 00:12:24.122 --> 00:12:25.757 1960年代、1980年代で 00:12:25.781 --> 00:12:27.805 規格がこんなに変わっているのです 00:12:27.829 --> 00:12:29.782 これは私の古馴染みの サウスビーチですが 00:12:29.806 --> 00:12:34.115 排水の補修工事を行う際に 00:12:34.139 --> 00:12:36.683 道路を拡大し歩道を 半分にしてしまいました 00:12:36.707 --> 00:12:38.354 基準規格が広がったからです 00:12:38.378 --> 00:12:41.075 でも広い道では誰もが急ぎます 00:12:41.099 --> 00:12:42.256 誰もがそれを知っています 00:12:42.280 --> 00:12:45.406 エンジニアが否定しても 市民は知っていますから 00:12:45.430 --> 00:12:49.256 ミシガン州バーミンガムでは 細い道を勝ち取ろうとしています 00:12:49.280 --> 00:12:51.802 歩きやすさで有名な オレゴン州ポートランドは 00:12:51.826 --> 00:12:55.371 「スキニーストリート」プログラムを 住宅地で立ち上げました 00:12:55.395 --> 00:12:57.245 細い道の方が 安全だとわかっています 00:12:57.269 --> 00:13:00.315 開発業者のビンス・グラハムは サウスカロライナで手掛けている 00:13:00.339 --> 00:13:02.155 l'Onプロジェクトで 00:13:02.179 --> 00:13:05.791 素晴らしい7メートル幅の 道路を公開しています 00:13:05.815 --> 00:13:08.531 対面通行の非常に細い道です 00:13:08.555 --> 00:13:10.554 彼はこの教えを 引き合いに出すのです 00:13:10.578 --> 00:13:13.448 「広き道は滅びにつながり 00:13:13.472 --> 00:13:15.573 狭き道は命につながる」 [マタイ伝7章13節] 00:13:15.597 --> 00:13:17.657 (笑) 00:13:17.681 --> 00:13:20.050 (拍手) 00:13:20.074 --> 00:13:21.866 これはサウスカロライナでうまくいっています 00:13:21.890 --> 00:13:23.787 さて 自転車ですが 00:13:24.709 --> 00:13:29.039 自転車とサイクリングは アメリカの都市のごく一部で 00:13:29.063 --> 00:13:30.898 革命を起こしつつあります 00:13:30.922 --> 00:13:32.563 「それを作れば彼らは来る」わけです 00:13:32.587 --> 00:13:36.596 プランナーとしては言いにくいのですが 00:13:36.620 --> 00:13:40.747 サイクリスト人口は 自転車用インフラの関数です 00:13:40.771 --> 00:13:44.186 ポートランドで設計事務所をしている 友人トム・ブレナンに 00:13:44.210 --> 00:13:46.790 ポートランドの自転車通勤の写真を 依頼したら 00:13:46.814 --> 00:13:49.322 これを送ってくれました 「自転車通勤の日なの?」と聞くと 00:13:49.346 --> 00:13:50.991 「いつもの様子だ」と言っていました 00:13:51.015 --> 00:13:55.979 ポートランドと同様に自転車の インフラに費用を費やすとどうなるか 00:13:56.003 --> 00:14:00.224 ニューヨーク市は レーンを明るい緑色に塗装して 00:14:00.248 --> 00:14:02.285 サイクリストの数を 数倍にしました 00:14:02.309 --> 00:14:06.575 カリフォルニア州ロングビーチのような 自動車都市ですら 00:14:06.599 --> 00:14:10.678 インフラ整備により サイクリストの数が増加しています 00:14:10.702 --> 00:14:12.393 そしてもちろん 00:14:12.417 --> 00:14:15.093 ワシントンDCの15番街はご存知でしょう 00:14:15.117 --> 00:14:18.344 シカゴ市長のラーム・エマニュエルによる 新しい自転車レーンですが 00:14:18.368 --> 00:14:21.746 緩衝レーンや平行駐車された車が 縁石沿いに並び 00:14:21.770 --> 00:14:25.772 駐車された車と縁石の間を走る 00:14:25.796 --> 00:14:27.717 サイクリスト達が新たに誕生しました 00:14:28.041 --> 00:14:31.592 パサデナのように全てのレーンで 自転車走行が許されていたら 00:14:31.616 --> 00:14:33.577 それは自転車道として機能しません 