1 00:00:00,844 --> 00:00:04,774 皆さんには初耳かも知れない 重要なお話をするために来ました 2 00:00:05,259 --> 00:00:06,645 世界中の政府は 3 00:00:06,669 --> 00:00:08,933 意図せず気候実験を行おうと 4 00:00:08,957 --> 00:00:10,712 しているところなのです 5 00:00:10,736 --> 00:00:16,046 2020年 船舶に二酸化硫黄の放出量の 削減を課す新たな規定が制定されます 6 00:00:16,070 --> 00:00:18,178 汚れた排出ガスをきれいにしたり 7 00:00:18,202 --> 00:00:20,153 よりクリーンな燃料が 採用されるでしょう 8 00:00:20,705 --> 00:00:23,338 人の健康のためには これはとても良いことです 9 00:00:23,362 --> 00:00:25,696 でも船舶が放出する二酸化硫黄は 10 00:00:25,720 --> 00:00:28,481 雲にも影響を及ぼします 11 00:00:28,981 --> 00:00:31,482 これはアメリカ合衆国の 太平洋西海岸の 12 00:00:31,506 --> 00:00:34,028 海洋上の雲の衛星写真です 13 00:00:34,482 --> 00:00:37,789 雲の中の筋は 船の排気ガスが生成したものです 14 00:00:38,139 --> 00:00:41,013 船の排気ガスには 15 00:00:41,037 --> 00:00:43,872 熱を長期間に渡って閉じ込める 温暖化ガスや 16 00:00:43,896 --> 00:00:47,111 雲に混ざり雲を一時的に白く輝かせる 二酸化硫黄のような 17 00:00:47,135 --> 00:00:48,968 微粒子が含まれています 18 00:00:49,672 --> 00:00:52,963 雲が明るく輝けば より多くの太陽光を 反射して宇宙空間へ返し 19 00:00:52,987 --> 00:00:54,276 気候を冷却します 20 00:00:55,260 --> 00:00:56,642 実は 21 00:00:56,666 --> 00:00:59,579 人類は目下 2つの気象実験を 22 00:00:59,603 --> 00:01:00,753 意図せず行っています 23 00:01:01,188 --> 00:01:05,230 ひとつは 温室効果ガスの濃度を高め 地球環境システムの気温を 24 00:01:05,254 --> 00:01:07,324 徐々に上昇させる実験です 25 00:01:07,712 --> 00:01:11,148 この働きを例えるなら 発熱した人体です 26 00:01:11,172 --> 00:01:14,558 もし体温が低ければ 影響は少ないのですが 27 00:01:14,582 --> 00:01:17,456 体温が上がれば ダメージはより深刻になり 28 00:01:17,480 --> 00:01:19,439 次第に壊滅的になります 29 00:01:19,748 --> 00:01:21,629 この兆候がもう見え始めています 30 00:01:22,739 --> 00:01:23,962 もう一つの実験では 31 00:01:23,986 --> 00:01:26,606 雲を輝かせ私たちをある程度 温暖化から保護している 32 00:01:26,630 --> 00:01:29,864 微粒子の層を 取り除こうとしています 33 00:01:30,306 --> 00:01:33,512 その効果は このような海洋の雲でもっとも強力で 34 00:01:33,536 --> 00:01:39,005 科学者たちは来年 船舶の二酸化硫黄排出削減によって 35 00:01:39,029 --> 00:01:42,402 数値を変化させる程度に 温暖化が進行すると予測しています 36 00:01:43,592 --> 00:01:44,742 驚きましたか? 37 00:01:45,687 --> 00:01:49,877 石炭、ディーゼル排気、山火事から生じる 殆どの排気ガスは 38 00:01:49,901 --> 00:01:53,467 雲を輝かせる 二酸化硫黄を含みます 39 00:01:54,149 --> 00:01:57,848 科学者たちは エアロゾルと呼ぶ排気微粒子が 40 00:01:57,872 --> 00:02:00,700 大気中にある場合の冷却効果の総量は 41 00:02:01,156 --> 00:02:05,724 私たちがこれまで体験して来た温暖化と 同等だろうと考えています 42 00:02:05,748 --> 00:02:08,756 この効果に関しては 多くの未知の部分があります 43 00:02:08,780 --> 00:02:13,106 これは天候が予測し難い 主な理由のひとつでもあります 44 00:02:13,130 --> 00:02:17,139 でもこの冷却効果は 排気ガスの減少とともに失われます 45 00:02:17,968 --> 00:02:21,944 人類は現在 膨大な量の微粒子を 46 00:02:22,896 --> 00:02:26,617 大気中に放出し 