WEBVTT 00:00:21.956 --> 00:00:25.345 リーダーシップ・コミュニケーション関係の 00:00:25.345 --> 00:00:27.327 講座や本で 近年 一番人気のトピックに 00:00:27.327 --> 00:00:29.908 エグゼクティブ・プレゼンス という概念があります 00:00:29.908 --> 00:00:32.583 これはどういう意味でしょう? 定義は何でしょう? 00:00:32.583 --> 00:00:35.586 教えたり 学んだりできるものでしょうか? 00:00:35.586 --> 00:00:39.876 センター・フォー・タレント・イノベーションによる その三大要素は 00:00:39.876 --> 00:00:44.293 外見 コミュニケーション力 そしてグラビタスだそうです 00:00:44.293 --> 00:00:48.042 グラビタスとは 例えば その人の説得力だとか 00:00:48.042 --> 00:00:51.603 難局で決断を下し 敢行できる能力などを指します 00:00:52.375 --> 00:00:55.526 コミュニケーション力やグラビタスを含む 00:00:55.526 --> 00:01:00.348 広範囲に及ぶ概念を語るとき 欠落している部分が幾つかありました 00:01:00.348 --> 00:01:03.479 その中の一つを 私は 00:01:03.479 --> 00:01:06.769 「声のエグゼクティブ・プレゼンス」 00:01:06.769 --> 00:01:08.142 と名付けました 00:01:08.142 --> 00:01:11.750 難しい決断を下すとき どんな話し方になっているのか? 00:01:11.751 --> 00:01:16.168 言おうとする内容を支え 相手に伝えたいイメージを伝える話し方か? 00:01:16.168 --> 00:01:17.929 それとも台無しにする話し方か? 00:01:19.459 --> 00:01:23.418 例えば 緊迫した空気を緩和したいとき こんな口調だったらどうでしょう? 00:01:23.419 --> 00:01:27.743 「ちょっと落ち着きなさいよ! 今の状況もう一度考え直さなきゃ!」 00:01:28.918 --> 00:01:32.041 こういう言い方だと最悪の場合 00:01:32.042 --> 00:01:36.472 最悪を免れてもあとでやんわり 「カフェイン取りすぎかも」と言われそうですね 00:01:38.834 --> 00:01:40.906 ここでの鍵は相手とどう繋がるかです 00:01:40.906 --> 00:01:44.901 プレゼンや記者会見の準備をしている人と 00:01:44.901 --> 00:01:47.080 仕事することが多いんですが 00:01:47.080 --> 00:01:48.981 こんな発言を耳にすることがあります 00:01:48.982 --> 00:01:50.872 「我々は子供たちを支援し 00:01:50.872 --> 00:01:54.809 学校教育の質を上げることに 情熱をもって取り組んでおります」 00:01:54.810 --> 00:01:59.336 そうすると「本当に?騙してるんじゃないの」 と心の中で思ってしまいます 00:01:59.789 --> 00:02:04.344 情熱があると主張されていますが その証拠はどこにもありません 00:02:05.259 --> 00:02:06.668 ここで問題となるのは 00:02:06.669 --> 00:02:10.864 言葉の選択と実際の表現の仕方に 大きな隔たりがあることです 00:02:10.864 --> 00:02:13.466 それにより信憑性が希薄になってしまうのです 00:02:13.906 --> 00:02:19.416 さて ここに権威ある重要な研究があります 00:02:19.417 --> 00:02:23.291 言語または非言語において メッセージを伝える際の一貫性の有無が 00:02:23.292 --> 00:02:26.182 受け取る側の感情と態度へ 与える影響を観察した研究です 00:02:26.182 --> 00:02:27.246 この研究で 00:02:27.246 --> 00:02:29.856 話者が誠実に聞こえると感じたかどうか 00:02:29.856 --> 00:02:33.504 被験者に訊いたところ 00:02:33.504 --> 00:02:40.249 全体の38%が話者の声の音調に 基づいて評価していました 00:02:40.250 --> 00:02:45.380 音調とは 声の抑揚の上がり下がり のようなもののことです 00:02:46.164 --> 00:02:50.506 これとは対照的に 話者の選んだ言葉に基づいて 00:02:50.506 --> 00:02:53.802 評価した人はたったの7%でした 00:02:53.803 --> 00:02:57.815 残り55%の評価は 非言語的要素に基づいていました 00:02:57.816 --> 00:03:03.666 つまり姿勢やアイコンタクトなどの 言語以外の要素から評価したそうです 