00:14:33.601 --> 00:14:36.713 これがパサデナで出会った 唯一のサイクリストでした 00:14:36.737 --> 00:14:38.342 (笑) 00:14:38.366 --> 00:14:40.057 私が述べた平行駐車は 00:14:40.081 --> 00:14:41.703 縁石と歩行者を 自動車から守るための 00:14:41.727 --> 00:14:45.513 不可欠な鉄の壁になります 00:14:45.637 --> 00:14:49.233 これはフォートローダーデールの 道路を車から撮影したものです 00:14:49.257 --> 00:14:51.209 こちら側は駐車できますが 反対側は駐車禁止です 00:14:51.233 --> 00:14:53.258 駐車場側のハッピーアワーです 00:14:53.282 --> 00:14:55.973 これは反対側のサッドアワーですね 00:14:55.997 --> 00:14:58.986 この並木があることで 自動車が速度を落とします 00:14:59.010 --> 00:15:01.296 並木道ではゆっくり走行しますから 00:15:01.320 --> 00:15:03.875 もちろん 急に減速させることもあります 00:15:05.089 --> 00:15:08.041 細部についてですが― 縁石の隅切り半径は 00:15:08.065 --> 00:15:09.727 30センチでしょうか 1.2メートルでしょうか? 00:15:09.751 --> 00:15:13.197 この縁石をどこまで切るかで 自動車の速度に影響します 00:15:13.221 --> 00:15:15.686 横断に必要な時間も決まります 00:15:15.710 --> 00:15:19.132 これは最高です 客観的なジャーナリズムの例 00:15:20.266 --> 00:15:24.345 「シティセンターの入口は 歩行者に向いていないと言われる」 00:15:24.369 --> 00:15:26.827 風景のあらゆる線が 曲線的で 00:15:26.851 --> 00:15:29.524 空気力学的で 流線型に設計されている時 00:15:29.548 --> 00:15:31.865 そこは自動車のための空間だ というようなものです 00:15:31.889 --> 00:15:36.964 いかなる特徴的なディテールも 自動車の妨げになり 受け入れられません 00:15:36.988 --> 00:15:38.552 ご覧ください この通りですが 00:15:38.576 --> 00:15:42.468 百年に一度の嵐も またたく間に排水可能もしれませんが 00:15:42.492 --> 00:15:45.284 気の毒なこの女性は この縁石を毎日登らなくてはなりません 00:15:45.308 --> 00:15:48.254 また 快適な歩行には 00:15:48.278 --> 00:15:53.231 どんな生き物も見晴らしだけでなく 隠れ場所も必要だということです 00:15:53.255 --> 00:15:55.355 襲ってくる捕食者を見つけると同時に 00:15:55.379 --> 00:15:57.898 守られていると感じることも大切です 00:15:57.922 --> 00:16:00.413 それで私たちは 角のある場所に引き寄せられます 00:16:00.437 --> 00:16:03.765 角が無い場所には人は集まりません 00:16:03.789 --> 00:16:05.928 では高さと幅の適切な割合は 何でしょうか? 00:16:05.952 --> 00:16:07.727 1対1?3対1でしょうか? 00:16:07.851 --> 00:16:11.636 1対6を超えてしまうと 落ち着かなくなります 00:16:11.660 --> 00:16:12.979 囲まれている安心感がありません 00:16:13.103 --> 00:16:16.248 ザルツブルグにあるこの 6対1比なら快適でしょう 00:16:16.372 --> 00:16:18.759 その真逆はヒューストンです 00:16:19.917 --> 00:16:23.517 ここでは駐車場になっている場所が 主要な問題なのです 00:16:23.541 --> 00:16:27.116 このような「歯抜け」状態や 駐車場になっている空き地の問題同様に 00:16:27.140 --> 00:16:30.385 時代遅れの土地計画規制のせいで 角がなくなると 00:16:30.409 --> 00:16:33.317 界隈から「鼻」である三角地が 失われてしまうこともあります 00:16:33.341 --> 00:16:35.178 これはうちの界隈にあったものです 00:16:35.202 --> 00:16:38.278 これは建築禁止の地区規制です 00:16:38.302 --> 00:16:42.329 ワシントンDCは新たな地域地区計画のもとに 00:16:42.353 --> 00:16:45.483 この様な地区をこのように変えています 