1 00:00:01,571 --> 00:00:03,586 子供のころ毎年夏になると 2 00:00:03,610 --> 00:00:06,992 カナダの家から祖父母のいる 3 00:00:07,016 --> 00:00:08,816 インドのムンバイに旅行しました 4 00:00:09,157 --> 00:00:12,291 カナダの夏は気温が上がっても 穏やかという程度です 5 00:00:12,315 --> 00:00:16,022 気温は摂氏22度 華氏なら72度くらいが 6 00:00:16,046 --> 00:00:18,666 一般的な夏の気温で さほど暑くありません 7 00:00:19,276 --> 00:00:22,315 ところがムンバイは暑く多湿で 8 00:00:22,339 --> 00:00:25,557 摂氏30度 華氏なら90度にもなります 9 00:00:26,364 --> 00:00:27,950 ムンバイに到着するとすぐに 10 00:00:27,974 --> 00:00:32,384 「どうしたらこんな気候で生活し 働き 寝ることができるの?」と尋ねました 11 00:00:33,539 --> 00:00:37,185 更に悪い事には祖父母は エアコンを持っていませんでした 12 00:00:37,768 --> 00:00:40,593 かなり頑張ってはみましたが 13 00:00:40,617 --> 00:00:43,371 エアコンを買うよう 説得するのは無理でした 14 00:00:44,220 --> 00:00:47,315 でも そんな状況は 急速に変わりつつあります 15 00:00:47,914 --> 00:00:52,255 冷却系で使われる電力は 世界の全電力使用の 16 00:00:52,279 --> 00:00:54,652 17パーセントにも上ります 17 00:00:54,676 --> 00:00:57,070 この数字は 私が夏休みに 18 00:00:57,094 --> 00:00:59,871 喉から手が出るほど 欲しかったエアコンも 19 00:00:59,895 --> 00:01:03,505 食料を安全に冷たく保存できる スーパーマーケットの冷蔵システムも 20 00:01:03,529 --> 00:01:04,760 含んでいますし 21 00:01:04,784 --> 00:01:09,036 データセンターが稼働するための 工業的な規模のシステムも含みます 22 00:01:09,624 --> 00:01:13,109 冷却システム全体で 世界の温室効果ガス発生量の 23 00:01:13,133 --> 00:01:15,383 8パーセントを占めます 24 00:01:15,823 --> 00:01:17,434 しかし私を悩ませるのは 25 00:01:17,458 --> 00:01:22,379 冷却に利用されるエネルギーは 2050年までに6倍に膨らみ 26 00:01:22,403 --> 00:01:26,684 アジアやアフリカの国々での利用拡大により 激増する可能性があります 27 00:01:27,284 --> 00:01:28,982 私はこの目で見てきました 28 00:01:29,006 --> 00:01:32,164 祖母の家の周りでも ほとんどのアパートで 29 00:01:32,188 --> 00:01:34,212 今はエアコンがあります 30 00:01:34,236 --> 00:01:37,283 これは 高温の環境で暮らす 人々にとって 31 00:01:37,307 --> 00:01:40,006 健康や生活条件や 生産性といった点では 32 00:01:40,030 --> 00:01:42,675 とても良いことです 33 00:01:43,831 --> 00:01:47,774 ただ 気候変動に関わって 憂慮すべきなのは 34 00:01:47,798 --> 00:01:50,393 地球が暖まるにつれて 35 00:01:50,417 --> 00:01:52,729 どんどん冷却システムが 必要になる上に 36 00:01:52,753 --> 00:01:56,512 そのシステム自体が温室効果ガスの 巨大な発生源となるのです 37 00:01:57,236 --> 00:02:00,569 こうして悪循環に陥るかもしれません 38 00:02:00,593 --> 00:02:02,051 冷却システムだけでも 39 00:02:02,075 --> 00:02:05,062 21世紀の後半には 温室効果ガスの最大の発生源となる 40 00:02:05,086 --> 00:02:06,428 可能性があるのです 41 00:02:06,735 --> 00:02:07,913 最悪のケースでは 42 00:02:07,937 --> 00:02:11,557 2100年までに 