地球を冷却しています 47 00:02:26,641 --> 00:02:29,673 どの程度の冷却しているか分かっておらず 偶発的なものです 48 00:02:30,585 --> 00:02:32,529 不安になりますが 49 00:02:32,553 --> 00:02:35,971 これは温暖化を迅速に 食い止める方法があるということで 50 00:02:35,995 --> 00:02:39,610 必要なら気候が発熱状態になったときの 頓服薬があるということであり 51 00:02:39,634 --> 00:02:42,411 それが自然に由来する 薬だということなのです 52 00:02:44,272 --> 00:02:47,116 これはNASAによる地球の 大気のシミュレーションで 53 00:02:47,140 --> 00:02:49,724 雲と微粒子が 地球上を動いている様子です 54 00:02:50,454 --> 00:02:54,923 この輝きは太陽光が 雲の中の微粒子により反射されたもので 55 00:02:54,947 --> 00:02:58,670 この反射シールドは 自然が地球の温度を 56 00:02:58,694 --> 00:03:01,076 人間や生き物にとって 適温に保っている 57 00:03:01,100 --> 00:03:02,756 基本的な手段のひとつです 58 00:03:03,665 --> 00:03:08,546 2015年 科学者たちは急速に気候を 冷却する可能性を検証しました 59 00:03:09,002 --> 00:03:12,236 宇宙空間に鏡を配置する 海中にピンポン玉を投じる 60 00:03:12,260 --> 00:03:17,101 北極をプラスチックのシートで 覆うなどの方法は除外し 61 00:03:17,125 --> 00:03:19,499 最も可能性の高いアプローチは 62 00:03:19,523 --> 00:03:23,590 大気の反射をほんの少し増やすことだという 結論を導き出しました 63 00:03:24,406 --> 00:03:28,766 大気からの太陽光反射を 1~2%増やすことで 64 00:03:28,790 --> 00:03:30,743 気候温暖化を2度以上 65 00:03:30,767 --> 00:03:34,239 相殺できるかも知れないのです 66 00:03:35,600 --> 00:03:39,235 私は技術担当役員で 科学者ではありません 67 00:03:39,259 --> 00:03:42,068 10年ほど前に私は気候問題を懸念し 68 00:03:42,092 --> 00:03:46,232 科学者たちと気候温暖化対策についての 対話を始めました 69 00:03:46,987 --> 00:03:50,003 こうした対話は協力関係に発展し 70 00:03:50,027 --> 00:03:52,351 後ほどお話しする 海の雲の増白プロジェクトと 71 00:03:52,375 --> 00:03:54,657 そして 現在私が働く 72 00:03:54,681 --> 00:03:58,734 政策提言に取り組む非営利団体 「SilverLining」となりました 73 00:03:59,483 --> 00:04:03,070 政治家や研究者たち 74 00:04:03,094 --> 00:04:05,070 技術産業界などと手を組み 75 00:04:05,094 --> 00:04:07,233 こうしたアイデアについて 話し合います 76 00:04:08,039 --> 00:04:11,284 以前私はイギリス人 気候科学者の ジョン・リーサムに会いました 77 00:04:11,308 --> 00:04:14,315 彼は船舶が生じる効果を 自然由来の微粒子で発生させて 78 00:04:14,339 --> 00:04:16,654 気候を冷却する計画を提案しています 79 00:04:16,678 --> 00:04:19,316 海水から作った海塩水ミストを 80 00:04:19,340 --> 00:04:22,572 船舶から影響しやすい 海上の雲へと噴射します 81 00:04:23,366 --> 00:04:26,229 この手法は当時私が名付けた呼称で 知られるようになりました 82 00:04:26,253 --> 00:04:27,820 海の雲の増白です 83 00:04:27,844 --> 00:04:32,302 初期のモデル研究では 海の雲の増白によって 84 00:04:32,326 --> 00:04:35,914 10~20%の海雲の反射を強めると 85 00:04:35,938 --> 00:04:40,579 2度まで気温上昇を相殺できる 可能性があると示しました 86 00:04:41,200 --> 00:04:44,129 海面気温上昇による影響を 軽減するために 87 00:04:44,153 --> 00:04:48,738 局地的に雲の輝度を上げることすら 可能かもしれません 88 00:04:48,762 --> 00:04:51,574 例えばメキシコ湾岸諸州地域などを 89 00:04:51,598 --> 00:04:54,218 ハリケーン・シーズンの数ヶ月前に 90 00:04:54,242 --> 00:04:56,583 