WEBVTT 00:00:01.000 --> 00:00:02.995 今夜 皆さんにお話したいのは 00:00:02.995 --> 00:00:04.929 ある重大な地球規模の問題についてです 00:00:04.929 --> 00:00:09.466 それは土地利用・食糧・環境の 各方面に渡り複雑に絡み合っています 00:00:09.466 --> 00:00:10.787 私はこの問題を 00:00:10.787 --> 00:00:13.517 「もう一つの不都合な真実」と呼んでいます NOTE Paragraph 00:00:13.517 --> 00:00:16.794 本題に入る前に お見せしたいものがあります 00:00:16.794 --> 00:00:19.590 それは 宇宙から見た 00:00:19.590 --> 00:00:21.126 夜の地球の姿です 00:00:21.126 --> 00:00:24.077 軌道上の宇宙ステーションからだと 00:00:24.077 --> 00:00:26.215 夜の地球はこんな風に見えるのです 00:00:26.215 --> 00:00:29.069 これを見ると私たち人類がどれだけ 00:00:29.069 --> 00:00:32.386 地球上で幅を利かせているかを 00:00:32.386 --> 00:00:34.450 改めて気付かされます 00:00:34.450 --> 00:00:37.185 都市や油田が見えます 00:00:37.185 --> 00:00:40.382 目を凝らせば 海上の漁船団も見えます 00:00:40.382 --> 00:00:42.946 いたるところに人類がいるということが 00:00:42.946 --> 00:00:44.719 エネルギーの消費によって 00:00:44.719 --> 00:00:46.453 はっきりと照らし出されています 00:00:46.453 --> 00:00:48.627 ではここで 本題に戻り 00:00:48.627 --> 00:00:50.669 昼の地球を見ながら 話を続けましょう 00:00:50.669 --> 00:00:54.359 昼間は地表の様子がよく見えます NOTE Paragraph 00:00:54.359 --> 00:00:57.912 これはブラジルアマゾンの中南部にある ロンドニア州です 00:00:57.912 --> 00:01:01.502 これはブラジルアマゾンの中南部にある ロンドニア州です 00:01:01.502 --> 00:01:04.118 右上のあたりを よく見てください 00:01:04.118 --> 00:01:06.644 白い線のようなものが見えます 00:01:06.644 --> 00:01:10.022 これは1970年代に建設された道路です 00:01:10.022 --> 00:01:13.689 同じ場所を2001年に撮影したものがこちら 00:01:13.689 --> 00:01:15.946 無数の道路が葉脈のように広がり 00:01:15.946 --> 00:01:19.796 次々に分岐を重ねています 00:01:19.796 --> 00:01:22.937 それぞれの道の先には小さな開拓地があって 00:01:22.937 --> 00:01:25.098 熱帯雨林の中で牛が飼われています 00:01:25.098 --> 00:01:28.410 牛肉として 食糧となる牛たちです 00:01:28.410 --> 00:01:31.041 この地域の牛肉は ブラジルやアルゼンチンなど 00:01:31.041 --> 00:01:33.825 主に南米で消費されており アメリカには出荷されていません 00:01:33.825 --> 00:01:36.561 しかし この魚の骨のような森林破壊のパターンは 00:01:36.561 --> 00:01:39.146 熱帯雨林地域でよく見られるものであり 00:01:39.146 --> 00:01:41.374 この地域ではそれが特に顕著です NOTE Paragraph 00:01:41.374 --> 00:01:44.697 もう少し南に目を移してみると 00:01:44.697 --> 00:01:47.089 アマゾンのボリビア側の端が見えます 00:01:47.089 --> 00:01:51.225 同じように1975年の写真を見てみると 00:01:51.225 --> 00:01:54.787 ミシン目のような白い線が走っていて 00:01:54.787 --> 00:01:56.099 その先の原生林の中に 00:01:56.099 --> 00:01:58.662 農家が一軒ポツンと建っています 00:01:58.662 --> 00:02:03.435 この場所はその後どうなったのでしょうか? 