0:00:01.441,0:00:03.857 思ったことをはっきり言うのは[br]難しいものです 0:00:04.588,0:00:09.507 その本当の意味が分かったのは[br]ちょうど1ヶ月前 0:00:09.531,0:00:12.434 私たち夫婦に子供が[br]誕生した時のことです 0:00:13.113,0:00:14.791 感動と 0:00:14.815,0:00:17.000 心躍る歓喜の瞬間でした 0:00:17.024,0:00:20.345 と同時に怖くて身がすくむ思いもあり 0:00:20.369,0:00:24.571 特に赤ちゃんを初めて[br]我が家に迎えた日がそうでした 0:00:24.595,0:00:26.056 妻も私も 0:00:26.080,0:00:30.169 母乳からの栄養で十分なのか[br]確信が持てませんでした 0:00:30.616,0:00:33.943 それで小児科医に[br]電話したかったのですが 0:00:33.967,0:00:35.756 第一印象が悪くなってもいけないし 0:00:35.756,0:00:39.250 神経質で常識外れな親だと[br]思われたくなかったので 0:00:39.250,0:00:40.701 ただ心配しながら 0:00:40.725,0:00:42.107 待ちました 0:00:42.131,0:00:44.426 翌日 小児科医を訪れると 0:00:44.450,0:00:48.704 かなりの脱水症状を示していた息子は[br]すぐにミルクを与えられました 0:00:49.312,0:00:50.746 今では元気ですし 0:00:50.770,0:00:53.726 担当医は いつでも電話していいと[br]言ってくれています 0:00:54.106,0:00:55.632 あの時 電話して 0:00:55.656,0:00:58.290 思っていることを[br]言えばよかったのでした 0:00:58.943,0:01:02.238 一方 発言すべきでない時に[br]言ってしまう場合もあります 0:01:02.262,0:01:06.188 10年以上前 私の双子の弟を[br]落胆させてしまった時がそうです 0:01:06.579,0:01:09.221 弟はドキュメンタリー映画を[br]製作しています 0:01:09.245,0:01:10.775 ある初期の作品に対して 0:01:10.799,0:01:13.414 映画配給会社から[br]契約の申し出がありました 0:01:13.438,0:01:14.776 弟は興奮して 0:01:14.800,0:01:17.467 承諾するつもりになっていました 0:01:17.491,0:01:19.584 しかし 交渉に関する研究をしていた私は 0:01:19.608,0:01:22.561 逆提案をすべきだと主張し 0:01:22.585,0:01:25.815 完璧な提案を練り上げる[br]手伝いをしました 0:01:25.839,0:01:27.520 それは完璧に・・・ 0:01:27.544,0:01:29.918 完璧に無礼なものだったのです 0:01:30.423,0:01:32.136 その会社は 酷く憤慨し 0:01:32.160,0:01:34.209 オファーを取り下げ 0:01:34.233,0:01:36.450 全てがフイになってしまいました 0:01:36.474,0:01:40.334 さて私はこの自己主張のジレンマに関して[br]世界中の人々に質問をしてきました 0:01:40.358,0:01:42.192 自分を強く主張できる時とは? 0:01:42.216,0:01:44.330 自分の利益や関心を押し通せる時とは? 0:01:44.330,0:01:46.149 自分の意見を表現できる時とは? 0:01:46.173,0:01:48.384 野心的な要求ができる時とは? 0:01:48.887,0:01:52.994 内容は幅広く様々なのですが[br]一方で 0:01:53.024,0:01:55.815 それらが織りなす模様は万国共通です 0:01:55.839,0:01:58.517 上司がミスをしたとき[br]進言してもいいだろうか? 0:01:58.541,0:02:02.644 いつも口出ししてくる嫌な同僚に[br]直接 注意してもいいだろうか? 0:02:02.996,0:02:06.063 無神経な冗談を言う友人を[br]いさめてもいいだろうか? 0:02:06.390,0:02:10.486 心の奥底にある不安を[br]最愛の人に明かしてもいいだろうか? 