嵐の勢力を削ぐために冷却したり 91 00:04:56,607 --> 00:05:00,530 オーストラリアの グレート・バリア・リーフなどの 92 00:05:00,554 --> 00:05:02,158 熱ストレスにあえぐサンゴ礁へ 93 00:05:02,182 --> 00:05:04,236 流れる水流を 冷却できるかも知れません 94 00:05:04,260 --> 00:05:07,006 でもこうしたアイデアは 理論的なものに過ぎず 95 00:05:07,030 --> 00:05:10,158 雲の増白だけが 大気からの太陽光反射を増加させる― 96 00:05:10,182 --> 00:05:13,483 唯一の方法だと いうわけでもありません 97 00:05:14,063 --> 00:05:19,016 大規模な火山が十分な勢いで 物質を大気の上層― 98 00:05:19,040 --> 00:05:22,245 大気圏へ吹き上げた時にも 同様の現象が起こります 99 00:05:22,705 --> 00:05:25,984 ピナトゥボ山が1991年に噴火した時 100 00:05:26,008 --> 00:05:28,008 火山は大気と混ざり太陽光を反射する 101 00:05:28,032 --> 00:05:32,494 二酸化硫黄などの物質を 成層圏へ吹き上げました 102 00:05:33,309 --> 00:05:36,355 この物質は地球の大気を 漂いながらしばらく巡回し 103 00:05:36,996 --> 00:05:42,658 それだけで2年間摂氏0.5度ほど 気温が下がったのです 104 00:05:44,011 --> 00:05:50,027 この冷却効果の結果として1992年には 著しく北極の氷量が増加し 105 00:05:50,051 --> 00:05:54,325 それは翌年以降に微粒子が地上へ落ちると また減少して行きました 106 00:05:54,349 --> 00:05:58,167 この火山現象についてノーベル賞受賞者の パウル・クルッツェンは 107 00:05:58,191 --> 00:06:01,492 成層圏へ微粒子を 計画的に散布すれば 108 00:06:01,516 --> 00:06:05,111 地球温暖化への対策と なり得ると提唱しました 109 00:06:05,960 --> 00:06:08,882 さて これには未知のリスクが伴います 110 00:06:08,906 --> 00:06:11,636 成層圏を熱してしまったり 111 00:06:11,660 --> 00:06:13,691 オゾン層を破壊してしまったり 112 00:06:13,715 --> 00:06:18,231 科学者たちはこれには 安全な手法があるだろうと考えています 113 00:06:18,255 --> 00:06:19,851 でも果たして― 114 00:06:19,875 --> 00:06:22,628 これは本当に検討する価値が あるのでしょうか? 115 00:06:23,494 --> 00:06:24,779 このシミュレーションは 116 00:06:24,803 --> 00:06:27,407 アメリカ大気研究センターに よる世界の気候モデルで 117 00:06:27,431 --> 00:06:31,866 2100年までの 地表温度を表しています 118 00:06:31,890 --> 00:06:35,883 左の地球は現状の延長線上の シナリオを視覚化しており 119 00:06:35,907 --> 00:06:39,575 右は微粒子が2020年から徐々に 成層圏へ放たれ 120 00:06:39,599 --> 00:06:40,994 2100年まで大気中に漂う 121 00:06:41,018 --> 00:06:43,636 シナリオを表しています 122 00:06:43,660 --> 00:06:47,946 この気象への介入をすれば地表の温度を 現在のそれに近い温度に保てます 123 00:06:47,970 --> 00:06:52,221 さもなくば気温は3度以上 上昇してしまうでしょう 124 00:06:52,245 --> 00:06:56,152 これは安全な世界と 危険な世界の違いと言えます 125 00:06:57,854 --> 00:07:01,718 もしこれが少しでも 現実に近づく可能性があるなら 126 00:07:01,742 --> 00:07:04,354 これは真剣に検討すべき なのではないでしょうか? 