2003年の写真を見てみると 00:02:03.435 --> 00:02:05.963 熱帯雨林の風景というよりは 00:02:05.963 --> 00:02:08.845 アイオワ州の大豆畑みたいです 00:02:08.845 --> 00:02:12.213 実際 ここでは大豆を育てているのです 00:02:12.213 --> 00:02:15.086 欧州や中国に輸出するための 00:02:15.086 --> 00:02:18.832 飼料用大豆です 約10年前の狂牛病パニック以降 00:02:18.832 --> 00:02:21.373 動物性タンパク質を飼料に混ぜなくなりました 00:02:21.373 --> 00:02:24.803 感染の危険があるからです 00:02:24.803 --> 00:02:27.415 代わりに 植物性タンパク質を与えるようになりました 00:02:27.415 --> 00:02:29.207 そのため 大豆の栽培は爆発的に広がり 00:02:29.207 --> 00:02:32.832 グローバリゼーションと貿易が 00:02:32.832 --> 00:02:35.704 アマゾンの熱帯雨林に影響を与えていることを 00:02:35.704 --> 00:02:37.641 証明する結果となったのです 00:02:37.641 --> 00:02:40.357 世界は今や 複雑に繋がっているのです NOTE Paragraph 00:02:40.357 --> 00:02:42.678 このような例は他にもあります 00:02:42.678 --> 00:02:44.814 これを見てください 世界中どこを見ても 00:02:44.814 --> 00:02:48.565 食糧や飼料を生産するために 00:02:48.565 --> 00:02:51.334 切り開かれた広大な土地が 00:02:51.334 --> 00:02:53.669 目につきます NOTE Paragraph 00:02:53.669 --> 00:02:56.029 そこで私たちが興味を持ったのは 00:02:56.029 --> 00:02:58.517 地球の何割が食糧生産のために使われているのか? 00:02:58.517 --> 00:03:00.913 生産地は一体どこか? 将来のために何ができるのか? 00:03:00.913 --> 00:03:03.407 それが何を意味するのか? ということです 00:03:03.407 --> 00:03:06.375 私のチームは これを地球規模で調査しています 00:03:06.375 --> 00:03:09.295 衛星からのデータと地上のデータを使って 00:03:09.295 --> 00:03:11.479 地球全体の耕作状況を調べているのです 00:03:11.479 --> 00:03:15.191 驚くべき調査結果が得られました 00:03:15.191 --> 00:03:17.982 この地図は地球上での 00:03:17.982 --> 00:03:20.046 農地や牧場の分布を表しています 00:03:20.046 --> 00:03:23.006 緑色の部分は 農耕に使用されている土地です 00:03:23.006 --> 00:03:26.207 小麦・大豆・トウモロコシ・米などが栽培されています 00:03:26.207 --> 00:03:30.471 その面積は1600万平方キロにもなります 00:03:30.471 --> 00:03:32.595 一か所に集めるとすれば 00:03:32.595 --> 00:03:35.262 南米大陸に相当する大きさです 00:03:35.262 --> 00:03:37.938 次に茶色のエリアを見てみましょう 00:03:37.938 --> 00:03:40.155 酪農や畜産に使用されている土地です 00:03:40.155 --> 00:03:42.871 面積は3000万平方キロにもなり 00:03:42.871 --> 00:03:45.290 アフリカ大陸の大きさに相当します 00:03:45.290 --> 00:03:48.203 実に広大で 最も豊かな土地が使われています 00:03:48.203 --> 00:03:50.355 まだ手のついていない土地は 00:03:50.355 --> 00:03:52.366 サハラ砂漠やシベリアの真ん中か 00:03:52.366 --> 00:03:54.057 熱帯雨林などしか残っていません 00:03:54.057 --> 00:03:57.802 つまり 地球上で利用可能な土地は 既にすべて活用中なのです 00:03:57.802 --> 00:04:00.593 よく考えてみれば 00:04:00.593 --> 00:04:03.305 これらの農地は全陸地の40%を占めており 00:04:03.305 --> 00:04:05.874 私たちの多くが暮らしていて 00:04:05.874 --> 00:04:08.449 いつも話題に上っている 00:04:08.449 --> 00:04:11.666 都市や郊外の60倍もの面積になります 00:04:11.666 --> 00:04:14.529 世界人口の半分が生活する都市や郊外の 00:04:14.529 --> 00:04:18.465 60倍もの面積が食糧生産に使用されているのです 00:04:18.465 --> 00:04:20.384 これは実に驚くべきことで 00:04:20.384 --> 00:04:22.561 この調査結果に 私たちはショックを受けました NOTE Paragraph 00:04:22.561 --> 00:04:25.265 大変な面積の土地を 農地に使用していますが 00:04:25.265 --> 00:04:27.971 それだけでなく 水も大量に使用しています 00:04:27.971 --> 00:04:30.499 これはアリゾナ付近の写真ですが 00:04:30.499 --> 00:04:31.308 「そんなとこで何を育てる?」