WEBVTT 00:00:00.881 --> 00:00:06.047 私と兄弟はカリフォルニアの 曽祖父の牧場で育ちました 00:00:06.825 --> 00:00:10.103 牧場の風景は私の家族と家を象徴するものです 00:00:10.490 --> 00:00:16.109 私たちの代になって 牧場の厳しい仕事を 誰も継ぎたくないことがはっきりしたので 00:00:16.133 --> 00:00:18.333 牧場は近くの人に売り払いました 00:00:18.696 --> 00:00:21.895 私たちの人生は錨を失い 00:00:21.919 --> 00:00:25.516 土地が無くなってからは 漂流を続けている気分でした 00:00:26.125 --> 00:00:30.592 このとき初めて分かりました 00:00:30.616 --> 00:00:34.031 価値ある物を本当に理解することは 00:00:34.055 --> 00:00:36.613 それが存在している間は難しく 00:00:37.303 --> 00:00:38.899 無くなってから分かるのだと 00:00:40.397 --> 00:00:42.140 ただその時には 00:00:42.180 --> 00:00:46.807 いろいろな愛する物を失ったことが 00:00:46.831 --> 00:00:50.948 私の将来にどれほどの影響を及ぼすかを 見通すことはできませんでした NOTE Paragraph 00:00:51.527 --> 00:00:55.559 23年にわたって 私はイボン・シュナードと働きました 00:00:56.139 --> 00:00:58.821 私が働き始めたのは 彼が 岩と氷壁の登攀に使う — 00:00:58.845 --> 00:01:00.495 道具の開発と製造を 00:01:00.495 --> 00:01:04.069 ベンチュラで 線路の近くの トタンぶきの小屋で始めたときでした 00:01:04.093 --> 00:01:07.291 イボンが クライマー向けの ウェアを作ろうと決めて 00:01:07.315 --> 00:01:10.228 その商売をパタゴニアと名付けたときに 00:01:10.252 --> 00:01:13.212 私は最初の6人の従業員の一人となり 00:01:13.236 --> 00:01:15.149 そののちに CEO まで務めて 00:01:15.173 --> 00:01:17.561 会社の成長に貢献しました 00:01:17.585 --> 00:01:21.180 最良の製品を作り世界に貢献するという言葉が 00:01:21.180 --> 00:01:23.660 単なるキャッチフレーズ以上の 意味を持つ会社です NOTE Paragraph 00:01:24.198 --> 00:01:29.150 ダグ・トンプキンスは 何年かのちに私の夫となりましたが 00:01:29.174 --> 00:01:33.014 イボンの旧友で クライマー仲間でもあると共に 00:01:33.038 --> 00:01:35.323 起業家でもあり 00:01:35.919 --> 00:01:39.252 ザ・ノース・フェイスとエスプリの 共同創始者でした 00:01:39.276 --> 00:01:41.331 3つの会社はいずれも 00:01:41.355 --> 00:01:44.887 創業者が青春を過ごした60年代の 00:01:44.911 --> 00:01:49.783 市民権運動や反戦運動、フェミニズムや 平和活動に影響を受けていました 00:01:49.807 --> 00:01:53.998 当時はこういう価値観が注目され 00:01:54.022 --> 00:01:57.895 3つの会社の掲げる価値の中に 反映されていました NOTE Paragraph 00:01:57.919 --> 00:01:59.506 1980年代の終わりには 00:01:59.530 --> 00:02:02.387 ダグは事業の一切から手を引き 00:02:02.411 --> 00:02:05.400 人生の残り3分の1を捧げて 00:02:05.400 --> 00:02:08.355 「地球に賃料を支払う」と呼んだ 活動をすると決めました 00:02:08.379 --> 00:02:11.926 同じ頃 私は40歳を迎え 00:02:11.950 --> 00:02:15.366 まったく新しいことに 挑戦したい気持ちになっていました 00:02:15.676 --> 00:02:19.343 パタゴニア社を退職した翌日に 00:02:19.367 --> 00:02:24.454 私は1万キロを飛んで パタゴニアの地に向かい 00:02:24.478 --> 00:02:30.276 人生の残り3分の1で最初の 自然保護プロジェクトを開始していた 00:02:30.300 --> 00:02:32.033 ダグと合流しました NOTE Paragraph 00:02:32.371 --> 00:02:35.742 私たちは 実業の世界からの避難民として 00:02:35.766 --> 