127 00:07:06,234 --> 00:07:07,965 いま それができる技術は無く 128 00:07:07,989 --> 00:07:10,607 科学的知識も非常に限られています 129 00:07:11,342 --> 00:07:15,888 このような介入が 可能なのかどうかさえも不明で 130 00:07:15,912 --> 00:07:17,959 それがもたらすリスクも 分かっていません 131 00:07:18,761 --> 00:07:21,888 研究者たちは これらが現実的な選択肢たり得るのか 132 00:07:21,912 --> 00:07:26,071 却下すべきものなのかの 判断の根拠となる基本的な問いを 133 00:07:26,095 --> 00:07:27,769 検証したいと考えています 134 00:07:28,689 --> 00:07:32,109 それには気候システムを 複数の手法で研究する必要があります 135 00:07:32,133 --> 00:07:35,245 コンピューターモデルで 変化を予測したり 136 00:07:35,269 --> 00:07:37,548 機械学習のような解析技術を用いたり 137 00:07:37,572 --> 00:07:39,610 様々な観測を行います 138 00:07:40,595 --> 00:07:42,380 これは議論を呼びますが 139 00:07:42,404 --> 00:07:46,540 研究者たちが核となる技術を開発し 140 00:07:46,564 --> 00:07:49,984 小規模な実験を 実際に行うことが重要です 141 00:07:51,186 --> 00:07:54,519 目下 2つの研究プログラムが 次のような実験を提案しています 142 00:07:55,408 --> 00:07:59,496 ハーバード大学の SCoPEx (成層圏制御摂動実験)は 143 00:07:59,520 --> 00:08:04,996 ごく微量の硫酸塩、炭酸カルシウム そして水を気球で 144 00:08:05,020 --> 00:08:07,956 成層圏へ散布し その化学・物理的影響を調べます 145 00:08:08,956 --> 00:08:10,295 用いられる量は 146 00:08:10,867 --> 00:08:13,552 民間航空機が 1分間に放出する量よりも 147 00:08:13,576 --> 00:08:15,027 少ない量です 148 00:08:15,654 --> 00:08:18,312 ですからこれはもちろん安全で 149 00:08:18,336 --> 00:08:19,939 恐ろしくもありません 150 00:08:21,114 --> 00:08:23,179 ワシントン大学の科学者たちは 151 00:08:23,203 --> 00:08:27,337 陸地と海洋での実験で 塩水の微細な霧を 152 00:08:27,361 --> 00:08:29,945 雲に噴きかけようと考えています 153 00:08:29,969 --> 00:08:32,780 もしこれが成功すれば 海上の雲を局地的に 154 00:08:32,804 --> 00:08:36,048 顕著に明るくする実験へと つながるでしょう 155 00:08:36,738 --> 00:08:40,666 海の雲の増白法は 大気に太陽光を反射させるために 156 00:08:40,690 --> 00:08:44,721 エアロゾルを発生させる初の技術で 157 00:08:45,166 --> 00:08:47,953 微細な粒子の生成が必要です 158 00:08:47,977 --> 00:08:52,445 喘息用の吸入器から出る ミストの大規模なものを想像してください 159 00:08:52,469 --> 00:08:55,669 雲のような大きさになります 160 00:08:56,500 --> 00:08:58,713 技術的な難題でもあります 161 00:08:59,420 --> 00:09:01,032 このノズルは 162 00:09:01,056 --> 00:09:03,698 1秒に3兆もの80ナノメーター大の 163 00:09:03,722 --> 00:09:05,740 微粒子を腐食性の高い海水から 164 00:09:05,764 --> 00:09:07,499 生成します 165 00:09:08,681 --> 00:09:12,293 これはシリコンバレーの 退職した元技術者チームにより開発されました 166 00:09:12,317 --> 00:09:13,859 彼らです 167 00:09:13,883 --> 00:09:18,887 フルタイムで6年間無償で 孫たちのために働いてきました 168 00:09:19,334 --> 00:09:22,222 実験を遂行するための 完全なスプレーシステムの開発には 169 00:09:22,246 --> 00:09:25,690 あと1~2年と 数百万ドルがかかるでしょう 170 00:09:26,754 --> 00:09:30,353 世界の他の国々でも 研究が始まっています 171 00:09:30,377 --> 00:09:34,710 北京師範大学での 小さなモデリングプログラムや 172 00:09:34,734 --> 00:09:37,063 インド理科大学院 173 00:09:37,087 --> 00:09:41,778 ケンブリッジ大学の 気候修復センター構想や 174 00:09:41,802 --> 00:09:44,007 DECIMALS基金もあります 175 00:09:44,031 --> 00:09:46,730 基金はグローバル・サウス(発展途上国)の 研究者たちが 176 00:09:46,754 --> 00:09:49,715 こうした太陽光介入が 自分たちの地域に及ぼす影響を調査するのを 177 00:09:49,739 --> 00:09:51,135 支援するものです 178 00:09:51,946 --> 00:09:56,048 しかしこうしたプログラムは 