0:00:21.956,0:00:25.345 リーダーシップ・コミュニケーション関係の 0:00:25.345,0:00:27.327 講座や本で 近年[br]一番人気のトピックに 0:00:27.327,0:00:29.908 エグゼクティブ・プレゼンス[br]という概念があります 0:00:29.908,0:00:32.583 これはどういう意味でしょう?[br]定義は何でしょう? 0:00:32.583,0:00:35.586 教えたり 学んだりできるものでしょうか? 0:00:35.586,0:00:39.876 センター・フォー・タレント・イノベーションによる[br]その三大要素は 0:00:39.876,0:00:44.293 外見 コミュニケーション力[br]そしてグラビタスだそうです 0:00:44.293,0:00:48.042 グラビタスとは 例えば[br]その人の説得力だとか 0:00:48.042,0:00:51.603 難局で決断を下し[br]敢行できる能力などを指します 0:00:52.375,0:00:55.526 コミュニケーション力やグラビタスを含む 0:00:55.526,0:01:00.348 広範囲に及ぶ概念を語るとき[br]欠落している部分が幾つかありました 0:01:00.348,0:01:03.479 その中の一つを 私は 0:01:03.479,0:01:06.769 「声のエグゼクティブ・プレゼンス」 0:01:06.769,0:01:08.142 と名付けました 0:01:08.142,0:01:11.750 難しい決断を下すとき[br]どんな話し方になっているのか? 0:01:11.751,0:01:16.168 言おうとする内容を支え[br]相手に伝えたいイメージを伝える話し方か? 0:01:16.168,0:01:17.929 それとも台無しにする話し方か? 0:01:19.459,0:01:23.418 例えば 緊迫した空気を緩和したいとき[br]こんな口調だったらどうでしょう? 0:01:23.419,0:01:27.743 「ちょっと落ち着きなさいよ![br]今の状況もう一度考え直さなきゃ!」 0:01:28.918,0:01:32.041 こういう言い方だと最悪の場合 0:01:32.042,0:01:36.472 最悪を免れてもあとでやんわり[br]「カフェイン取りすぎかも」と言われそうですね 0:01:38.834,0:01:40.906 ここでの鍵は相手とどう繋がるかです 0:01:40.906,0:01:44.901 プレゼンや記者会見の準備をしている人と 0:01:44.901,0:01:47.080 仕事することが多いんですが 0:01:47.080,0:01:48.981 こんな発言を耳にすることがあります 0:01:48.982,0:01:50.872 「我々は子供たちを支援し 0:01:50.872,0:01:54.809 学校教育の質を上げることに[br]情熱をもって取り組んでおります」 0:01:54.810,0:01:59.336 そうすると「本当に?騙してるんじゃないの」[br]と心の中で思ってしまいます 0:01:59.789,0:02:04.344 情熱があると主張されていますが[br]その証拠はどこにもありません 0:02:05.259,0:02:06.668 ここで問題となるのは 0:02:06.669,0:02:10.864 言葉の選択と実際の表現の仕方に[br]大きな隔たりがあることです 0:02:10.864,0:02:13.466 それにより信憑性が希薄になってしまうのです 0:02:13.906,0:02:19.416 さて ここに権威ある重要な研究があります 0:02:19.417,0:02:23.291 言語または非言語において[br]メッセージを伝える際の一貫性の有無が 0:02:23.292,0:02:26.182 受け取る側の感情と態度へ[br]与える影響を観察した研究です 0:02:26.182,0:02:27.246 この研究で 0:02:27.246,0:02:29.856 話者が誠実に聞こえると感じたかどうか 0:02:29.856,0:02:33.504 被験者に訊いたところ 0:02:33.504,0:02:40.249 全体の38%が話者の声の音調に[br]基づいて評価していました 0:02:40.250,0:02:45.380 音調とは 声の抑揚の上がり下がり[br]のようなもののことです 0:02:46.164,0:02:50.506 これとは対照的に[br]話者の選んだ言葉に基づいて 0:02:50.506,0:02:53.802 評価した人はたったの7%でした 0:02:53.803,0:02:57.815 残り55%の評価は[br]非言語的要素に基づいていました 0:02:57.816,0:03:03.666 つまり姿勢やアイコンタクトなどの[br]言語以外の要素から評価したそうです 