と 不思議に思うでしょう 00:04:31.308 --> 00:04:32.435 「そんなとこで何を育てる?」と 不思議に思うでしょう 00:04:32.435 --> 00:04:35.367 この砂漠で栽培しているのは レタスです 00:04:35.367 --> 00:04:37.755 上から水を撒けば 砂漠でも育ちます 00:04:37.755 --> 00:04:39.305 皮肉にも このレタスはおそらく 00:04:39.305 --> 00:04:41.981 レタス栽培に もっと適した地域に出荷されます 00:04:41.981 --> 00:04:44.293 しかし それよりもさらに興味深いのは 00:04:44.293 --> 00:04:46.837 この水がどこから来たか です 00:04:46.837 --> 00:04:49.477 水源は北米のコロラド川でした 00:04:49.477 --> 00:04:52.125 1950年代の コロラド川の平常時の写真です 00:04:52.125 --> 00:04:54.244 洪水でも干ばつでもない 00:04:54.244 --> 00:04:57.029 普通の状態は このようなものでした 00:04:57.029 --> 00:04:59.933 今日 同じ場所を平常時に訪れると 00:04:59.933 --> 00:05:03.501 水位はこんなにも低下してしまっています 00:05:03.501 --> 00:05:06.503 原因は 食糧生産のための 砂漠への灌漑です 00:05:06.503 --> 00:05:10.059 さもなければ ゴルフ場の水遣りのせいでしょうか… 00:05:10.059 --> 00:05:12.979 大量の水を汲み上げて 00:05:12.979 --> 00:05:15.386 食糧生産のために使った結果 00:05:15.386 --> 00:05:18.066 今日 コロラド川は下流で干上がり 00:05:18.066 --> 00:05:21.346 海に流れ込むことはありません 00:05:21.346 --> 00:05:24.474 灌漑のために1本の川をまるごと 00:05:24.474 --> 00:05:26.602 使い切ってしまったのです NOTE Paragraph 00:05:26.602 --> 00:05:28.358 これはまだ最悪のケースではありません 00:05:28.358 --> 00:05:31.178 最悪のケースは 「アラル海」でしょう 00:05:31.178 --> 00:05:34.082 地理の授業で習ったでしょう 00:05:34.082 --> 00:05:36.141 アラル海があるのは 00:05:36.141 --> 00:05:38.713 カザフスタンとウズベキスタンの間で 00:05:38.713 --> 00:05:41.161 旧ソ連時代には世界最大級の内陸海でした 00:05:41.161 --> 00:05:43.473 これは奇妙に思われるかもしれません 00:05:43.473 --> 00:05:46.995 砂漠の真ん中になぜ海があるのか? 00:05:46.995 --> 00:05:48.958 その答えは画面右手にあります 00:05:48.958 --> 00:05:51.450 2本の川が砂漠から流れ込んで 00:05:51.450 --> 00:05:54.967 湖を満たしているのです 00:05:54.967 --> 00:05:57.549 川の水は 遥か東にある山脈の雪解け水で 00:05:57.549 --> 00:06:00.482 それが砂漠の中をずっと下って 00:06:00.482 --> 00:06:03.682 アラル海に流れ込みます 00:06:03.682 --> 00:06:07.694 ソビエト連邦は1950年代に 川の流れを変える決定をします 00:06:07.694 --> 00:06:10.047 綿花栽培のために カザフスタンの砂漠を 00:06:10.047 --> 00:06:13.827 灌漑するためでした 綿花を国際市場に出荷することで 00:06:13.827 --> 00:06:15.887 外貨獲得を目指したのです 00:06:15.887 --> 00:06:17.813 ソビエトは外貨不足に困っていました 00:06:17.813 --> 00:06:19.809 皆さんは想像できますよね 00:06:19.809 --> 00:06:22.739 アラル海への水を止めれば どうなるか… 00:06:22.739 --> 00:06:25.187 これが1973年 00:06:25.187 --> 00:06:27.399 1986年 00:06:27.399 --> 00:06:30.203 1999年 00:06:30.203 --> 00:06:33.258 2004年 00:06:33.258 --> 00:06:37.923 こちらは約11ヶ月前です 00:06:37.923 --> 00:06:39.972 これは異常な事態です 00:06:39.972 --> 00:06:43.163 皆さんの多くは アメリカ中西部にお住まいでしょう 00:06:43.163 --> 00:06:45.823 もしこれがスペリオル湖だったら? 00:06:45.823 --> 00:06:49.097 ヒューロン湖だったら? 