実験的なものを含め 179 00:09:56,072 --> 00:09:57,672 資金が大幅に不足しています 180 00:09:58,601 --> 00:10:01,512 これら介入の効果を理解することは 難しい課題です 181 00:10:01,536 --> 00:10:03,958 地球は広大で複雑なシステムで 182 00:10:03,982 --> 00:10:06,901 こんにちよりも気候予測の精度を高め 183 00:10:06,925 --> 00:10:08,474 意図的であれ偶発的であれ 184 00:10:08,498 --> 00:10:12,315 介入を行ったらそれを管理するために 気候モデルや 185 00:10:12,339 --> 00:10:16,204 観測や基礎科学などへの 大規模な投資が必要です 186 00:10:17,521 --> 00:10:18,728 喫緊の課題かも知れません 187 00:10:20,107 --> 00:10:24,104 最近の科学調査報告では これから数十年の間に 188 00:10:24,128 --> 00:10:26,932 地球の体温の推移は壊滅的な事態に なると予測されています 189 00:10:26,956 --> 00:10:28,781 極度の猛暑と火事 190 00:10:29,875 --> 00:10:32,001 海洋生物の大量死 191 00:10:32,812 --> 00:10:34,676 北極の氷原の融解 192 00:10:35,779 --> 00:10:39,382 何億もの人々が移住を強いられ 苦しむでしょう 193 00:10:40,277 --> 00:10:43,977 温度は転換点に達してしまい 温暖化が取って代わり 194 00:10:44,001 --> 00:10:46,238 人類の努力だけではもう 自然システムの 195 00:10:46,262 --> 00:10:49,166 加速する変化に 対応できなくなります 196 00:10:49,848 --> 00:10:52,115 このような状況を防ぐため 197 00:10:52,139 --> 00:10:54,783 国連の気候変動に関する 政府間パネルは2050年までに 198 00:10:54,807 --> 00:10:58,314 CO2排出の増加を止め 更には 排出総量を減らすべきだと予測しています 199 00:10:59,108 --> 00:11:03,841 どのように?エネルギー、建築 農業、交通といった主要な経済セクターで 200 00:11:03,865 --> 00:11:08,104 抜本的かつ早急な変革を 行わなければなりません 201 00:11:08,898 --> 00:11:13,403 そしてできる限り 迅速に行うことが必須です 202 00:11:13,427 --> 00:11:15,460 しかし地球の温度はとても上がっており 203 00:11:15,484 --> 00:11:17,692 気候専門家たちは世界中の 204 00:11:17,716 --> 00:11:20,668 年間二酸化炭素排出量の 10倍とも考えられる量の 205 00:11:20,692 --> 00:11:24,295 二酸化炭素を大気中から 除去しなければならないと言っていますが 206 00:11:24,319 --> 00:11:26,150 その方法はまだ確立されていません 207 00:11:27,031 --> 00:11:31,086 現在 急展開する問題に対してあるのは 緩やかな解決策です 208 00:11:32,015 --> 00:11:34,126 最も楽観的な想定でも 209 00:11:34,150 --> 00:11:37,428 これから10~30年の間に 私達が直面するリスクは 210 00:11:37,452 --> 00:11:39,896 私の意見では 許容できない程高いものです 211 00:11:40,809 --> 00:11:44,492 こうした気象介入は 私たちが根本的な問題を解決する間に 212 00:11:44,516 --> 00:11:48,060 地球の温度を下げるのに必要な 緊急対策となり得るでしょうか? 213 00:11:48,621 --> 00:11:51,222 このアイデアについては いくつかの懸念があります 214 00:11:51,246 --> 00:11:54,610 このような気象への介入の 可能性を調べることすら 215 00:11:54,634 --> 00:11:58,786 排気量削減努力を妨げる原因に なり得ると心配する人々もいます 216 00:11:58,810 --> 00:12:01,140 モラル・ハザードと呼ばれるものです 217 00:12:02,013 --> 00:12:03,894 しかし 多くの医療行為のように 218 00:12:03,918 --> 00:12:07,175 介入というものは やればやるほど危険が増すので 219 00:12:07,199 --> 00:12:09,692 研究は次のような事柄を 導き出すことになるでしょう 220 00:12:09,716 --> 00:12:12,786 私たちは絶対に ―決して 221 00:12:12,810 --> 00:12:15,631 大気に温暖化ガスを 放出し続けたりしてはなりません 222 00:12:15,655 --> 00:12:18,132 削減の代わりに何か行うのは リスキーなので 223 00:12:18,156 --> 00:12:20,527 もしそれを実施するならば 224 00:12:20,551 --> 00:12:22,926 できる限り 小規模に始めなければならない 225 00:12:24,746 --> 00:12:26,677 そうだとしても 226 00:12:26,701 --> 00:12:29,405 リスクを管理できるほど 介入について 227 00:12:29,429 --> 00:12:31,005 熟知できるのでしょうか? 