WEBVTT 00:00:00.844 --> 00:00:04.774 皆さんには初耳かも知れない 重要なお話をするために来ました 00:00:05.259 --> 00:00:06.645 世界中の政府は 00:00:06.669 --> 00:00:08.933 意図せず気候実験を行おうと 00:00:08.957 --> 00:00:10.712 しているところなのです 00:00:10.736 --> 00:00:16.046 2020年 船舶に二酸化硫黄の放出量の 削減を課す新たな規定が制定されます 00:00:16.070 --> 00:00:18.178 汚れた排出ガスをきれいにしたり 00:00:18.202 --> 00:00:20.153 よりクリーンな燃料が 採用されるでしょう 00:00:20.705 --> 00:00:23.338 人の健康のためには これはとても良いことです 00:00:23.362 --> 00:00:25.696 でも船舶が放出する二酸化硫黄は 00:00:25.720 --> 00:00:28.481 雲にも影響を及ぼします 00:00:28.981 --> 00:00:31.482 これはアメリカ合衆国の 太平洋西海岸の 00:00:31.506 --> 00:00:34.028 海洋上の雲の衛星写真です 00:00:34.482 --> 00:00:37.789 雲の中の筋は 船の排気ガスが生成したものです 00:00:38.139 --> 00:00:41.013 船の排気ガスには 00:00:41.037 --> 00:00:43.872 熱を長期間に渡って閉じ込める 温暖化ガスや 00:00:43.896 --> 00:00:47.111 雲に混ざり雲を一時的に白く輝かせる 二酸化硫黄のような 00:00:47.135 --> 00:00:48.968 微粒子が含まれています 00:00:49.672 --> 00:00:52.963 雲が明るく輝けば より多くの太陽光を 反射して宇宙空間へ返し 00:00:52.987 --> 00:00:54.276 気候を冷却します 00:00:55.260 --> 00:00:56.642 実は 00:00:56.666 --> 00:00:59.579 人類は目下 2つの気象実験を 00:00:59.603 --> 00:01:00.753 意図せず行っています NOTE Paragraph 00:01:01.188 --> 00:01:05.230 ひとつは 温室効果ガスの濃度を高め 地球環境システムの気温を 00:01:05.254 --> 00:01:07.324 徐々に上昇させる実験です 00:01:07.712 --> 00:01:11.148 この働きを例えるなら 発熱した人体です 00:01:11.172 --> 00:01:14.558 もし体温が低ければ 影響は少ないのですが 00:01:14.582 --> 00:01:17.456 体温が上がれば ダメージはより深刻になり 00:01:17.480 --> 00:01:19.439 次第に壊滅的になります 00:01:19.748 --> 00:01:21.629 この兆候がもう見え始めています NOTE Paragraph 00:01:22.739 --> 00:01:23.962 もう一つの実験では 00:01:23.986 --> 00:01:26.606 雲を輝かせ私たちをある程度 温暖化から保護している 00:01:26.630 --> 00:01:29.864 微粒子の層を 取り除こうとしています 00:01:30.306 --> 00:01:33.512 その効果は このような海洋の雲でもっとも強力で 00:01:33.536 --> 00:01:39.005 科学者たちは来年 船舶の二酸化硫黄排出削減によって 00:01:39.029 --> 00:01:42.402 数値を変化させる程度に 温暖化が進行すると予測しています NOTE Paragraph 00:01:43.592 --> 00:01:44.742 驚きましたか? 00:01:45.687 --> 00:01:49.877 石炭、ディーゼル排気、山火事から生じる 殆どの排気ガスは 00:01:49.901 --> 00:01:53.467 雲を輝かせる 二酸化硫黄を含みます 00:01:54.149 --> 00:01:57.848 科学者たちは エアロゾルと呼ぶ排気微粒子が 00:01:57.872 --> 00:02:00.700 大気中にある場合の冷却効果の総量は 00:02:01.156 --> 00:02:05.724 私たちがこれまで体験して来た温暖化と 同等だろうと考えています 00:02:05.748 --> 00:02:08.756 この効果に関しては 多くの未知の部分があります 00:02:08.780 --> 00:02:13.106 これは天候が予測し難い 主な理由のひとつでもあります 00:02:13.130 --> 00:02:17.139 でもこの冷却効果は 排気ガスの減少とともに失われます 00:02:17.968 --> 00:02:21.944 人類は現在 膨大な量の微粒子を 00:02:22.896 --> 