0:02:10.963,0:02:13.676 私は こうした調査を通して[br]人には それぞれ 0:02:13.700,0:02:17.557 許されている言動の範囲が[br]あることに気がつきました 0:02:17.581,0:02:22.832 時には押しが強すぎることがあります 0:02:22.856,0:02:24.619 それが弟の身に起きたことです 0:02:24.643,0:02:29.269 逆提案をすること自体が[br]弟に許される範囲外の行為だったのです 0:02:29.663,0:02:31.187 しかし押しが弱すぎる時もあり 0:02:31.211,0:02:33.275 先程の妻と私のケースがそれです 0:02:33.299,0:02:35.515 この1人1人が持つ許容範囲— 0:02:35.539,0:02:38.634 自分の許容範囲内での言動なら[br]見返りがありますが 0:02:38.658,0:02:42.827 その範囲から一歩出てしまうと[br]様々な形で罰せられます 0:02:42.851,0:02:45.990 冷遇されたり見下げられたり[br]疎外されたりさえします 0:02:46.014,0:02:49.273 時には昇給や昇進を逃したり[br]商談を棒にふったりです 0:02:49.929,0:02:52.693 それで まず知るべきことは 0:02:52.717,0:02:54.705 自分の許容範囲ですが 0:02:54.744,0:02:58.689 その範囲の幅は一定でない[br]ということが鍵です 0:02:59.265,0:03:00.681 実際かなり変動するんです 0:03:00.705,0:03:05.021 状況により その範囲は[br]広がりも狭まりもします 0:03:05.344,0:03:09.532 許容範囲の決定に[br]何よりも大きく影響するのは 0:03:10.038,0:03:11.331 私たち自身の「力」です 0:03:11.355,0:03:13.512 私たちの力がその範囲を[br]左右するのです 0:03:13.536,0:03:14.973 この「力」とは何でしょう? 0:03:14.997,0:03:16.764 それは様々な形で現れます 0:03:16.788,0:03:19.877 交渉の際には選択の余地[br]という形で現れます 0:03:19.901,0:03:21.785 弟の場合 その余地がなく 0:03:21.795,0:03:23.112 つまり力が足りなかったのです 0:03:23.136,0:03:24.930 相手の会社には多くの選択肢— 0:03:24.940,0:03:26.196 つまり力があったのです 0:03:26.210,0:03:29.230 力の無さは移民のように[br]新しい国に来たばかりの人や 0:03:29.254,0:03:30.713 組織の新メンバーや 0:03:30.737,0:03:32.296 何かを初めて経験する人々 — 0:03:32.320,0:03:34.425 例えば妻と私のような[br]新米の親などに見られます 0:03:34.449,0:03:35.950 ある時は 職場で 0:03:35.974,0:03:38.585 一人が上司で[br]もう一人が部下という状況で生まれ 0:03:38.609,0:03:40.293 ある時は 人間関係で 0:03:40.317,0:03:43.298 一方が もう一方よりも[br]相手に入れあげている場合に表れます 0:03:43.322,0:03:46.837 ここでの鍵は 力が大きければ 0:03:46.861,0:03:48.690 許容範囲は うんと広くなり 0:03:48.714,0:03:51.465 許される言動の幅が[br]かなりありますが 0:03:51.813,0:03:54.141 力が無ければ その幅は狭まり 0:03:54.537,0:03:56.362 余裕はほとんどありません 0:03:56.947,0:03:59.729 問題は許容範囲が狭くなると 0:03:59.753,0:04:03.856 「ローパワー・ダブルバインド」と[br]呼ばれるものが生まれます 0:04:04.310,0:04:06.957 力の弱さゆえの二重拘束のことで[br]それが起きるのは 0:04:06.977,0:04:10.034 黙っていれば[br]誰の目にも留まらず 0:04:10.576,0:04:12.918 思い切って言えば[br]罰せられるという時です 