WEBVTT 00:00:01.441 --> 00:00:03.857 思ったことをはっきり言うのは 難しいものです 00:00:04.588 --> 00:00:09.507 その本当の意味が分かったのは ちょうど1ヶ月前 00:00:09.531 --> 00:00:12.434 私たち夫婦に子供が 誕生した時のことです 00:00:13.113 --> 00:00:14.791 感動と 00:00:14.815 --> 00:00:17.000 心躍る歓喜の瞬間でした 00:00:17.024 --> 00:00:20.345 と同時に怖くて身がすくむ思いもあり 00:00:20.369 --> 00:00:24.571 特に赤ちゃんを初めて 我が家に迎えた日がそうでした 00:00:24.595 --> 00:00:26.056 妻も私も 00:00:26.080 --> 00:00:30.169 母乳からの栄養で十分なのか 確信が持てませんでした 00:00:30.616 --> 00:00:33.943 それで小児科医に 電話したかったのですが 00:00:33.967 --> 00:00:35.756 第一印象が悪くなってもいけないし 00:00:35.756 --> 00:00:39.250 神経質で常識外れな親だと 思われたくなかったので 00:00:39.250 --> 00:00:40.701 ただ心配しながら 00:00:40.725 --> 00:00:42.107 待ちました 00:00:42.131 --> 00:00:44.426 翌日 小児科医を訪れると 00:00:44.450 --> 00:00:48.704 かなりの脱水症状を示していた息子は すぐにミルクを与えられました 00:00:49.312 --> 00:00:50.746 今では元気ですし 00:00:50.770 --> 00:00:53.726 担当医は いつでも電話していいと 言ってくれています 00:00:54.106 --> 00:00:55.632 あの時 電話して 00:00:55.656 --> 00:00:58.290 思っていることを 言えばよかったのでした NOTE Paragraph 00:00:58.943 --> 00:01:02.238 一方 発言すべきでない時に 言ってしまう場合もあります 00:01:02.262 --> 00:01:06.188 10年以上前 私の双子の弟を 落胆させてしまった時がそうです 00:01:06.579 --> 00:01:09.221 弟はドキュメンタリー映画を 製作しています 00:01:09.245 --> 00:01:10.775 ある初期の作品に対して 00:01:10.799 --> 00:01:13.414 映画配給会社から 契約の申し出がありました 00:01:13.438 --> 00:01:14.776 弟は興奮して 00:01:14.800 --> 00:01:17.467 承諾するつもりになっていました 00:01:17.491 --> 00:01:19.584 しかし 交渉に関する研究をしていた私は 00:01:19.608 --> 00:01:22.561 逆提案をすべきだと主張し 00:01:22.585 --> 00:01:25.815 完璧な提案を練り上げる 手伝いをしました 00:01:25.839 --> 00:01:27.520 それは完璧に・・・ 00:01:27.544 --> 00:01:29.918 完璧に無礼なものだったのです 00:01:30.423 --> 00:01:32.136 その会社は 酷く憤慨し 00:01:32.160 --> 00:01:34.209 オファーを取り下げ 00:01:34.233 --> 00:01:36.450 全てがフイになってしまいました NOTE Paragraph 00:01:36.474 --> 00:01:40.334 さて私はこの自己主張のジレンマに関して 世界中の人々に質問をしてきました 00:01:40.358 --> 00:01:42.192 自分を強く主張できる時とは? 00:01:42.216 --> 00:01:44.330 自分の利益や関心を押し通せる時とは? 00:01:44.330 --> 00:01:46.149 自分の意見を表現できる時とは? 00:01:46.173 --> 00:01:48.384 野心的な要求ができる時とは? NOTE Paragraph 00:01:48.887 --> 00:01:52.994 内容は幅広く様々なのですが 一方で 00:01:53.024 --> 00:01:55.815 それらが織りなす模様は万国共通です 00:01:55.839 --> 00:01:58.517 上司がミスをしたとき 進言してもいいだろうか? 00:01:58.541 --> 00:02:02.644 いつも口出ししてくる嫌な同僚に 直接 注意してもいいだろうか? 00:02:02.996 --> 00:02:06.063 無神経な冗談を言う友人を いさめてもいいだろうか? 