WEBVTT 00:00:00.946 --> 00:00:03.340 人の脳の何がそんなに 特別なのでしょうか? 00:00:03.340 --> 00:00:05.552 私たちは動物を研究しますが 00:00:05.552 --> 00:00:07.673 その逆はありません 何故でしょうか? 00:00:07.673 --> 00:00:09.471 人の脳にはあり 00:00:09.471 --> 00:00:11.204 動物の脳にないものは 何でしょう? 00:00:11.204 --> 00:00:14.052 10年前こういうことに 興味を持ったとき 00:00:14.052 --> 00:00:16.994 科学者は どの脳も 同じ物から できていると思っていました 00:00:16.994 --> 00:00:18.723 その根拠となる証拠は 殆どなかったのですが 00:00:18.723 --> 00:00:20.910 科学者が思っていたことは 全てのほ乳類の脳は 00:00:20.910 --> 00:00:22.635 人も含め — 00:00:22.635 --> 00:00:23.935 同じ様に出来ていて — 00:00:23.935 --> 00:00:25.437 そのニューロン数は 00:00:25.437 --> 00:00:27.668 脳のサイズに 釣り合っているということでした 00:00:27.668 --> 00:00:29.744 どういうことかと言うと 例えば同じサイズの 00:00:29.744 --> 00:00:33.292 こちらのような400グラムの 2つの脳があるとすれば 00:00:33.292 --> 00:00:35.844 その2つのニューロン数は 同じ位だろうということです 00:00:35.844 --> 00:00:37.640 ニューロンが 情報処理機能を担っているなら 00:00:37.640 --> 00:00:40.543 ニューロンが 情報処理機能を担っているなら 00:00:40.543 --> 00:00:42.135 この2つの脳の持ち主は 00:00:42.135 --> 00:00:44.864 似たような認知能力が ありそうなものですが 00:00:44.864 --> 00:00:47.213 1つはチンパンジーで 00:00:47.213 --> 00:00:49.850 もう1つは牛です 00:00:49.850 --> 00:00:52.212 牛は本当に豊かな 精神生活があり — 00:00:52.212 --> 00:00:54.465 頭が良いのかもしれません 00:00:54.465 --> 00:00:58.268 私たちに分らないように してるだけかもしれません 00:00:58.268 --> 00:00:59.713 でも私たちは食べますよね 00:00:59.713 --> 00:01:01.412 殆どの人は 00:01:01.412 --> 00:01:03.413 チンパンジーは牛よりもっと 00:01:03.413 --> 00:01:06.469 複雑で精巧で柔軟な行動が 出来ることには同意すると思います 00:01:06.469 --> 00:01:08.401 これこそが 最初の矛盾で 00:01:08.401 --> 00:01:10.434 “ 脳は全て同じ様に出来ている ”という 論理は正しくない ということです 00:01:10.434 --> 00:01:12.105 “ 脳は全て同じ様に出来ている ”という 論理は正しくない ということです 00:01:12.105 --> 00:01:13.451 しかし続けましょう 00:01:13.451 --> 00:01:15.229 もし脳が同じ様に出来ていて 00:01:15.229 --> 00:01:18.141 いろいろなサイズの脳を持つ動物を 比べてみるとします 00:01:18.141 --> 00:01:20.323 大きい脳は小さい脳よりもっと — 00:01:20.323 --> 00:01:22.646 ニューロンの数が多い筈で — 00:01:22.646 --> 00:01:25.668 脳が大きければ それだけ 認知能力があるということになります 00:01:25.668 --> 00:01:27.804 だとすると一番大きな脳は 00:01:27.804 --> 00:01:30.093 最も認知能力があるべきです 00:01:30.093 --> 00:01:31.674 でも 悪いニュースがあります 00:01:31.674 --> 00:01:34.431 人の脳は一番大きくはないのです 00:01:34.431 --> 00:01:35.986 