0:00:06.841,0:00:08.971
1958年にレイチェル・カーソンは

0:00:08.971,0:00:13.480
鳴鳥が突然木の枝から落ちているという[br]手紙を受け取りました

0:00:13.480,0:00:18.199
鳥の死は 近くの湿地に駆除業者がまいた[br]DDTという農薬のせいだと

0:00:18.199,0:00:20.068
手紙の主は言っていました

0:00:20.068,0:00:23.749
この手紙でカーソンは[br]DDTについて調査し始めました

0:00:23.749,0:00:27.778
科学者や自然保護活動家が[br]懸念しているのは耳にしていました

0:00:27.778,0:00:34.047
過剰な農薬の使用は[br]魚や鳥や人間にまで危険を及ぼすのだと

0:00:34.047,0:00:36.920
漁業局勤務で知り合った

0:00:36.920,0:00:40.382
政府関係者に聞き取りを始め

0:00:40.382,0:00:45.577
「春の声を沈黙させたものは何なのでしょう？」[br]と問いました

0:00:45.577,0:00:50.784
1962年にカーソンは結果を[br]著書『沈黙の春』にまとめ

0:00:50.784,0:00:56.476
化学物質の乱用が[br]自然や人の健康に及ぼす害について論じました

0:00:56.476,0:01:01.379
『沈黙の春』はすぐに賞賛と[br]強い異議の両方を受け

0:01:01.379,0:01:04.429
著者に対する悪意ある[br]個人攻撃もありました

0:01:04.429,0:01:10.123
この生物学者で作家の温厚な人物がどうして[br]そんな物議を醸すことになったのでしょう？

0:01:10.123,0:01:13.773
カーソンはそのキャリアを[br]勤勉な大学院生として始め

0:01:13.773,0:01:16.389
ジョンズ・ホプキンス大学での[br]生物学研究と

0:01:16.389,0:01:19.143
パート仕事のバランスを[br]取っていました

0:01:19.143,0:01:22.278
しかし病気の父や[br]妹の面倒を見るため

0:01:22.278,0:01:25.394
博士号を取る前に[br]大学を去らねばなりませんでした

0:01:25.394,0:01:27.303
カーソンは漁業局で

0:01:27.303,0:01:31.986
海洋生物学のラジオ番組の作家としての[br]パート仕事に就きます

0:01:31.986,0:01:37.495
一般の人の関心を引き付ける文章を書ける[br]彼女の能力に上司は感心し

0:01:37.495,0:01:39.407
1936年にカーソンは

0:01:39.407,0:01:43.435
漁業局が正式採用した[br]２人目の女性になりました

0:01:43.435,0:01:47.854
1941年には 海に関する３冊の著書の[br]１冊目を書いています

0:01:47.854,0:01:52.295
水の中の世界についての[br]科学と抒情的瞑想が合わさった

0:01:52.295,0:01:56.588
この海を探る話は[br]広い範囲の読者の心に響くものでした

0:01:56.588,0:01:59.306
『沈黙の春』で カーソンは

0:01:59.306,0:02:03.824
人間の活動がどのように自然界のバランスを[br]脅かしているかに関心を向けます

0:02:03.824,0:02:08.936
DDTは元々第二次世界大戦中に[br]作物への虫害を防ぎ

0:02:08.936,0:02:12.523
虫が媒介する病気から兵士を守るため [br]使われていました

0:02:12.523,0:02:17.337
戦後 害虫駆除のため[br]たびたび広範囲に散布されていましたが

0:02:17.337,0:02:19.772
予期せぬ結果になる[br]ことがありました

0:02:19.772,0:02:23.091
米国南部でヒアリを[br]根絶しようと使われたときには

0:02:23.091,0:02:28.887
野生動物を無差別に殺しながら[br]ヒアリにはあまり効果がありませんでした

0:02:28.887,0:02:31.656
このようなまずい事例にもかかわらず