00:02:06.390 --> 00:02:10.486 心の奥底にある不安を 最愛の人に明かしてもいいだろうか? NOTE Paragraph 00:02:10.963 --> 00:02:13.676 私は こうした調査を通して 人には それぞれ 00:02:13.700 --> 00:02:17.557 許されている言動の範囲が あることに気がつきました 00:02:17.581 --> 00:02:22.832 時には押しが強すぎることがあります 00:02:22.856 --> 00:02:24.619 それが弟の身に起きたことです 00:02:24.643 --> 00:02:29.269 逆提案をすること自体が 弟に許される範囲外の行為だったのです 00:02:29.663 --> 00:02:31.187 しかし押しが弱すぎる時もあり 00:02:31.211 --> 00:02:33.275 先程の妻と私のケースがそれです 00:02:33.299 --> 00:02:35.515 この1人1人が持つ許容範囲— 00:02:35.539 --> 00:02:38.634 自分の許容範囲内での言動なら 見返りがありますが 00:02:38.658 --> 00:02:42.827 その範囲から一歩出てしまうと 様々な形で罰せられます 00:02:42.851 --> 00:02:45.990 冷遇されたり見下げられたり 疎外されたりさえします 00:02:46.014 --> 00:02:49.273 時には昇給や昇進を逃したり 商談を棒にふったりです NOTE Paragraph 00:02:49.929 --> 00:02:52.693 それで まず知るべきことは 00:02:52.717 --> 00:02:54.705 自分の許容範囲ですが 00:02:54.744 --> 00:02:58.689 その範囲の幅は一定でない ということが鍵です 00:02:59.265 --> 00:03:00.681 実際かなり変動するんです 00:03:00.705 --> 00:03:05.021 状況により その範囲は 広がりも狭まりもします 00:03:05.344 --> 00:03:09.532 許容範囲の決定に 何よりも大きく影響するのは 00:03:10.038 --> 00:03:11.331 私たち自身の「力」です 00:03:11.355 --> 00:03:13.512 私たちの力がその範囲を 左右するのです 00:03:13.536 --> 00:03:14.973 この「力」とは何でしょう? 00:03:14.997 --> 00:03:16.764 それは様々な形で現れます 00:03:16.788 --> 00:03:19.877 交渉の際には選択の余地 という形で現れます 00:03:19.901 --> 00:03:21.785 弟の場合 その余地がなく 00:03:21.795 --> 00:03:23.112 つまり力が足りなかったのです 00:03:23.136 --> 00:03:24.930 相手の会社には多くの選択肢— 00:03:24.940 --> 00:03:26.196 つまり力があったのです 00:03:26.210 --> 00:03:29.230 力の無さは移民のように 新しい国に来たばかりの人や 00:03:29.254 --> 00:03:30.713 組織の新メンバーや 00:03:30.737 --> 00:03:32.296 何かを初めて経験する人々 — 00:03:32.320 --> 00:03:34.425 例えば妻と私のような 新米の親などに見られます 00:03:34.449 --> 00:03:35.950 ある時は 職場で 00:03:35.974 --> 00:03:38.585 一人が上司で もう一人が部下という状況で生まれ 00:03:38.609 --> 00:03:40.293 ある時は 人間関係で 00:03:40.317 --> 00:03:43.298 一方が もう一方よりも 相手に入れあげている場合に表れます NOTE Paragraph 00:03:43.322 --> 00:03:46.837 ここでの鍵は 力が大きければ 00:03:46.861 --> 00:03:48.690 許容範囲は うんと広くなり 00:03:48.714 --> 00:03:51.465 許される言動の幅が かなりありますが 00:03:51.813 --> 00:03:54.141 力が無ければ その幅は狭まり 00:03:54.537 --> 00:03:56.362 余裕はほとんどありません 00:03:56.947 --> 00:03:59.729 問題は許容範囲が狭くなると 00:03:59.753 --> 00:04:03.856 「ローパワー・ダブルバインド」と 呼ばれるものが生まれます 00:04:04.310 --> 00:04:06.957 力の弱さゆえの二重拘束のことで それが起きるのは 00:04:06.977 --> 00:04:10.034 黙っていれば 誰の目にも留まらず 00:04:10.576 --> 00:04:12.918 思い切って言えば 罰せられるという時です NOTE Paragraph 00:04:13.359 --> 00:04:16.070 