全く不思議に思えます 00:01:35.986 --> 00:01:38.721 私たちの脳は 1.2から1.5キロの重さですが 00:01:38.721 --> 00:01:42.038 象の脳は4キロから5キロまであり 00:01:42.038 --> 00:01:44.623 クジラは9キロにもなります 00:01:44.623 --> 00:01:49.361 これが科学者が私たちの脳は “特別”だということにしていた理由です 00:01:49.361 --> 00:01:51.518 これが科学者が私たちの脳は “特別”だということにしていた理由です 00:01:51.518 --> 00:01:54.380 私たちの認知能力を説明する為です 00:01:54.380 --> 00:01:57.326 本当に特別に違いありません 00:01:57.326 --> 00:01:59.303 そのルールに 当てはまらないのですから 00:01:59.303 --> 00:02:02.529 彼らの方が大きいかもしれませんが 私たちの方がいいのです 00:02:02.529 --> 00:02:04.404 という事は 優れた脳は 00:02:04.404 --> 00:02:06.515 体の大きさの割に大きく 00:02:06.515 --> 00:02:09.213 その大脳皮質はずっと大きく 00:02:09.213 --> 00:02:10.752 その大脳皮質はずっと大きく 00:02:10.752 --> 00:02:12.404 その余分の皮質で 00:02:12.404 --> 00:02:15.364 体を動かすだけでなく もっと 面白いことができているようです 00:02:15.364 --> 00:02:17.043 というのは脳のサイズは普通 — 00:02:17.043 --> 00:02:19.376 体のサイズによるのですが 00:02:19.376 --> 00:02:21.693 私たちの脳が体のサイズからして 00:02:21.693 --> 00:02:23.780 大きすぎると言われる主な理由は 00:02:23.780 --> 00:02:25.552 人間を類人猿と 比較しているからです 00:02:25.552 --> 00:02:27.238 人間を類人猿と 比較しているからです 00:02:27.238 --> 00:02:29.832 ゴリラは人の 2倍から3倍のサイズなので 00:02:29.832 --> 00:02:32.253 その脳は人のより 大きいはずですが 00:02:32.253 --> 00:02:34.198 その反対なのです 00:02:34.198 --> 00:02:37.133 人の脳はゴリラのそれの 3倍の大きさです 00:02:37.133 --> 00:02:39.253 また特別なのは人の脳が 使うエネルギー量です 00:02:39.253 --> 00:02:41.500 また特別なのは人の脳が 使うエネルギー量です 00:02:41.500 --> 00:02:44.249 人の脳の重さは体重の 2%しかないのですが 00:02:44.249 --> 00:02:47.692 人が1日に要するエネルギーの 25%を消費します 00:02:47.692 --> 00:02:50.155 人が1日に要するエネルギーの 25%を消費します 00:02:50.155 --> 00:02:53.508 それは2千カロリーの内の 5百カロリーです 00:02:53.508 --> 00:02:55.913 ただ脳を働かせるだけで それほど使います 00:02:55.913 --> 00:02:58.841 人の脳は体の割には大きく 00:02:58.841 --> 00:03:00.867 エネルギーは驚く程消費する 00:03:00.867 --> 00:03:02.325 それで特別だ… 00:03:02.325 --> 00:03:04.896 とここで私は 気になり始めたのです 00:03:04.896 --> 00:03:06.567 生物学では生物一般に適用出来る ルールを探し出します 00:03:06.567 --> 00:03:09.413 生物学では生物一般に適用出来る ルールを探し出します 00:03:09.413 --> 00:03:11.263 ではどうして進化のルールが 00:03:11.263 --> 00:03:14.905 人間にだけ あてはまらないのでしょうか? 