00:03:03.667 --> 00:03:04.798 この研究結果ですが 00:03:04.798 --> 00:03:07.908 濫用されているという事実にも 注意しなくてはいけません 00:03:07.909 --> 00:03:10.061 例えば 「コミュニケーションの55%は 00:03:10.061 --> 00:03:13.383 非言語的要素によるらしいよ」など 声高に説く人がいます 00:03:14.117 --> 00:03:17.680 これは真実からほど遠く また この研究の意図からも外れています 00:03:17.681 --> 00:03:19.891 しかし この研究や 後続の 同様の調査から 00:03:19.891 --> 00:03:22.070 導き出されたことが一つあります 00:03:22.071 --> 00:03:24.037 それは信憑性ある話し方の重要性です 00:03:24.626 --> 00:03:26.751 例えば 皆さんご自分のプレゼンの 00:03:26.752 --> 00:03:31.248 準備をしているときのことを 想像してみてください 00:03:31.959 --> 00:03:35.335 準備時間の38%を 発声や話し方に費しますか? 00:03:36.684 --> 00:03:38.132 普通の人なら 00:03:38.132 --> 00:03:41.277 内容に 全てまたは ほとんどの時間を使いますよね? 00:03:41.278 --> 00:03:46.153 プレゼンの構成や文章を決めたり パワーポイントのスライドを作ったり 00:03:46.154 --> 00:03:49.209 見栄えのいい画像や 洒落たアニメーションを挟んだり 00:03:49.210 --> 00:03:52.833 エクセルの表に データを打ち込んだりしているはずです 00:03:52.834 --> 00:03:54.895 しかし その努力の結晶を実際に 00:03:54.895 --> 00:03:58.894 伝える という作業に関しては 意外と出たとこ勝負じゃないでしょうか 00:03:58.894 --> 00:04:01.991 結果としてせっかくの内容を アピールする力が弱くなってしまい 00:04:01.992 --> 00:04:05.833 目の前の目的や目標が 達成できないだけでなく 00:04:05.834 --> 00:04:08.798 長期的にも自分のイメージや評判を 落としかねません 00:04:09.631 --> 00:04:12.005 要するに リーダーとして見られたいなら 00:04:12.005 --> 00:04:14.822 それらしく話すことが求められるのです 00:04:15.343 --> 00:04:18.272 エグゼクティブ・プレゼンスを 声で発揮することが必要です 00:04:19.906 --> 00:04:23.992 声のエグゼクティブ・プレゼンスには 00:04:23.992 --> 00:04:28.372 聴衆のタイプを観察し 自分が言いたい内容によって 00:04:28.373 --> 00:04:31.996 どんな人物像として話せば その人たちに聴いてもらえるか 00:04:31.997 --> 00:04:35.720 どういう話し方をすれば惹きつけられるか 見極める力も含まれます 00:04:38.059 --> 00:04:41.794 私たちには皆 生まれ持った声がありますが 00:04:41.795 --> 00:04:44.877 この声を使うにあたりある程度は コントロールすることができます 00:04:44.878 --> 00:04:47.346 この説明に最適な例が マーガレット・サッチャーです 00:04:47.346 --> 00:04:49.625 サッチャーは英国史上 初の女性議員でした 00:04:49.626 --> 00:04:52.709 沢山の反対派から やりすぎなくらいに揶揄され 00:04:52.710 --> 00:04:57.197 「女史はキーキーとわめき過ぎ」 などと言われました 00:04:57.197 --> 00:05:00.328 議論の際に熱中すると 00:05:00.328 --> 00:05:03.055 声がうわずって甲高くなる癖が あったからです 00:05:03.056 --> 00:05:05.785 このため 首相選の出馬を決めたとき 00:05:05.785 --> 00:05:08.534 サッチャーは国立劇場から ボイストレーナーを雇い 00:05:08.535 --> 00:05:12.901 音程を下げてより威厳ある話し方を 身につけるべく訓練しました 00:05:12.902 --> 00:05:14.546 声は聴き手に認知面 00:05:14.547 --> 00:05:18.618 感情面で影響を与えるため このような訓練は非常に重要です 00:05:19.344 --> 00:05:21.028 認知面からご説明しましょう 00:05:22.132 --> 00:05:26.875 38%の評価の基となる 音調 つまり音の高低について 00:05:26.876 --> 00:05:28.654 これを戦略的に使いこなせれば 00:05:28.655 --> 00:05:31.979 