みなさんの多くは 「ダブルバインド」と聞くと 00:04:16.094 --> 00:04:19.041 ジェンダーに関する話を 連想したのではないでしょうか 00:04:19.065 --> 00:04:23.275 ジェンダーによるダブルバインドとは 黙っている女性は目立たず 00:04:23.299 --> 00:04:25.840 発言する女性は 嫌な目に遭うというものです 00:04:26.127 --> 00:04:30.845 女性も男性と同様 発言しなければなりませんが 00:04:30.845 --> 00:04:33.132 問題は それを阻む 障壁があることです 00:04:34.004 --> 00:04:37.702 過去20年に渡る私の研究で こういうことが分かりました 00:04:37.706 --> 00:04:40.987 女性だから起きていると 思われていたダブルバインドは 00:04:41.035 --> 00:04:42.466 実は そうではなく 00:04:42.486 --> 00:04:45.812 個人の「力」の弱さから来る ローパワー・ダブルバインドだったのです 00:04:45.836 --> 00:04:47.720 つまり 性別に関係なく 00:04:47.744 --> 00:04:50.980 力の差の現れにすぎない ことが多いのです 00:04:51.394 --> 00:04:52.891 男性と女性の違いを 00:04:52.891 --> 00:04:55.369 個別に見ても 男女別の集団を見ても 00:04:55.699 --> 00:04:59.041 「生物学上の根本的な違いだ」と 00:04:59.051 --> 00:05:00.241 思うのが常ですが 00:05:00.265 --> 00:05:02.119 研究を重ねた結果 分かったのは 00:05:02.143 --> 00:05:06.659 女性特有のダブルバインドだと 思われていた事柄は 00:05:06.893 --> 00:05:08.405 実は 「力」から来るもので 00:05:08.429 --> 00:05:11.616 ローパワー・ダブルバインドが 要因となっていたのです 00:05:11.975 --> 00:05:15.125 この二重拘束は 力に欠けているせいで 00:05:15.145 --> 00:05:18.645 言動の許容範囲が狭くなると いうものです 00:05:18.669 --> 00:05:19.901 許容範囲が狭いと 00:05:19.925 --> 00:05:21.917 強力なダブルバインドが生じるのです NOTE Paragraph 00:05:22.335 --> 00:05:24.691 さて 許容範囲を広げる方法が 必要だということで 00:05:24.715 --> 00:05:26.292 過去20年の間に 00:05:26.316 --> 00:05:29.347 私は同僚と共に それに関わる 2つの要素を発見しました 00:05:29.887 --> 00:05:33.952 1つ目は 力がありそうだ という自分に対する自己判断 00:05:34.284 --> 00:05:37.605 2つ目は 力がありそうだ という自分に対する他者の判断 00:05:37.629 --> 00:05:40.164 自分に力が みなぎっていると感じる時 00:05:40.164 --> 00:05:41.992 私は自信に溢れ 物怖じせず 00:05:42.016 --> 00:05:43.858 自ら許容範囲を広げています 00:05:43.882 --> 00:05:46.598 他者の目にも 私が力強く映っていれば 00:05:46.614 --> 00:05:49.150 許容範囲を広げる許可が与えられます 00:05:49.174 --> 00:05:53.928 では その許容範囲を広げる道具が 必要になりますが 00:05:53.952 --> 00:05:56.343 今日はその道具一式を 皆さんにお渡ししましょう 00:05:56.367 --> 00:05:58.495 意見を述べることには リスクが伴いますが 00:05:58.503 --> 00:06:02.432 そのリスクを下げてくれる道具です NOTE Paragraph 00:06:03.067 --> 00:06:08.595 最初の道具は 交渉に関する研究で発見された 00:06:08.815 --> 00:06:10.305 重要なものです 00:06:10.369 --> 00:06:14.225 概して 女性は控えめに提案するため 00:06:14.249 --> 00:06:17.873 交渉は 男性より女性にとって 不利な結果となってしまいます 00:06:18.200 --> 00:06:21.377 しかしハナ・ライリー・ボウルズと エミリー・アマナトゥラの研究で 00:06:21.391 --> 00:06:24.553 ある状況下では 女性も 男性と同じくらい強気になれ 00:06:24.563 --> 00:06:27.382 かつ男性と同じような結果を 出せることが分かりました 