0:03:03.667,0:03:04.798 この研究結果ですが 0:03:04.798,0:03:07.908 濫用されているという事実にも[br]注意しなくてはいけません 0:03:07.909,0:03:10.061 例えば 「コミュニケーションの55%は 0:03:10.061,0:03:13.383 非言語的要素によるらしいよ」など[br]声高に説く人がいます 0:03:14.117,0:03:17.680 これは真実からほど遠く また[br]この研究の意図からも外れています 0:03:17.681,0:03:19.891 しかし この研究や[br]後続の 同様の調査から 0:03:19.891,0:03:22.070 導き出されたことが一つあります 0:03:22.071,0:03:24.037 それは信憑性ある話し方の重要性です 0:03:24.626,0:03:26.751 例えば 皆さんご自分のプレゼンの 0:03:26.752,0:03:31.248 準備をしているときのことを[br]想像してみてください 0:03:31.959,0:03:35.335 準備時間の38%を[br]発声や話し方に費しますか? 0:03:36.684,0:03:38.132 普通の人なら 0:03:38.132,0:03:41.277 内容に 全てまたは[br]ほとんどの時間を使いますよね? 0:03:41.278,0:03:46.153 プレゼンの構成や文章を決めたり[br]パワーポイントのスライドを作ったり 0:03:46.154,0:03:49.209 見栄えのいい画像や[br]洒落たアニメーションを挟んだり 0:03:49.210,0:03:52.833 エクセルの表に[br]データを打ち込んだりしているはずです 0:03:52.834,0:03:54.895 しかし その努力の結晶を実際に 0:03:54.895,0:03:58.894 伝える という作業に関しては[br]意外と出たとこ勝負じゃないでしょうか 0:03:58.894,0:04:01.991 結果としてせっかくの内容を[br]アピールする力が弱くなってしまい 0:04:01.992,0:04:05.833 目の前の目的や目標が[br]達成できないだけでなく 0:04:05.834,0:04:08.798 長期的にも自分のイメージや評判を[br]落としかねません 0:04:09.631,0:04:12.005 要するに リーダーとして見られたいなら 0:04:12.005,0:04:14.822 それらしく話すことが求められるのです 0:04:15.343,0:04:18.272 エグゼクティブ・プレゼンスを[br]声で発揮することが必要です 0:04:19.906,0:04:23.992 声のエグゼクティブ・プレゼンスには 0:04:23.992,0:04:28.372 聴衆のタイプを観察し[br]自分が言いたい内容によって 0:04:28.373,0:04:31.996 どんな人物像として話せば[br]その人たちに聴いてもらえるか 0:04:31.997,0:04:35.720 どういう話し方をすれば惹きつけられるか[br]見極める力も含まれます 0:04:38.059,0:04:41.794 私たちには皆[br]生まれ持った声がありますが 0:04:41.795,0:04:44.877 この声を使うにあたりある程度は[br]コントロールすることができます 0:04:44.878,0:04:47.346 この説明に最適な例が[br]マーガレット・サッチャーです 0:04:47.346,0:04:49.625 サッチャーは英国史上[br]初の女性議員でした 0:04:49.626,0:04:52.709 沢山の反対派から[br]やりすぎなくらいに揶揄され 0:04:52.710,0:04:57.197 「女史はキーキーとわめき過ぎ」[br]などと言われました 0:04:57.197,0:05:00.328 議論の際に熱中すると 0:05:00.328,0:05:03.055 声がうわずって甲高くなる癖が[br]あったからです 0:05:03.056,0:05:05.785 このため 首相選の出馬を決めたとき 0:05:05.785,0:05:08.534 サッチャーは国立劇場から[br]ボイストレーナーを雇い 0:05:08.535,0:05:12.901 音程を下げてより威厳ある話し方を[br]身につけるべく訓練しました 0:05:12.902,0:05:14.546 声は聴き手に認知面 0:05:14.547,0:05:18.618 感情面で影響を与えるため[br]このような訓練は非常に重要です 0:05:19.344,0:05:21.028 認知面からご説明しましょう 0:05:22.132,0:05:26.875 38%の評価の基となる[br]音調 つまり音の高低について 0:05:26.876,0:05:28.654 これを戦略的に使いこなせれば 