0:04:13.359,0:04:16.070 みなさんの多くは[br]「ダブルバインド」と聞くと 0:04:16.094,0:04:19.041 ジェンダーに関する話を[br]連想したのではないでしょうか 0:04:19.065,0:04:23.275 ジェンダーによるダブルバインドとは[br]黙っている女性は目立たず 0:04:23.299,0:04:25.840 発言する女性は[br]嫌な目に遭うというものです 0:04:26.127,0:04:30.845 女性も男性と同様[br]発言しなければなりませんが 0:04:30.845,0:04:33.132 問題は それを阻む[br]障壁があることです 0:04:34.004,0:04:37.702 過去20年に渡る私の研究で[br]こういうことが分かりました 0:04:37.706,0:04:40.987 女性だから起きていると[br]思われていたダブルバインドは 0:04:41.035,0:04:42.466 実は そうではなく 0:04:42.486,0:04:45.812 個人の「力」の弱さから来る[br]ローパワー・ダブルバインドだったのです 0:04:45.836,0:04:47.720 つまり 性別に関係なく 0:04:47.744,0:04:50.980 力の差の現れにすぎない[br]ことが多いのです 0:04:51.394,0:04:52.891 男性と女性の違いを 0:04:52.891,0:04:55.369 個別に見ても[br]男女別の集団を見ても 0:04:55.699,0:04:59.041 「生物学上の根本的な違いだ」と 0:04:59.051,0:05:00.241 思うのが常ですが 0:05:00.265,0:05:02.119 研究を重ねた結果[br]分かったのは 0:05:02.143,0:05:06.659 女性特有のダブルバインドだと[br]思われていた事柄は 0:05:06.893,0:05:08.405 実は 「力」から来るもので 0:05:08.429,0:05:11.616 ローパワー・ダブルバインドが[br]要因となっていたのです 0:05:11.975,0:05:15.125 この二重拘束は[br]力に欠けているせいで 0:05:15.145,0:05:18.645 言動の許容範囲が狭くなると[br]いうものです 0:05:18.669,0:05:19.901 許容範囲が狭いと 0:05:19.925,0:05:21.917 強力なダブルバインドが生じるのです 0:05:22.335,0:05:24.691 さて 許容範囲を広げる方法が[br]必要だということで 0:05:24.715,0:05:26.292 過去20年の間に 0:05:26.316,0:05:29.347 私は同僚と共に それに関わる[br]2つの要素を発見しました 0:05:29.887,0:05:33.952 1つ目は 力がありそうだ[br]という自分に対する自己判断 0:05:34.284,0:05:37.605 2つ目は 力がありそうだ[br]という自分に対する他者の判断 0:05:37.629,0:05:40.164 自分に力が[br]みなぎっていると感じる時 0:05:40.164,0:05:41.992 私は自信に溢れ 物怖じせず 0:05:42.016,0:05:43.858 自ら許容範囲を広げています 0:05:43.882,0:05:46.598 他者の目にも[br]私が力強く映っていれば 0:05:46.614,0:05:49.150 許容範囲を広げる許可が与えられます 0:05:49.174,0:05:53.928 では その許容範囲を広げる道具が[br]必要になりますが 0:05:53.952,0:05:56.343 今日はその道具一式を[br]皆さんにお渡ししましょう 0:05:56.367,0:05:58.495 意見を述べることには[br]リスクが伴いますが 0:05:58.503,0:06:02.432 そのリスクを下げてくれる道具です 0:06:03.067,0:06:08.595 最初の道具は[br]交渉に関する研究で発見された 0:06:08.815,0:06:10.305 重要なものです 0:06:10.369,0:06:14.225 概して 女性は控えめに提案するため 0:06:14.249,0:06:17.873 交渉は 男性より女性にとって[br]不利な結果となってしまいます 0:06:18.200,0:06:21.377 しかしハナ・ライリー・ボウルズと[br]エミリー・アマナトゥラの研究で 