00:02:38.718 チリの南部にある 海岸近くの小屋に引きこもりました 00:02:38.742 --> 00:02:41.067 周りを囲む原生の雨林には 00:02:41.091 --> 00:02:44.440 樹齢1000年以上の パタゴニアヒバがそびえていました 00:02:44.464 --> 00:02:46.993 そこは大きな原生林の真ん中で 00:02:47.017 --> 00:02:51.200 パンアメリカンハイウェイが アラスカのフェアバンクスから 00:02:51.200 --> 00:02:54.088 ホーン岬に至る途中で 未開通の2箇所の片方です 00:02:54.152 --> 00:02:58.372 私たちの日常生活に 根本的な変化が急がれると痛感したのは 00:02:58.412 --> 00:03:00.292 自然の美しさと生物多様性が 00:03:00.342 --> 00:03:03.879 至るところで損なわれていると 分ってきたからです 00:03:03.903 --> 00:03:07.371 地上で最後まで 未開のまま守られたこの地が 00:03:07.395 --> 00:03:08.594 残っていた理由は 00:03:08.618 --> 00:03:12.712 容赦ない開発の最前線が 00:03:12.736 --> 00:03:14.973 まだ到達していなかっただけのことでした NOTE Paragraph 00:03:14.997 --> 00:03:18.236 ダグと私は地球上でもっとも 遠隔の地にいましたが 00:03:18.260 --> 00:03:23.696 私たちが自然保護に最初に着手した このプマリン・パークの周囲ですら 00:03:23.720 --> 00:03:27.573 水産養殖産業が 悪性腫瘍のように成長していました 00:03:27.886 --> 00:03:31.942 まもなく その他の脅威もパタゴニア地域に到達しました 00:03:31.966 --> 00:03:35.991 金の採掘や 手つかずの流域に持ち上がった ダムのプロジェクト 00:03:36.015 --> 00:03:38.046 その他の摩擦も増えていきます 00:03:38.070 --> 00:03:43.650 世界の経済成長が暴走する音は 00:03:43.674 --> 00:03:48.420 南アメリカの最南端にも 響きわたっていました NOTE Paragraph 00:03:49.262 --> 00:03:53.799 進歩は一般的には とても前向きなこと 00:03:53.799 --> 00:03:57.345 ある種の望ましい進化と みなされていることを知っています 00:03:58.339 --> 00:04:00.006 ただこの地から見ていると 00:04:00.030 --> 00:04:02.830 経済成長の負の側面も見えてきます 00:04:03.292 --> 00:04:05.554 経済を軸とする世界観で 00:04:05.648 --> 00:04:10.208 全ての生命を支える 自然環境のシステムを眺めると 00:04:10.617 --> 00:04:14.080 地球を 私たちが必要と考える物を 全て生産する― 00:04:14.150 --> 00:04:17.695 工場として扱うことに陥ります 00:04:18.958 --> 00:04:22.077 そんな世界観は人類の幸福や 00:04:22.101 --> 00:04:25.177 地球の気候や 野生動物に対して 00:04:25.177 --> 00:04:30.033 破壊的な結果をもたらすと気づき 皆が心を痛めています 00:04:31.167 --> 00:04:34.476 ダグはそれを進歩の対価と呼びました 00:04:34.500 --> 00:04:36.119 こういう世界を眺めると 00:04:36.143 --> 00:04:39.011 それに対して抵抗する側に 加わりたいと考えました 00:04:39.035 --> 00:04:41.819 一方的な進歩を押し戻すのです NOTE Paragraph 00:04:41.843 --> 00:04:44.732 購入した私有地を寄贈して 00:04:44.756 --> 00:04:46.617 国立公園を作るという発想は 00:04:46.617 --> 00:04:48.231 特に新しいものではありません 00:04:48.255 --> 00:04:53.593 ワイオミングのグランドティトン国立公園で 眺望を楽しんだり 00:04:53.617 --> 00:04:56.957 メインのアーカディア国立公園でキャンプを したことのある人は 00:04:56.957 --> 00:04:59.804 この偉大なアイデアから恩恵を受けています 00:05:00.339 --> 00:05:01.926 家族財団を通じて 00:05:01.950 --> 00:05:06.347 私たちはチリとアルゼンチンで 野生動物の生息地を購入し始めました 00:05:07.141 --> 00:05:09.673 保全生物学の知見に従って 00:05:09.697 --> 00:05:13.309 野生の土地を繋げていけるように 大規模に購入しました 00:05:14.085 --> 00:05:16.760 ある場所は手つかずのままの姿であり 00:05:16.784 --> 00:05:19.498 別の場所は再び自然を取り戻すために 00:05:19.522 --> 00:05:21.903 時間をかけて修復することが必要でした 00:05:21.927 --> 00:05:24.875 最終的には 8000平方キロメートルの土地を 00:05:24.875 --> 00:05:26.720 協力の得られる売り手から取得し 00:05:26.744 --> 00:05:31.140 それを繋げて 私的な管理のもとで保護地域としました 00:05:31.164 --> 00:05:36.370 並行してキャンプ場やトレイルなど 公園としての基盤を整備しました 00:05:36.394 --> 00:05:39.140 将来は一般に向けて公開し 00:05:39.140 --> 00:05:40.368 誰でも受け入れます NOTE Paragraph 00:05:40.879 --> 00:05:45.767 私たちのゴールは この土地全てを 新しい国立公園として寄付することでした 00:05:46.395 --> 00:05:52.332 これを資本主義の柔道技と 呼んでも良いでしょう 00:05:53.101 --> 00:05:57.005 事業を通じて私有財産を築き 00:05:58.632 --> 00:06:02.466 それを投じて 世界の経済が進出して 00:06:02.490 --> 00:06:07.926 自然を貪り食うのを防ぐのです 00:06:07.950 --> 00:06:09.284 良さそうな話ですが 00:06:09.308 --> 00:06:11.537 90年代初頭のチリでは 00:06:11.561 --> 00:06:15.069 私たちが称する原生地保護の慈善事業は 00:06:15.093 --> 00:06:17.378 まったく未知の取り組みであり 00:06:17.402 --> 00:06:20.561 多大な疑念に直面することになりました 00:06:20.585 --> 00:06:23.728 多くの地域では あからさまに敵視されました 00:06:24.101 --> 00:06:28.196 時間をかけて 約束を実現することを軸にして 00:06:28.220 --> 00:06:30.087 支持者を獲得してきました 00:06:30.577 --> 00:06:32.585 27年間にわたって 00:06:32.609 --> 00:06:36.837 6万平方キロ近くの 00:06:36.861 --> 00:06:41.623 温帯降雨林と パタゴニアの草原地域と 00:06:41.647 --> 00:06:45.091 沿岸地域と淡水の湿地帯を永続的に保護し 00:06:45.115 --> 00:06:48.124 13カ所の国立公園を作りました 00:06:48.148 --> 00:06:50.537 どの公園も私たちが寄付した土地と 00:06:50.561 --> 00:06:54.663 これらの土地に隣接する 国有地から構成されています NOTE Paragraph 00:06:55.378 --> 00:07:00.412 4年前 カヤックの事故によって ダグが亡くなると 00:07:00.436 --> 00:07:03.928 またあの喪失の感覚に 直面することになりました 00:07:03.952 --> 00:07:08.086 ただ 私たちトンプキンス・ コンサベーションのメンバーは 00:07:08.086 --> 00:07:11.452 悲しみを受け止め 仕事を加速しようと努めました 00:07:11.476 --> 00:07:13.738 たとえば2018年には 00:07:13.762 --> 00:07:18.942 南太平洋沿いに 10万平方キロメートルの 00:07:18.972 --> 00:07:21.601 新しい海洋公園を開設しました 00:07:21.625 --> 00:07:25.347 商用の漁獲とあらゆる採掘を 禁じています 00:07:25.919 --> 00:07:31.467 2019年には史上最大の 私有地贈与を完了し 00:07:31.491 --> 00:07:35.364 私たちが所有する自然保護区域の 最後の4千平方キロメートルを 00:07:35.388 --> 00:07:37.133 チリ政府に引き渡しました 00:07:37.157 --> 00:07:39.839 官民の連携によって 00:07:39.863 --> 00:07:44.085 5つの新しい国立公園が生まれ また3つの国立公園が拡張されました 00:07:44.109 --> 00:07:48.371 全てを合計すると スイスの国土よりも広い地域となります NOTE Paragraph 00:07:48.395 --> 00:07:52.220 私たちのプロジェクトは全て 連携の成果です 00:07:52.244 --> 00:07:56.370 