1 00:00:00,000 --> 00:00:03,000 走ること それは左右交互に足踏みすることですね? 2 00:00:03,000 --> 00:00:05,000 200万年も走ってきたのですから 3 00:00:05,000 --> 00:00:08,000 「これまで知られていなかった走りに関する 4 00:00:08,000 --> 00:00:10,000 新たな知見を紹介します」 5 00:00:10,000 --> 00:00:13,000 というのは少し厚かましいかもしれません 6 00:00:13,000 --> 00:00:15,000 さて 私の素敵な発見とは 7 00:00:15,000 --> 00:00:17,000 走りが何か奇妙な行動を 8 00:00:17,000 --> 00:00:19,000 引き起こすということです 9 00:00:19,000 --> 00:00:22,000 数ヶ月前のニューヨークシティマラソンを見た方はいますか? 10 00:00:22,000 --> 00:00:24,000 誰も見たことのなかった 11 00:00:24,000 --> 00:00:27,000 すごい光景を目にしたはずです 12 00:00:27,000 --> 00:00:29,000 デラルツ・ツルというエチオピアの女性が 13 00:00:29,000 --> 00:00:31,000 スタートラインに立っていました 14 00:00:31,000 --> 00:00:33,000 彼女はすでに37歳で 15 00:00:33,000 --> 00:00:35,000 8年間勝利から見放されています 16 00:00:35,000 --> 00:00:37,000 ほんの数ヶ月前には 17 00:00:37,000 --> 00:00:39,000 出産で生死の境をさまよいました 18 00:00:39,000 --> 00:00:42,000 ツルはマラソンから引退するつもりでした 19 00:00:42,000 --> 00:00:44,000 しかし 最後の舞台に一か八かの 20 00:00:44,000 --> 00:00:46,000 懸けにでようと決めていたのです 21 00:00:46,000 --> 00:00:48,000 それが皆さんもご存知の 22 00:00:48,000 --> 00:00:50,000 ニューヨークシティマラソンでした 23 00:00:50,000 --> 00:00:53,000 ツルには災難ですが他にも同じ 24 00:00:53,000 --> 00:00:55,000 思いを持つランナーがいました 25 00:00:55,000 --> 00:00:58,000 オリンピック金メダリストのポーラ・ラドクリフです 26 00:00:58,000 --> 00:01:02,000 女子マラソン史上最速の彼女の記録は男子の 27 00:01:02,000 --> 00:01:04,000 世界記録と10分しか変わらず 28 00:01:04,000 --> 00:01:07,000 まず彼女を倒すことはとうてい無理です 29 00:01:07,000 --> 00:01:09,000 ツルにとっては挑戦でした 30 00:01:09,000 --> 00:01:12,000 スタートしたとき ツルは格下どころか 31 00:01:12,000 --> 00:01:14,000 相手にもならない存在でした 32 00:01:14,000 --> 00:01:16,000 それでもツルは喰らいつきました 33 00:01:16,000 --> 00:01:19,000 レースの終盤 35km地点で 34 00:01:19,000 --> 00:01:21,000 ツルは先頭集団の中を 35 00:01:21,000 --> 00:01:23,000 走っていました 36 00:01:23,000 --> 00:01:26,000 その時 まさにビックリする事件が起きたのです 37 00:01:26,000 --> 00:01:29,000 優勝候補のポーラ・ラドクリフが 38 00:01:29,000 --> 00:01:32,000 格下のツルの手をつかみ 自身の 39 00:01:32,000 --> 00:01:35,000 脚をおさえて後退し始めたのです 40 00:01:35,000 --> 00:01:37,000 どうすればいいかわかりますね? 41 00:01:37,000 --> 00:01:39,000 肘鉄を入れ ふりほどいて 42 00:01:39,000 --> 00:01:41,000 ゴールを目指せば良いんです 43 00:01:42,000 --> 00:01:44,000 ツルはそうはしませんでした 44 00:01:44,000 --> 00:01:46,000 ポーラを振り払わずに 45 00:01:46,000 --> 00:01:48,000 手を握り返して鼓舞しました 46 00:01:48,000 --> 00:01:50,000 「がんばりましょう あなたならできる!」 