毎年10兆キロワット時を超える電力が 43 00:02:11,581 --> 00:02:14,269 冷却のために必要になるかもしれません 44 00:02:14,846 --> 00:02:17,711 この数字は現在の電力供給量の 半分に当たります 45 00:02:18,198 --> 00:02:19,348 冷却だけでです 46 00:02:20,862 --> 00:02:24,777 しかし同時に これは私たちに チャンスを与えてくれます 47 00:02:25,444 --> 00:02:30,013 全冷却システムの効率が 1〜2割向上するだけで 48 00:02:30,037 --> 00:02:33,521 温室効果ガスの発生量に 大きな影響を与えられるかもしれません 49 00:02:33,545 --> 00:02:36,010 今でも そしてこの先でも 50 00:02:38,080 --> 00:02:41,629 ひどい悪循環を避けるのに 役立つかもしれません 51 00:02:42,928 --> 00:02:46,608 私は光や熱を研究する科学者です 52 00:02:46,632 --> 00:02:50,228 特に新しい材料が それまでは不可能と考えられていた方法で 53 00:02:50,252 --> 00:02:54,934 自然の基本的要素の流れを 改変できるか研究しています 54 00:02:55,315 --> 00:02:57,728 夏休みの経験から 55 00:02:57,752 --> 00:02:59,696 冷却の価値を理解しつつ 56 00:02:59,720 --> 00:03:01,983 この問題に取り組み始めたのは 57 00:03:02,007 --> 00:03:06,013 6年前に遭遇した 知的難問がきっかけです 58 00:03:07,149 --> 00:03:12,766 古代の人々が砂漠の気候で どのように氷を作れたのか? 59 00:03:13,894 --> 00:03:16,830 この画像は氷の部屋 60 00:03:16,854 --> 00:03:20,481 ヤクチャルと言われるもので イランの南西にあるものです 61 00:03:21,006 --> 00:03:24,760 このような建物はイラン中に数十とあり 62 00:03:24,784 --> 00:03:28,474 同じような建物が 他の中東の国々や 中国に至るまで存在することが 63 00:03:28,498 --> 00:03:29,712 確認されています 64 00:03:30,228 --> 00:03:33,418 何世紀も前に このような 氷の部屋を利用していた人々は 65 00:03:33,442 --> 00:03:35,926 左手に見えるような水槽に 66 00:03:35,950 --> 00:03:39,022 日没後の夕刻の早い時間に 水を注ぎました 67 00:03:39,046 --> 00:03:40,855 すると不思議なことが起きるのです 68 00:03:41,442 --> 00:03:44,204 気温は氷点下になっていなくても 69 00:03:44,228 --> 00:03:47,926 例えば摂氏5度 華氏41度くらいで 70 00:03:47,950 --> 00:03:49,484 水が凍るのです 71 00:03:50,724 --> 00:03:54,859 生成された氷は早朝に回収され 72 00:03:54,883 --> 00:03:57,518 右手に見える建物に保存しました 73 00:03:57,542 --> 00:03:59,478 夏の期間中もずっとです 74 00:04:00,133 --> 00:04:02,852 同じような光景を 目にしたことがあるかもしれません 75 00:04:02,876 --> 00:04:06,328 良く晴れた夜に 気温が氷点よりずっと高くても 76 00:04:06,352 --> 00:04:09,097 霜が降りているのに 気づいたことがあるでしょう 77 00:04:09,121 --> 00:04:10,281 でも待ってください 78 00:04:10,305 --> 00:04:14,036 どうして気温が氷点を上回るのに 水が凍るのでしょうか? 79 00:04:14,487 --> 00:04:19,752 蒸発の影響もあるかもしれませんが 水が凍るほどではありません 80 00:04:20,064 --> 00:04:22,150 別の何かが冷却したに違いありません 81 00:04:22,761 --> 00:04:25,309 パイを窓枠に置いて 冷やすことを考えてください 82 00:04:25,619 --> 00:04:29,230 パイを冷ますには 温度の低い方に 熱を逃す必要があります 83 00:04:29,254 --> 00:04:31,158 つまり周囲の空気にです 84 00:04:32,180 --> 00:04:34,490 信じがたく聞こえますが 85 00:04:34,514 --> 00:04:39,890 熱は水槽の水から 冷たい宇宙へと流れるのです 86 00:04:42,085 --> 00:04:43,807 どのようにして起こるのか? 