伝えたい内容の中で 最も重要な部分や言葉に 00:05:31.980 --> 00:05:33.709 聴き手の注意を誘導できます 00:05:33.710 --> 00:05:36.036 聴く人にとって 情報処理がしやすい話し方なら 00:05:36.037 --> 00:05:39.387 伝えた内容がちゃんと理解され 記憶に残る可能性も高くなります 00:05:39.388 --> 00:05:41.551 つまり説得力が増すのです 00:05:43.708 --> 00:05:45.458 人は話を聴くとき 00:05:45.459 --> 00:05:48.668 音調のまとまりやかたまりごとに 情報処理します 00:05:48.669 --> 00:05:53.708 通常まずは抑揚のパターンに意識を集中し 00:05:53.709 --> 00:05:57.978 聞こえる内容と音の頂点とを結びつけます 00:05:59.083 --> 00:06:00.442 その後 必要があれば 00:06:00.443 --> 00:06:05.708 低音の谷部分は何だったか 想像力で埋めていくのです 00:06:05.709 --> 00:06:09.249 例えば 歌の歌詞 00:06:09.250 --> 00:06:10.719 こんなことよくあるでしょう 00:06:10.720 --> 00:06:13.343 好きな歌に合わせて歌っていて 00:06:13.344 --> 00:06:17.963 ふと気づいたり 誰かに遠慮なく指摘されて 00:06:17.964 --> 00:06:20.800 歌っていた歌詞が 間違っていたことに気づくこと 00:06:20.800 --> 00:06:21.994 経験ありますか? 00:06:22.805 --> 00:06:24.065 皆さんうなずいてますね 00:06:24.755 --> 00:06:27.274 ルイ・アームストロングの名曲 00:06:27.274 --> 00:06:28.660 『この素晴らしき世界』 00:06:29.023 --> 00:06:30.710 皆さん知っている歌ですね 00:06:30.710 --> 00:06:32.244 歌詞にこんな部分があります 00:06:32.244 --> 00:06:36.544 "the bright blessed day and the dark sacred night" 00:06:36.544 --> 00:06:39.520 私が小さいときは こうだと思っていました: 00:06:39.520 --> 00:06:43.245 "the bright blessed day and the dogs say good night" 00:06:43.245 --> 00:06:44.421 (笑) 00:06:44.421 --> 00:06:46.710 これって意味通じます? 00:06:46.711 --> 00:06:50.251 通じませんよね でもそう聞こえたんです 00:06:50.252 --> 00:06:55.625 何よりもまず抑揚のパターンや 音調ピーク部分が元の歌詞と同じで 00:06:55.626 --> 00:06:58.501 高音部分の母音や音節も同じですから 00:06:58.502 --> 00:07:00.662 なので あまり目立たず 00:07:00.663 --> 00:07:03.875 あまり強調されていない 低音の谷部分を 00:07:03.876 --> 00:07:05.834 想像で埋めて歌っていたんです 00:07:06.626 --> 00:07:10.209 効果的な話し方を習得している人が 00:07:10.210 --> 00:07:13.887 最重要部分を高音で強調する理由も これと同じことですね 00:07:14.876 --> 00:07:17.227 つまり リーダーとしての立場を 00:07:17.228 --> 00:07:20.374 確立したいと思えば 誰かと会った瞬間に 00:07:20.375 --> 00:07:23.316 声の音調を意図的に変えることで 相手に 望ましい印象を 00:07:23.317 --> 00:07:25.038 与えることが可能になります 00:07:25.673 --> 00:07:27.291 当然のこととして 00:07:27.292 --> 00:07:31.333 強く記憶に残るような良い印象を 与えることも非常に重要ですが 00:07:31.334 --> 00:07:33.645 他人の名前を覚えることすら 苦手だというときは 00:07:33.646 --> 00:07:36.393 それどころではないですよね 00:07:36.394 --> 00:07:37.837 心当たりありませんか? 