00:06:27.382 --> 00:06:30.804 その状況とは 女性が他者のために発言する時です 00:06:31.251 --> 00:06:33.388 他者のために発言する時 00:06:33.412 --> 00:06:37.643 女性は自分の許容範囲を把握し 自ら押し広げ 00:06:37.643 --> 00:06:39.752 より自信を持って発言できます 00:06:39.766 --> 00:06:42.620 これは「母熊効果」と 呼ばれることがあります 00:06:43.483 --> 00:06:45.742 自分の子を守る母熊のように 00:06:45.766 --> 00:06:50.104 他者のために発言する時 自分の意見が述べられるようになります NOTE Paragraph 00:06:50.328 --> 00:06:53.445 しかし時には自分のためにも 発言しなければなりません 00:06:53.469 --> 00:06:54.809 その方法とは? 00:06:54.833 --> 00:06:58.838 自分のために発言するのに 最も重要な道具の1つに 00:06:58.862 --> 00:07:01.234 「他者視点取得」と 呼ばれるものがあります 00:07:01.258 --> 00:07:04.010 他者視点取得とは実に単純で 00:07:04.034 --> 00:07:08.319 他者の視点を通して 世の中を見るということです 00:07:09.014 --> 00:07:12.802 これが 自分の許容範囲を広げてくれる 最も重要な道具の1つです 00:07:12.826 --> 00:07:14.533 相手の視点を取り入れて 00:07:14.557 --> 00:07:16.996 相手が本当に望んでいるものを考えると 00:07:17.020 --> 00:07:20.390 相手から 自分の望んでいるものを もらえる可能性が高まります NOTE Paragraph 00:07:21.461 --> 00:07:22.961 しかし ここに問題があります 00:07:22.985 --> 00:07:25.266 視点取得は難しいのです 00:07:25.290 --> 00:07:26.820 ちょっと実験をしてみましょう 00:07:26.844 --> 00:07:29.858 このように手を挙げて下さい 00:07:29.882 --> 00:07:31.827 人差し指を突き出して 00:07:31.827 --> 00:07:36.002 大文字の「E」を おでこに書いてください 00:07:36.026 --> 00:07:37.607 できるだけ速く 00:07:40.066 --> 00:07:43.383 はい 「E」を書くのには2通りありますね 00:07:43.407 --> 00:07:46.892 これは元々 視点取得のテストとして 考案されたものです 00:07:46.916 --> 00:07:48.837 2つの写真をお見せします 00:07:48.861 --> 00:07:50.861 おでこに「E」を書いた人の写真です 00:07:50.885 --> 00:07:52.743 教え子のエリカ・ホールです 00:07:53.294 --> 00:07:55.262 左に見えるのは 00:07:55.286 --> 00:07:56.553 正しい「E」ですね 00:07:56.577 --> 00:08:00.027 自分の書いた「E」が 他の人にも「E」に見えます 00:08:00.051 --> 00:08:02.158 これは視点取得型の「E」です 00:08:02.182 --> 00:08:05.237 他者の観点から見た「E」だからです 00:08:05.261 --> 00:08:08.271 しかし右のは自己注目型の「E」です 00:08:08.856 --> 00:08:10.509 自己注目は よくあることですが 00:08:10.533 --> 00:08:13.560 特に危機に陥ると そうなります NOTE Paragraph 00:08:14.064 --> 00:08:16.235 ある危機のお話をしましょう 00:08:16.259 --> 00:08:19.445 カリフォルニア州ワトソンビルで 銀行に1人の男が入って来ました 00:08:20.105 --> 00:08:21.364 男は言いました 00:08:21.364 --> 00:08:25.044 「2千ドル出せ さもないと銀行ごと爆破する」 00:08:25.503 --> 00:08:28.028 銀行の支店長は お金を渡さず 00:08:28.052 --> 00:08:29.491 一歩引いて考えました 00:08:29.873 --> 00:08:31.329 その男の立場に立つと 00:08:31.353 --> 00:08:33.720 非常に重要なことに気づきました 00:08:33.744 --> 00:08:36.450 男は特定の金額を要求してきています NOTE Paragraph 00:08:36.474 --> 00:08:37.949 そこで男に尋ねました 00:08:38.669 --> 00:08:40.928 「どうして2千ドルなのですか?」 