00:03:14.905 --> 00:03:17.102 全ての脳は同じ様に出来ているという 大前提に問題があり 00:03:17.102 --> 00:03:18.973 全ての脳は同じ様に出来ているという 大前提に問題があり 00:03:18.973 --> 00:03:20.572 脳が同じサイズでもニューロンの数は 実際は違っているかもしれません 00:03:20.572 --> 00:03:23.163 脳が同じサイズでもニューロンの数は 実際は違っているかもしれません 00:03:23.163 --> 00:03:24.770 大きい脳は必ずしも — 00:03:24.770 --> 00:03:26.610 ニューロンが多いという 訳でもないかもしれません 00:03:26.610 --> 00:03:28.831 ニューロンが多いという 訳でもないかもしれません 00:03:28.831 --> 00:03:31.840 人の脳はそのサイズに関わらず 実際は最もニューロン数が多く 00:03:31.840 --> 00:03:34.413 人の脳はそのサイズに関わらず 実際は最もニューロン数が多く 00:03:34.413 --> 00:03:36.507 特に大脳皮質では そうなのかもしれません 00:03:36.507 --> 00:03:38.059 私にとってこれは 00:03:38.059 --> 00:03:39.788 興味深い大切な疑問となりました 00:03:39.788 --> 00:03:42.188 人の脳のニューロン数は? 00:03:42.188 --> 00:03:44.710 それは他の動物と比べると? 00:03:44.710 --> 00:03:47.133 人の脳は1千億のニューロンがあると 聞かれたことがあるでしょう 00:03:47.133 --> 00:03:49.244 人の脳は1千億のニューロンがあると 聞かれたことがあるでしょう 00:03:49.244 --> 00:03:51.330 それで10年前同僚に この数字が — 00:03:51.330 --> 00:03:53.169 何処から来たのか 尋ねてみましたが 00:03:53.169 --> 00:03:54.627 誰も知りませんでした 00:03:54.627 --> 00:03:56.080 書物をあさり その数字の出典を探しましたが 00:03:56.080 --> 00:03:58.138 書物をあさり その数字の出典を探しましたが 00:03:58.138 --> 00:03:59.921 見つかりませんでした 00:03:59.921 --> 00:04:02.660 実際に人の脳のニューロン数を 数えた人は誰もいなかった様です 00:04:02.660 --> 00:04:04.194 実際に人の脳のニューロン数を 数えた人は誰もいなかった様です 00:04:04.194 --> 00:04:06.693 なにも人の脳だけに 限ったことではないのですが 00:04:06.693 --> 00:04:10.228 それで脳の細胞を 数える方法を考え出しました 00:04:10.228 --> 00:04:12.336 簡単にいうと脳を溶かして 00:04:12.336 --> 00:04:15.581 スープ状にするのです 00:04:15.581 --> 00:04:17.618 この様になります 00:04:17.618 --> 00:04:20.745 脳または脳の一部をとり 00:04:20.745 --> 00:04:22.489 それを界面活性剤と混ぜて 00:04:22.489 --> 00:04:23.998 細胞膜組織を壊します 00:04:23.998 --> 00:04:26.434 細胞核はそのままです 00:04:26.434 --> 00:04:29.574 それで遊離核の懸濁液が出来ます 00:04:29.574 --> 00:04:31.355 こんな感じで 00:04:31.355 --> 00:04:32.628 澄んだスープの様です 00:04:32.628 --> 00:04:34.519 これは ネズミ1匹の脳の 細胞核が 入っています 00:04:34.519 --> 00:04:36.573 これは ネズミ1匹の脳の 細胞核が 入っています 00:04:36.573 --> 00:04:39.603 スープが素晴らしいのは それはスープだからです 00:04:39.603 --> 00:04:42.501 掻き混ぜて細胞核を 00:04:42.501 --> 00:04:44.472 溶液内に均一に分散します 00:04:44.472 --> 00:04:46.453 その均一溶液のサンプルを 00:04:46.453 --> 00:04:50.536 4,5滴取り顕微鏡で見て 00:04:50.536 --> 00:04:53.072 細胞核を数えれば 00:04:53.072 --> 00:04:54.751 それで脳の細胞数がわかります 00:04:54.751 --> 00:04:56.376 単純で簡単です 00:04:56.376 --> 00:04:57.810 時間もかかりません 00:04:57.810 --> 00:04:59.807 この方法でニューロンを数えた生物は 00:04:59.807 --> 00:05:02.118 数十種類になります 00:05:02.118 --> 00:05:03.807 分ったことは 00:05:03.807 --> 00:05:06.389 脳は全部同じ様には 出来ていないということです 00:05:06.389 --> 00:05:08.576 齧歯類と霊長類を見て下さい 00:05:08.576 --> 00:05:10.860 大型齧歯類の場合 ニューロン自体の平均径が大きくなり 00:05:10.860 --> 00:05:12.546 大型齧歯類の場合 ニューロン自体の平均径が大きくなり 00:05:12.546 --> 00:05:15.145 脳が急に膨らみ 00:05:15.145 --> 00:05:18.310 ニューロンの数が増える以前に 脳は格段に大きくなりますが 00:05:18.310 --> 00:05:20.013 霊長類は平均的なニューロン自体は 大きくならずその数が増えるのです 00:05:20.013 --> 00:05:22.472 霊長類は平均的なニューロン自体は 大きくならずその数が増えるのです 00:05:22.472 --> 00:05:23.997 これはニューロンを増やすには 効率的な方法です 00:05:23.997 --> 00:05:25.650 これはニューロンを増やすには 効率的な方法です 00:05:25.650 --> 00:05:27.414 つまり霊長類の脳は 00:05:27.414 --> 00:05:30.581 同じサイズの齧歯類の脳より ニューロンが多いのです 00:05:30.581 --> 00:05:32.064 それで脳が大きければ大きい程 00:05:32.064 --> 00:05:34.278 それだけその差は広がるでしょう 00:05:34.278 --> 00:05:36.381 では私たちの脳はどうでしょう 00:05:36.381 --> 00:05:38.065 人の脳には平均して860億の ニューロンがあると突き止めました 00:05:38.065 --> 00:05:39.850 人の脳には平均して860億の ニューロンがあると突き止めました 00:05:39.850 --> 00:05:42.849 その中の160億は 大脳皮質にあります 00:05:42.849 --> 00:05:44.930 大脳皮質が 00:05:44.930 --> 00:05:48.024 論理・抽象的な推論能力や知覚 といった機能の中枢で 00:05:48.024 --> 00:05:51.161 論理・抽象的な推論能力や知覚 といった機能の中枢で 00:05:51.161 --> 00:05:54.145 160億という数はどんな大脳皮質も 持ち合わせていないことを考えると 00:05:54.145 --> 00:05:56.766 160億という数はどんな大脳皮質も 持ち合わせていないことを考えると 00:05:56.766 --> 00:05:58.484 これで私たちの驚くべき認知能力の 説明が簡単に出来ると思います 00:05:58.484 --> 00:06:01.626 これで私たちの驚くべき認知能力の 説明が簡単に出来ると思います 00:06:01.626 --> 00:06:04.847 脳の全ニューロン程の 重要性があると言って良い程です 00:06:04.847 --> 00:06:06.376 脳のサイズとニューロン数との 00:06:06.376 --> 00:06:08.728 関係が数学的に説明出来るので 00:06:08.728 --> 00:06:10.355 人脳が齧歯類のような脳だったなら 00:06:10.355 --> 00:06:12.573 どんなものだろうか それも計算出来るでしょう 00:06:12.573 --> 00:06:15.247 どんなものだろうか それも計算出来るでしょう 00:06:15.247 --> 00:06:18.821 齧歯類が860億数の ニューロンを持ったとしたなら 00:06:18.821 --> 00:06:21.942 その脳は 36キロにもなります 00:06:21.942 --> 00:06:23.575 それはあり得ません 00:06:23.575 --> 00:06:25.481 その重さで脳自体が 00:06:25.481 --> 00:06:26.665 潰れてしまいますし 00:06:26.665 --> 00:06:28.252 そんな脳に見合う身体は 00:06:28.252 --> 00:06:32.023 89トンになってしまします 00:06:32.023 --> 00:06:34.157 これでは人間だと いえそうもありません 00:06:34.157 --> 00:06:36.710 ここから導き出される重要な結論は 00:06:36.710 --> 00:06:39.357 私たちは齧歯類ではなく 00:06:39.357 --> 00:06:42.625 人の脳は齧歯類の脳を大きくしたもの ではないということです 00:06:42.625 --> 00:06:45.253 ネズミと比べると 私たちは特別に見えますが 00:06:45.253 --> 00:06:47.473 ネズミと比べるのがいけないのです 00:06:47.473 --> 00:06:49.562 人とネズミの違いは明らかですから 00:06:49.562 --> 00:06:50.952 私たちは霊長類です 00:06:50.952 --> 00:06:53.726 比較は他の霊長類とするべきです 00:06:53.726 --> 00:06:54.953 そこでその計算をすると 00:06:54.953 --> 00:06:57.739 860億数のニューロンを持つ 一般的霊長類は 00:06:57.739 --> 00:06:59.669 860億数のニューロンを持つ 一般的霊長類は 00:06:59.669 --> 00:07:02.672 約1.2キロの脳を 持つことになるでしょう 00:07:02.672 --> 00:07:04.561 66キロ位の体には それで丁度という感じですね 00:07:04.561 --> 00:07:06.533 66キロ位の体には それで丁度という感じですね 00:07:06.533 --> 00:07:09.178 私の体に丁度合います 00:07:09.178 --> 00:07:11.798 あまり驚くことではないのですが 00:07:11.798 --> 00:07:14.767 それでもとても重要な結論です 00:07:14.767 --> 00:07:16.108 私は霊長類です 00:07:16.108 --> 00:07:18.806 あなた方もそうで 00:07:18.806 --> 00:07:20.706 ダーウィンもそうです 00:07:20.706 --> 00:07:23.646 ダーウィンがこれを本当に 理解してくれると思っています 00:07:23.646 --> 00:07:25.613 彼の脳も私たちのと同様 00:07:25.613 --> 00:07:29.124 他の霊長類に そっくりに出来ています 00:07:29.124 --> 00:07:31.426 人の脳は確かに驚嘆すべきものですが 00:07:31.426 --> 00:07:34.207 ニューロン数に関しては 特別でもないのです 00:07:34.207 --> 00:07:36.062 人の脳は大きな霊長類の脳 というだけ— 00:07:36.062 --> 00:07:39.106 この考えはとても謙虚で 冷静だと思います 00:07:39.106 --> 00:07:42.169 これは自然界に於ける 人間の立場を思い出させます 00:07:42.169 --> 00:07:44.813 では何故私たちの脳はそんなに エネルギーを使うのでしょうか 00:07:44.813 --> 00:07:46.260 どれくらいのエネルギーを 00:07:46.260 --> 00:07:47.763 人や他の動物の脳が 00:07:47.763 --> 00:07:49.170 使うかは分っています 00:07:49.170 --> 00:07:50.822 既に それぞれの脳にある 00:07:50.822 --> 00:07:53.164 ニューロン数が分っていますから 計算が出来ます 00:07:53.164 --> 00:07:55.030 その結果 人と他の動物達の脳も 00:07:55.030 --> 00:07:57.853 エネルギー消費量は同じくらいで 00:07:57.853 --> 00:08:01.274 ニューロン10億に対して 一日平均6カロリー要します 00:08:01.274 --> 00:08:03.413 脳が使用する総エネルギーは 00:08:03.413 --> 00:08:05.447 ニューロン数の シンプルな一次関数です 00:08:05.447 --> 00:08:07.156 ニューロン数の