00:06:49.097 --> 00:06:50.704 これは異常な変化です NOTE Paragraph 00:06:50.704 --> 00:06:53.047 水位の低下は 海の大きさだけでなく 00:06:53.047 --> 00:06:55.416 この地域の環境に根本的な 00:06:55.416 --> 00:06:57.673 影響を与えました 00:06:57.673 --> 00:06:58.957 そうですね… 00:06:58.957 --> 00:07:01.167 ソビエト連邦には自然保護団体がなかったんでしょう… 00:07:01.167 --> 00:07:02.707 まあ それはさておいて 00:07:02.707 --> 00:07:06.111 アラル海の海底から現れたものは とんでもないものでした 00:07:06.111 --> 00:07:08.055 膨大な量の有毒廃棄物やゴミです 00:07:08.055 --> 00:07:10.471 これが有害な砂塵となって飛散します 00:07:10.471 --> 00:07:12.603 離れ小島の1つは 00:07:12.603 --> 00:07:14.215 誰も近づけない場所として 00:07:14.215 --> 00:07:16.911 ソビエトの生物兵器の実験に使われていました 00:07:16.911 --> 00:07:18.265 今では歩いて行けてしまいます 00:07:18.265 --> 00:07:19.812 天候のパターンも変化しましたし 00:07:19.812 --> 00:07:23.121 アラル海固有の20種の魚のうち 00:07:23.121 --> 00:07:26.071 19種が地球上から姿を消しました 00:07:26.071 --> 00:07:28.951 これは明らかな環境災害です NOTE Paragraph 00:07:28.951 --> 00:07:30.446 でもこの辺で本題に戻りましょう 00:07:30.446 --> 00:07:33.175 これはアル・ゴアが数年前にくれた写真です 00:07:33.175 --> 00:07:34.824 ソビエト連邦を訪問中に撮影したそうです 00:07:34.824 --> 00:07:36.086 かなり昔のものです 00:07:36.086 --> 00:07:39.082 アラル海の漁船が写っています 00:07:39.082 --> 00:07:41.240 水路を掘ろうとした跡が見えますか? 00:07:41.240 --> 00:07:43.704 彼らは何とかして漁船を残っている水たまりに 00:07:43.704 --> 00:07:45.920 移動しようとして結局あきらめたのでしょう 00:07:45.920 --> 00:07:48.384 なぜなら港の設備を 下がり続ける水位に 00:07:48.384 --> 00:07:50.554 合わせていくことはできなかったからです 00:07:50.554 --> 00:07:52.565 皆さんがどうか分かりませんが 私は恐怖を感じます 00:07:52.565 --> 00:07:54.963 将来 考古学者がこれを発掘して本を書くのです 00:07:54.963 --> 00:07:57.783 「こいつらは何を考えていたのか」と首をひねりながら 00:07:57.783 --> 00:08:00.811 実際のところは 未来にならないと分かりませんが… NOTE Paragraph 00:08:00.811 --> 00:08:03.724 私たちは地球上の淡水の50%を 00:08:03.724 --> 00:08:05.916 すでに使用していて 農業はそのうちの 00:08:05.916 --> 00:08:08.316 70%を使用しています 00:08:08.316 --> 00:08:11.476 つまり私たちは大量の水と広大な土地を 農業で使用しているのです 00:08:11.476 --> 00:08:14.820 それだけでなく 農業は大気にも大きな影響を与えています 00:08:14.820 --> 00:08:17.156 通常 大気が話題になるのは 00:08:17.156 --> 00:08:19.804 気候変動や温室効果ガスや 00:08:19.804 --> 00:08:21.860 エネルギー問題についてですが 00:08:21.860 --> 00:08:24.496 実は農業こそが二酸化酸素の 単独では最大の 00:08:24.496 --> 00:08:26.548 排出源なのです 00:08:26.548 --> 00:08:28.604 熱帯雨林の焼き畑農業によって 00:08:28.604 --> 00:08:30.756 排出される二酸化炭素 00:08:30.756 --> 00:08:33.316 牛や水田からのメタンガス 00:08:33.316 --> 00:08:36.229 肥料から出る窒素ガス 00:08:36.229 --> 00:08:39.000 実は農業で排出される温室効果ガスは 00:08:39.000 --> 00:08:42.016 人間の活動で排出されるガスの30%を占めています 00:08:42.016 --> 00:08:43.870 これはすべての交通機関からのガスよりも 00:08:43.870 --> 00:08:45.620 発電によって生まれるガスよりも多く 