00:07:37.838 --> 00:07:41.087 でも その苦手意識について 半分は免責してあげましょう 00:07:41.619 --> 00:07:45.048 なぜかというと ほとんどの人は 自己紹介の時点で 00:07:45.049 --> 00:07:47.736 自分の名前を 間違って発音しているからです 00:07:49.103 --> 00:07:50.985 正確には間違えているのではなく 00:07:50.986 --> 00:07:55.535 聞き手にとって 何を言っているか理解しにくい 00:07:55.536 --> 00:07:59.238 リズムや抑揚で話しているということです 00:08:00.627 --> 00:08:03.725 ところで 先ほどの半分を 免責する話ですが 00:08:03.726 --> 00:08:05.369 残り半分は 00:08:05.370 --> 00:08:08.287 ご自身の自己紹介として 責任を負うことになります 00:08:08.288 --> 00:08:11.875 では 正しい自己紹介は どうするか 00:08:11.876 --> 00:08:15.248 聞き手にきちんと名前を 理解してもらえる話し方をし 00:08:15.249 --> 00:08:16.998 また 理解してもらうことで 00:08:16.999 --> 00:08:20.043 名前つまり自分が誰なのかを 相手に憶えてもらう方法です 00:08:20.044 --> 00:08:22.791 まず ファーストネームを言うときは 00:08:22.792 --> 00:08:27.167 こうして 語尾で声を高くします 「まだ終わっていませんよ」という感じで 00:08:27.168 --> 00:08:30.166 そして一番高い部分で 少し 間を空けます 00:08:30.167 --> 00:08:35.500 この短い間で音が途切れ 単語間の境界を示します 00:08:35.501 --> 00:08:39.543 そして名字を言うときは 声を低く下げます 00:08:39.544 --> 00:08:41.650 「これで終わりですよ」 という意味を込め 00:08:41.650 --> 00:08:44.329 句点を最後につけて 話しているつもりで下げましょう 00:08:44.898 --> 00:08:47.826 自己紹介全体がぼやけてしまうような 話し方は避けます 00:08:47.826 --> 00:08:51.004 名前を言った後 間を置かずに すぐ次を続けるのではなく 00:08:51.004 --> 00:08:54.212 聞き手が理解しやすいよう 話し方に気をつけます 00:08:54.212 --> 00:08:58.640 細心の注意を払って 「ローラ・シコラです」と言います 00:08:59.328 --> 00:09:02.882 意識的に音調を変えるという こんな些細なことで 00:09:02.883 --> 00:09:04.955 驚くほどの違いが生まれます 00:09:06.083 --> 00:09:09.673 さて 当然ながら でたらめなイントネーションで 00:09:09.674 --> 00:09:11.990 変なところで声を上げ下げすると 00:09:11.991 --> 00:09:14.596 まったく逆の効果が生まれます 00:09:14.597 --> 00:09:17.993 聞き手の気が散ってしまい 最も大事な部分を聞いてもらえず 00:09:17.993 --> 00:09:21.030 言っていることを理解してもらうのが 難しくなります 00:09:21.725 --> 00:09:26.122 一番多く見られる例は 現代社会では「アップスピーク」または 00:09:26.123 --> 00:09:29.267 「アップトーク」と呼ばれ 個人的には非常に 00:09:29.268 --> 00:09:31.336 耳障りに聞こえますが 00:09:31.337 --> 00:09:36.124 増える一方にある話し方です 専門的には 「語尾上げ」と言われます 00:09:36.125 --> 00:09:38.699 この抑揚パターンは 人と話しているときに 00:09:38.700 --> 00:09:40.929 文や語句の終わりに 質問文のような 00:09:40.930 --> 00:09:43.288 語尾を挟みながら 話を続けます 00:09:43.289 --> 00:09:45.105 「でしょ?」とか「だよね?」を 00:09:45.106 --> 00:09:46.903 いちいちつけ加えているかのような 00:09:46.903 --> 00:09:47.779 話し方です 00:09:47.779 --> 00:09:49.550 一種の心の奥底に根付いた不安や 00:09:49.550 --> 00:09:52.129 常に肯定されていたい 病的欲求があるのでしょう 00:09:52.129 --> 00:09:54.079 (笑) 00:09:54.079 --> 00:09:55.349 ですよね? 00:09:58.629 --> 00:10:02.981 こういう話し方の悪いところは たまたま語尾に来た部分が 00:10:02.982 --> 00:10:06.299 内容の区別なく強調される結果に なってしまうということです 00:10:06.790 --> 00:10:09.579 どんな聞き手にとっても 理解が難しい話し方ですし 00:10:09.580 --> 00:10:14.041 この単調な語尾の上昇の繰り返しには むしろ催眠性があり 00:10:14.042 --> 00:10:16.156 これが続くと 話の中身どころか 00:10:16.156 --> 