228 00:12:31,444 --> 00:12:35,210 いつどのように介入するか 誰が決めるのでしょう? 229 00:12:35,720 --> 00:12:38,249 もし一部の人々だけが損をしたり 230 00:12:38,273 --> 00:12:40,101 そう思い込んでしまったら? 231 00:12:40,537 --> 00:12:42,386 これらは非常に難しい問題です 232 00:12:43,506 --> 00:12:48,488 しかし私が本当に不安なのは 気候変動の影響が悪化するにつれ 233 00:12:48,512 --> 00:12:51,973 世界のリーダーたちは 手段を問わない対応を迫られることです 234 00:12:52,836 --> 00:12:56,018 彼らにはちゃんとした情報や より良い選択肢を知ることなく 235 00:12:56,042 --> 00:12:57,883 行動して欲しくはありません 236 00:12:58,758 --> 00:13:01,092 科学者たちはこうした介入を 237 00:13:01,116 --> 00:13:03,265 開発したり実行したりする以前に 238 00:13:03,289 --> 00:13:05,685 評価するだけでも 10年はかかると考えています 239 00:13:06,392 --> 00:13:10,796 でも こんにち世界的に このような介入への投資額は 240 00:13:10,820 --> 00:13:12,871 無に等しいままです 241 00:13:14,061 --> 00:13:16,792 迅速に行動しなければなりません 242 00:13:16,816 --> 00:13:20,038 政策立案者たちに このような救急医療について 243 00:13:20,062 --> 00:13:22,029 本当の情報を手にして欲しいなら― 244 00:13:24,169 --> 00:13:25,319 希望はあります! 245 00:13:26,621 --> 00:13:29,176 世界はこれまでに こうした問題を解決してきました 246 00:13:29,562 --> 00:13:32,966 1970年には保護的役割を果たす オゾン層が消失するかも知れない 247 00:13:32,990 --> 00:13:34,760 脅威を特定しました 248 00:13:35,664 --> 00:13:38,498 1980年代には 科学者、政治家、産業界が 249 00:13:38,522 --> 00:13:42,497 問題を生じる化学物質を 置き換えるために力を合わせました 250 00:13:42,937 --> 00:13:46,450 彼らはこれを世界各国が署名した 唯一の法的拘束力のある 251 00:13:46,474 --> 00:13:48,654 環境合意書によって成し遂げました 252 00:13:48,678 --> 00:13:50,618 モントリオール議定書です 253 00:13:50,642 --> 00:13:52,652 現在もその効力は続いており 254 00:13:52,676 --> 00:13:55,460 オゾン層の復活という成果をもたらしました 255 00:13:55,484 --> 00:13:59,908 人類史の中で最も成功した 環境保護活動です 256 00:14:01,104 --> 00:14:03,699 私たちはいま はるかに大きな危機に直面していますが 257 00:14:03,723 --> 00:14:07,953 私たちには人々を守り 気候の健康を取り戻す解決策を 258 00:14:07,977 --> 00:14:09,516 開発し 259 00:14:09,540 --> 00:14:11,596 合意する能力があります 260 00:14:12,406 --> 00:14:15,176 そしてこれは 安全を守るために 261 00:14:15,200 --> 00:14:17,537 数十年に渡って太陽光を 反射し続けその間に 262 00:14:17,561 --> 00:14:20,723 産業を脱炭素化し二酸化炭素を除去すると いうことかも知れません 263 00:14:21,655 --> 00:14:24,917 確実なのは 緊急の薬となる 選択肢を理解するため 264 00:14:24,941 --> 00:14:29,202 いま行動を 起こさなければならないということです 265 00:14:29,901 --> 00:14:31,052 ありがとうございました 266 00:14:31,076 --> 00:14:35,777 (拍手)