0:06:21.391,0:06:24.553 ある状況下では 女性も[br]男性と同じくらい強気になれ 0:06:24.563,0:06:27.382 かつ男性と同じような結果を[br]出せることが分かりました 0:06:27.382,0:06:30.804 その状況とは[br]女性が他者のために発言する時です 0:06:31.251,0:06:33.388 他者のために発言する時 0:06:33.412,0:06:37.643 女性は自分の許容範囲を把握し[br]自ら押し広げ 0:06:37.643,0:06:39.752 より自信を持って発言できます 0:06:39.766,0:06:42.620 これは「母熊効果」と[br]呼ばれることがあります 0:06:43.483,0:06:45.742 自分の子を守る母熊のように 0:06:45.766,0:06:50.104 他者のために発言する時[br]自分の意見が述べられるようになります 0:06:50.328,0:06:53.445 しかし時には自分のためにも[br]発言しなければなりません 0:06:53.469,0:06:54.809 その方法とは? 0:06:54.833,0:06:58.838 自分のために発言するのに[br]最も重要な道具の1つに 0:06:58.862,0:07:01.234 「他者視点取得」と[br]呼ばれるものがあります 0:07:01.258,0:07:04.010 他者視点取得とは実に単純で 0:07:04.034,0:07:08.319 他者の視点を通して[br]世の中を見るということです 0:07:09.014,0:07:12.802 これが 自分の許容範囲を広げてくれる[br]最も重要な道具の1つです 0:07:12.826,0:07:14.533 相手の視点を取り入れて 0:07:14.557,0:07:16.996 相手が本当に望んでいるものを考えると 0:07:17.020,0:07:20.390 相手から 自分の望んでいるものを[br]もらえる可能性が高まります 0:07:21.461,0:07:22.961 しかし ここに問題があります 0:07:22.985,0:07:25.266 視点取得は難しいのです 0:07:25.290,0:07:26.820 ちょっと実験をしてみましょう 0:07:26.844,0:07:29.858 このように手を挙げて下さい 0:07:29.882,0:07:31.827 人差し指を突き出して 0:07:31.827,0:07:36.002 大文字の「E」を[br]おでこに書いてください 0:07:36.026,0:07:37.607 できるだけ速く 0:07:40.066,0:07:43.383 はい[br]「E」を書くのには2通りありますね 0:07:43.407,0:07:46.892 これは元々 視点取得のテストとして[br]考案されたものです 0:07:46.916,0:07:48.837 2つの写真をお見せします 0:07:48.861,0:07:50.861 おでこに「E」を書いた人の写真です 0:07:50.885,0:07:52.743 教え子のエリカ・ホールです 0:07:53.294,0:07:55.262 左に見えるのは 0:07:55.286,0:07:56.553 正しい「E」ですね 0:07:56.577,0:08:00.027 自分の書いた「E」が[br]他の人にも「E」に見えます 0:08:00.051,0:08:02.158 これは視点取得型の「E」です 0:08:02.182,0:08:05.237 他者の観点から見た「E」だからです 0:08:05.261,0:08:08.271 しかし右のは自己注目型の「E」です 0:08:08.856,0:08:10.509 自己注目は よくあることですが 0:08:10.533,0:08:13.560 特に危機に陥ると[br]そうなります 0:08:14.064,0:08:16.235 ある危機のお話をしましょう 0:08:16.259,0:08:19.445 カリフォルニア州ワトソンビルで[br]銀行に1人の男が入って来ました 0:08:20.105,0:08:21.364 男は言いました 0:08:21.364,0:08:25.044 「2千ドル出せ[br]さもないと銀行ごと爆破する」 0:08:25.503,0:08:28.028 銀行の支店長は お金を渡さず 0:08:28.052,0:08:29.491 一歩引いて考えました 0:08:29.873,0:08:31.329 その男の立場に立つと 0:08:31.353,0:08:33.720 非常に重要なことに気づきました 0:08:33.744,0:08:36.450 男は特定の金額を要求してきています 0:08:36.474,0:08:37.949 そこで男に尋ねました 0:08:38.669,0:08:40.928 「どうして2千ドルなのですか?」 