47 00:01:50,000 --> 00:01:52,000 なんとか立ち上がったポーラは 48 00:01:52,000 --> 00:01:54,000 先頭集団に追いつき 49 00:01:54,000 --> 00:01:56,000 ゴールを目指しました 50 00:01:56,000 --> 00:01:58,000 しかしポーラは再度遅れ始めました 51 00:01:58,000 --> 00:02:00,000 ツルは今度もポーラをひきあげようとしました 52 00:02:00,000 --> 00:02:02,000 ポーラは言いました 53 00:02:02,000 --> 00:02:04,000 「私はいいから 行きなさい」 54 00:02:04,000 --> 00:02:07,000 この感動的な話の予想される結末はこうです 55 00:02:07,000 --> 00:02:09,000 ツルは勝利の代わりに 56 00:02:09,000 --> 00:02:11,000 もっと大切なものを手に入れるのです 57 00:02:11,000 --> 00:02:14,000 しかしツルはここでも台本を裏切ります 58 00:02:14,000 --> 00:02:17,000 負けるどころか 先頭集団に追いつき 59 00:02:17,000 --> 00:02:19,000 追い抜いて1着でゴール 60 00:02:19,000 --> 00:02:21,000 多額の賞金も手にしました 61 00:02:21,000 --> 00:02:23,000 実に心温まる話ですね 62 00:02:23,000 --> 00:02:25,000 しかし もう少し掘り下げて考えると 63 00:02:25,000 --> 00:02:28,000 そこで何が起きたのか不思議に思われますね 64 00:02:28,000 --> 00:02:30,000 例外的事象が2つも一度に 65 00:02:30,000 --> 00:02:32,000 起こるのは単なる偶然ではありません 66 00:02:32,000 --> 00:02:35,000 最大の競争心と思いやりを併せ持つランナー 67 00:02:35,000 --> 00:02:38,000 これは偶然ではありません 68 00:02:38,000 --> 00:02:41,000 水かきと えらを持つ生物には 69 00:02:41,000 --> 00:02:43,000 水との関連性をうかがえます 70 00:02:43,000 --> 00:02:46,000 ツルのようなハートには なにか関連性が潜んでいるんです 71 00:02:46,000 --> 00:02:48,000 その答えはメキシコの 72 00:02:48,000 --> 00:02:51,000 カッパーキャニオンにあると思います 73 00:02:51,000 --> 00:02:53,000 ここにはタラフマラという 74 00:02:53,000 --> 00:02:55,000 原住民が暮らしています 75 00:02:55,000 --> 00:02:58,000 タラフマラ族には3つの驚くべき秘密があります 76 00:02:58,000 --> 00:03:00,000 1つ目は 77 00:03:00,000 --> 00:03:02,000 彼らの生活様式です 78 00:03:02,000 --> 00:03:04,000 400年前とほとんど同じです 79 00:03:04,000 --> 00:03:07,000 北米大陸に侵略者が来た時に選択を迫られました 80 00:03:07,000 --> 00:03:10,000 1. 戦う 2. 逃げる 81 00:03:10,000 --> 00:03:12,000 戦いを選んだマヤ族と 82 00:03:12,000 --> 00:03:15,000 アステカ族はほとんど生き残っていません 83 00:03:15,000 --> 00:03:17,000 タラフマラ族には別の作戦がありました 84 00:03:17,000 --> 00:03:19,000 故郷を捨ててクモの巣のように 85 00:03:19,000 --> 00:03:21,000 細分化した迷宮のような渓谷― 86 00:03:21,000 --> 00:03:23,000 カッパーキャニオンに隠れたんです 87 00:03:23,000 --> 00:03:25,000 これが17世紀の話なんですが 88 00:03:25,000 --> 00:03:28,000 当時から現在に至るまで 89 00:03:28,000 --> 00:03:32,000 彼らの生活様式はほとんど変っていません 90 00:03:32,000 --> 00:03:35,000 2つめの秘密は 91 00:03:35,000 --> 00:03:38,000 70 - 80代の高齢者の方が 92 00:03:38,000 --> 00:03:40,000 長距離マラソンではなく 93 00:03:40,000 --> 00:03:42,000 超長距離マラソンを走ることです 94 00:03:42,000 --> 00:03:44,000 42.195kmどころか 95 00:03:44,000 --> 00:03:47,000 一度に160kmも240kmも走るのです 96 00:03:47,000 --> 00:03:50,000 怪我もせず なんの問題もありません 97 00:03:50,000 --> 00:03:52,000 3つ目の秘密はこれから 98 00:03:52,000 --> 00:03:54,000 お話することに関連しています 99 00:03:54,000 --> 00:03:56,000 心臓病・コレステロール・ガン― 100 00:03:56,000 --> 