WEBVTT 00:00:13.637 --> 00:00:16.000 どうしたら10分で話すことができるでしょう 00:00:16.000 --> 00:00:18.860 三代に渡る女性の絆の物語を? 00:00:19.238 --> 00:00:21.490 その絆の驚くほどの力は 00:00:21.490 --> 00:00:25.865 4歳の女の子の命をしっかりと掴んで 放しませんでした 00:00:26.024 --> 00:00:30.600 女の子が 妹や母や祖母と 小さなボートに身を寄せ合い 00:00:30.600 --> 00:00:34.270 5昼夜をかけて 南シナ海を越えたのは 00:00:34.270 --> 00:00:36.501 30年以上も昔のことでした 00:00:37.180 --> 00:00:38.890 その絆は女の子の命を 00:00:38.890 --> 00:00:41.490 しっかりと掴んで 決して放しませんでした 00:00:41.810 --> 00:00:44.230 その女の子が今ではサンフランシスコに住み 00:00:44.230 --> 00:00:46.919 今日皆さんの前で話しているのです 00:00:47.402 --> 00:00:49.791 この物語は未完の物語です 00:00:50.155 --> 00:00:53.429 今も組み立て途中のジグソーパズルです 00:00:53.905 --> 00:00:56.938 そのピースのいくつかをご紹介していきます 00:00:57.250 --> 00:00:59.420 まず最初のピースです 00:00:59.420 --> 00:01:02.530 生涯の作品を燃やしている男の姿を想像して下さい 00:01:02.540 --> 00:01:07.200 詩人で 劇作家だった その男の人生は 00:01:07.200 --> 00:01:11.977 全て祖国の統一と自由という 唯一の希望に支えられていました 00:01:12.524 --> 00:01:15.840 共産党がサイゴンに入城したときの様子を想像してください 00:01:15.840 --> 00:01:19.539 自分の人生の全てが無駄だったという 現実に直面したのです 00:01:19.796 --> 00:01:23.190 長年にわたり友だと思っていた「言葉」に傷つけられ 00:01:23.590 --> 00:01:25.790 沈黙の中に閉じこもり 00:01:26.110 --> 00:01:29.150 歴史に打ち負かされ 亡くなりました 00:01:29.210 --> 00:01:31.958 その男が私の祖父です 00:01:33.369 --> 00:01:36.247 生きている祖父に接したことはありませんが 00:01:37.350 --> 00:01:40.410 人生には単なる記憶以上の意味があります 00:01:40.540 --> 00:01:43.910 祖母は 祖父の人生を 私が決して忘れることのないようにしました 00:01:44.057 --> 00:01:47.120 私の務めは祖父の人生を無駄にしないことでした 00:01:47.120 --> 00:01:48.680 私にとっての教訓は 00:01:48.680 --> 00:01:50.640 歴史が押しつぶそうとしても 00:01:50.640 --> 00:01:53.550 私たちは生き延びたということ 00:01:54.350 --> 00:01:56.070 次のパズルのピースは 00:01:56.070 --> 00:01:59.980 明け方の早い時間に 静かに海に出て行くボートです 00:02:01.150 --> 00:02:04.190 母のマイは18歳のときに父を亡くし 00:02:04.764 --> 00:02:07.010 そのときすでに決められた相手と結婚して 00:02:07.010 --> 00:02:09.669 ふたりの小さな娘を授かっていました 00:02:09.708 --> 00:02:12.959 母の使命は煎じ詰めれば一つでした 00:02:13.260 --> 00:02:15.010 家族とともに脱出して 00:02:15.010 --> 00:02:17.433 オーストラリアで新しい生活を築くことです 00:02:17.762 --> 00:02:21.420 それがうまく行かないなどとは 彼女は夢にも考えませんでした 00:02:22.000 --> 00:02:24.790 小説よりも壮絶な激動の4年の後に 00:02:24.810 --> 00:02:28.570 漁船を装ったボートは ひっそりと海に滑り出しました 00:02:29.730 --> 00:02:32.259 どんなに危険なことか大人達は知っていました 00:02:32.810 --> 00:02:36.668 何より恐ろしかったのは 海賊とレイプと死でした 00:02:37.329 --> 00:02:39.420 乗船したほとんどの大人たちと同様に 00:02:39.420 --> 00:02:42.430 母は毒の小瓶を携行していました 00:02:42.860 --> 