00:02:26.617 大気中に放出し 地球を冷却しています 00:02:26.641 --> 00:02:29.673 どの程度の冷却しているか分かっておらず 偶発的なものです 00:02:30.585 --> 00:02:32.529 不安になりますが 00:02:32.553 --> 00:02:35.971 これは温暖化を迅速に 食い止める方法があるということで 00:02:35.995 --> 00:02:39.610 必要なら気候が発熱状態になったときの 頓服薬があるということであり 00:02:39.634 --> 00:02:42.411 それが自然に由来する 薬だということなのです NOTE Paragraph 00:02:44.272 --> 00:02:47.116 これはNASAによる地球の 大気のシミュレーションで 00:02:47.140 --> 00:02:49.724 雲と微粒子が 地球上を動いている様子です 00:02:50.454 --> 00:02:54.923 この輝きは太陽光が 雲の中の微粒子により反射されたもので 00:02:54.947 --> 00:02:58.670 この反射シールドは 自然が地球の温度を 00:02:58.694 --> 00:03:01.076 人間や生き物にとって 適温に保っている 00:03:01.100 --> 00:03:02.756 基本的な手段のひとつです 00:03:03.665 --> 00:03:08.546 2015年 科学者たちは急速に気候を 冷却する可能性を検証しました 00:03:09.002 --> 00:03:12.236 宇宙空間に鏡を配置する 海中にピンポン玉を投じる 00:03:12.260 --> 00:03:17.101 北極をプラスチックのシートで 覆うなどの方法は除外し 00:03:17.125 --> 00:03:19.499 最も可能性の高いアプローチは 00:03:19.523 --> 00:03:23.590 大気の反射をほんの少し増やすことだという 結論を導き出しました 00:03:24.406 --> 00:03:28.766 大気からの太陽光反射を 1~2%増やすことで 00:03:28.790 --> 00:03:30.743 気候温暖化を2度以上 00:03:30.767 --> 00:03:34.239 相殺できるかも知れないのです NOTE Paragraph 00:03:35.600 --> 00:03:39.235 私は技術担当役員で 科学者ではありません 00:03:39.259 --> 00:03:42.068 10年ほど前に私は気候問題を懸念し 00:03:42.092 --> 00:03:46.232 科学者たちと気候温暖化対策についての 対話を始めました 00:03:46.987 --> 00:03:50.003 こうした対話は協力関係に発展し 00:03:50.027 --> 00:03:52.351 後ほどお話しする 海の雲の増白プロジェクトと 00:03:52.375 --> 00:03:54.657 そして 現在私が働く 00:03:54.681 --> 00:03:58.734 政策提言に取り組む非営利団体 「SilverLining」となりました 00:03:59.483 --> 00:04:03.070 政治家や研究者たち 00:04:03.094 --> 00:04:05.070 技術産業界などと手を組み 00:04:05.094 --> 00:04:07.233 こうしたアイデアについて 話し合います 00:04:08.039 --> 00:04:11.284 以前私はイギリス人 気候科学者の ジョン・リーサムに会いました 00:04:11.308 --> 00:04:14.315 彼は船舶が生じる効果を 自然由来の微粒子で発生させて 00:04:14.339 --> 00:04:16.654 気候を冷却する計画を提案しています 00:04:16.678 --> 00:04:19.316 海水から作った海塩水ミストを 00:04:19.340 --> 00:04:22.572 船舶から影響しやすい 海上の雲へと噴射します 00:04:23.366 --> 00:04:26.229 この手法は当時私が名付けた呼称で 知られるようになりました 00:04:26.253 --> 00:04:27.820 海の雲の増白です 00:04:27.844 --> 00:04:32.302 初期のモデル研究では 海の雲の増白によって 00:04:32.326 --> 00:04:35.914 10~20%の海雲の反射を強めると 00:04:35.938 --> 00:04:40.579 2度まで気温上昇を相殺できる 可能性があると示しました 00:04:41.200 --> 00:04:44.129 海面気温上昇による影響を 軽減するために 00:04:44.153 --> 00:04:48.738 局地的に雲の輝度を上げることすら 可能かもしれません 00:04:48.762 --> 00:04:51.574 例えばメキシコ湾岸諸州地域などを 00:04:51.598 --> 00:04:54.218 ハリケーン・シーズンの数ヶ月前に 00:04:54.242 --> 00:04:56.583 嵐の勢力を削ぐために冷却したり 00:04:56.607 --> 00:05:00.530 オーストラリアの グレート・バリア・リーフなどの 00:05:00.554 --> 00:05:02.158 熱ストレスにあえぐサンゴ礁へ 00:05:02.182 --> 00:05:04.236 流れる水流を 冷却できるかも知れません NOTE Paragraph 00:05:04.260 --> 00:05:07.006 でもこうしたアイデアは 理論的なものに過ぎず 00:05:07.030 --> 00:05:10.158 雲の増白だけが 大気からの太陽光反射を増加させる― 00:05:10.182 --> 00:05:13.483 唯一の方法だと いうわけでもありません 00:05:14.063 --> 00:05:19.016 大規模な火山が十分な勢いで 物質を大気の上層― 00:05:19.040 --> 00:05:22.245 大気圏へ吹き上げた時にも 同様の現象が起こります 00:05:22.705 --> 00:05:25.984 ピナトゥボ山が1991年に噴火した時 00:05:26.008 --> 00:05:28.008 火山は大気と混ざり太陽光を反射する 00:05:28.032 --> 00:05:32.494 二酸化硫黄などの物質を 成層圏へ吹き上げました 00:05:33.309 --> 00:05:36.355 この物質は地球の大気を 漂いながらしばらく巡回し 00:05:36.996 --> 00:05:42.658 それだけで2年間摂氏0.5度ほど 気温が下がったのです 00:05:44.011 --> 00:05:50.027 この冷却効果の結果として1992年には 著しく北極の氷量が増加し 00:05:50.051 --> 00:05:54.325 それは翌年以降に微粒子が地上へ落ちると また減少して行きました 00:05:54.349 --> 00:05:58.167 この火山現象についてノーベル賞受賞者の パウル・クルッツェンは 00:05:58.191 --> 00:06:01.492 成層圏へ微粒子を 計画的に散布すれば 00:06:01.516 --> 00:06:05.111 地球温暖化への対策と なり得ると提唱しました 00:06:05.960 --> 00:06:08.882 さて これには未知のリスクが伴います 00:06:08.906 --> 00:06:11.636 成層圏を熱してしまったり 00:06:11.660 --> 00:06:13.691 オゾン層を破壊してしまったり 00:06:13.715 --> 00:06:18.231 科学者たちはこれには 安全な手法があるだろうと考えています 00:06:18.255 --> 00:06:19.851 でも果たして― 00:06:19.875 --> 00:06:22.628 これは本当に検討する価値が あるのでしょうか? NOTE Paragraph 00:06:23.494 --> 00:06:24.779 このシミュレーションは 00:06:24.803 --> 00:06:27.407 アメリカ大気研究センターに よる世界の気候モデルで 00:06:27.431 --> 00:06:31.866 2100年までの 地表温度を表しています 00:06:31.890 --> 00:06:35.883 左の地球は現状の延長線上の シナリオを視覚化しており 00:06:35.907 --> 00:06:39.575 右は微粒子が2020年から徐々に 成層圏へ放たれ 00:06:39.599 --> 00:06:40.994 2100年まで大気中に漂う 00:06:41.018 --> 00:06:43.636 シナリオを表しています 00:06:43.660 --> 00:06:47.946 この気象への介入をすれば地表の温度を 現在のそれに近い温度に保てます 00:06:47.970 --> 00:06:52.221 さもなくば気温は3度以上 上昇してしまうでしょう 00:06:52.245 --> 00:06:56.152 これは安全な世界と 危険な世界の違いと言えます NOTE Paragraph 00:06:57.854 --> 00:07:01.718 もしこれが少しでも 現実に近づく可能性があるなら 00:07:01.742 --> 00:07:04.354 これは真剣に検討すべき なのではないでしょうか? 