0:08:41.225,0:08:42.037 男は答えました 0:08:42.047,0:08:45.920 「今すぐ2千ドル渡さないと[br]友達が強制退去させられるんだ」 0:08:45.944,0:08:47.518 そこで支店長は言いました 0:08:47.558,0:08:50.506 「それなら銀行強盗なんかではなく[br]ローンを組んだ方がお得ですよ」 0:08:50.530,0:08:51.615 (笑) 0:08:51.639,0:08:52.916 「私のオフィスへどうぞ 0:08:52.926,0:08:54.595 書類を作りましょう」 0:08:54.629,0:08:55.668 (笑) 0:08:57.214,0:09:01.717 支店長の迅速な視点取得が[br]一触即発の状況を鎮めたのです 0:09:02.276,0:09:04.095 他者の視点を取り入れると 0:09:04.119,0:09:08.865 野心的になれる上 自己主張でき[br]それでいて感じもいいのです 0:09:09.182,0:09:12.450 もう1つ自己主張できて[br]好ましく思われる方法があります 0:09:12.474,0:09:15.005 それは柔軟性を示すことです 0:09:15.413,0:09:19.475 例えば あなたが営業マンで[br]車を売ろうとしていると思ってください 0:09:19.790,0:09:23.793 選択肢を2つ示すことで[br]売れる可能性が高くなります 0:09:24.141,0:09:25.564 例えば 選択肢Aは 0:09:25.588,0:09:28.688 2万4千ドルで保証期間5年 0:09:29.084,0:09:30.257 選択肢Bは 0:09:30.701,0:09:33.493 2万3千ドルで保証期間3年[br]という風にです 0:09:33.845,0:09:35.627 私の研究で分かったことは 0:09:35.627,0:09:39.376 人は選択権を与えられると[br]ガードがゆるくなり 0:09:39.376,0:09:41.668 与えられた提案を[br]承諾しがちだということです 0:09:42.202,0:09:44.319 これは営業マンに限らず 0:09:44.343,0:09:45.534 親にも言えます 0:09:45.558,0:09:46.837 私の姪が4才の時 0:09:46.861,0:09:49.778 着替えるのを嫌がり[br]どの洋服も拒絶しました 0:09:50.160,0:09:52.688 しかし母親に[br]素晴らしい考えが浮かびました 0:09:53.079,0:09:55.630 娘に選択肢を示し[br]選ばせたらどうだろう? 0:09:55.654,0:09:57.675 どっちのシャツがいい?[br]こっちね 0:09:57.699,0:09:59.821 どっちのズボンがいい?[br]こっちね 0:09:59.845,0:10:01.183 見事にうまく行きました 0:10:01.207,0:10:04.741 姪はグズることなく[br]さっさと着替えたのです 0:10:05.498,0:10:07.609 私は世界中の人々に[br]こんな質問をしてきました 0:10:07.619,0:10:09.704 「思っていることが[br]気軽に言える時とは?」 0:10:09.724,0:10:11.320 最も多い答えは 0:10:11.320,0:10:15.998 「聞き手の中に[br]支持者や仲間がいる時」 0:10:16.022,0:10:19.638 では 自分の側に立ってくれる[br]仲間を得るには 0:10:19.957,0:10:21.227 どうしましょう? 