0:05:28.655,0:05:31.979 伝えたい内容の中で[br]最も重要な部分や言葉に 0:05:31.980,0:05:33.709 聴き手の注意を誘導できます 0:05:33.710,0:05:36.036 聴く人にとって[br]情報処理がしやすい話し方なら 0:05:36.037,0:05:39.387 伝えた内容がちゃんと理解され[br]記憶に残る可能性も高くなります 0:05:39.388,0:05:41.551 つまり説得力が増すのです 0:05:43.708,0:05:45.458 人は話を聴くとき 0:05:45.459,0:05:48.668 音調のまとまりやかたまりごとに[br]情報処理します 0:05:48.669,0:05:53.708 通常まずは抑揚のパターンに意識を集中し 0:05:53.709,0:05:57.978 聞こえる内容と音の頂点とを結びつけます 0:05:59.083,0:06:00.442 その後 必要があれば 0:06:00.443,0:06:05.708 低音の谷部分は何だったか[br]想像力で埋めていくのです 0:06:05.709,0:06:09.249 例えば 歌の歌詞 0:06:09.250,0:06:10.719 こんなことよくあるでしょう 0:06:10.720,0:06:13.343 好きな歌に合わせて歌っていて 0:06:13.344,0:06:17.963 ふと気づいたり[br]誰かに遠慮なく指摘されて 0:06:17.964,0:06:20.800 歌っていた歌詞が[br]間違っていたことに気づくこと 0:06:20.800,0:06:21.994 経験ありますか? 0:06:22.805,0:06:24.065 皆さんうなずいてますね 0:06:24.755,0:06:27.274 ルイ・アームストロングの名曲 0:06:27.274,0:06:28.660 『この素晴らしき世界』 0:06:29.023,0:06:30.710 皆さん知っている歌ですね 0:06:30.710,0:06:32.244 歌詞にこんな部分があります 0:06:32.244,0:06:36.544 "the bright blessed day[br]and the dark sacred night" 0:06:36.544,0:06:39.520 私が小さいときは[br]こうだと思っていました: 0:06:39.520,0:06:43.245 "the bright blessed day[br]and the dogs say good night" 0:06:43.245,0:06:44.421 (笑) 0:06:44.421,0:06:46.710 これって意味通じます? 0:06:46.711,0:06:50.251 通じませんよね[br]でもそう聞こえたんです 0:06:50.252,0:06:55.625 何よりもまず抑揚のパターンや[br]音調ピーク部分が元の歌詞と同じで 0:06:55.626,0:06:58.501 高音部分の母音や音節も同じですから 0:06:58.502,0:07:00.662 なので あまり目立たず 0:07:00.663,0:07:03.875 あまり強調されていない[br]低音の谷部分を 0:07:03.876,0:07:05.834 想像で埋めて歌っていたんです 0:07:06.626,0:07:10.209 効果的な話し方を習得している人が 0:07:10.210,0:07:13.887 最重要部分を高音で強調する理由も[br]これと同じことですね 0:07:14.876,0:07:17.227 つまり リーダーとしての立場を 0:07:17.228,0:07:20.374 確立したいと思えば 誰かと会った瞬間に 0:07:20.375,0:07:23.316 声の音調を意図的に変えることで[br]相手に 望ましい印象を 0:07:23.317,0:07:25.038 与えることが可能になります 0:07:25.673,0:07:27.291 当然のこととして 0:07:27.292,0:07:31.333 強く記憶に残るような良い印象を[br]与えることも非常に重要ですが 0:07:31.334,0:07:33.645 他人の名前を覚えることすら[br]苦手だというときは 0:07:33.646,0:07:36.393 それどころではないですよね 0:07:36.394,0:07:37.837 心当たりありませんか? 