00:08:45.620 --> 00:08:48.245 製造業で排出されるガスよりも多いのです 00:08:48.245 --> 00:08:51.355 農業こそが人類の活動における最大の 00:08:51.355 --> 00:08:53.675 温室効果ガス排出源なのです 00:08:53.675 --> 00:08:56.301 なのに 私たちはそれを話題にしようとしません NOTE Paragraph 00:08:56.301 --> 00:08:59.354 農業の存在は実に巨大になっており 00:08:59.354 --> 00:09:01.491 地上を占拠しています 00:09:01.491 --> 00:09:03.849 全陸地の40%を占有し 00:09:03.849 --> 00:09:05.957 私たちの水の70%を使用し 00:09:05.957 --> 00:09:08.682 温室効果ガスの30%を排出しています 00:09:08.682 --> 00:09:11.531 世界の窒素とリンの流量は 2倍に膨れ上がりました 00:09:11.531 --> 00:09:13.994 肥料の使用がその原因です 00:09:13.994 --> 00:09:16.765 川や湖そして海でも 00:09:16.765 --> 00:09:19.482 水質汚染の問題を引き起こしているとともに 00:09:19.482 --> 00:09:22.157 生物多様性喪失の最大の原因となっています 00:09:22.157 --> 00:09:24.258 つまり 農業はまぎれもなく 00:09:24.258 --> 00:09:27.938 地球上で最強の力となったのです 00:09:27.938 --> 00:09:30.557 これは氷河期以降  最大の力に間違いありません 00:09:30.557 --> 00:09:33.537 重要性においては 気候変動に匹敵します 00:09:33.537 --> 00:09:36.462 そしてその重要なことが 両方とも同時に起きているのです NOTE Paragraph 00:09:36.462 --> 00:09:38.834 しかし 悪いことばかりではありません 00:09:38.834 --> 00:09:42.102 農業が悪いと言いたいのではありません 00:09:42.102 --> 00:09:44.282 私たちは 農業なしでは生きていけません 00:09:44.282 --> 00:09:48.722 代用できないし 贅沢品でもない… つまり必需品なのです 00:09:48.722 --> 00:09:50.866 食べるための食糧が必要だし 00:09:50.866 --> 00:09:54.722 繊維や生物燃料を 全世界で70億人ともいわれる人々に 00:09:54.722 --> 00:09:57.458 供給する必要があるだけにとどまらず 00:09:57.458 --> 00:09:59.488 農業の需要は 将来もっと増大していきます 00:09:59.488 --> 00:10:02.026 これを避けることはできません 00:10:02.026 --> 00:10:04.257 必ず増大するのです なぜならば 00:10:04.257 --> 00:10:07.250 人口が増え続けているからです 現在は およそ70億人ですが 00:10:07.250 --> 00:10:09.450 90億人になるペースで増加しており 00:10:09.450 --> 00:10:12.242 最終的に95億人まで増加する可能性があります 00:10:12.242 --> 00:10:14.619 食生活の変化も重要な要素です 00:10:14.619 --> 00:10:17.666 人口増加に加え 生活水準が向上してきたため 00:10:17.666 --> 00:10:20.733 世界の食肉消費量は増加しています 00:10:20.733 --> 00:10:24.194 肉の生産には 作物の生産よりも はるかに多くの資源を消費します 00:10:24.194 --> 00:10:28.116 人口が増え 食べる量が増え 食生活も変化し 00:10:28.116 --> 00:10:31.317 それだけでなく同時にエネルギー危機を抱え 00:10:31.317 --> 00:10:34.790 石油の代替エネルギーが必要で 00:10:34.790 --> 00:10:37.361 その中には生物燃料や生物エネルギーも 00:10:37.361 --> 00:10:39.140 含まれることになる 00:10:39.140 --> 00:10:41.893 これらの条件を合わせて考えてみてください 00:10:41.893 --> 00:10:44.245 21世紀の残りを 切り抜けていくには 00:10:44.245 --> 00:10:48.573 農業生産量を 少なくとも2倍にする必要があるでしょう NOTE Paragraph 00:10:48.573 --> 00:10:50.522 どうすればよいのでしょうか? 