まず何よりもチリ政府や アルゼンチン政府との連携です 00:07:56.768 --> 00:07:58.942 さらにこれには 00:07:58.966 --> 00:08:03.001 両国の貴重な財産の価値を理解し 守ろうとするリーダーシップが 00:08:03.001 --> 00:08:06.302 今日のためだけでなく はるか将来のためにも欠かせません 00:08:07.548 --> 00:08:12.064 同じ思いを持った 自然保護の慈善活動家との連携も 00:08:12.088 --> 00:08:14.921 全ての成果に関わっています NOTE Paragraph 00:08:14.945 --> 00:08:17.863 15年前には よく自問したものでした 00:08:17.887 --> 00:08:20.307 ただ自然を守るだけではなく 00:08:20.331 --> 00:08:25.958 完全に機能する生態系を作るためには 何をする必要があるだろうか 00:08:26.268 --> 00:08:30.220 そして活動している それぞれの場所について考えました 00:08:30.244 --> 00:08:31.394 欠けているのは何か 00:08:32.133 --> 00:08:34.220 どんな種が消滅しているのか 00:08:35.441 --> 00:08:38.875 あるいは数が減って脆弱な種はどれか などです 00:08:39.115 --> 00:08:41.161 また 合わせて考える必要があったのは 00:08:41.161 --> 00:08:43.387 そういう種が絶滅の憂き目にあった 00:08:43.411 --> 00:08:46.363 直接の理由を取り除くことです 00:08:46.387 --> 00:08:48.680 今となっては自明に見えても 00:08:48.704 --> 00:08:53.062 当時の私たちには 雷に打たれるほどの衝撃でした 00:08:54.387 --> 00:08:59.346 そして私たちの取り組み全ての性質を 00:08:59.346 --> 00:09:00.830 完全に塗り替えました 00:09:01.220 --> 00:09:05.878 生態系の全ての構成員が そこに居て繁栄していなければ 00:09:05.902 --> 00:09:10.767 のちの世界に 完全に生きた生態系を 残すことは不可能でしょう 00:09:11.204 --> 00:09:17.587 それ以来 いくつかの固有種を イベラ湿地に導入してきました 00:09:17.611 --> 00:09:19.365 オオアリクイ 00:09:19.389 --> 00:09:20.770 パンパスジカ 00:09:20.794 --> 00:09:22.063 ヘソイノシシ 00:09:22.087 --> 00:09:25.716 そして かなり苦労することになったのですが 00:09:25.786 --> 00:09:32.736 100年にわたって生態系から失われていた ベニコンゴウインコを復元しました 00:09:32.760 --> 00:09:36.958 今日 この鳥は戻ってきて 自由に飛び回って種子を播くなど 00:09:36.982 --> 00:09:40.054 まったく自然に生息しています NOTE Paragraph 00:09:40.078 --> 00:09:42.613 イベラでのこういう活動の 00:09:42.637 --> 00:09:46.720 目玉は頂点捕食者を 復元することです 00:09:46.744 --> 00:09:50.211 陸上ではジャガー 水中ではオオカワウソ 00:09:50.235 --> 00:09:55.793 何年かの試行錯誤を経て 生まれたジャガーの子供は 00:09:55.917 --> 00:09:57.944 この半世紀ではじめて 00:09:58.013 --> 00:10:02.434 イベラの湿地に返される予定です 00:10:02.458 --> 00:10:08.291 今や 7000平方キロメートルの イベラ公園には十分な空間があり 00:10:08.315 --> 00:10:10.860 ジャガーの個体数が増えてきても 00:10:10.920 --> 00:10:15.077 近隣の牧場に影響するリスクはわずかです 00:10:15.101 --> 00:10:17.680 チリでの自然復元プロジェクトは 00:10:17.704 --> 00:10:21.256 パタゴニア地域で 個体数が少なかった 大事な数種に関して 00:10:21.280 --> 00:10:22.844 着実に進展しています 00:10:22.868 --> 00:10:26.388 絶滅寸前だったフエムルジカや 00:10:26.388 --> 00:10:28.060 ダーウィン・レアを保護し 00:10:28.084 --> 00:10:33.401 ピュマとキツネの個体数を復活させました NOTE Paragraph 00:10:33.782 --> 00:10:39.218 何かを失ったからといって 単に郷愁の念を覚えたり絶望するだけなら 