00:02:44.520 捕われるようなことがあったら 00:02:44.520 --> 00:02:48.790 まず私と妹が そして母と祖母が毒薬を飲む手筈でした 00:02:50.770 --> 00:02:53.670 私の最初の記憶はボートの中です 00:02:53.670 --> 00:02:57.600 エンジンの単調な音と 波にぶつかる舳先や 00:02:58.120 --> 00:03:00.740 巨大で何も見えない水平線を覚えています 00:03:01.410 --> 00:03:03.940 何度も海賊に出くわすたびに 00:03:03.940 --> 00:03:07.340 船の男達のはったりで切り抜けたことは 覚えていません 00:03:07.960 --> 00:03:11.700 エンジンが止まってしまい 6時間も始動しなかったことも覚えていません 00:03:12.550 --> 00:03:16.530 でもマレーシア沿岸の油田の灯りは よく覚えています 00:03:17.114 --> 00:03:20.050 旅の終わりに若い男の人が倒れて亡くなりました 00:03:20.050 --> 00:03:22.782 かわいそうな旅の終わり方でした 00:03:23.390 --> 00:03:25.590 油田の人にもらったリンゴを 00:03:25.590 --> 00:03:27.970 最初に口にしたときの味は忘れません 00:03:27.970 --> 00:03:31.170 リンゴの味があんな風に感じられたことは 二度とありません 00:03:33.490 --> 00:03:35.490 難民キャンプで3ヶ月過ごした後 00:03:35.490 --> 00:03:37.490 私たちはメルボルンに到着しました 00:03:37.490 --> 00:03:39.191 パズルの次のピースは 00:03:39.191 --> 00:03:41.914 三代の女性が4人で 00:03:42.002 --> 00:03:44.873 築き始めた新しい生活です 00:03:45.490 --> 00:03:47.490 私たちはフッツクレーに住みました 00:03:47.590 --> 00:03:49.870 労働者の住むような郊外の町で 00:03:49.870 --> 00:03:51.874 移民が多く集まっていました 00:03:51.916 --> 00:03:53.850 その存在すら知らなかった 00:03:53.850 --> 00:03:56.230 中流の暮らす落ち着いた郊外とは異質で 00:03:56.230 --> 00:03:59.377 何であれ保証されることは考られない地域でした 00:03:59.383 --> 00:04:02.143 店ごとにドアを開くと異国の香りが漂い 00:04:02.490 --> 00:04:05.170 人々はカタコトの英語で やりとりします 00:04:05.200 --> 00:04:07.732 ある一点だけが皆に共通していました 00:04:07.845 --> 00:04:10.591 再出発の最中なのです 00:04:11.490 --> 00:04:13.310 母は農場で働きました 00:04:13.310 --> 00:04:15.390 それから車の組み立てラインで 00:04:15.390 --> 00:04:17.880 週に六日の二交代勤務で働きました 00:04:18.220 --> 00:04:20.390 母は英語を勉強する時間を作り出し 00:04:20.390 --> 00:04:22.470 IT の資格も取得しました 00:04:23.130 --> 00:04:24.620 私たちは貧しかったので 00:04:25.196 --> 00:04:27.040 お金の使い道は全て決まっていました 00:04:27.040 --> 00:04:29.350 英語と数学の課外講座の費用だけは 00:04:29.350 --> 00:04:32.325 他の何を諦めても 確保されていました 00:04:33.490 --> 00:04:35.490 諦めたのはたいてい新しい服だったので 00:04:35.490 --> 00:04:37.870 いつも古着を着ていました 00:04:37.870 --> 00:04:40.490 学校に行くときは靴下を二重にして履きます 00:04:40.490 --> 00:04:42.490 穴が見えなくなるように 00:04:42.906 --> 00:04:44.910 制服はくるぶしまで届く長さでした 00:04:44.910 --> 00:04:48.490 6年間持たせなければならなかったからです 00:04:48.490 --> 00:04:52.450 時には 「細目」という 差別的な言葉を投げつけられたり 00:04:52.490 --> 00:04:56.090 「アジア人は帰れ」という 落書きも目にしました 00:04:56.680 --> 00:04:58.660 「どこに帰れって言うの?」 