00:10:50.522 --> 00:10:53.315 世界の農業生産量を2倍にするには? NOTE Paragraph 00:10:53.315 --> 00:10:56.003 耕作地域を広げるというアイデアも出てくるでしょう 00:10:56.003 --> 00:10:58.802 分析を見てみましょう 左側が現在耕作されている地域 00:10:58.802 --> 00:11:02.296 右側が耕作可能な地域です 00:11:02.296 --> 00:11:05.244 この分析は土壌と気候をもとにし 気候変動は 00:11:05.244 --> 00:11:07.085 大して影響を与えないという前提になっています 00:11:07.085 --> 00:11:08.973 この前提条件はよくありませんね 00:11:08.973 --> 00:11:11.162 耕作可能な土地はまだあります しかし問題は 00:11:11.162 --> 00:11:14.143 残っている土地はデリケートな地域だということです 00:11:14.143 --> 00:11:16.181 そこは多様な生物や炭素の貯蔵庫といった 00:11:16.181 --> 00:11:18.615 保護したいものが存在する土地なのです 00:11:18.615 --> 00:11:21.439 耕作面積を拡大することは不可能ではありませんが 00:11:21.439 --> 00:11:22.757 やめた方がいいでしょう 00:11:22.757 --> 00:11:26.423 なぜならそれはエコロジーにとって 非常に危険なことだからです NOTE Paragraph 00:11:26.423 --> 00:11:28.807 そうではなく 農業で使用される資源を増加させずに 00:11:28.807 --> 00:11:32.592 すでにある土地で よりよい農業を行うことも考えられます 00:11:32.592 --> 00:11:34.992 この図で示しているのは 00:11:34.992 --> 00:11:37.559 環境を壊さずに作物の増収を 00:11:37.559 --> 00:11:39.825 達成できる可能性のある場所です 00:11:39.825 --> 00:11:42.226 例としてトウモロコシを取り上げますが 00:11:42.226 --> 00:11:44.376 緑のエリアはトウモロコシの収穫量が既に 00:11:44.376 --> 00:11:46.977 非常に高く おそらく 最大収穫量に達している場所です 00:11:46.977 --> 00:11:49.855 その地域の土壌と気候を考慮しています 00:11:49.855 --> 00:11:52.206 しかし茶色や黄色のエリアは 00:11:52.206 --> 00:11:54.720 本来可能な収穫量の20%から30%しか 00:11:54.720 --> 00:11:56.060 収穫できていないエリアです 00:11:56.060 --> 00:11:58.378 アフリカや中南米に多いことが分かりますね 00:11:58.378 --> 00:12:01.238 面白いことには かつて旧ソビエトと東側諸国と呼ばれていた 00:12:01.238 --> 00:12:03.479 東欧諸国の農地もまだ改良の 00:12:03.479 --> 00:12:05.703 余地があるということです 00:12:05.703 --> 00:12:08.336 それには栄養と水が必要です 00:12:08.336 --> 00:12:10.469 従来農法か有機農法か もしくはその併用で 00:12:10.469 --> 00:12:12.282 供給することになります 00:12:12.282 --> 00:12:14.447 植物に必要な水と栄養素を 00:12:14.447 --> 00:12:17.655 これは私たちにできることで 実現の可能性もあります NOTE Paragraph 00:12:17.655 --> 00:12:19.935 しかし慎重なやり方も必要になってきます 00:12:19.935 --> 00:12:22.544 将来の食糧確保のニーズと 00:12:22.544 --> 00:12:25.807 環境保護のニーズを 同時に満たすためには 00:12:25.807 --> 00:12:28.821 食糧生産と環境保全を 00:12:28.821 --> 00:12:32.530 バランスよく両立させる方法を 見つけ出さなくてはなりません NOTE Paragraph 00:12:32.530 --> 00:12:35.060 現在のやり方では どちらかに片寄ってしまいます 00:12:35.060 --> 00:12:37.022 奥の方では 食糧を育てています 00:12:37.022 --> 00:12:38.483 ― この写真では大豆畑ですね ― 00:12:38.483 --> 00:12:41.610 ここではたくさんの食糧が生産されていることが グラフに示されています 00:12:41.610 --> 00:12:44.128 しかしきれいな水は少ないし 00:12:44.128 --> 00:12:47.125 CO2を吸収する能力や 生物多様性も低い 00:12:47.125 --> 00:12:49.133 手前の方には草原が広がっています 00:12:49.133 --> 00:12:50.691 環境の面では素晴らしい場所です 00:12:50.691 --> 00:12:53.895 でもここには食べ物がありません 00:12:53.895 --> 00:12:56.432 この2つを融合させる方法を 考え出さなくてはいけません 00:12:56.432 --> 00:13:00.542 両者が共存できる 新しい農業のあり方を NOTE Paragraph 00:13:00.542 --> 00:13:02.753 この話をすると よくこう言い返されます 00:13:02.753 --> 00:13:05.985 「それなら ____が解決策になるのでは?」 