00:03:59,000 犯罪・戦争・暴力・鬱病といった 101 00:03:59,000 --> 00:04:01,000 私たちが技術と知識を 102 00:04:01,000 --> 00:04:04,000 総動員して解決を試みる現代の 103 00:04:04,000 --> 00:04:07,000 問題はタラフマラ族には理解できないでしょう 104 00:04:07,000 --> 00:04:09,000 文明社会の抱える 105 00:04:09,000 --> 00:04:11,000 今日の問題とは無縁なのです 106 00:04:11,000 --> 00:04:13,000 ではどういった関係があるのでしょう 107 00:04:13,000 --> 00:04:15,000 いいですか 例外について話をしているんです 108 00:04:15,000 --> 00:04:17,000 なにかしら 因果関係があるはずです 109 00:04:17,000 --> 00:04:19,000 ハーバード大学とユタ大学の 110 00:04:19,000 --> 00:04:21,000 研究チームはタラフマラ族の 111 00:04:21,000 --> 00:04:23,000 英知を解き明かすために 112 00:04:23,000 --> 00:04:26,000 知恵をだし調査をしてきました 113 00:04:26,000 --> 00:04:29,000 この謎解きと先ほどの例外には通ずるところがあります 114 00:04:29,000 --> 00:04:32,000 ツルとタラフマラの謎を解き明かす鍵が 115 00:04:32,000 --> 00:04:35,000 この謎の中に潜む謎なのですが 116 00:04:35,000 --> 00:04:38,000 更に別の3つの謎に包まれています 117 00:04:38,000 --> 00:04:40,000 これは誰にも分かりません 118 00:04:40,000 --> 00:04:42,000 ご存じの方はぜひとも前に来て下さい 119 00:04:42,000 --> 00:04:45,000 知っていれば地球上の誰よりも賢いことになります 120 00:04:45,000 --> 00:04:47,000 一つ目の謎: 121 00:04:47,000 --> 00:04:50,000 200万年前 人類の脳は飛躍的に拡大しました 122 00:04:50,000 --> 00:04:52,000 アウステラロピテクスの脳は豆粒大でした 123 00:04:52,000 --> 00:04:54,000 ホモ・エレクトスの時代には 124 00:04:54,000 --> 00:04:56,000 頭はメロンほどになっていました 125 00:04:56,000 --> 00:04:58,000 この大きさの脳を機能させるには 126 00:04:58,000 --> 00:05:01,000 濃密なエネルギー資源が必要となります 127 00:05:01,000 --> 00:05:03,000 原始人が動物の屍肉を食べていたことは 128 00:05:03,000 --> 00:05:05,000 紛れもない事実ですね 129 00:05:05,000 --> 00:05:07,000 唯一の問題は 130 00:05:07,000 --> 00:05:10,000 最古の石器誕生がわずか20万年前ということです 131 00:05:10,000 --> 00:05:13,000 要はそれ以前の約200万年間は 132 00:05:13,000 --> 00:05:16,000 武器なしで狩猟をしていたということです 133 00:05:16,000 --> 00:05:18,000 図体はでかいがひ弱な 134 00:05:18,000 --> 00:05:20,000 人類は自力で何かを殺したりはしません 135 00:05:20,000 --> 00:05:22,000 他の動物の方がよほど強いですよね 136 00:05:22,000 --> 00:05:25,000 牙や爪もあるし 機敏で走るのも速い 137 00:05:25,000 --> 00:05:28,000 ウサイン・ボルトは速いですが リスでも追いつけます 138 00:05:28,000 --> 00:05:30,000 私たちはのろまなのです 139 00:05:30,000 --> 00:05:32,000 リス捕獲 はオリンピック競技になりますね 140 00:05:32,000 --> 00:05:35,000 放したリスを捕まえれば金メダルです 141 00:05:35,000 --> 00:05:38,000 武器・スピード・強さ 全てを欠いています 142 00:05:38,000 --> 00:05:41,000 どのように狩猟したのでしょう? これが一つ目の謎です 143 00:05:41,000 --> 00:05:43,000 二つ目の謎: 144 00:05:43,000 --> 00:05:46,000 女性がオリンピックに参加してからもうずいぶん経ちますが 145 00:05:46,000 --> 00:05:48,000 全女性走者に共通のことですが 146 00:05:48,000 --> 00:05:50,000 走るのが底抜けに下手です 147 00:05:50,000 --> 00:05:52,000 足の速い女性はいません 148 