NOTE Paragraph 00:08:41.225 --> 00:08:42.037 男は答えました 00:08:42.047 --> 00:08:45.920 「今すぐ2千ドル渡さないと 友達が強制退去させられるんだ」 NOTE Paragraph 00:08:45.944 --> 00:08:47.518 そこで支店長は言いました 00:08:47.558 --> 00:08:50.506 「それなら銀行強盗なんかではなく ローンを組んだ方がお得ですよ」 NOTE Paragraph 00:08:50.530 --> 00:08:51.615 (笑) NOTE Paragraph 00:08:51.639 --> 00:08:52.916 「私のオフィスへどうぞ 00:08:52.926 --> 00:08:54.595 書類を作りましょう」 NOTE Paragraph 00:08:54.629 --> 00:08:55.668 (笑) NOTE Paragraph 00:08:57.214 --> 00:09:01.717 支店長の迅速な視点取得が 一触即発の状況を鎮めたのです 00:09:02.276 --> 00:09:04.095 他者の視点を取り入れると 00:09:04.119 --> 00:09:08.865 野心的になれる上 自己主張でき それでいて感じもいいのです NOTE Paragraph 00:09:09.182 --> 00:09:12.450 もう1つ自己主張できて 好ましく思われる方法があります 00:09:12.474 --> 00:09:15.005 それは柔軟性を示すことです 00:09:15.413 --> 00:09:19.475 例えば あなたが営業マンで 車を売ろうとしていると思ってください 00:09:19.790 --> 00:09:23.793 選択肢を2つ示すことで 売れる可能性が高くなります 00:09:24.141 --> 00:09:25.564 例えば 選択肢Aは 00:09:25.588 --> 00:09:28.688 2万4千ドルで保証期間5年 00:09:29.084 --> 00:09:30.257 選択肢Bは 00:09:30.701 --> 00:09:33.493 2万3千ドルで保証期間3年 という風にです 00:09:33.845 --> 00:09:35.627 私の研究で分かったことは 00:09:35.627 --> 00:09:39.376 人は選択権を与えられると ガードがゆるくなり 00:09:39.376 --> 00:09:41.668 与えられた提案を 承諾しがちだということです NOTE Paragraph 00:09:42.202 --> 00:09:44.319 これは営業マンに限らず 00:09:44.343 --> 00:09:45.534 親にも言えます 00:09:45.558 --> 00:09:46.837 私の姪が4才の時 00:09:46.861 --> 00:09:49.778 着替えるのを嫌がり どの洋服も拒絶しました 00:09:50.160 --> 00:09:52.688 しかし母親に 素晴らしい考えが浮かびました 00:09:53.079 --> 00:09:55.630 娘に選択肢を示し 選ばせたらどうだろう? 00:09:55.654 --> 00:09:57.675 どっちのシャツがいい? こっちね 00:09:57.699 --> 00:09:59.821 どっちのズボンがいい? こっちね 00:09:59.845 --> 00:10:01.183 見事にうまく行きました 00:10:01.207 --> 00:10:04.741 姪はグズることなく さっさと着替えたのです NOTE Paragraph 00:10:05.498 --> 00:10:07.609 私は世界中の人々に こんな質問をしてきました 00:10:07.619 --> 00:10:09.704 「思っていることが 気軽に言える時とは?」 00:10:09.724 --> 00:10:11.320 最も多い答えは 00:10:11.320 --> 00:10:15.998 「聞き手の中に 支持者や仲間がいる時」 00:10:16.022 --> 00:10:19.638 では 自分の側に立ってくれる 仲間を得るには 00:10:19.957 --> 00:10:21.227 どうしましょう? 