00:10:19.919 話自体を聴いていられるかどうかも 疑わしくなります 00:10:21.365 --> 00:10:23.310 補足しておきますがこの話し方 00:10:23.311 --> 00:10:26.730 若いギャル層に特有の現象だと 片づける人も多いですが 00:10:26.731 --> 00:10:28.881 別にこの世代に限りません 00:10:28.882 --> 00:10:31.765 人間性を貶める発声的犯罪と 言っても過言ではありません 00:10:31.766 --> 00:10:35.151 老若男女問わず 教育の良し悪しも関係なく 00:10:35.152 --> 00:10:37.352 皆に広まってきています 00:10:37.352 --> 00:10:40.083 まあある意味男女の機会均等が 達成されたわけです 00:10:40.083 --> 00:10:41.226 やりましたね! 00:10:41.226 --> 00:10:42.374 (笑) 00:10:43.748 --> 00:10:47.705 さて また別の問題点として 00:10:47.705 --> 00:10:50.928 この語尾上げに対し 当然のことながら 00:10:50.929 --> 00:10:55.124 人々の評価は散々なものです ひどく感情的に反応する人までいます 00:10:55.125 --> 00:10:59.082 威厳ある発声の 正反対であるだけでなく 00:10:59.083 --> 00:11:03.023 人前で髪をいじることの 声バージョンみたいなものです よね? 00:11:04.501 --> 00:11:06.751 さて 感情的な反応もあると言いましたが 00:11:06.752 --> 00:11:11.158 ここで 声が感情面にもたらす 効果についてお話します 00:11:12.918 --> 00:11:16.973 まず 非常に特徴的な声を持つ人を 想像してみましょう 00:11:18.132 --> 00:11:20.027 ジェームス・アール・ジョーンズ 00:11:20.027 --> 00:11:23.333 あのダース・ベイダーの声で 最もよく知られている俳優です 00:11:23.586 --> 00:11:28.532 個人的に思うのですが あの深くよく響く低音の声で 00:11:28.533 --> 00:11:31.725 シャンプーボトルの裏の材料を読んだら 00:11:31.726 --> 00:11:33.546 詩の朗読に聞こえるでしょう 00:11:34.334 --> 00:11:36.955 でも この声では うまくいかない場合もあります 00:11:36.956 --> 00:11:40.292 セサミストリートのエルモ役は 多分難しいでしょうね 00:11:40.293 --> 00:11:41.429 (笑) 00:11:43.959 --> 00:11:47.249 フラン・ドレシャーはどうでしょう 00:11:47.250 --> 00:11:53.642 NYクイーンズ出身特有の 誰にでもわかる 不機嫌そうな鼻にかかったあの声 00:11:54.000 --> 00:11:56.249 ドラマ『ザ・ナニー』では良かったですが 00:11:56.250 --> 00:12:00.311 ダース・ベーダ―の声には 多分向いてないでしょう 00:12:00.858 --> 00:12:03.754 想像できます? ルーク・スカイウォーカーを前に 00:12:03.754 --> 00:12:07.091 『ルーク 私がお前の父親だ』って あの鼻声で言うところ 00:12:07.091 --> 00:12:09.012 (笑) 00:12:10.239 --> 00:12:12.326 ありえないでしょう? 00:12:14.125 --> 00:12:17.124 コミカルな場面にはぴったりの声ですが 00:12:17.125 --> 00:12:20.542 例えば葬儀屋を 探しているときなどは 00:12:20.543 --> 00:12:23.157 近寄ってきてほしくない タイプの声ですよね 00:12:24.037 --> 00:12:25.769 全ては状況次第なのです 00:12:25.769 --> 00:12:30.567 葬式という状況では 感情面での支えを必要とする時期に 00:12:30.568 --> 00:12:34.229 あなたや家族の気持ちを 託す相手として相応しい 00:12:34.230 --> 00:12:39.160 信頼のおける 思いやりや同情心に溢れた 声の持ち主がいいですよね 00:12:40.230 --> 00:12:41.059 ここで問題なのが 00:12:41.059 --> 00:12:45.500 聞いていて不快に感じるような 声だった場合や 00:12:45.501 --> 00:12:49.441 その場で求められている役割に合った 人柄に欠けていると思われる場合 00:12:49.442 --> 00:12:53.102 またイメージに合わないような場合 00:12:53.102 --> 00:12:54.778 その声は耳に届かないということです 00:12:54.778 --> 00:12:56.642 なんとなく心を閉ざし 00:12:56.643 --> 00:12:59.295 情報の重要性の如何に関わらず 00:12:59.296 --> 00:13:01.619 その先を聴こうとする気が 失せてしまいます 00:13:01.620 --> 00:13:06.395 意識しなくとも 人は話し手の伝える 内容と声質の一致を求めるものなのです 00:13:06.948 --> 00:13:10.260 ではエグゼクティブ・プレゼンスの 発声とは演技することでしょうか? 