00:05:52,000 --> 00:05:54,000 これからも出てこないでしょう 149 00:05:54,000 --> 00:05:57,000 1マイル走(約1.6km)の女子世界記録は4分15秒を下回るだけで 150 00:05:57,000 --> 00:05:59,000 高校生でも男子なら 151 00:05:59,000 --> 00:06:01,000 このタイムはすぐに出ます 152 00:06:01,000 --> 00:06:03,000 会場の皆さんは走るのがなぜか遅いですけどね 153 00:06:03,000 --> 00:06:05,000 (笑) 154 00:06:05,000 --> 00:06:08,000 しかし先ほど話をしたマラソンなら誰にでもできます 155 00:06:08,000 --> 00:06:10,000 マラソンが解禁され まだ20年しか経っていません 156 00:06:10,000 --> 00:06:12,000 1980年代以前は 157 00:06:12,000 --> 00:06:15,000 女性がフルマラソンを 158 00:06:15,000 --> 00:06:17,000 走ることは医学的観点から禁止されていました 159 00:06:17,000 --> 00:06:21,000 その理由をご存じの方はいますか? なんと言いました? 160 00:06:21,000 --> 00:06:24,000 (観衆の一人: 子宮が裂けるから) 子宮が裂けるから 161 00:06:24,000 --> 00:06:26,000 そうです 生殖器が破壊されるからですね 162 00:06:26,000 --> 00:06:29,000 子宮が実際に体外へ出てしまうそうです 163 00:06:29,000 --> 00:06:31,000 マラソンはたくさん見てきましたが 164 00:06:31,000 --> 00:06:33,000 そんな光景は見たことがありません 165 00:06:33,000 --> 00:06:36,000 (笑) 166 00:06:36,000 --> 00:06:39,000 女性のマラソンの歴史はわずか20年です しかし 167 00:06:39,000 --> 00:06:41,000 この短期間に 168 00:06:41,000 --> 00:06:44,000 生殖器が壊れると言われていたところから 169 00:06:44,000 --> 00:06:46,000 男子世界記録まで 170 00:06:46,000 --> 00:06:48,000 あと10分のところまできました 171 00:06:48,000 --> 00:06:50,000 フルマラソンを完走した 172 00:06:50,000 --> 00:06:53,000 フェイディピデスは死亡しましたし 173 00:06:53,000 --> 00:06:55,000 フルマラソンを超える80kmや 174 00:06:55,000 --> 00:06:57,000 160km走は医学的にも危険な 175 00:06:57,000 --> 00:06:59,000 全く異なる競技になってしまいます 176 00:06:59,000 --> 00:07:02,000 アン・トレーソン ニッキ・キンバル ジェン・シェラトンに 177 00:07:02,000 --> 00:07:05,000 80kmとか160kmのレースに参加させるんです 178 00:07:05,000 --> 00:07:07,000 誰が勝つのかは予想も出来ません 179 00:07:07,000 --> 00:07:09,000 例を紹介しましょう 180 00:07:09,000 --> 00:07:11,000 数年前 エミリー・ベアは 181 00:07:11,000 --> 00:07:13,000 ハードロック100というレースに出場しました 182 00:07:13,000 --> 00:07:16,000 そのレースについて知っておくべきことはこうです 183 00:07:16,000 --> 00:07:18,000 レース時間は48時間です 184 00:07:18,000 --> 00:07:20,000 さて エミリーは赤ん坊に 185 00:07:20,000 --> 00:07:22,000 授乳するために全ての 186 00:07:22,000 --> 00:07:24,000 エイドステーションに寄りましたが 187 00:07:24,000 --> 00:07:27,000 500人中のトップ10に入り 188 00:07:27,000 --> 00:07:29,000 8位でゴールしました 189 00:07:29,000 --> 00:07:31,000 最後の謎: ベアがこの長距離を 190 00:07:31,000 --> 00:07:33,000 走り抜いた原動力とは 191 00:07:33,000 --> 00:07:35,000 なんなのか? 