0:07:37.838,0:07:41.087 でも その苦手意識について[br]半分は免責してあげましょう 0:07:41.619,0:07:45.048 なぜかというと ほとんどの人は[br]自己紹介の時点で 0:07:45.049,0:07:47.736 自分の名前を[br]間違って発音しているからです 0:07:49.103,0:07:50.985 正確には間違えているのではなく 0:07:50.986,0:07:55.535 聞き手にとって[br]何を言っているか理解しにくい 0:07:55.536,0:07:59.238 リズムや抑揚で話しているということです 0:08:00.627,0:08:03.725 ところで 先ほどの半分を[br]免責する話ですが 0:08:03.726,0:08:05.369 残り半分は 0:08:05.370,0:08:08.287 ご自身の自己紹介として[br]責任を負うことになります 0:08:08.288,0:08:11.875 では 正しい自己紹介は[br]どうするか 0:08:11.876,0:08:15.248 聞き手にきちんと名前を[br]理解してもらえる話し方をし 0:08:15.249,0:08:16.998 また 理解してもらうことで 0:08:16.999,0:08:20.043 名前つまり自分が誰なのかを[br]相手に憶えてもらう方法です 0:08:20.044,0:08:22.791 まず ファーストネームを言うときは 0:08:22.792,0:08:27.167 こうして 語尾で声を高くします[br]「まだ終わっていませんよ」という感じで 0:08:27.168,0:08:30.166 そして一番高い部分で[br]少し 間を空けます 0:08:30.167,0:08:35.500 この短い間で音が途切れ[br]単語間の境界を示します 0:08:35.501,0:08:39.543 そして名字を言うときは[br]声を低く下げます 0:08:39.544,0:08:41.650 「これで終わりですよ」[br]という意味を込め 0:08:41.650,0:08:44.329 句点を最後につけて[br]話しているつもりで下げましょう 0:08:44.898,0:08:47.826 自己紹介全体がぼやけてしまうような[br]話し方は避けます 0:08:47.826,0:08:51.004 名前を言った後 間を置かずに[br]すぐ次を続けるのではなく 0:08:51.004,0:08:54.212 聞き手が理解しやすいよう[br]話し方に気をつけます 0:08:54.212,0:08:58.640 細心の注意を払って[br]「ローラ・シコラです」と言います 0:08:59.328,0:09:02.882 意識的に音調を変えるという[br]こんな些細なことで 0:09:02.883,0:09:04.955 驚くほどの違いが生まれます 0:09:06.083,0:09:09.673 さて 当然ながら[br]でたらめなイントネーションで 0:09:09.674,0:09:11.990 変なところで声を上げ下げすると 0:09:11.991,0:09:14.596 まったく逆の効果が生まれます 0:09:14.597,0:09:17.993 聞き手の気が散ってしまい[br]最も大事な部分を聞いてもらえず 0:09:17.993,0:09:21.030 言っていることを理解してもらうのが[br]難しくなります 0:09:21.725,0:09:26.122 一番多く見られる例は[br]現代社会では「アップスピーク」または 0:09:26.123,0:09:29.267 「アップトーク」と呼ばれ[br]個人的には非常に 0:09:29.268,0:09:31.336 耳障りに聞こえますが 0:09:31.337,0:09:36.124 増える一方にある話し方です[br]専門的には 「語尾上げ」と言われます 0:09:36.125,0:09:38.699 この抑揚パターンは[br]人と話しているときに 0:09:38.700,0:09:40.929 文や語句の終わりに[br]質問文のような 0:09:40.930,0:09:43.288 語尾を挟みながら[br]話を続けます 0:09:43.289,0:09:45.105 「でしょ?」とか「だよね?」を 0:09:45.106,0:09:46.903 いちいちつけ加えているかのような 0:09:46.903,0:09:47.779 話し方です 0:09:47.779,0:09:49.550 一種の心の奥底に根付いた不安や 0:09:49.550,0:09:52.129 常に肯定されていたい[br]病的欲求があるのでしょう 0:09:52.129,0:09:54.079 (笑) 0:09:54.079,0:09:55.349 ですよね? 0:09:58.629,0:10:02.981 こういう話し方の悪いところは[br]たまたま語尾に来た部分が 0:10:02.982,0:10:06.299 内容の区別なく強調される結果に[br]なってしまうということです 0:10:06.790,0:10:09.579 どんな聞き手にとっても[br]理解が難しい話し方ですし 0:10:09.580,0:10:14.041 この単調な語尾の上昇の繰り返しには[br]むしろ催眠性があり 0:10:14.042,0:10:16.156 これが続くと[br]話の中身どころか 0:10:16.156,0:10:19.919 