ってね 00:13:05.985 --> 00:13:10.733 有機食品・地産地消・遺伝子組み換え・ 新しい補助金や農業法案… 00:13:10.733 --> 00:13:13.500 良いアイデアならたくさんあります 00:13:13.500 --> 00:13:16.573 しかし一発で問題を解決できる 銀の弾丸は持っていないようです 00:13:16.573 --> 00:13:19.533 むしろ銀の散弾というほうが近いでしょう 00:13:19.533 --> 00:13:22.045 私はこの喩えが好きです 小さな散弾が集まることで 00:13:22.045 --> 00:13:24.363 強力な威力を発揮するものになる 00:13:24.363 --> 00:13:26.763 しかし そのためには1つにまとめなくてはいけません NOTE Paragraph 00:13:26.763 --> 00:13:29.296 そのために私たちに必要なのは 最良のアイデアを融合させた 00:13:29.296 --> 00:13:31.980 新しい農業のあり方を発明することだと思います 00:13:31.980 --> 00:13:35.085 商業的農業や緑の革命のアイデアのうちよい部分を 00:13:35.085 --> 00:13:38.637 有機農法や地産地消の良い部分や 00:13:38.637 --> 00:13:42.045 環境保護の良い部分と融合させた方法をです 00:13:42.045 --> 00:13:43.850 どの立場が正しいのか争っても答えは出ません 00:13:43.850 --> 00:13:47.599 みんなが協力してこそ 新しい農業のあり方を生み出せるのです 00:13:47.599 --> 00:13:52.317 私が「テラカルチャー(地球農業)」と呼んでいる 地球全体のための農法です NOTE Paragraph 00:13:52.317 --> 00:13:55.301 これまでこういう話をするのは難しいことでした 00:13:55.301 --> 00:13:57.413 今日述べたポイントを たくさんの人に理解してもらい 00:13:57.413 --> 00:13:59.716 論争を減らして 協力を増やすために 00:13:59.716 --> 00:14:01.216 私たちも努力を重ねています 00:14:01.216 --> 00:14:03.763 これからお見せするビデオでは 一部ではありますが 00:14:03.763 --> 00:14:06.093 各立場の人々を同じ話し合いに参加させるために 00:14:06.093 --> 00:14:09.819 行っている私たちの活動をご覧いただけると思います 00:14:09.819 --> 00:14:13.480 (音楽) 00:14:13.480 --> 00:14:17.137 (ミネソタ大学 環境研究所 「発見を求めて」) 00:14:17.137 --> 00:14:18.578 (音楽) 00:14:18.578 --> 00:14:20.226 地球上の人口は 00:14:20.226 --> 00:14:23.239 毎年7500万人増えている 00:14:23.239 --> 00:14:25.672 それはほぼドイツの人口に匹敵する 00:14:25.672 --> 00:14:28.615 現在の地球の人口はおよそ70億人 00:14:28.615 --> 00:14:31.305 このペースでは 2040年までに90億人に到達する 00:14:31.305 --> 00:14:33.073 そのすべての人に食糧が必要だ 00:14:33.073 --> 00:14:34.424 でも どうすれば 00:14:34.424 --> 00:14:37.312 環境を破壊せずに 増え続ける人口に食糧を供給できるのか? 00:14:37.312 --> 00:14:40.557 気候変動が大きな問題だということには みんな気づいている 00:14:40.557 --> 00:14:41.807 でも 問題はそれだけじゃない 00:14:41.807 --> 00:14:44.729 「もう一つの不都合な真実」 に 向き合う必要がある 00:14:44.729 --> 00:14:47.277 地球規模の農業危機 00:14:47.277 --> 00:14:53.536 人口増加 + 肉の消費 + 乳製品消費 + エネルギー コスト + バイオ エネルギー生産= 天然資源への負荷 00:14:53.536 --> 00:14:56.985 全陸地の40%以上は農業のために開拓されている 00:14:56.985 --> 00:14:58.991 農耕地は1600万平方キロメートル 00:14:58.991 --> 00:15:02.184 これはほぼ南アメリカに相当する大きさ 00:15:02.184 --> 00:15:03.979 牧草地は3000万平方キロメートル 00:15:03.979 --> 00:15:06.054 アフリカ大陸の大きさだ 00:15:06.054 --> 00:15:10.770 農業に使用されている土地の面積は 