192 00:07:35,000 --> 00:07:38,000 ユタ大学はランナーのゴールタイムの 193 00:07:38,000 --> 00:07:40,000 推移を研究しています 194 00:07:40,000 --> 00:07:42,000 そしてこの研究で 195 00:07:42,000 --> 00:07:44,000 19歳からマラソンを始めた場合 196 00:07:44,000 --> 00:07:46,000 歳を重ねるごとに速くなり 197 00:07:46,000 --> 00:07:48,000 27歳がピークだと判明しました 198 00:07:48,000 --> 00:07:50,000 それ以降はタイムが 199 00:07:50,000 --> 00:07:52,000 伸び悩むそうです 200 00:07:52,000 --> 00:07:54,000 加齢に従ってタイムは落ちて 201 00:07:54,000 --> 00:07:57,000 最終的に19歳の頃のタイムに戻ります 202 00:07:57,000 --> 00:07:59,000 ベストタイムまでは7、8年かかり 203 00:07:59,000 --> 00:08:01,000 それから始めた頃の速さに 204 00:08:01,000 --> 00:08:04,000 徐々に戻っていくのです 205 00:08:04,000 --> 00:08:07,000 すると8年とか10年で元に戻るとお考えでしょうが 206 00:08:07,000 --> 00:08:10,000 正解は45年です 207 00:08:10,000 --> 00:08:12,000 60歳の男女が 208 00:08:12,000 --> 00:08:15,000 彼らが19歳の頃と同じ速さで走っているのです 209 00:08:15,000 --> 00:08:18,000 さて 皆さん 他の運動でいいやなんて言わせませんよ 210 00:08:18,000 --> 00:08:22,000 ゴルフはダメですよ お年寄りが10代の頃のように 211 00:08:22,000 --> 00:08:24,000 頻繁に損傷を負うほど 212 00:08:24,000 --> 00:08:27,000 ハードなスポーツですからね 213 00:08:27,000 --> 00:08:29,000 さて3つの謎を見てきたわけですが 214 00:08:29,000 --> 00:08:31,000 これらのまとめとなる 215 00:08:31,000 --> 00:08:33,000 パズルのピースはありましたか? 216 00:08:33,000 --> 00:08:35,000 先史のことなど知るかと 217 00:08:35,000 --> 00:08:38,000 怠慢になりがちなので 歴史を 218 00:08:38,000 --> 00:08:40,000 振り返り世界規模の解答を 219 00:08:40,000 --> 00:08:42,000 探る時には常に注意を払って下さい 220 00:08:42,000 --> 00:08:44,000 しかし 私の主張はこうです 221 00:08:44,000 --> 00:08:46,000 最後のピースを真ん中にはめれば 222 00:08:46,000 --> 00:08:49,000 突然 一貫したイメージが見えてくるんです 223 00:08:49,000 --> 00:08:51,000 「なぜタラフマラ族は戦わないの?」 224 00:08:51,000 --> 00:08:53,000 「なぜタラフマラ族に心臓病がないの?」 225 00:08:53,000 --> 00:08:56,000 「なぜエチオピア出身の貧しいツルが 226 00:08:56,000 --> 00:08:59,000 競争心と思いやりを持ち合わせていたの?」 227 00:08:59,000 --> 00:09:01,000 「武器なしでどうやって 228 00:09:01,000 --> 00:09:03,000 原始人は食料にありついたの?」 229 00:09:03,000 --> 00:09:05,000 このように不思議に思うのは 230 00:09:05,000 --> 00:09:08,000 人類は自身を宇宙の支配者と 231 00:09:08,000 --> 00:09:10,000 考えるが 実のところ狩猟犬と 232 00:09:10,000 --> 00:09:12,000 なんら変わりないからなのです 233 00:09:12,000 --> 00:09:14,000 人類は集団狩猟動物として 234 00:09:14,000 --> 00:09:16,000 進化してきたのかもしれません 235 00:09:16,000 --> 00:09:18,000 自然の中の私たちが持っている長所は 236 00:09:18,000 --> 00:09:20,000 牙でも爪でも俊敏性でもありません 237 00:09:20,000 --> 00:09:23,000 これは発汗作用なんです 238 00:09:23,000 --> 00:09:26,000 私たちは発汗し臭いを出すことに長けています 239 00:09:26,000 --> 00:09:29,000 発汗では地球上の全哺乳類に勝っています 240 00:09:29,000 --> 00:09:31,000 公の場では少し不快ですが 241 00:09:31,000 --> 00:09:33,000 これは炎天下で長距離を 242 00:09:33,000 --> 00:09:35,000 走る際には大変 243 00:09:35,000 --> 00:09:38,000 好都合なのです 244 00:09:38,000 --> 00:09:41,000 これこそが人類の誇れる長所です 245 00:09:41,000 --> 00:09:43,000 暑い日に馬に乗るとします 246 00:09:43,000 --> 00:09:45,000 10kmほど行くと馬は 247 00:09:45,000 --> 00:09:48,000 1. 