0:02:31.656,0:02:37.163
農務省や化学会社は[br]DDTの効果をたたえていて

0:02:37.163,0:02:41.377
ほとんど規制がなく その潜在的な危険について[br]一般に知られていませんでした

0:02:41.377,0:02:43.159
それに対しカーソンが示したのは

0:02:43.159,0:02:47.451
化学物質の乱用は[br]耐性を持つ種の進化に繋がり

0:02:47.451,0:02:51.746
それがさらに殺傷力の強い化学物質の[br]開発に繋がるということでした

0:02:51.746,0:02:54.364
またDDTは水に溶けないため

0:02:54.364,0:02:58.856
環境の中で濃縮されていくと[br]彼女は主張しました

0:02:58.856,0:03:03.191
昆虫の体内や[br]その昆虫を食べる動物の組織を経て

0:03:03.191,0:03:04.963
最終的には人間にも及ぶのだと

0:03:04.964,0:03:09.952
そしてDDTに晒されることで[br]遺伝子構造が変異し

0:03:09.952,0:03:13.799
将来の世代に予期できない影響が[br]生じる可能性を示唆しました

0:03:13.799,0:03:17.192
『沈黙の春』への反応は[br]爆発的なもので

0:03:17.192,0:03:20.730
多くの人にとってこの本は[br]破滅的な害を生じうる物質への

0:03:20.730,0:03:22.961
規制を求める声でしたが

0:03:22.961,0:03:26.802
その一方で 人の健康に対する[br]害虫の脅威を抑える

0:03:26.802,0:03:30.511
DDTの役割に触れていないと[br]反論する人々もいました

0:03:30.511,0:03:34.213
元農務長官のエズラ・タフト・ベンソンは

0:03:34.213,0:03:40.538
「子供のいないオールドミスが[br]なんで遺伝なんか気に掛けるのか」と問い

0:03:40.538,0:03:44.789
カーソンを「どうせ共産主義者」だと[br]唾棄しました

0:03:44.789,0:03:49.676
農薬会社の弁護士は[br]カーソンやその支持者が

0:03:49.676,0:03:55.716
企業を非倫理的に見せようとする[br]「邪悪な勢力」だとしました

0:03:55.716,0:03:59.263
実際にはカーソンが化学物質の[br]危険性に注目したのは

0:03:59.263,0:04:03.768
利点についてはよく宣伝されている一方で[br]危険性について広く知られていなかったからです

0:04:03.768,0:04:07.162
人間は自然をコントロールすることが[br]可能であり そうすべきであるという

0:04:07.162,0:04:08.863
広く行きわたった考えを否定し

0:04:08.863,0:04:13.420
「自然ではなく人間たることを[br]ものにし成熟すること」を

0:04:13.420,0:04:16.541
彼女は人々に求めました

0:04:16.541,0:04:20.303
1964年にカーソンは[br]がんで亡くなります

0:04:20.303,0:04:23.971
『沈黙の春』出版の[br]ほんの２年後でした

0:04:23.971,0:04:28.584
彼女の作品はまるまる一世代の[br]環境活動家たちを力づけました

0:04:28.584,0:04:32.324
1969年に環境活動家の声によって

0:04:32.324,0:04:36.150
議会は「国家環境政策法」を可決し

0:04:36.150,0:04:41.550
政府機関に対し その活動の環境への影響を[br]評価することを義務付け

0:04:41.559,0:04:43.132
この法律を強制するため

0:04:43.132,0:04:47.317
ニクソン大統領は[br]環境保護庁を作ったのです

0:04:47.317,0:04:53.566
1972年に環境保護庁は[br]DDTの使用を部分的に禁止しました

0:04:53.566,0:04:56.396
死後長くたっても[br]レイチェル・カーソンは

0:04:56.396,0:05:01.467
その著書の影響を通じ[br]自然保護を訴え続けているのです