00:07:06.234 --> 00:07:07.965 いま それができる技術は無く 00:07:07.989 --> 00:07:10.607 科学的知識も非常に限られています 00:07:11.342 --> 00:07:15.888 このような介入が 可能なのかどうかさえも不明で 00:07:15.912 --> 00:07:17.959 それがもたらすリスクも 分かっていません 00:07:18.761 --> 00:07:21.888 研究者たちは これらが現実的な選択肢たり得るのか 00:07:21.912 --> 00:07:26.071 却下すべきものなのかの 判断の根拠となる基本的な問いを 00:07:26.095 --> 00:07:27.769 検証したいと考えています 00:07:28.689 --> 00:07:32.109 それには気候システムを 複数の手法で研究する必要があります 00:07:32.133 --> 00:07:35.245 コンピューターモデルで 変化を予測したり 00:07:35.269 --> 00:07:37.548 機械学習のような解析技術を用いたり 00:07:37.572 --> 00:07:39.610 様々な観測を行います 00:07:40.595 --> 00:07:42.380 これは議論を呼びますが 00:07:42.404 --> 00:07:46.540 研究者たちが核となる技術を開発し 00:07:46.564 --> 00:07:49.984 小規模な実験を 実際に行うことが重要です NOTE Paragraph 00:07:51.186 --> 00:07:54.519 目下 2つの研究プログラムが 次のような実験を提案しています 00:07:55.408 --> 00:07:59.496 ハーバード大学の SCoPEx (成層圏制御摂動実験)は 00:07:59.520 --> 00:08:04.996 ごく微量の硫酸塩、炭酸カルシウム そして水を気球で 00:08:05.020 --> 00:08:07.956 成層圏へ散布し その化学・物理的影響を調べます 00:08:08.956 --> 00:08:10.295 用いられる量は 00:08:10.867 --> 00:08:13.552 民間航空機が 1分間に放出する量よりも 00:08:13.576 --> 00:08:15.027 少ない量です 00:08:15.654 --> 00:08:18.312 ですからこれはもちろん安全で 00:08:18.336 --> 00:08:19.939 恐ろしくもありません NOTE Paragraph 00:08:21.114 --> 00:08:23.179 ワシントン大学の科学者たちは 00:08:23.203 --> 00:08:27.337 陸地と海洋での実験で 塩水の微細な霧を 00:08:27.361 --> 00:08:29.945 雲に噴きかけようと考えています 00:08:29.969 --> 00:08:32.780 もしこれが成功すれば 海上の雲を局地的に 00:08:32.804 --> 00:08:36.048 顕著に明るくする実験へと つながるでしょう 00:08:36.738 --> 00:08:40.666 海の雲の増白法は 大気に太陽光を反射させるために 00:08:40.690 --> 00:08:44.721 エアロゾルを発生させる初の技術で 00:08:45.166 --> 00:08:47.953 微細な粒子の生成が必要です 00:08:47.977 --> 00:08:52.445 喘息用の吸入器から出る ミストの大規模なものを想像してください 00:08:52.469 --> 00:08:55.669 雲のような大きさになります 00:08:56.500 --> 00:08:58.713 技術的な難題でもあります NOTE Paragraph 00:08:59.420 --> 00:09:01.032 このノズルは 00:09:01.056 --> 00:09:03.698 1秒に3兆もの80ナノメーター大の 00:09:03.722 --> 00:09:05.740 微粒子を腐食性の高い海水から 00:09:05.764 --> 00:09:07.499 生成します 00:09:08.681 --> 00:09:12.293 これはシリコンバレーの 退職した元技術者チームにより開発されました 00:09:12.317 --> 00:09:13.859 彼らです 00:09:13.883 --> 00:09:18.887 フルタイムで6年間無償で 孫たちのために働いてきました 00:09:19.334 --> 00:09:22.222 実験を遂行するための 完全なスプレーシステムの開発には 00:09:22.246 --> 00:09:25.690 あと1~2年と 数百万ドルがかかるでしょう 00:09:26.754 --> 00:09:30.353 世界の他の国々でも 研究が始まっています 00:09:30.377 --> 00:09:34.710 北京師範大学での 小さなモデリングプログラムや 00:09:34.734 --> 00:09:37.063 インド理科大学院 00:09:37.087 --> 00:09:41.778 ケンブリッジ大学の 気候修復センター構想や 00:09:41.802 --> 00:09:44.007 DECIMALS基金もあります 00:09:44.031 --> 00:09:46.730 基金はグローバル・サウス(発展途上国)の 研究者たちが 00:09:46.754 --> 00:09:49.715 こうした太陽光介入が 自分たちの地域に及ぼす影響を調査するのを 00:09:49.739 --> 00:09:51.135 支援するものです 00:09:51.946 --> 00:09:56.048 しかしこうしたプログラムは 実験的なものを含め 00:09:56.072 --> 00:09:57.672 資金が大幅に不足しています 00:09:58.601 --> 00:10:01.512 これら介入の効果を理解することは 難しい課題です 00:10:01.536 --> 00:10:03.958 地球は広大で複雑なシステムで 00:10:03.982 --> 00:10:06.901 こんにちよりも気候予測の精度を高め 00:10:06.925 --> 00:10:08.474 意図的であれ偶発的であれ 00:10:08.498 --> 00:10:12.315 介入を行ったらそれを管理するために 気候モデルや 00:10:12.339 --> 00:10:16.204 観測や基礎科学などへの 大規模な投資が必要です NOTE Paragraph 00:10:17.521 --> 00:10:18.728 喫緊の課題かも知れません 00:10:20.107 --> 00:10:24.104 最近の科学調査報告では これから数十年の間に 00:10:24.128 --> 00:10:26.932 地球の体温の推移は壊滅的な事態に なると予測されています 00:10:26.956 --> 00:10:28.781 極度の猛暑と火事 00:10:29.875 --> 00:10:32.001 海洋生物の大量死 00:10:32.812 --> 00:10:34.676 北極の氷原の融解 00:10:35.779 --> 00:10:39.382 何億もの人々が移住を強いられ 苦しむでしょう 00:10:40.277 --> 00:10:43.977 温度は転換点に達してしまい 温暖化が取って代わり 00:10:44.001 --> 00:10:46.238 人類の努力だけではもう 自然システムの 00:10:46.262 --> 00:10:49.166 加速する変化に 対応できなくなります NOTE Paragraph 00:10:49.848 --> 00:10:52.115 このような状況を防ぐため 00:10:52.139 --> 00:10:54.783 国連の気候変動に関する 政府間パネルは2050年までに 00:10:54.807 --> 00:10:58.314 CO2排出の増加を止め 更には 排出総量を減らすべきだと予測しています 00:10:59.108 --> 00:11:03.841 どのように?エネルギー、建築 農業、交通といった主要な経済セクターで 00:11:03.865 --> 00:11:08.104 抜本的かつ早急な変革を 行わなければなりません 00:11:08.898 --> 00:11:13.403 そしてできる限り 迅速に行うことが必須です 00:11:13.427 --> 00:11:15.460 しかし地球の温度はとても上がっており 00:11:15.484 --> 00:11:17.692 気候専門家たちは世界中の 00:11:17.716 --> 00:11:20.668 年間二酸化炭素排出量の 10倍とも考えられる量の 00:11:20.692 --> 00:11:24.295 二酸化炭素を大気中から 除去しなければならないと言っていますが 00:11:24.319 --> 00:11:26.150 その方法はまだ確立されていません NOTE Paragraph 00:11:27.031 --> 00:11:31.086 現在 急展開する問題に対してあるのは 緩やかな解決策です 00:11:32.015 --> 00:11:34.126 最も楽観的な想定でも 00:11:34.150 --> 00:11:37.428 これから10~30年の間に 私達が直面するリスクは 00:11:37.452 --> 00:11:39.896 私の意見では 許容できない程高いものです NOTE Paragraph 00:11:40.809 --> 00:11:44.492 こうした気象介入は 私たちが根本的な問題を解決する間に 00:11:44.516 --> 00:11:48.060 地球の温度を下げるのに必要な 緊急対策となり得るでしょうか? 00:11:48.621 --> 00:11:51.222 このアイデアについては いくつかの懸念があります 00:11:51.246 --> 00:11:54.610 このような気象への介入の 可能性を調べることすら 00:11:54.634 --> 00:11:58.786 排気量削減努力を妨げる原因に なり得ると心配する人々もいます 00:11:58.810 --> 00:12:01.140 モラル・ハザードと呼ばれるものです 00:12:02.013 --> 00:12:03.894 しかし 多くの医療行為のように 00:12:03.918 --> 00:12:07.175 介入というものは やればやるほど危険が増すので 00:12:07.199 --> 00:12:09.692 研究は次のような事柄を 導き出すことになるでしょう 00:12:09.716 --> 00:12:12.786 私たちは絶対に ―決して 00:12:12.810 --> 00:12:15.631 大気に温暖化ガスを 放出し続けたりしてはなりません 00:12:15.655 --> 00:12:18.132 削減の代わりに何か行うのは リスキーなので 00:12:18.156 --> 00:12:20.527 もしそれを実施するならば 00:12:20.551 --> 00:12:22.926 できる限り 小規模に始めなければならない NOTE Paragraph 00:12:24.746 --> 00:12:26.677 そうだとしても 00:12:26.701 --> 00:12:29.405 リスクを管理できるほど 介入について 00:12:29.429 --> 00:12:31.005 熟知できるのでしょうか? 