呼吸 か 2. 体の冷却 という選択を迫られます 248 00:09:48,000 --> 00:09:50,000 人間と違って これを同時にはできないのです 249 00:09:50,000 --> 00:09:53,000 私たちが集団狩猟動物として進化したという説はどうですか? 250 00:09:53,000 --> 00:09:57,000 人類の生まれ持った長所とは 251 00:09:57,000 --> 00:09:59,000 アフリカのサバンナで 252 00:09:59,000 --> 00:10:02,000 獲物が倒れるまで集団で追い回す 253 00:10:02,000 --> 00:10:05,000 力ということはあり得ますかね? 254 00:10:05,000 --> 00:10:07,000 私たちには炎天下での 255 00:10:07,000 --> 00:10:09,000 長距離走 これしか出来ません 256 00:10:09,000 --> 00:10:12,000 これが本当ならば 他の二つも真実のはずです 257 00:10:12,000 --> 00:10:15,000 狩猟集団という言葉のカギは「集団」にあります 258 00:10:15,000 --> 00:10:17,000 一人で獲物を追い回しても 259 00:10:17,000 --> 00:10:20,000 朽ち果てて食料になってしまいます 260 00:10:20,000 --> 00:10:22,000 狩猟は集団でする必要があります 261 00:10:22,000 --> 00:10:24,000 獲物を見失わないためには 262 00:10:24,000 --> 00:10:26,000 経験を積んだ高齢者と 263 00:10:26,000 --> 00:10:28,000 集団で狩りをしなくてはダメです 264 00:10:28,000 --> 00:10:31,000 散発的に追い回し 最終的に再結集します 265 00:10:31,000 --> 00:10:33,000 集団には追跡の担当も必要です 266 00:10:33,000 --> 00:10:35,000 集団が遠く離れてはダメです 267 00:10:35,000 --> 00:10:37,000 集団には女性や子供たちも連れて行きます 268 00:10:37,000 --> 00:10:40,000 授乳期の母親と思春期の子供たちには 269 00:10:40,000 --> 00:10:43,000 動物性タンパク質が必要不可欠だからです 270 00:10:43,000 --> 00:10:45,000 いくら食料といっても80kmも 271 00:10:45,000 --> 00:10:47,000 離れていては行く気になれませんね 272 00:10:47,000 --> 00:10:49,000 皆 まとまって行動する必要があります 273 00:10:49,000 --> 00:10:51,000 狩りには最高のパフォーマンスを 274 00:10:51,000 --> 00:10:53,000 発揮する27歳が必要ですが 275 00:10:53,000 --> 00:10:55,000 体験型学習を通じて未来の 276 00:10:55,000 --> 00:10:57,000 エースとなる10代の若者も必要です 277 00:10:57,000 --> 00:10:59,000 全人員が集団で行動します 278 00:10:59,000 --> 00:11:02,000 最後に この集団は物質主義ではないはずです 279 00:11:02,000 --> 00:11:05,000 狩りをする際はくだらないことを考えてはいられません 280 00:11:05,000 --> 00:11:08,000 「あいつにはうんざりしてるんだ 協力はできない 281 00:11:08,000 --> 00:11:10,000 一人で行けばいいさ」といった 282 00:11:10,000 --> 00:11:12,000 個人的な確執があってはいけません 283 00:11:12,000 --> 00:11:15,000 協力して狩猟をする為には 284 00:11:15,000 --> 00:11:17,000 エゴは捨てなくてはいけません 285 00:11:17,000 --> 00:11:20,000 換言すると石器時代と 286 00:11:20,000 --> 00:11:22,000 タラフマラの文化は 287 00:11:22,000 --> 00:11:24,000 驚くほどに似ている 288 00:11:24,000 --> 00:11:26,000 つまり大きな変化は 289 00:11:26,000 --> 00:11:28,000 起こっていないんです 290 00:11:28,000 --> 00:11:30,000 非常に興味深い話です 291 00:11:30,000 --> 00:11:32,000 200万年間も変らずしてきたことを 292 00:11:32,000 --> 00:11:35,000 タラフマラ族もしているかもしれないんですよ 293 00:11:35,000 --> 00:11:38,000 この道から逸れたのは現代になってからです 294 00:11:38,000 --> 00:11:41,000 現代では走ることは 夜間のピザへの罰とか 295 00:11:41,000 --> 00:11:44,000 奇妙な捉え方がされています 296 00:11:44,000 --> 00:11:46,000 少し間違っているのでは? 