0:10:21.841,0:10:24.010 1つの方法は「母熊」になることです 0:10:24.034,0:10:25.510 他者のために発言する時 0:10:25.534,0:10:29.063 自分だけでなく他者の目から見ても[br]自分の許容範囲が広がり 0:10:29.087,0:10:31.323 同時に強力な仲間を得られます 0:10:31.806,0:10:36.513 強力な仲間を得るもう1つの方法[br]特に権力のある人を味方につけるには 0:10:36.537,0:10:39.386 助言を求めることです 0:10:39.410,0:10:43.885 他者に助言を求めると[br]好ましく思ってもらえます 0:10:43.915,0:10:46.802 相手を立てているし[br]謙虚さを示してもいるからです 0:10:47.281,0:10:50.527 もう1つのダブルバインド解決にも[br]とても効果的です 0:10:50.831,0:10:53.239 自己PRから生じる[br]ダブルバインドのことです 0:10:53.498,0:10:55.372 どういうことかと言うと 0:10:55.382,0:10:58.181 自分の功績を宣伝しなければ 0:10:58.205,0:10:59.415 誰も気付かないが 0:10:59.439,0:11:01.843 ひけらかすと好ましく思われない[br]というものです 0:11:01.867,0:11:05.433 しかし自分の功績に関して[br]助言を求めると 0:11:05.457,0:11:09.877 相手の目に映る自分は有能で[br]さらに好ましく思ってもらえます 0:11:10.495,0:11:12.502 この方法は とても強力で 0:11:12.526,0:11:15.404 誰かが相談に来ると[br]わかっている時でさえ効果的なのです 0:11:15.469,0:11:19.509 「力」の弱い人が紹介を受けて[br]私の所に助言を求めに来ることを 0:11:19.533,0:11:23.971 前もって知らされるというケースが[br]今まで何度もありました 0:11:24.289,0:11:26.531 ここで気付いて欲しいことが[br]3つあります 0:11:26.555,0:11:29.543 その1 私は助言を[br]求められると知っていた 0:11:29.930,0:11:32.446 その2 助言を求める行為には 0:11:32.446,0:11:35.257 戦略的な利点があることを[br]私はよく知っていた 0:11:35.882,0:11:38.208 その3 そう知っていても[br]効果的だったのです! 0:11:38.656,0:11:39.933 相手の視点を受け入れ 0:11:39.937,0:11:42.084 彼らのために[br]もっと力を尽くすようになり 0:11:42.108,0:11:45.914 より熱心に相談に乗りました[br]助言を求められたからです 0:11:46.343,0:11:49.527 自信を持って意見が述べられる場面は[br]他にもあります 0:11:49.949,0:11:51.690 専門分野がある場合です 0:11:52.144,0:11:54.299 専門性によって信頼が得られます 0:11:54.862,0:11:57.789 たっぷり力を持っている場合は[br]すでに信頼があるので 0:11:57.813,0:11:59.808 そこそこの証拠を示せば[br]十分です 0:11:59.808,0:12:02.747 力が無い場合は[br]信頼がありませんから 0:12:02.771,0:12:05.403 優れた証拠が必要になります 0:12:05.403,0:12:08.805 専門家として印象づける方法の1つに 0:12:09.125,0:12:11.263 自分の情熱を表す[br]というやり方があります 0:12:11.784,0:12:14.402 皆さんに[br]やってほしいことがあります 0:12:14.422,0:12:17.227 向こう数日の間に[br]誰か友達をつかまえて 0:12:17.251,0:12:20.381 その人が情熱を傾けていることについて[br]語ってもらってください 0:12:20.738,0:12:23.223 私は世界中の人々に[br]これをやってもらい 0:12:23.247,0:12:24.503 その後こう尋ねました 0:12:24.527,0:12:26.696 「自分の情熱を語る人を見ていて 0:12:26.720,0:12:28.774 どんなことに気がつきましたか?」 