00:10:21.841 --> 00:10:24.010 1つの方法は「母熊」になることです 00:10:24.034 --> 00:10:25.510 他者のために発言する時 00:10:25.534 --> 00:10:29.063 自分だけでなく他者の目から見ても 自分の許容範囲が広がり 00:10:29.087 --> 00:10:31.323 同時に強力な仲間を得られます NOTE Paragraph 00:10:31.806 --> 00:10:36.513 強力な仲間を得るもう1つの方法 特に権力のある人を味方につけるには 00:10:36.537 --> 00:10:39.386 助言を求めることです 00:10:39.410 --> 00:10:43.885 他者に助言を求めると 好ましく思ってもらえます 00:10:43.915 --> 00:10:46.802 相手を立てているし 謙虚さを示してもいるからです 00:10:47.281 --> 00:10:50.527 もう1つのダブルバインド解決にも とても効果的です 00:10:50.831 --> 00:10:53.239 自己PRから生じる ダブルバインドのことです 00:10:53.498 --> 00:10:55.372 どういうことかと言うと 00:10:55.382 --> 00:10:58.181 自分の功績を宣伝しなければ 00:10:58.205 --> 00:10:59.415 誰も気付かないが 00:10:59.439 --> 00:11:01.843 ひけらかすと好ましく思われない というものです NOTE Paragraph 00:11:01.867 --> 00:11:05.433 しかし自分の功績に関して 助言を求めると 00:11:05.457 --> 00:11:09.877 相手の目に映る自分は有能で さらに好ましく思ってもらえます 00:11:10.495 --> 00:11:12.502 この方法は とても強力で 00:11:12.526 --> 00:11:15.404 誰かが相談に来ると わかっている時でさえ効果的なのです 00:11:15.469 --> 00:11:19.509 「力」の弱い人が紹介を受けて 私の所に助言を求めに来ることを 00:11:19.533 --> 00:11:23.971 前もって知らされるというケースが 今まで何度もありました 00:11:24.289 --> 00:11:26.531 ここで気付いて欲しいことが 3つあります 00:11:26.555 --> 00:11:29.543 その1 私は助言を 求められると知っていた 00:11:29.930 --> 00:11:32.446 その2 助言を求める行為には 00:11:32.446 --> 00:11:35.257 戦略的な利点があることを 私はよく知っていた 00:11:35.882 --> 00:11:38.208 その3 そう知っていても 効果的だったのです! 00:11:38.656 --> 00:11:39.933 相手の視点を受け入れ 00:11:39.937 --> 00:11:42.084 彼らのために もっと力を尽くすようになり 00:11:42.108 --> 00:11:45.914 より熱心に相談に乗りました 助言を求められたからです NOTE Paragraph 00:11:46.343 --> 00:11:49.527 自信を持って意見が述べられる場面は 他にもあります 00:11:49.949 --> 00:11:51.690 専門分野がある場合です 00:11:52.144 --> 00:11:54.299 専門性によって信頼が得られます 00:11:54.862 --> 00:11:57.789 たっぷり力を持っている場合は すでに信頼があるので 00:11:57.813 --> 00:11:59.808 そこそこの証拠を示せば 十分です 00:11:59.808 --> 00:12:02.747 力が無い場合は 信頼がありませんから 00:12:02.771 --> 00:12:05.403 優れた証拠が必要になります NOTE Paragraph 00:12:05.403 --> 00:12:08.805 専門家として印象づける方法の1つに 00:12:09.125 --> 00:12:11.263 自分の情熱を表す というやり方があります 00:12:11.784 --> 00:12:14.402 皆さんに やってほしいことがあります 00:12:14.422 --> 00:12:17.227 向こう数日の間に 誰か友達をつかまえて 00:12:17.251 --> 00:12:20.381 その人が情熱を傾けていることについて 語ってもらってください 00:12:20.738 --> 00:12:23.223 私は世界中の人々に これをやってもらい 00:12:23.247 --> 00:12:24.503 その後こう尋ねました 00:12:24.527 --> 00:12:26.696 「自分の情熱を語る人を見ていて 00:12:26.720 --> 00:12:28.774 どんなことに気がつきましたか?」 00:12:28.798 --> 00:12:30.698 その答えはいつも同じでした 00:12:30.722 --> 00:12:32.730 「目が輝き イキイキとしてきた」 00:12:32.754 --> 00:12:35.737 「満面の笑顔になった」 00:12:35.747 --> 00:12:37.005 「手ぶりが大きくなって 00:12:37.015 --> 00:12:39.471 避けなきゃいけないほどだった 当たりそうで」 00:12:39.491 --> 00:12:41.782 「早口になり ちょっと声がうわずっていた」 NOTE Paragraph 00:12:41.796 --> 00:12:42.584 (笑) NOTE Paragraph 00:12:42.854 --> 00:12:45.658 「秘密を明かすかのように 身を乗り出してきた」 NOTE Paragraph 00:12:45.668 --> 00:12:46.923 さらに こう尋ねました 00:12:46.947 --> 00:12:50.081 「それを聞いていた あなたはどうなりましたか?」 