297 00:11:46,000 --> 00:11:49,000 過去から受け継いだこの利を損ねたのは 298 00:11:49,000 --> 00:11:51,000 私たちなのかもしれません 299 00:11:51,000 --> 00:11:54,000 どうやってダメにしてしまったのでしょう? 300 00:11:54,000 --> 00:11:56,000 商業化ですね 301 00:11:56,000 --> 00:11:58,000 周辺器具などとまとめて 302 00:11:58,000 --> 00:12:00,000 見栄えを良くして販売するのです 303 00:12:00,000 --> 00:12:02,000 「よりよい走りのため」と謳って 304 00:12:02,000 --> 00:12:04,000 ランニングシューズを 305 00:12:04,000 --> 00:12:07,000 作ったのが事の発端です 306 00:12:07,000 --> 00:12:10,000 個人的にランニングシューズが嫌いな理由は 307 00:12:10,000 --> 00:12:13,000 利用中に何度も足を痛めたからです 308 00:12:13,000 --> 00:12:15,000 ランニングする方はいますか? 309 00:12:15,000 --> 00:12:17,000 先ほど裏でキャロルと 310 00:12:17,000 --> 00:12:20,000 足底筋膜炎について2 分程話をしたんですが 311 00:12:20,000 --> 00:12:23,000 ランニングの話をすると30秒もせずに決まって 312 00:12:23,000 --> 00:12:25,000 怪我の話になるんです 313 00:12:25,000 --> 00:12:28,000 人類が走者として利を得ながら進化したなら 314 00:12:28,000 --> 00:12:31,000 走るのが下手で こんなにも怪我をするはなぜ? 315 00:12:31,000 --> 00:12:33,000 ランニング中に起こる怪我の 316 00:12:33,000 --> 00:12:36,000 不思議な点は 現在に特有ということです 317 00:12:36,000 --> 00:12:38,000 なんでもいいんですが 318 00:12:38,000 --> 00:12:40,000 伝承や神話では 319 00:12:40,000 --> 00:12:42,000 走ることは常に開放感― 320 00:12:42,000 --> 00:12:45,000 活力・若さと関連づけられています 321 00:12:45,000 --> 00:12:47,000 ランニングが恐怖や苦痛と 322 00:12:47,000 --> 00:12:49,000 結びついたのは最近なんです 323 00:12:49,000 --> 00:12:51,000 ジェロニモは言っていました 324 00:12:51,000 --> 00:12:54,000 「私の唯一の友はこの脚 脚だけが信じるに足る」 325 00:12:54,000 --> 00:12:56,000 だからアパッチ族は 326 00:12:56,000 --> 00:12:58,000 砂漠を80kmも走り抜け 327 00:12:58,000 --> 00:13:00,000 白兵戦の末に奪った馬から 328 00:13:00,000 --> 00:13:02,000 革を持ち帰ることができたのです 329 00:13:02,000 --> 00:13:04,000 ジェロニモは決して言いませんでした 330 00:13:04,000 --> 00:13:07,000 「あぁアキレス腱が痛い 弱ってるな 今週は休もう」とか 331 00:13:07,000 --> 00:13:09,000 「クロストレーニングが必要だ」 332 00:13:09,000 --> 00:13:12,000 「ヨガをしていなかった まだ準備不足だ」とかね 333 00:13:12,000 --> 00:13:14,000 人類は常に走ってきました 334 00:13:14,000 --> 00:13:16,000 今はデジタルテクノロジーの時代です 335 00:13:16,000 --> 00:13:18,000 今日の科学では先人たちが 336 00:13:18,000 --> 00:13:20,000 日常的にすごいことを 337 00:13:20,000 --> 00:13:22,000 していたことがわかっています 338 00:13:22,000 --> 00:13:24,000 彼らは長距離を走るさい 339 00:13:24,000 --> 00:13:26,000 素足を頼りにしていたのです 340 00:13:26,000 --> 00:13:28,000 どうすれば戻れるでしょう? 