87 00:04:44,434 --> 00:04:48,006 多くの自然の物体と同じように 水槽の水は 88 00:04:48,030 --> 00:04:50,180 熱を光として放出します 89 00:04:50,506 --> 00:04:53,323 熱放射の概念として知られています 90 00:04:53,792 --> 00:04:58,260 この瞬間にも私たちは誰でも 熱を赤外線として 91 00:04:58,284 --> 00:05:00,212 周囲に放出しています 92 00:05:00,608 --> 00:05:03,077 熱線カメラで可視化することができますが 93 00:05:03,101 --> 00:05:06,347 そのイメージは 今見て頂いている様な画像です 94 00:05:06,744 --> 00:05:09,006 水槽の水は熱を大気に 95 00:05:09,030 --> 00:05:10,712 放出します 96 00:05:11,379 --> 00:05:13,474 大気と大気中の分子は 97 00:05:13,498 --> 00:05:16,053 熱の一部を吸収し再度放出します 98 00:05:16,077 --> 00:05:19,899 これこそが気候変動の原因となる 温室効果です 99 00:05:20,435 --> 00:05:22,958 ここが理解すべき重要な部分です 100 00:05:22,982 --> 00:05:26,182 大気は熱をすべて吸収することはありません 101 00:05:26,577 --> 00:05:29,511 もしそうなるなら 地球はもっと温暖な惑星になったはずです 102 00:05:29,982 --> 00:05:31,490 ある波長— 103 00:05:31,514 --> 00:05:34,966 具体的には8〜13ミクロンの波長が 104 00:05:34,990 --> 00:05:38,752 大気の伝送窓として知られています 105 00:05:39,402 --> 00:05:44,919 この大気の伝送窓は 赤外線としての熱を 効果的に大気の外側に逃がし 106 00:05:44,943 --> 00:05:48,276 水槽の熱を運び出すことを可能にします 107 00:05:48,895 --> 00:05:52,665 熱は遥かに冷たい場所へと 逃げていくのです 108 00:05:53,633 --> 00:05:55,601 大気上部の冷たい所へと 109 00:05:55,625 --> 00:05:57,299 更に遠い宇宙へと 110 00:05:57,323 --> 00:06:01,133 そこは 摂氏マイナス270度 あるいは 111 00:06:01,157 --> 00:06:03,877 華氏マイナス454度にもなります 112 00:06:05,242 --> 00:06:08,606 水槽の水は空から輻射される熱より 113 00:06:08,630 --> 00:06:10,401 さらに多くの熱を空に放出します 114 00:06:10,425 --> 00:06:11,575 そのため 115 00:06:11,599 --> 00:06:14,615 水槽は周囲の温度より低くなるのです 116 00:06:16,035 --> 00:06:19,551 この効果は夜間冷却 あるいは 放射冷却として 117 00:06:19,575 --> 00:06:20,975 知られています 118 00:06:21,369 --> 00:06:24,823 気候学者と気象学者には とても重要な自然現象として 119 00:06:24,847 --> 00:06:27,447 知られてきました 120 00:06:28,879 --> 00:06:30,371 この事実を知ったのは 121 00:06:30,395 --> 00:06:33,037 スタンフォードの博士課程を 終える頃でした 122 00:06:33,061 --> 00:06:37,490 この冷却方法としての 明らかな単純さに 123 00:06:37,514 --> 00:06:38,780 とても驚きました 124 00:06:39,284 --> 00:06:41,484 この手法をぜひ使おう! 