00:04:58.660 --> 00:05:01.160 心の奥で何かが固まるのを感じました 00:05:01.160 --> 00:05:03.960 私は心の中で静かに誓いました 00:05:04.420 --> 00:05:06.656 「相手になんかしないから」と 00:05:07.936 --> 00:05:09.940 母と妹と私は 00:05:09.940 --> 00:05:11.990 同じベッドで寝ていました 00:05:12.490 --> 00:05:14.730 母は毎晩疲れ切っていましたが 00:05:14.730 --> 00:05:16.830 みんなで交互に一日の話をしたり 00:05:16.830 --> 00:05:20.212 祖母が家の中を動き回る音に 耳を澄ませたりしました 00:05:21.160 --> 00:05:24.603 母はいつも ボートの悪夢に悩まされていました 00:05:25.490 --> 00:05:28.370 私の役目は起きていて母が悪夢に襲われたら 00:05:28.370 --> 00:05:30.522 起こしてあげることでした 00:05:31.974 --> 00:05:33.720 母はコンピュータの店を開き 00:05:33.720 --> 00:05:37.062 その後 美容師になる勉強をして 美容室も開きました 00:05:37.490 --> 00:05:39.061 お客の女性たちから 00:05:39.080 --> 00:05:41.490 変われない男たちが 腹ばかり立てて 00:05:41.490 --> 00:05:43.630 融通が利かないという話や 00:05:43.630 --> 00:05:46.760 子どもたちが二つの世界の板挟みだという話を聞きました 00:05:46.810 --> 00:05:49.120 助成金や支援者を募って 00:05:49.120 --> 00:05:51.650 地域センターが設立されました 00:05:51.920 --> 00:05:54.180 私は並行する二つの世界の住人でした 00:05:54.190 --> 00:05:57.170 一つの世界では アジア系の学生の伝統に沿って 00:05:57.170 --> 00:06:00.490 自分にとてつもなく高い課題を課していました 00:06:00.770 --> 00:06:02.900 別の世界では 不安定な生活の中で 00:06:02.900 --> 00:06:08.256 暴力と薬物中毒と孤独に怯えて 悲惨に暮らす仲間と繋がっていました 00:06:08.820 --> 00:06:11.200 そんな仲間の多くを数年かけて救い出し 00:06:11.200 --> 00:06:13.880 その功績によって 法学部の最終学年のときに 00:06:13.880 --> 00:06:16.490 オーストリア青年賞に選出されました 00:06:16.490 --> 00:06:20.490 こうして私はジグソーパズルの一箇所から 別な箇所へと放り出されましたが 00:06:20.490 --> 00:06:22.860 ピタリとは嵌りませんでした 00:06:23.070 --> 00:06:25.290 フッツクレーで無名だったタン・レイは 00:06:25.290 --> 00:06:28.490 今や難民にして活動家のタン・レイとなり 00:06:28.490 --> 00:06:31.490 あちらこちらから依頼を受けて 00:06:31.490 --> 00:06:36.070 聞いたこともなかったホールや 夢にも見ないような豪邸でスピーチしました 00:06:36.500 --> 00:06:38.710 私は礼儀作法を知りませんでした 00:06:38.710 --> 00:06:41.150 テーブルマナーも知りませんでした 00:06:41.260 --> 00:06:44.040 ワインについて何を語ればよいか知りませんでした 00:06:44.040 --> 00:06:47.246 何についてであれ どう話すべきか知りませんでした 00:06:47.590 --> 00:06:51.670 日常の居心地よさに逃げ戻りたいと願いました 00:06:51.670 --> 00:06:54.190 誰かの話題に上ることもなく 00:06:54.190 --> 00:06:56.600 祖母と母と娘二人が郊外で 00:06:56.600 --> 00:07:00.150 二十年近く暮らしてきた日々に帰りたかったのです 00:07:00.150 --> 00:07:03.050 みんなでお互いに その日のできごとを話したら 00:07:03.050 --> 00:07:07.490 3人一緒に同じベッドで眠る日々です 00:07:08.638 --> 00:07:11.630 母にもう続けられないと訴えました 00:07:12.120 --> 00:07:17.810 その年頃には皆であのボートに乗ったということを 母は私に思いださせました 00:07:18.170 --> 00:07:20.684 ノーという選択肢はないのです 00:07:21.331 --> 00:07:22.950 「やりなさい」と母は言いました 00:07:22.950 --> 00:07:25.137 「ただ ありのままの自分でいなさい」 00:07:25.490 --> 00:07:29.050 そこで私は若者の失業と教育について語り 00:07:29.050 --> 00:07:32.460 公民権もなく見過ごされた人々の声を代弁しました 00:07:32.460 --> 00:07:34.470 私がありのままの話をすると 00:07:34.470 --> 00:07:37.030 講演の依頼はますます増えました 00:07:37.943 --> 00:07:40.120 あらゆる地位の人々と出会いました 00:07:40.120 --> 00:07:42.570 多くの人たちは自分の好きなことをやって 00:07:42.570 --> 00:07:45.180 可能性の限界まで追求していました 00:07:45.180 --> 00:07:47.530 法律の学位を取得したものの 00:07:47.530 --> 00:07:50.870 それを仕事にする気持ちが無くなりました 00:07:51.210 --> 00:07:54.016 さらに別のピースが必要になったのです 00:07:54.506 --> 00:07:56.822 また同時に気づいたことがありました 00:07:57.020 --> 00:07:59.509 よそ者でも別にいいのだと 00:07:59.518 --> 00:08:01.360 最近やってきたばかりの 00:08:01.360 --> 00:08:03.082 新参者であっても 00:08:03.098 --> 00:08:05.082 全く問題なく それどころか 00:08:05.082 --> 00:08:07.093 それは感謝すべきことでした 00:08:07.093 --> 00:08:09.868 あのボートからの贈り物だったのかもしれません 00:08:09.868 --> 00:08:14.311 なぜなら内輪の人間だと 視野が狭まりやすく 00:08:14.442 --> 00:08:18.490 また容易に 固定観念に縛られてしまうのです 00:08:19.633 --> 00:08:22.529 私はすでに安全地帯の外に飛び出していて 00:08:22.529 --> 00:08:25.161 世界が崩壊することだって 知っています 00:08:25.161 --> 00:08:27.547 崩壊してもみなさんが恐れるようなことはありません 00:08:27.564 --> 00:08:29.867 それまで許されていなかった可能性を 00:08:29.867 --> 00:08:31.970 徹底的に追求できるようになるのです 00:08:32.000 --> 00:08:33.529 そこにはエネルギーがあり 00:08:33.529 --> 00:08:35.593 へこたれない楽観主義があり 00:08:35.619 --> 00:08:38.771 謙虚さと大胆さが奇妙に混ざり合っています 00:08:39.051 --> 00:08:41.044 そこで私は自分の直感に従いました 00:08:41.044 --> 00:08:43.426 自分の周りに小さなチームを作りました 00:08:43.426 --> 00:08:45.190 「それは無理だ」と言われると 00:08:45.190 --> 00:08:48.071 チャレンジせずにはいられないメンバーを 集めたチームです 00:08:48.400 --> 00:08:50.391 一年間は一文なしでしたが 00:08:50.450 --> 00:08:52.890 毎日夜には大鍋にスープを作り 00:08:52.890 --> 00:08:54.500 みんなで分け合いました 00:08:54.719 --> 00:08:57.201 毎晩遅くまで仕事を続けました 00:08:58.240 --> 00:09:00.578 アイデアの大半はとんでもないものでしたが 00:09:00.578 --> 00:09:04.100 優れたアイデアも幾つかあって 大きな展開をもたらしました 00:09:05.050 --> 00:09:06.680 一度アメリカを訪れただけで 00:09:06.690 --> 00:09:08.727 移住する決心をしました 00:09:09.482 --> 00:09:11.450 また直感に従ったのです 00:09:11.560 --> 00:09:13.700 3ヶ月後には引越を済ませ 00:09:13.770 --> 00:09:16.098 まだまだ挑戦は続いていきます 00:09:17.480 --> 00:09:19.080 私の話の最後に 00:09:19.080 --> 00:09:20.979 祖母の話をさせて下さい 00:09:21.850 --> 00:09:23.370 祖母が育った時代には 00:09:23.370 --> 00:09:25.585 儒教が社会の規範でした 00:09:25.630 --> 00:09:28.770 地元では上級官僚が一番偉く 00:09:28.950 --> 00:09:31.650 暮らしは何世紀も変わらないものでした 00:09:32.060 --> 00:09:34.920 祖母は生まれてすぐに父を亡くし 00:09:35.745 --> 