0:12:28.798,0:12:30.698 その答えはいつも同じでした 0:12:30.722,0:12:32.730 「目が輝き イキイキとしてきた」 0:12:32.754,0:12:35.737 「満面の笑顔になった」 0:12:35.747,0:12:37.005 「手ぶりが大きくなって 0:12:37.015,0:12:39.471 避けなきゃいけないほどだった[br]当たりそうで」 0:12:39.491,0:12:41.782 「早口になり[br]ちょっと声がうわずっていた」 0:12:41.796,0:12:42.584 (笑) 0:12:42.854,0:12:45.658 「秘密を明かすかのように[br]身を乗り出してきた」 0:12:45.668,0:12:46.923 さらに こう尋ねました 0:12:46.947,0:12:50.081 「それを聞いていた[br]あなたはどうなりましたか?」 0:12:50.374,0:12:51.448 こんな答えでした 0:12:51.448,0:12:53.928 「私の目も輝き[br]笑みがこぼれ 0:12:53.958,0:12:55.345 身を乗り出しました」 0:12:55.369,0:12:57.438 自分たちの情熱に関することとなると 0:12:57.472,0:13:00.828 自ら発言する勇気が[br]奮い起こされるものですが 0:13:00.852,0:13:03.990 同時に 発言することに対し[br]周りも寛容になります 0:13:04.534,0:13:09.874 自分が弱すぎるように見えてしまう状況でも[br]情熱を表すとプラスに働きます 0:13:10.533,0:13:15.127 性別を問わず職場での涙は[br]ひんしゅくを買いますが 0:13:15.344,0:13:21.762 リジー・ウルフの研究では[br]強い感情が情熱という形で表された場合 0:13:21.786,0:13:27.962 男性であれ女性であれ 涙は[br]非難されないことが分かっています 0:13:28.598,0:13:32.066 最後に[br]今は亡き父が 弟の結婚式で 0:13:32.090,0:13:34.251 述べた言葉で[br]締めくくりたいと思います 0:13:34.625,0:13:36.090 その時の写真です 0:13:37.664,0:13:39.921 父は私と同じく心理学者でしたが 0:13:39.945,0:13:43.667 父が本当に愛し[br]情熱を持っていたのは映画でした 0:13:43.691,0:13:44.891 弟と同じです 0:13:44.975,0:13:47.481 父が結婚式のために書いた[br]スピーチの題材は 0:13:47.505,0:13:50.654 人生を喜劇に喩え その中で[br]私たちが演じる役柄についてでした 0:13:50.678,0:13:52.967 「人との関わりが[br]軽やかであればあるほど 0:13:52.991,0:13:56.843 上手に立ち回れるようになり[br]人生を充実させるのに長けてくるものだ 0:13:57.170,0:14:01.356 自分の役割を受け入れ[br]向上しようと努力する者は 0:14:02.001,0:14:04.667 自分を大きく成長させる 0:14:05.047,0:14:06.525 自分の役割をうまくこなせば 0:14:06.525,0:14:08.552 人生は概ね[br]楽しいものとなるだろう」 0:14:08.946,0:14:10.571 父が言わんとしたのは 0:14:10.595,0:14:14.401 この世界で私たちは皆[br]役割と自由を与えられており— 0:14:15.048,0:14:18.513 この講演の核心でもあるのですが— 0:14:19.005,0:14:24.022 その役割と幅は常に広がり[br]発展しているということです 0:14:24.770,0:14:27.082 必要とあらば 0:14:27.114,0:14:28.730 母熊のように勇猛になり 0:14:29.251,0:14:31.363 謙虚に助言を求めてください 0:14:31.802,0:14:35.515 そうして優れた証拠と[br]心強い仲間を得て 0:14:35.910,0:14:38.648 情熱を持って[br]他者の視点を取り入れましょう 0:14:38.770,0:14:40.570 そして 皆さんが[br]この道具を使えば― 0:14:40.580,0:14:44.080 誰でも使えるようになれば 0:14:44.104,0:14:47.970 自分の言動の許容範囲を[br]広げられるようになり 0:14:47.994,0:14:50.952 人生は概ね楽しいものと[br]なることでしょう 0:14:52.082,0:14:53.232 ありがとうございました 0:14:53.256,0:14:55.687 (拍手)