話自体を聴いていられるかどうかも[br]疑わしくなります 0:10:21.365,0:10:23.310 補足しておきますがこの話し方 0:10:23.311,0:10:26.730 若いギャル層に特有の現象だと[br]片づける人も多いですが 0:10:26.731,0:10:28.881 別にこの世代に限りません 0:10:28.882,0:10:31.765 人間性を貶める発声的犯罪と[br]言っても過言ではありません 0:10:31.766,0:10:35.151 老若男女問わず[br]教育の良し悪しも関係なく 0:10:35.152,0:10:37.352 皆に広まってきています 0:10:37.352,0:10:40.083 まあある意味男女の機会均等が[br]達成されたわけです 0:10:40.083,0:10:41.226 やりましたね! 0:10:41.226,0:10:42.374 (笑) 0:10:43.748,0:10:47.705 さて また別の問題点として 0:10:47.705,0:10:50.928 この語尾上げに対し[br]当然のことながら 0:10:50.929,0:10:55.124 人々の評価は散々なものです[br]ひどく感情的に反応する人までいます 0:10:55.125,0:10:59.082 威厳ある発声の[br]正反対であるだけでなく 0:10:59.083,0:11:03.023 人前で髪をいじることの[br]声バージョンみたいなものです よね? 0:11:04.501,0:11:06.751 さて 感情的な反応もあると言いましたが 0:11:06.752,0:11:11.158 ここで 声が感情面にもたらす[br]効果についてお話します 0:11:12.918,0:11:16.973 まず 非常に特徴的な声を持つ人を[br]想像してみましょう 0:11:18.132,0:11:20.027 ジェームス・アール・ジョーンズ 0:11:20.027,0:11:23.333 あのダース・ベイダーの声で[br]最もよく知られている俳優です 0:11:23.586,0:11:28.532 個人的に思うのですが[br]あの深くよく響く低音の声で 0:11:28.533,0:11:31.725 シャンプーボトルの裏の材料を読んだら 0:11:31.726,0:11:33.546 詩の朗読に聞こえるでしょう 0:11:34.334,0:11:36.955 でも この声では[br]うまくいかない場合もあります 0:11:36.956,0:11:40.292 セサミストリートのエルモ役は[br]多分難しいでしょうね 0:11:40.293,0:11:41.429 (笑) 0:11:43.959,0:11:47.249 フラン・ドレシャーはどうでしょう 0:11:47.250,0:11:53.642 NYクイーンズ出身特有の 誰にでもわかる[br]不機嫌そうな鼻にかかったあの声 0:11:54.000,0:11:56.249 ドラマ『ザ・ナニー』では良かったですが 0:11:56.250,0:12:00.311 ダース・ベーダ―の声には[br]多分向いてないでしょう 0:12:00.858,0:12:03.754 想像できます?[br]ルーク・スカイウォーカーを前に 0:12:03.754,0:12:07.091 『ルーク 私がお前の父親だ』って[br]あの鼻声で言うところ 0:12:07.091,0:12:09.012 (笑) 0:12:10.239,0:12:12.326 ありえないでしょう? 0:12:14.125,0:12:17.124 コミカルな場面にはぴったりの声ですが 0:12:17.125,0:12:20.542 例えば葬儀屋を[br]探しているときなどは 0:12:20.543,0:12:23.157 近寄ってきてほしくない[br]タイプの声ですよね 0:12:24.037,0:12:25.769 全ては状況次第なのです 0:12:25.769,0:12:30.567 葬式という状況では[br]感情面での支えを必要とする時期に 0:12:30.568,0:12:34.229 あなたや家族の気持ちを[br]託す相手として相応しい 0:12:34.230,0:12:39.160 信頼のおける 思いやりや同情心に溢れた[br]声の持ち主がいいですよね 0:12:40.230,0:12:41.059 ここで問題なのが 0:12:41.059,0:12:45.500 聞いていて不快に感じるような[br]声だった場合や 0:12:45.501,0:12:49.441 その場で求められている役割に合った[br]人柄に欠けていると思われる場合 0:12:49.442,0:12:53.102 またイメージに合わないような場合 0:12:53.102,0:12:54.778 その声は耳に届かないということです 0:12:54.778,0:12:56.642 なんとなく心を閉ざし 0:12:56.643,0:12:59.295 情報の重要性の如何に関わらず 0:12:59.296,0:13:01.619 その先を聴こうとする気が[br]失せてしまいます 0:13:01.620,0:13:06.395 意識しなくとも 人は話し手の伝える[br]内容と声質の一致を求めるものなのです 0:13:06.948,0:13:10.260 ではエグゼクティブ・プレゼンスの[br]発声とは演技することでしょうか? 