00:10:39.599 --> 00:10:42.924 何の役にも立ちません 00:10:45.025 --> 00:10:46.382 そうではなくて 00:10:47.485 --> 00:10:50.322 失われたものを取り返そうとする 00:10:50.346 --> 00:10:54.659 意欲を生み出す力となってはじめて 有用なのです 00:10:55.349 --> 00:10:57.905 もちろん 再野生化の最初のステップは 00:10:57.929 --> 00:11:01.547 それが可能だと想像するところからです 00:11:01.571 --> 00:11:06.077 昔の日記に登場する 大量の野生の生き物は 00:11:06.101 --> 00:11:10.109 ほこりをまとった古い本に書かれた ただの物語ではないのです 00:11:11.529 --> 00:11:13.278 想像できますか 00:11:14.994 --> 00:11:20.454 世界はもっと美しく もっと公平なものにできると 00:11:20.478 --> 00:11:21.879 信じられますか 00:11:23.375 --> 00:11:24.525 私はできます 00:11:24.982 --> 00:11:26.382 それを見てきたからです 00:11:26.800 --> 00:11:28.132 これがその実例です NOTE Paragraph 00:11:28.132 --> 00:11:31.593 2004年に 私たちが チリとパタゴニアにおける 00:11:31.593 --> 00:11:33.504 最大級の牧場を購入したとき 00:11:33.504 --> 00:11:35.258 こんな光景が広がっていました 00:11:35.282 --> 00:11:39.106 この土地は1世紀にわたって 家畜が過放牧され 00:11:39.130 --> 00:11:41.789 世界中の草地と同様のひどい状態でした 00:11:41.813 --> 00:11:44.205 いたるところで土壌が浸食され 00:11:44.229 --> 00:11:47.063 数百キロにわたって設置された囲いが 00:11:47.087 --> 00:11:52.281 野生動物の自由な行動を妨げていました 00:11:52.281 --> 00:11:55.660 もはや残された野生動物は ほとんどいないというのに 00:11:55.684 --> 00:11:59.919 地域固有の ヤマネコやキツネは 何十年も虐げられ続け 00:11:59.919 --> 00:12:02.184 わずかな個体数が残るばかりでした 00:12:02.208 --> 00:12:07.439 その土地が今では 3000平方キロのパタゴニア国立公園となり 00:12:07.439 --> 00:12:09.289 ご覧のような景色になりました 00:12:09.313 --> 00:12:11.592 以前は牧場で働いていたアルケリオは 00:12:11.616 --> 00:12:17.839 かつては ヤマネコを 見つけて殺すのが最優先の仕事でしたが 00:12:17.863 --> 00:12:22.863 今では公園の野生動物保護官の チーフとして働いています 00:12:22.887 --> 00:12:29.500 彼の話は何が可能なのかについて 世界中の人の想像力を捉えます NOTE Paragraph 00:12:30.096 --> 00:12:35.918 こういう考え方と映像を紹介しているのは 自己満足のためではなく 00:12:35.918 --> 00:12:37.848 お伝えしたいことがあり 00:12:37.848 --> 00:12:40.598 差し迫った課題に取り組んでほしいからです 00:12:41.109 --> 00:12:43.268 生存に関わる問いであればすなわち 00:12:43.292 --> 00:12:47.776 生存する生物の多様性と 人類の尊厳と 00:12:47.800 --> 00:12:50.513 健全な人間社会について問うならば 00:12:50.513 --> 00:12:54.337 その答えは 地球に野生の地を 復元することを含むはずです 00:12:55.903 --> 00:12:58.765 できるだけ広く できるだけ迅速に 00:13:00.038 --> 00:13:03.355 そのためには 誰もにできることがあります 00:13:04.125 --> 00:13:08.219 ただとりわけ 特権を手にし 00:13:08.243 --> 00:13:11.760 政治的な力と 00:13:11.784 --> 00:13:12.934 富を有するみなさん 00:13:14.442 --> 00:13:18.799 事態をきちんと直視してください 好むと好まざるとにかかわらず 00:13:18.823 --> 00:13:22.347 私たちの未来を巡る 勝負の舞台はここになります 00:13:23.664 --> 00:13:26.055 そしていよいよ問題の核心に迫ります NOTE Paragraph 