00:09:38.260 母親一人の手で育てられました 00:09:38.530 --> 00:09:42.090 17の時には上級官僚の第二婦人になりましたが 00:09:42.360 --> 00:09:44.270 姑は彼女に暴力をふるいました 00:09:44.650 --> 00:09:46.660 夫はまったく助けてくれなかったので 00:09:46.660 --> 00:09:49.230 祖母は裁判沙汰にして 夫を法廷に引きずり出し 00:09:49.230 --> 00:09:51.640 ちょっとした騒動になりました 00:09:51.690 --> 00:09:54.890 彼女が勝訴した時には さらに大きな騒動になりました 00:09:54.890 --> 00:09:56.830 (笑) 00:09:56.830 --> 00:09:59.230 (拍手) 00:09:59.760 --> 00:10:03.269 「それは無理だ」というのが間違いなことを示したのです 00:10:05.774 --> 00:10:08.810 私がシドニーのホテルでシャワーを浴びていたときに 00:10:08.810 --> 00:10:13.330 1000キロ離れたメルボルンで 祖母は亡くなりました 00:10:14.351 --> 00:10:18.195 シャワーカーテンごしに 祖母が立っているのが見えたので 00:10:18.330 --> 00:10:20.970 お別れにきたのだと気づきました 00:10:21.170 --> 00:10:23.580 間もなく母から電話がありました 00:10:24.500 --> 00:10:25.650 数日後に 00:10:25.650 --> 00:10:27.630 フッツクレーの仏教のお寺に 00:10:27.630 --> 00:10:29.780 皆で集まって棺の周りに座って 00:10:30.000 --> 00:10:31.650 祖母の思い出を語り合って 00:10:31.650 --> 00:10:34.780 祖母はずっと皆と一緒にいるのだと確かめました 00:10:34.875 --> 00:10:37.590 真夜中に僧侶が来て 00:10:37.590 --> 00:10:39.950 棺を閉じなければならないと言いました 00:10:39.950 --> 00:10:43.610 母はみんなに祖母の手に触ってごらんと言い 00:10:43.610 --> 00:10:45.100 僧侶に尋ねました 00:10:45.100 --> 00:10:47.970 「なぜこんなに手が温かいんでしょう 00:10:47.970 --> 00:10:50.710 体はこんなに冷たいというのに」 00:10:50.770 --> 00:10:53.860 「今朝からずっと手を握っておられたからでしょう 00:10:53.860 --> 00:10:57.990 お名残惜しいのは分かりますが」と僧侶は答えました 00:10:59.390 --> 00:11:01.870 私の家族の中に力があるとすれば 00:11:01.870 --> 00:11:03.850 それは女たちの中を流れています 00:11:04.230 --> 00:11:07.230 私たちが何者で人生にどう左右されてきたかを踏まえて 00:11:07.230 --> 00:11:08.410 今わかることがあります 00:11:08.410 --> 00:11:10.650 私たちの人生に関わった男たちの中には 00:11:10.650 --> 00:11:12.750 私たちを妨げようとした者もいました 00:11:12.750 --> 00:11:15.590 私たちは簡単に敗北しても不思議ではありませんでした 00:11:15.820 --> 00:11:18.100 今は 自分の子どもを欲しいと思い 00:11:18.100 --> 00:11:20.250 あのボートのことを考えます 00:11:20.700 --> 00:11:23.760 自らあんなボートに乗りたいと願う人はいないでしょう 00:11:23.940 --> 00:11:25.200 一方で私は 00:11:25.200 --> 00:11:29.090 安心や権利という恩恵の上に あぐらをかくことを恐れています 00:11:29.330 --> 00:11:34.490 何が得られる保証もない 広大な水平線に向けて 00:11:34.520 --> 00:11:37.630 乱れることのない一定のエンジンの音に包まれながら 00:11:37.630 --> 00:11:39.490 波間を勇敢に切り進む人生を 00:11:39.490 --> 00:11:41.920 子どもたちに与えて良いのでしょうか? 00:11:42.450 --> 00:11:43.860 わかりません 00:11:44.210 --> 00:11:46.060 でも私がそれを与えても 子どもたちが 00:11:46.060 --> 00:11:48.120 無事やりとげられるようなら 00:11:48.120 --> 00:11:49.890 そうしたいと思います 00:11:50.640 --> 00:11:53.859 (拍手)