シンプルな一次関数です 00:08:07.156 --> 00:08:09.339 人の脳のエネルギー消費は 00:08:09.339 --> 00:08:13.180 予想通りというわけです 00:08:13.180 --> 00:08:15.271 それで人の脳が これ程 — 00:08:15.271 --> 00:08:16.943 エネルギーを費やしているのは — 00:08:16.943 --> 00:08:18.926 ニューロンが膨大にあるから というだけで 00:08:18.926 --> 00:08:20.411 人は霊長類で — 00:08:20.411 --> 00:08:22.910 他の動物より体のサイズの割には ニューロンが多いため — 00:08:22.910 --> 00:08:24.432 他の動物より体のサイズの割には ニューロンが多いため — 00:08:24.432 --> 00:08:27.972 エネルギー使用量は比較的多いのです 00:08:27.972 --> 00:08:30.973 でも それは霊長類だからであって 特別だからではないのです 00:08:30.973 --> 00:08:32.163 では最後の質問として 00:08:32.163 --> 00:08:35.278 どうやって こんな膨大な数の ニューロンを手に入れたのでしょう 00:08:35.278 --> 00:08:37.178 特に類人猿が 00:08:37.178 --> 00:08:38.733 人より大きいなら 00:08:38.733 --> 00:08:42.498 なぜ彼らの脳の方が大きく ニューロンがもっと多くはないのでしょうか 00:08:42.498 --> 00:08:44.588 脳が多くのニューロンを維持するのは 大変なことに気付いた時 00:08:44.588 --> 00:08:46.921 脳が多くのニューロンを維持するのは 大変なことに気付いた時 00:08:46.921 --> 00:08:48.924 単純な理由があるかもしれないと分ったのです 00:08:48.924 --> 00:08:50.607 他の霊長類には大きな体と 00:08:50.607 --> 00:08:53.557 多数のニューロンの両方を 維持して行くエネルギーがないのです 00:08:53.557 --> 00:08:54.986 それで計算しました 00:08:54.986 --> 00:08:56.586 まず計算したのは1日の 00:08:56.586 --> 00:08:58.527 生の物を食しての 霊長類のエネルギー摂取量です 00:08:58.527 --> 00:08:59.877 生の物を食しての 霊長類のエネルギー摂取量です 00:08:59.877 --> 00:09:01.914 その一方 あるサイズの体の 00:09:01.914 --> 00:09:03.678 消費エネルギー量と 00:09:03.678 --> 00:09:07.065 ある数のニューロンの脳の 消費エネルギー量を計算して 00:09:07.065 --> 00:09:08.554 体がどれくらいの大きさで 00:09:08.554 --> 00:09:10.965 ニューロンがどれくらいなら 動物が維持できるのか 00:09:10.965 --> 00:09:12.235 その組み合わせを探しました 00:09:12.235 --> 00:09:14.783 その動物が1日に食する時間が 決まっているとしてです 00:09:14.783 --> 00:09:16.599 分ったことは 00:09:16.599 --> 00:09:18.311 ニューロンは熱量を よく消費するので 00:09:18.311 --> 00:09:21.681 体のサイズとニューロンの数の間には トレードオフがあるのです 00:09:21.681 --> 00:09:24.632 1日に8時間食べる動物は 00:09:24.632 --> 00:09:27.656 最大で530億ニューロンを 維持出来ますが 00:09:27.656 --> 00:09:29.383 その体は大きくても せいぜい25キロです 00:09:29.383 --> 00:09:31.337 その体は大きくても せいぜい25キロです 00:09:31.337 --> 00:09:33.038 それ以上の体重では 00:09:33.038 --> 00:09:34.807 ニューロンを犠牲に しなくてはなりません 00:09:34.807 --> 00:09:37.460 つまり大きな体か ニューロン数が 大きいかの どちらかということです 00:09:37.460 --> 00:09:38.955 