都市+郊外の60倍 00:15:10.770 --> 00:15:14.482 灌漑は地球上で最大の水の消費原因 00:15:14.482 --> 00:15:18.856 毎年2800立方キロメートルもの水が 作物に与えられている 00:15:18.856 --> 00:15:22.638 エンパイアステートビルディングを 毎日7305回 満杯にできる量だ 00:15:22.638 --> 00:15:25.619 現在では多くの大河の水量が低下している 00:15:25.619 --> 00:15:27.643 完全に干上がったものもある 00:15:27.643 --> 00:15:31.627 アラル海はもはや砂漠に 00:15:31.627 --> 00:15:35.250 コロラド川は海にたどり着く前に干上がっている 00:15:35.250 --> 00:15:39.133 肥料は環境中の窒素とリンの量を 2倍以上に増加させた 00:15:39.133 --> 00:15:40.389 どういう結果を生むのか? 00:15:40.389 --> 00:15:42.373 大規模な水質汚染 00:15:42.373 --> 00:15:44.535 湖や河川の後退 00:15:44.535 --> 00:15:48.909 驚くべきことに 気候変動の一番の原因は農業である 00:15:48.909 --> 00:15:51.336 温室効果ガスの30%を排出している 00:15:51.336 --> 00:15:54.029 電気利用と産業全体の排出量の合計よりも多い 00:15:54.029 --> 00:15:57.005 それは飛行機と電車と自動車から 排出される量よりも多い 00:15:57.005 --> 00:15:59.373 農業による主な排出は三つある 熱帯地域の森林破壊 00:15:59.373 --> 00:16:00.749 家畜や水田からのメタンガス 00:16:00.749 --> 00:16:02.581 肥料のやり過ぎによる窒素ガスの発生 00:16:02.581 --> 00:16:05.836 人類の活動の中で 農業ほど世界に大きな影響を与えるものは他にない 00:16:05.836 --> 00:16:09.367 私たちが生き延びるために 農業ほど重要なものも他にない 00:16:09.367 --> 00:16:10.873 私たちはジレンマを抱えている… 00:16:10.873 --> 00:16:15.228 世界の人口があと数十億人増える間に 00:16:15.228 --> 00:16:19.812 世界の食糧生産量を2倍 もしかしたら3倍に増やさなければならない 00:16:19.812 --> 00:16:21.208 どこへ向かえばいいのだろうか? 00:16:21.208 --> 00:16:24.011 みんなを巻き込んだ 国際的な対話が必要だ 00:16:24.011 --> 00:16:25.819 必要なのは現実的な解決策への投資 00:16:25.819 --> 00:16:30.157 農家への補助金・精密農業・新種の作物・点滴灌漑 00:16:30.157 --> 00:16:33.818 家庭雑排水の再利用・より良い農業・賢い食生活 00:16:33.818 --> 00:16:36.024 話し合いに全員が参加する必要がある 00:16:36.024 --> 00:16:37.974 商業的農業の擁護も 00:16:37.974 --> 00:16:39.121 環境問題の議論も 00:16:39.121 --> 00:16:40.582 有機農業も 00:16:40.582 --> 00:16:42.617 協力しなければいけない 00:16:42.617 --> 00:16:44.175 どれか1つで解決できる問題ではない 00:16:44.191 --> 00:16:45.800 協力が必要だ 00:16:45.800 --> 00:16:47.236 想像力と 00:16:47.236 --> 00:16:48.014 決意も 00:16:48.014 --> 00:16:51.673 なぜなら やり直しはできないから 00:16:51.673 --> 00:16:55.370 世界を破壊せずに必要な食糧を供給するには どうすればよいのか? 00:16:55.370 --> 00:16:58.236 私たちはかつてない強大な課題に直面しています 00:16:58.236 --> 00:17:00.346 人類史上最大のチャレンジ 00:17:00.346 --> 00:17:03.020 それは90億人の人々に食糧を供給することです 00:17:03.020 --> 00:17:06.774 持続可能で公平で公正なやり方で 00:17:06.774 --> 00:17:08.475 しかも地球環境を保護しながら 00:17:08.475 --> 00:17:11.288 次の世代のためにも 00:17:11.288 --> 00:17:12.804 私たちは人類史上 かつてないほど 00:17:12.804 --> 00:17:14.675 困難な課題に取り組むことになります 00:17:14.675 --> 00:17:17.925 しかも最初から正解を出していかなくてはいけません 00:17:17.925 --> 00:17:22.262 チャンスは1回きりなのです 00:17:22.262 --> 00:17:26.237 ありがとうございました (拍手)