00:16:45.507 --> 00:16:47.673 多様なバリエーションが必要でした 00:16:47.697 --> 00:16:49.981 三角形の家を建てるのは楽しく 00:16:50.005 --> 00:16:53.107 一度建ててみると おおむね好評でした 00:16:53.131 --> 00:16:55.584 これで失われた「鼻」が得られたわけです 00:16:55.738 --> 00:16:57.696 そして最後に歩くことの楽しさについて 00:16:57.720 --> 00:16:59.392 これは人間性の現れですね 00:16:59.416 --> 00:17:01.231 私たちは社会的な霊長類ですから 00:17:01.255 --> 00:17:03.443 私たちにとって 他人ほど興味深いものはありません 00:17:03.467 --> 00:17:04.961 人の姿が恋しいものです 00:17:04.984 --> 00:17:07.988 完璧な1対1の割合だといいですね 00:17:08.012 --> 00:17:10.215 これは歩きやすい都市とされる グランドラピッズです 00:17:10.240 --> 00:17:12.082 でも 最高級のホテルをつなぐ 00:17:12.106 --> 00:17:14.217 この通りは誰も歩いていませんね 00:17:14.241 --> 00:17:18.608 左手には立体駐車場があり 00:17:18.633 --> 00:17:21.117 右手には会議施設があり 00:17:21.141 --> 00:17:24.569 明らかに立体駐車場を鑑賞する為に 設計されていて 00:17:24.594 --> 00:17:27.101 人を惹きつけてはいないようです 00:17:27.125 --> 00:17:31.099 サウスカロライナ州チャールストンの ジョー・ライリー市長は第10期で 00:17:31.123 --> 00:17:33.300 8メートルの建物があれば 80メートルの駐車場を 00:17:33.324 --> 00:17:35.618 こうやって隠せることを示しました 00:17:35.642 --> 00:17:38.362 このチア・ペット・ガレージは サウスビーチにあります 00:17:38.386 --> 00:17:39.830 生きている建物です 00:17:39.854 --> 00:17:42.573 このプロジェクトで締めくくりたいと思います 00:17:42.597 --> 00:17:45.108 メレカ・アーキテクツによるもので オハイオ州コロンバスにあります 00:17:45.132 --> 00:17:48.822 向かって左側に会議場があり 大勢の歩行者がいます 00:17:48.846 --> 00:17:51.510 右側はショートノース地区で 多彩な文化がある地区 00:17:51.534 --> 00:17:54.231 おいしいレストランや良い店があるのに 苦戦していました 00:17:54.255 --> 00:17:56.809 上手くいかない理由は この橋のせいでした 00:17:56.833 --> 00:17:59.300 会議場からこの地域に渡ってくる人が 00:17:59.324 --> 00:18:00.533 いなかったのです 00:18:00.557 --> 00:18:04.850 幹線道路を再建したときに橋を 24メートル追加― 00:18:04.874 --> 00:18:07.348 失礼 幹線道路の上に橋を再建したのです 00:18:07.372 --> 00:18:09.745 市は190万ドルをかけて 00:18:09.769 --> 00:18:12.015 開発業者に場所を提供し 00:18:12.039 --> 00:18:13.430 開発業者がこれを建築して 00:18:13.454 --> 00:18:15.773 ショートノースが生き返りました 00:18:15.797 --> 00:18:19.013 そして都市計画の雑誌ではなく誰もが 00:18:19.037 --> 00:18:21.258 新聞ですら これは橋のお陰だと言っています 00:18:21.282 --> 00:18:23.902 以上が歩きやすさの一般論です 00:18:23.926 --> 00:18:25.946 ご自分の町を考えてみてください 00:18:25.970 --> 00:18:28.387 そしてどうやって適用していくか 00:18:28.411 --> 00:18:30.365 この4つの要素が同時に必要ですよ 00:18:30.389 --> 00:18:32.698 要素の大半が揃っている場所を見つけて 00:18:32.722 --> 00:18:34.627 可能な修復を加えて 00:18:34.651 --> 00:18:37.335 必要な改善を施してください 00:18:37.359 --> 00:18:39.127 ご清聴いただき そして 00:18:39.151 --> 00:18:41.215 お越しいただき ありがとうございました 00:18:41.239 --> 00:18:45.793 (拍手)