NOTE Paragraph 00:12:50.374 --> 00:12:51.448 こんな答えでした 00:12:51.448 --> 00:12:53.928 「私の目も輝き 笑みがこぼれ 00:12:53.958 --> 00:12:55.345 身を乗り出しました」 NOTE Paragraph 00:12:55.369 --> 00:12:57.438 自分たちの情熱に関することとなると 00:12:57.472 --> 00:13:00.828 自ら発言する勇気が 奮い起こされるものですが 00:13:00.852 --> 00:13:03.990 同時に 発言することに対し 周りも寛容になります 00:13:04.534 --> 00:13:09.874 自分が弱すぎるように見えてしまう状況でも 情熱を表すとプラスに働きます 00:13:10.533 --> 00:13:15.127 性別を問わず職場での涙は ひんしゅくを買いますが 00:13:15.344 --> 00:13:21.762 リジー・ウルフの研究では 強い感情が情熱という形で表された場合 00:13:21.786 --> 00:13:27.962 男性であれ女性であれ 涙は 非難されないことが分かっています NOTE Paragraph 00:13:28.598 --> 00:13:32.066 最後に 今は亡き父が 弟の結婚式で 00:13:32.090 --> 00:13:34.251 述べた言葉で 締めくくりたいと思います 00:13:34.625 --> 00:13:36.090 その時の写真です 00:13:37.664 --> 00:13:39.921 父は私と同じく心理学者でしたが 00:13:39.945 --> 00:13:43.667 父が本当に愛し 情熱を持っていたのは映画でした 00:13:43.691 --> 00:13:44.891 弟と同じです 00:13:44.975 --> 00:13:47.481 父が結婚式のために書いた スピーチの題材は 00:13:47.505 --> 00:13:50.654 人生を喜劇に喩え その中で 私たちが演じる役柄についてでした NOTE Paragraph 00:13:50.678 --> 00:13:52.967 「人との関わりが 軽やかであればあるほど 00:13:52.991 --> 00:13:56.843 上手に立ち回れるようになり 人生を充実させるのに長けてくるものだ 00:13:57.170 --> 00:14:01.356 自分の役割を受け入れ 向上しようと努力する者は 00:14:02.001 --> 00:14:04.667 自分を大きく成長させる 00:14:05.047 --> 00:14:06.525 自分の役割をうまくこなせば 00:14:06.525 --> 00:14:08.552 人生は概ね 楽しいものとなるだろう」 NOTE Paragraph 00:14:08.946 --> 00:14:10.571 父が言わんとしたのは 00:14:10.595 --> 00:14:14.401 この世界で私たちは皆 役割と自由を与えられており— 00:14:15.048 --> 00:14:18.513 この講演の核心でもあるのですが— 00:14:19.005 --> 00:14:24.022 その役割と幅は常に広がり 発展しているということです NOTE Paragraph 00:14:24.770 --> 00:14:27.082 必要とあらば 00:14:27.114 --> 00:14:28.730 母熊のように勇猛になり 00:14:29.251 --> 00:14:31.363 謙虚に助言を求めてください 00:14:31.802 --> 00:14:35.515 そうして優れた証拠と 心強い仲間を得て 00:14:35.910 --> 00:14:38.648 情熱を持って 他者の視点を取り入れましょう 00:14:38.770 --> 00:14:40.570 そして 皆さんが この道具を使えば― 00:14:40.580 --> 00:14:44.080 誰でも使えるようになれば 00:14:44.104 --> 00:14:47.970 自分の言動の許容範囲を 広げられるようになり 00:14:47.994 --> 00:14:50.952 人生は概ね楽しいものと なることでしょう NOTE Paragraph 00:14:52.082 --> 00:14:53.232 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:14:53.256 --> 00:14:55.687 (拍手)