00:12:31.444 --> 00:12:35.210 いつどのように介入するか 誰が決めるのでしょう? 00:12:35.720 --> 00:12:38.249 もし一部の人々だけが損をしたり 00:12:38.273 --> 00:12:40.101 そう思い込んでしまったら? 00:12:40.537 --> 00:12:42.386 これらは非常に難しい問題です 00:12:43.506 --> 00:12:48.488 しかし私が本当に不安なのは 気候変動の影響が悪化するにつれ 00:12:48.512 --> 00:12:51.973 世界のリーダーたちは 手段を問わない対応を迫られることです 00:12:52.836 --> 00:12:56.018 彼らにはちゃんとした情報や より良い選択肢を知ることなく 00:12:56.042 --> 00:12:57.883 行動して欲しくはありません NOTE Paragraph 00:12:58.758 --> 00:13:01.092 科学者たちはこうした介入を 00:13:01.116 --> 00:13:03.265 開発したり実行したりする以前に 00:13:03.289 --> 00:13:05.685 評価するだけでも 10年はかかると考えています 00:13:06.392 --> 00:13:10.796 でも こんにち世界的に このような介入への投資額は 00:13:10.820 --> 00:13:12.871 無に等しいままです 00:13:14.061 --> 00:13:16.792 迅速に行動しなければなりません 00:13:16.816 --> 00:13:20.038 政策立案者たちに このような救急医療について 00:13:20.062 --> 00:13:22.029 本当の情報を手にして欲しいなら― NOTE Paragraph 00:13:24.169 --> 00:13:25.319 希望はあります! 00:13:26.621 --> 00:13:29.176 世界はこれまでに こうした問題を解決してきました 00:13:29.562 --> 00:13:32.966 1970年には保護的役割を果たす オゾン層が消失するかも知れない 00:13:32.990 --> 00:13:34.760 脅威を特定しました 00:13:35.664 --> 00:13:38.498 1980年代には 科学者、政治家、産業界が 00:13:38.522 --> 00:13:42.497 問題を生じる化学物質を 置き換えるために力を合わせました 00:13:42.937 --> 00:13:46.450 彼らはこれを世界各国が署名した 唯一の法的拘束力のある 00:13:46.474 --> 00:13:48.654 環境合意書によって成し遂げました 00:13:48.678 --> 00:13:50.618 モントリオール議定書です 00:13:50.642 --> 00:13:52.652 現在もその効力は続いており 00:13:52.676 --> 00:13:55.460 オゾン層の復活という成果をもたらしました 00:13:55.484 --> 00:13:59.908 人類史の中で最も成功した 環境保護活動です NOTE Paragraph 00:14:01.104 --> 00:14:03.699 私たちはいま はるかに大きな危機に直面していますが 00:14:03.723 --> 00:14:07.953 私たちには人々を守り 気候の健康を取り戻す解決策を 00:14:07.977 --> 00:14:09.516 開発し 00:14:09.540 --> 00:14:11.596 合意する能力があります 00:14:12.406 --> 00:14:15.176 そしてこれは 安全を守るために 00:14:15.200 --> 00:14:17.537 数十年に渡って太陽光を 反射し続けその間に 00:14:17.561 --> 00:14:20.723 産業を脱炭素化し二酸化炭素を除去すると いうことかも知れません 00:14:21.655 --> 00:14:24.917 確実なのは 緊急の薬となる 選択肢を理解するため 00:14:24.941 --> 00:14:29.202 いま行動を 起こさなければならないということです NOTE Paragraph 00:14:29.901 --> 00:14:31.052 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:14:31.076 --> 00:14:35.777 (拍手)