125 00:06:42,744 --> 00:06:45,625 現在 科学者や技術者が 10年近くこのアイデアについて 126 00:06:45,649 --> 00:06:46,887 研究しています 127 00:06:46,911 --> 00:06:50,199 ところが ひとつ 大きな問題があります 128 00:06:50,879 --> 00:06:53,751 「夜間」冷却と呼ばれるのには 理由があります 129 00:06:54,109 --> 00:06:55,283 なぜか? 130 00:06:55,307 --> 00:06:57,676 それは太陽のせいです 131 00:06:58,157 --> 00:07:00,617 冷却する表面は 132 00:07:00,641 --> 00:07:02,815 空に向いている必要があります 133 00:07:02,839 --> 00:07:04,467 日中は 134 00:07:04,491 --> 00:07:07,641 一番冷たくなってほしいものが 135 00:07:07,665 --> 00:07:10,561 残念ながら太陽に向いてしまい 136 00:07:10,585 --> 00:07:12,441 太陽はほとんどの物体を加熱し 137 00:07:12,465 --> 00:07:15,222 冷却効果を完全に相殺してしまいます 138 00:07:16,409 --> 00:07:18,417 私は仲間とともに多くの時間を費やし 139 00:07:18,441 --> 00:07:21,989 極小スケールで材料を 作る方法を考えています 140 00:07:22,013 --> 00:07:25,339 光を利用して その材料で 新しい価値あることができるように 141 00:07:25,363 --> 00:07:28,353 そのスケールは光の波長よりも 小さなものです 142 00:07:28,377 --> 00:07:29,957 この分野をナノフォトニクスとか 143 00:07:29,981 --> 00:07:33,109 メタマテリアル研究と呼びますが ここから発想を得て 144 00:07:33,133 --> 00:07:36,133 史上初めて 日中でも 放射冷却を可能にする方法が 145 00:07:36,157 --> 00:07:37,830 あるかもしれないと気づいたのです 146 00:07:37,854 --> 00:07:40,910 実現のために 多層光材料を設計しました 147 00:07:40,934 --> 00:07:42,791 これは その顕微鏡画像です 148 00:07:42,815 --> 00:07:46,196 厚さは 標準的な髪の毛の太さの 40分の1未満です 149 00:07:46,220 --> 00:07:48,738 2つのことを同時に行うことができます 150 00:07:49,169 --> 00:07:50,994 1つ目は放熱 151 00:07:51,018 --> 00:07:54,820 大気が熱を最も逃がしやすい所に向けてです 152 00:07:54,844 --> 00:07:56,977 放熱先は宇宙にしました 153 00:07:57,519 --> 00:08:00,950 2つ目は太陽による加熱を防止します 154 00:08:00,974 --> 00:08:03,374 太陽光を とてもよく反射します 155 00:08:04,315 --> 00:08:07,029 最初にテストしたのは スタンフォードの屋上でしたが 156 00:08:07,053 --> 00:08:08,815 ご覧の通りです 157 00:08:09,339 --> 00:08:11,720 このデバイスを少しの間放置して 158 00:08:11,744 --> 00:08:14,815 数分後に近寄りました 159 00:08:14,839 --> 00:08:17,633 数秒もせず機能していることが分かりました 160 00:08:17,657 --> 00:08:18,815 なぜ? 161 00:08:18,839 --> 00:08:20,466 触ったら冷たかったのです 162 00:08:21,395 --> 00:08:26,053 (拍手) 163 00:08:26,862 --> 00:08:30,846 これが どれだけ奇妙で 直観から外れているかというと 164 00:08:30,870 --> 00:08:32,600 この材料やその類似物は 165 00:08:32,624 --> 00:08:35,529 日陰から日向に移して 太陽が射していても 166 00:08:35,553 --> 00:08:37,913 冷たくなるのです 167 00:08:37,937 --> 00:08:40,620 お見せしているのは 最初の実験のデータです 168 00:08:40,644 --> 00:08:43,383 この材料の温度は 気温と比べて摂氏5度以上 169 00:08:43,407 --> 00:08:46,683 あるいは華氏9度以上 低い状態を保ちました 170 00:08:46,707 --> 00:08:49,521 