341 00:13:28,000 --> 00:13:30,000 まず 走りに関する商売を 342 00:13:30,000 --> 00:13:33,000 根こそぎ取り除くのはどうでしょうか 343 00:13:33,000 --> 00:13:35,000 不快なランニングシューズもです 344 00:13:35,000 --> 00:13:37,000 4時間かかったらアウト 345 00:13:37,000 --> 00:13:40,000 1秒でも速ければ次に進む資格が 346 00:13:40,000 --> 00:13:42,000 得られる都市マラソンへの 347 00:13:42,000 --> 00:13:44,000 執着は捨てましょう 348 00:13:44,000 --> 00:13:47,000 タラフマラ族の世界的に健康的で 349 00:13:47,000 --> 00:13:50,000 安心できる文化を支えているのは 350 00:13:50,000 --> 00:13:52,000 裸足で走りなのです 351 00:13:52,000 --> 00:13:55,000 走る楽しみと喜びを取り戻しましょう 352 00:13:55,000 --> 00:13:57,000 ではどのような利点があるでしょう 353 00:13:57,000 --> 00:14:00,000 昨夜食べたハーゲンダッツ分のカロリー消費? 354 00:14:00,000 --> 00:14:03,000 他にも利点はあるでしょう 355 00:14:03,000 --> 00:14:06,000 そんなに大それた事ではないんですが 356 00:14:06,000 --> 00:14:08,000 こんな世界はどうでしょう 357 00:14:08,000 --> 00:14:10,000 誰もが屋外で 358 00:14:10,000 --> 00:14:12,000 エクササイズに取り組み 359 00:14:12,000 --> 00:14:15,000 穏やかにリラックスができて 360 00:14:15,000 --> 00:14:17,000 ストレスを取り除き 361 00:14:17,000 --> 00:14:19,000 より健康的になれる 362 00:14:19,000 --> 00:14:21,000 するとストレスを抱えてオフィスや 363 00:14:21,000 --> 00:14:23,000 家に戻ることもなくなります 364 00:14:23,000 --> 00:14:26,000 今日の私たちとタラフマラ族にも 365 00:14:26,000 --> 00:14:29,000 何かしらの共通性はあるはずです 366 00:14:29,000 --> 00:14:31,000 「タラフマラ族みたいに 367 00:14:31,000 --> 00:14:34,000 カッパーキャニオンでトウモロコシを食え」とは言いません 368 00:14:34,000 --> 00:14:36,000 しかしこの中間はどうですか? 369 00:14:36,000 --> 00:14:38,000 これが見つかれば 370 00:14:38,000 --> 00:14:41,000 ノーベル賞も夢ではないでしょう 371 00:14:41,000 --> 00:14:44,000 人類が1970年代まで備えていた 372 00:14:44,000 --> 00:14:46,000 生来の能力を取り戻せれば 373 00:14:46,000 --> 00:14:48,000 私たちは 374 00:14:48,000 --> 00:14:50,000 社会的・政治的― 375 00:14:50,000 --> 00:14:52,000 肉体的・精神的に 376 00:14:52,000 --> 00:14:55,000 驚くべきほどの利益を 377 00:14:55,000 --> 00:14:57,000 享受できることでしょう 378 00:14:57,000 --> 00:15:00,000 今日は拡大を続ける シューズを捨てた 379 00:15:00,000 --> 00:15:03,000 裸足のランナーのサブカルチャーを紹介しました 380 00:15:03,000 --> 00:15:05,000 彼らはシューズを脱ぐと 381 00:15:05,000 --> 00:15:08,000 ストレスがなくなり 怪我や病気から 382 00:15:08,000 --> 00:15:10,000 解放されることに気づきました 383 00:15:10,000 --> 00:15:12,000 この発見はタラフマラ族が 384 00:15:12,000 --> 00:15:14,000 長い間守ってきたことで 385 00:15:14,000 --> 00:15:16,000 走りを大いに楽しくしてくれます 386 00:15:16,000 --> 00:15:18,000 個人的にも試してみました 387 00:15:18,000 --> 00:15:21,000 長年怪我続きでしたが 40代前半にシューズを捨てると 388 00:15:21,000 --> 00:15:23,000 これは全て解消されました 389 00:15:23,000 --> 00:15:25,000 皆さんにも有益となれば幸いです 390 00:15:25,000 --> 00:15:28,000 ご静聴ありがとうございました 391 00:15:28,000 --> 00:15:30,000 (拍手)