00:13:26.850 --> 00:13:31.005 世界の行く末を変えるために必要なことに 取り組む準備はできているでしょうか 00:13:31.600 --> 00:13:34.577 ここ数カ月の間 新型コロナウイルスの蔓延を防ぐために 00:13:34.601 --> 00:13:37.149 世界中で生じた変化は 00:13:37.173 --> 00:13:39.045 とても希望の持てるものでした 00:13:39.069 --> 00:13:44.188 それは 厳しい環境下でも力を合わせて 活動できることを示しているからです 00:13:44.506 --> 00:13:49.815 今乗り越えようとしていることは 地球温暖化の結果生じるであろう― 00:13:49.839 --> 00:13:55.474 より広範な被害の 先駆けなのかもしれません 00:13:56.471 --> 00:13:58.306 警告なしで訪れた危機に対して 00:13:58.330 --> 00:14:03.482 世界は 想像もしなかったやり方での 共同の取り組みを学んでいます 00:14:03.506 --> 00:14:06.363 世界中の若者が 立ち上がり 街に出て 00:14:06.387 --> 00:14:09.085 私たちの責任を問い 00:14:09.109 --> 00:14:14.541 私たちの無為を責めているのに 00:14:14.541 --> 00:14:17.033 私は勇気づけられます NOTE Paragraph 00:14:17.057 --> 00:14:19.808 どれも 前にも聞いたことのある話でしょう 00:14:19.808 --> 00:14:23.990 ただ 全てのものがお互いに全て つながっているという現実に 00:14:24.014 --> 00:14:28.370 目覚めるべき時があるならば 00:14:28.370 --> 00:14:29.664 今こそ その時期です 00:14:29.868 --> 00:14:36.506 全ての人の暮らしが 世界中のあらゆる人の行為に影響されます 00:14:36.530 --> 00:14:41.394 人類の運命は この地球の健康状態と固く結びついています 00:14:43.072 --> 00:14:44.905 私たちは運命共同体であり 00:14:44.929 --> 00:14:46.691 繁栄の道を歩むにしても 00:14:46.715 --> 00:14:48.217 苦難の道を歩むにしても 00:14:49.580 --> 00:14:51.997 皆が共に歩むしかないのです NOTE Paragraph 00:14:52.490 --> 00:14:54.109 ここが大事なポイントです 00:14:54.133 --> 00:14:58.995 私たちはすでに 個人個人が 行動するしかない事態を迎えています 00:14:59.530 --> 00:15:01.660 私はこう考えます 00:15:01.660 --> 00:15:05.672 倫理的な義務として 私たちの一人ひとりが 00:15:05.696 --> 00:15:09.998 自分のいる場所を生命の循環の中で 捉え直すことが求められています 00:15:10.022 --> 00:15:13.498 自分が中心と考えないで 全体の一部として考えるのです 00:15:13.522 --> 00:15:15.299 こうありたいと選んだ姿が 00:15:15.323 --> 00:15:18.390 私たちの行動に反映されることを 忘れてはいけません 00:15:18.895 --> 00:15:25.085 すべての生命のそれぞれに価値を認めるような 文明を作りましょう 00:15:25.909 --> 00:15:27.941 たとえ誰であっても 00:15:27.965 --> 00:15:30.893 どんなことに取り組まないといけなくても 00:15:30.917 --> 00:15:34.123 毎朝 起きたときには必ず 00:15:34.147 --> 00:15:38.120 何か自分自身とは関わりがなく 00:15:38.144 --> 00:15:43.595 自分の愛することと大いに関わることを 何かしてください 00:15:44.196 --> 00:15:47.198 それが真実であるとわかっていることを 行ってください 00:15:47.198 --> 00:15:51.022 人類の進歩を こんなふうに 想像するようになってください 00:15:51.046 --> 00:15:54.275 私たちを全体性に近づけるもの 00:15:54.608 --> 00:15:55.758 健全さをめざすもの 00:15:56.473 --> 00:15:58.108 人の尊厳を目指すもの 00:15:59.013 --> 00:16:00.399 常に 00:16:01.140 --> 00:16:02.915 そして永遠に 00:16:03.196 --> 00:16:04.620 野生の美を目指すもの NOTE Paragraph 00:16:06.365 --> 00:16:07.515 ありがとう