0:13:10.260,0:13:12.668 違います [br]むしろ真逆です 0:13:12.669,0:13:15.927 自分らしくなければならず[br]本当の自分を出さねばなりません 0:13:15.927,0:13:17.875 しかし ここで鍵となるのは 0:13:17.876,0:13:22.160 自分が持つ性質の中で[br]どの瞬間に どの特性に光を当て 0:13:22.161,0:13:25.709 自分の声と話し方で伝達するには[br]どうするのかという点です 0:13:26.818,0:13:28.883 今日ここで皆さんが私の話を 0:13:28.884,0:13:33.098 聞いてくださる理由は[br]聞く価値があると思ってもらえる話し方 0:13:33.099,0:13:36.860 そして皆さんが期待するTED講師像に[br]あてはまる話し方だからでしょう 0:13:37.773,0:13:42.079 しかし この話し方をそのまま[br]3歳の甥っ子に対しては使えません 0:13:42.875,0:13:47.610 ローラ叔母さんどうしちゃったの[br]いつもみたいに楽しくないよ と思い 0:13:47.610,0:13:49.648 甥は遊んでくれなくなるでしょう 0:13:49.748,0:13:51.844 同じ理屈で[br]私がこの場で皆さんに対し 0:13:51.844,0:13:54.321 甥に対するときみたいに[br]話すことはできません 0:13:54.945,0:13:56.681 こんな風に講演を始めたとします 0:13:56.681,0:13:58.534 「ねえ おばちゃんいいこと思いついた! 0:13:58.534,0:14:00.904 声のエグゼクティブ・プレゼンス[br]のおはなし!」 0:14:00.904,0:14:01.954 (笑) 0:14:02.158,0:14:05.263 「冗談でしょ?頭おかしいの?」[br]ってなりますよね 0:14:05.264,0:14:09.333 「この人にリーダーシップや[br]エグゼクティブの何がわかるわけ? 0:14:09.334,0:14:11.625 そもそも 誰が呼んだの?」 0:14:11.626,0:14:13.514 はい 呼んだのはあの人たちです 0:14:13.514,0:14:14.562 (笑) 0:14:15.824,0:14:20.035 要は「声のプリズムを駆使する」[br]ということです 0:14:21.099,0:14:23.583 決して演技ではありません 0:14:23.584,0:14:25.543 それは 2種類の聴き手の 0:14:25.544,0:14:30.766 それぞれ異なるニーズや期待を[br]見極め意識するというだけのことです 0:14:30.767,0:14:33.501 そして聴く人が話す内容を[br]受け入れてくれるように 0:14:33.502,0:14:35.835 自分のが持つ性質のうち 0:14:35.836,0:14:38.139 どれを引き出すかを決めます 0:14:39.389,0:14:43.875 白い光がプリズムを通る時に[br]虹色に分散される現象と 0:14:43.876,0:14:48.818 色々な意味で合致するものが 0:14:48.819,0:14:53.131 大きな観念であり比喩である[br]「声のプリズム」なのです 0:14:53.132,0:14:55.458 人柄を白い光に喩えると 0:14:55.459,0:14:58.374 状況というプリズムを通って[br]様々な色つまり性質に分かれます 0:14:58.375,0:15:01.386 ここで出てきた色すべて[br]つまり 0:15:01.387,0:15:03.687 自分の人柄を構成する[br]あらゆる性質の中から 0:15:03.688,0:15:08.041 この瞬間に強調したいのは[br]どれかを決めるわけです 0:15:08.042,0:15:11.700 その時と場面に合った[br]最も効果的な表現をするためです 0:15:12.557,0:15:15.418 この使い分けをマスターすれば[br]あなただけの あなたらしい 0:15:15.419,0:15:19.676 そして真にリーダーらしい話し方を[br]創りだせるはずです 0:15:20.252,0:15:21.646 ありがとうございました 0:15:21.647,0:15:24.081 (拍手)