00:13:10.260 --> 00:13:12.668 違います むしろ真逆です 00:13:12.669 --> 00:13:15.927 自分らしくなければならず 本当の自分を出さねばなりません 00:13:15.927 --> 00:13:17.875 しかし ここで鍵となるのは 00:13:17.876 --> 00:13:22.160 自分が持つ性質の中で どの瞬間に どの特性に光を当て 00:13:22.161 --> 00:13:25.709 自分の声と話し方で伝達するには どうするのかという点です 00:13:26.818 --> 00:13:28.883 今日ここで皆さんが私の話を 00:13:28.884 --> 00:13:33.098 聞いてくださる理由は 聞く価値があると思ってもらえる話し方 00:13:33.099 --> 00:13:36.860 そして皆さんが期待するTED講師像に あてはまる話し方だからでしょう 00:13:37.773 --> 00:13:42.079 しかし この話し方をそのまま 3歳の甥っ子に対しては使えません 00:13:42.875 --> 00:13:47.610 ローラ叔母さんどうしちゃったの いつもみたいに楽しくないよ と思い 00:13:47.610 --> 00:13:49.648 甥は遊んでくれなくなるでしょう 00:13:49.748 --> 00:13:51.844 同じ理屈で 私がこの場で皆さんに対し 00:13:51.844 --> 00:13:54.321 甥に対するときみたいに 話すことはできません 00:13:54.945 --> 00:13:56.681 こんな風に講演を始めたとします 00:13:56.681 --> 00:13:58.534 「ねえ おばちゃんいいこと思いついた! 00:13:58.534 --> 00:14:00.904 声のエグゼクティブ・プレゼンス のおはなし!」 00:14:00.904 --> 00:14:01.954 (笑) 00:14:02.158 --> 00:14:05.263 「冗談でしょ?頭おかしいの?」 ってなりますよね 00:14:05.264 --> 00:14:09.333 「この人にリーダーシップや エグゼクティブの何がわかるわけ? 00:14:09.334 --> 00:14:11.625 そもそも 誰が呼んだの?」 00:14:11.626 --> 00:14:13.514 はい 呼んだのはあの人たちです 00:14:13.514 --> 00:14:14.562 (笑) 00:14:15.824 --> 00:14:20.035 要は「声のプリズムを駆使する」 ということです 00:14:21.099 --> 00:14:23.583 決して演技ではありません 00:14:23.584 --> 00:14:25.543 それは 2種類の聴き手の 00:14:25.544 --> 00:14:30.766 それぞれ異なるニーズや期待を 見極め意識するというだけのことです 00:14:30.767 --> 00:14:33.501 そして聴く人が話す内容を 受け入れてくれるように 00:14:33.502 --> 00:14:35.835 自分のが持つ性質のうち 00:14:35.836 --> 00:14:38.139 どれを引き出すかを決めます 00:14:39.389 --> 00:14:43.875 白い光がプリズムを通る時に 虹色に分散される現象と 00:14:43.876 --> 00:14:48.818 色々な意味で合致するものが 00:14:48.819 --> 00:14:53.131 大きな観念であり比喩である 「声のプリズム」なのです 00:14:53.132 --> 00:14:55.458 人柄を白い光に喩えると 00:14:55.459 --> 00:14:58.374 状況というプリズムを通って 様々な色つまり性質に分かれます 00:14:58.375 --> 00:15:01.386 ここで出てきた色すべて つまり 00:15:01.387 --> 00:15:03.687 自分の人柄を構成する あらゆる性質の中から 00:15:03.688 --> 00:15:08.041 この瞬間に強調したいのは どれかを決めるわけです 00:15:08.042 --> 00:15:11.700 その時と場面に合った 最も効果的な表現をするためです 00:15:12.557 --> 00:15:15.418 この使い分けをマスターすれば あなただけの あなたらしい 00:15:15.419 --> 00:15:19.676 そして真にリーダーらしい話し方を 創りだせるはずです 00:15:20.252 --> 00:15:21.646 ありがとうございました 00:15:21.647 --> 00:15:24.081 (拍手)