直射日光が当たっていたのにです 171 00:08:50,855 --> 00:08:53,990 私たちが使った素材を 大規模に製造する方法は 172 00:08:54,014 --> 00:08:56,548 すでに存在しています 173 00:08:56,903 --> 00:08:58,060 とてもワクワクしています 174 00:08:58,084 --> 00:09:01,125 なぜならただ冷たくするだけではなく 175 00:09:01,149 --> 00:09:06,202 何かを実現して世に役立つ機会を 得られたかもしれないからです 176 00:09:07,204 --> 00:09:09,117 そのことが次の大きな疑問へと導きます 177 00:09:09,141 --> 00:09:11,728 このアイデアで省エネを どう実現するか? 178 00:09:11,752 --> 00:09:15,410 この技術でエネルギーを節約する 最も直接的な方法は 179 00:09:15,434 --> 00:09:17,093 現代の空調や冷蔵の 180 00:09:17,117 --> 00:09:20,180 システム効率を増強することであると 信じています 181 00:09:20,561 --> 00:09:22,720 そのために液冷パネルを製作しました 182 00:09:22,744 --> 00:09:24,315 このようなものです 183 00:09:24,339 --> 00:09:27,006 これらのパネルは 太陽熱温水器のような形状ですが 184 00:09:27,030 --> 00:09:29,950 まったく逆の働きをします エネルギーを使わず水を冷却します 185 00:09:29,974 --> 00:09:32,041 私たちの作った特殊な材料でです 186 00:09:32,815 --> 00:09:35,275 このパネルは ほとんどの 冷却システムが備える 187 00:09:35,299 --> 00:09:37,867 凝縮器という部品と 組み合わせることができ 188 00:09:37,891 --> 00:09:41,024 システムの基本的な効率を向上します 189 00:09:41,367 --> 00:09:43,263 私たちのスタートアップ企業 SkyCool Systemsは 190 00:09:43,287 --> 00:09:47,161 カリフォルニア州デイビスで 実地試験を完了しました 191 00:09:47,649 --> 00:09:48,831 この時のデモでは 192 00:09:48,855 --> 00:09:51,903 冷却システムの効率を12パーセントも 193 00:09:51,927 --> 00:09:54,851 向上できたことを示しました 194 00:09:55,474 --> 00:09:56,728 1年か2年すると 195 00:09:56,752 --> 00:10:00,656 空調と冷蔵システムの双方で 商用規模での試験運用が 196 00:10:00,680 --> 00:10:03,823 開始されることに大変興奮しています 197 00:10:04,260 --> 00:10:07,847 将来 このようなパネルを取り付けることで 198 00:10:07,871 --> 00:10:11,180 ビル空調の冷却システムが高効率となり 199 00:10:11,204 --> 00:10:14,006 エネルギー消費を3分の2 減らせるかもしれません 200 00:10:14,030 --> 00:10:17,688 最終的には電力を全く必要としない 201 00:10:17,712 --> 00:10:20,275 冷却システムを作れるかもしれないのです 202 00:10:20,966 --> 00:10:22,482 それに向かう第1歩として 203 00:10:22,506 --> 00:10:24,363 スタンフォードの同僚と私は 204 00:10:24,387 --> 00:10:26,413 技術を駆使して 205 00:10:26,437 --> 00:10:32,418 気温より摂氏42度以上低い温度に 維持できることを実証しました 206 00:10:33,165 --> 00:10:34,315 ありがとう 207 00:10:34,339 --> 00:10:38,394 (拍手) 208 00:10:39,196 --> 00:10:40,347 夏の暑い日に 209 00:10:40,371 --> 00:10:43,774 何かを氷点下にすることを想像してください 210 00:10:45,927 --> 00:10:50,410 冷却に対して私たちができるすべてに ワクワクしながら 211 00:10:50,434 --> 00:10:53,688 更にできる事があると考えていて 212 