つまり大きな体か ニューロン数が 大きいかの どちらかということです 00:09:38.955 --> 00:09:40.320 類人猿の様に食べていたら 00:09:40.320 --> 00:09:42.556 脳も体も大きいということは あり得ません 00:09:42.556 --> 00:09:44.520 この代謝限界を克服する一つの方法は 00:09:44.520 --> 00:09:47.921 1日に食事に費やす時間を 増やすことですが 00:09:47.921 --> 00:09:49.284 それは危険です 00:09:49.284 --> 00:09:52.003 限界を通り超え 絶対むりです 00:09:52.003 --> 00:09:53.540 例えばゴリラとオランウータンが 00:09:53.540 --> 00:09:55.463 約3百億数のニューロンを持とうと思ったら 00:09:55.463 --> 00:09:58.429 それには1日8時間半も 食べなくてはなりません 00:09:58.429 --> 00:10:01.545 食べることだけしか 出来ないという感じですね 00:10:01.545 --> 00:10:03.336 1日9時間が 00:10:03.336 --> 00:10:06.607 霊長類には限界でしょうね 00:10:06.607 --> 00:10:08.398 では私たちは? 00:10:08.398 --> 00:10:09.998 860億のニューロンを持ち — 00:10:09.998 --> 00:10:13.033 60から70キロの体重なら — 00:10:13.033 --> 00:10:16.594 1日に9時間以上 毎日 食べなければなりません 00:10:16.594 --> 00:10:20.169 1日に9時間以上 毎日 食べなければなりません 00:10:20.169 --> 00:10:22.208 これは ちょっとあり得ませんね 00:10:22.208 --> 00:10:24.042 類人猿みたいに食べていたら 00:10:24.042 --> 00:10:26.295 私たちはここまで 進化してなかったでしょう 00:10:26.295 --> 00:10:28.422 では どうやって ここまで来たのでしょう 00:10:28.422 --> 00:10:31.157 もし私たちの脳が 計算通りのエネルギーが必要で — 00:10:31.157 --> 00:10:32.880 眠る以外の全ての時間を 00:10:32.880 --> 00:10:36.554 食事にあてられないとしたら 00:10:36.554 --> 00:10:38.465 それに代わることは 00:10:38.465 --> 00:10:40.423 もっとエネルギーを 00:10:40.423 --> 00:10:42.376 同じ食物から得なくてはなりません 00:10:42.376 --> 00:10:46.176 驚くことに私たちの祖先が 00:10:46.176 --> 00:10:49.213 考え出したことが 丁度それなのです 00:10:49.213 --> 00:10:51.052 それは150万年前のことです 00:10:51.052 --> 00:10:53.834 料理をするということ考え出し — 00:10:53.834 --> 00:10:55.804 料理に火を使い — 00:10:55.804 --> 00:10:59.604 食べ物自体を消化し易くしたのです 00:10:59.604 --> 00:11:02.210 料理された食べ物は柔らかく 噛み易く 00:11:02.210 --> 00:11:04.773 口の中で完全にぐちゃぐちゃになり 00:11:04.773 --> 00:11:06.925 完全に消化され易く — 00:11:06.925 --> 00:11:08.361 体に吸収され易くなります 00:11:08.361 --> 00:11:12.016 なので短時間でより多くの エネルギーになり易いのです 00:11:12.016 --> 00:11:14.505 だから料理することのお陰で私たちは 00:11:14.505 --> 00:11:16.567 ニューロンを使い もっと面白いことをする時間ができ 00:11:16.567 --> 00:11:18.047 ニューロンを使い もっと面白いことをする時間ができ 00:11:18.047 --> 00:11:19.952 食べることや 食糧を探すことばかり考え — 00:11:19.952 --> 00:11:21.656 一日中食べてばかりいなくてもいいのです 00:11:21.656 --> 00:11:22.881 一日中食べてばかりいなくてもいいのです 00:11:22.881 --> 00:11:25.380 それで 料理をすることにより — 00:11:25.380 --> 00:11:27.733 かつて 二ューロンが多い大きな脳は 維持が大変で不利なものでしたが 00:11:27.733 --> 00:11:30.766 かつて 二ューロンが多い大きな脳は 維持が大変で不利なものでしたが 00:11:30.766 --> 00:11:32.802 今や 脳は私たちの主要財産となりました 00:11:32.802 --> 00:11:36.053 多くのニューロンを維持する エネルギーと時間を確保でき 00:11:36.056 --> 00:11:38.559 ニューロンで面白いことが 出来るようになったからです 00:11:38.559 --> 00:11:40.533 これで進化において人の脳がどうして 00:11:40.533 --> 00:11:43.773 こんなに速く大きくなったかが 説明できると思います 00:11:43.773 --> 00:11:47.670 それでも霊長類の脳ではありますが 00:11:47.670 --> 00:11:50.444 料理をすることにより こんな大きな脳が維持可能になり 00:11:50.444 --> 00:11:53.357 生の食生活から始まり 文化 — 00:11:53.357 --> 00:11:55.963 農業 文明 スーパー 00:11:55.963 --> 00:11:57.588 電気 冷蔵庫 と— 00:11:57.588 --> 00:11:59.195 1日に必要な総エネルギーを 00:11:59.195 --> 00:12:01.237 私たちに一度に — 00:12:01.237 --> 00:12:04.019 好みのファーストフード店で — 00:12:04.019 --> 00:12:06.973 全て 確保可能に させてくれる様になったのです 00:12:06.973 --> 00:12:09.410 それで解決策であったことが 00:12:09.410 --> 00:12:11.109 問題となり 00:12:11.109 --> 00:12:16.626 皮肉なことですが私たちは生鮮食品に その解決法を探しているのです 00:12:16.626 --> 00:12:19.182 人間でいることの利点は? 00:12:19.182 --> 00:12:20.685 私たちにはあり— 00:12:20.685 --> 00:12:23.220 他の動物にないことはなんでしょう? 00:12:23.220 --> 00:12:25.568 私の答えは 人の脳では 最も多くのニューロンが 00:12:25.568 --> 00:12:27.040 大脳皮質にあるということです 00:12:27.040 --> 00:12:28.884 それが人の優れた 認知能力の理由だと思います 00:12:28.884 --> 00:12:30.897 それが人の優れた 認知能力の理由だと思います 00:12:30.897 --> 00:12:34.124 他の動物はせず 人だけがすることはなんでしょう? 00:12:34.124 --> 00:12:36.093 それによって 人の脳がこれほど大きくなり 00:12:36.093 --> 00:12:39.176 大脳皮質が他にない程のニューロンを 持つことになったのだと思います 00:12:39.176 --> 00:12:41.398 大脳皮質が他にない程のニューロンを 持つことになったのだと思います 00:12:41.398 --> 00:12:43.613 それは料理です 00:12:43.613 --> 00:12:47.179 他の動物は料理をしません 人間だけです 00:12:47.179 --> 00:12:50.049 そのお陰で今の私たちがあるのだと思います 00:12:50.049 --> 00:12:52.509 人の脳の研究をして 私の食に対する考えも変わりました 00:12:52.509 --> 00:12:54.154 自分の台所を見ると 00:12:54.154 --> 00:12:55.624 頭を下げて 00:12:55.624 --> 00:12:57.329 私たちを人にしてくれた料理を 考えついた先祖に感謝します 00:12:57.329 --> 00:12:59.229 私たちを人にしてくれた料理を 考えついた先祖に感謝します 00:12:59.229 --> 00:13:01.361 どうもありがとうございました 00:13:01.361 --> 00:13:07.714 (拍手)