00:10:53,712 --> 00:10:57,180 この研究が指し示す とても意義深い機会に 213 00:10:57,204 --> 00:10:59,220 科学者として惹かれます 214 00:10:59,760 --> 00:11:02,895 宇宙の冷たい暗黒を 地球上のあらゆる 215 00:11:02,919 --> 00:11:07,847 エネルギー関連工程の 効率向上に使うことができるのです 216 00:11:09,204 --> 00:11:12,521 その一例として取り上げたいのは 太陽電池です 217 00:11:12,934 --> 00:11:16,887 太陽熱で温度が上昇し それに連れ効率が下がります 218 00:11:17,276 --> 00:11:21,153 2015年には 意図的に微細構造を 219 00:11:21,177 --> 00:11:25,592 太陽電池パネルの表面に装備することで 冷却効果を利用して 220 00:11:25,616 --> 00:11:29,315 エネルギーを使わず 太陽電池のセルを 低温に保てることを実証しました 221 00:11:29,708 --> 00:11:32,029 太陽電池セルがより効率的に稼働できます 222 00:11:32,627 --> 00:11:35,595 私たちはこのような機会を模索しています 223 00:11:35,619 --> 00:11:38,864 私たちは宇宙の冷たさを 水の節約や 224 00:11:38,888 --> 00:11:40,967 独立電源システムに役立てられないか 225 00:11:41,316 --> 00:11:43,665 検討しているところです 226 00:11:43,689 --> 00:11:47,856 宇宙の冷たさから 直接 エネルギーを作れるかもしれないのです 227 00:11:48,522 --> 00:11:51,475 地球表面と冷たい宇宙の間には 228 00:11:51,499 --> 00:11:53,189 温度差が存在します 229 00:11:53,213 --> 00:11:55,341 温度差は 少なくとも理論上 230 00:11:55,365 --> 00:11:59,173 熱機関の原動力として利用でき 電気を発生させられます 231 00:11:59,967 --> 00:12:03,570 そうだとすると 夜間発電機器を作成し 232 00:12:03,594 --> 00:12:05,991 太陽電池が機能しない間の 実用的な量の電力を 233 00:12:06,015 --> 00:12:07,919 作る事ができるのでしょうか? 234 00:12:07,943 --> 00:12:10,477 暗闇から光を作り出せるのでしょうか? 235 00:12:11,872 --> 00:12:16,261 この力の中核になるのは 私たちに身近な 236 00:12:16,285 --> 00:12:19,396 熱放射を管理できるかどうかです 237 00:12:19,420 --> 00:12:22,220 私たちは赤外線に包まれています 238 00:12:22,666 --> 00:12:25,118 もし赤外線を私たちの 思う通りに操れたら 239 00:12:25,142 --> 00:12:28,472 日々 私たちに浸透している 熱とエネルギーの流れを 240 00:12:28,496 --> 00:12:30,629 根底から変えることができるのです 241 00:12:31,190 --> 00:12:34,531 この力は 宇宙の冷たい暗闇とともに 242 00:12:34,555 --> 00:12:37,864 私たちに未来を見せてくれます 243 00:12:37,888 --> 00:12:43,126 私たちが文明として 非常に大規模に 熱エネルギーの消費を 244 00:12:43,150 --> 00:12:44,950 賢明に管理し得る未来です 245 00:12:45,904 --> 00:12:48,118 気候変動と立ち向かう際に 246 00:12:48,142 --> 00:12:50,745 手段の1つとして この力を持つことが 247 00:12:50,769 --> 00:12:52,569 不可欠だとわかってくるでしょう 248 00:12:53,428 --> 00:12:56,626 この次に外を歩き回るときには 249 00:12:56,650 --> 00:13:02,994 地球の生命にとって太陽が どれほど大切なものかに驚きつつ 250 00:13:03,018 --> 00:13:07,694 空の他の部分からも恩恵を得られることを 忘れてはいけません 251 00:13:08,533 --> 00:13:09,684 ありがとうございました 252 00:13:09,708 --> 00:13:13,818 (拍手)