WEBVTT 00:00:00.736 --> 00:00:02.270 みなさんこんにちは 00:00:02.294 --> 00:00:04.626 世界で52番目に自由な国から やってきました 00:00:06.084 --> 00:00:10.769 フリーダム・ハウスの「世界の自由度」 年次ランキングで アメリカの順位が 00:00:10.793 --> 00:00:13.643 下がり続けていて アメリカ人として 苛立たしいことです 00:00:13.667 --> 00:00:15.399 私は移民二世です 00:00:15.423 --> 00:00:18.762 両親は 戦争と革命の さなかにあった 中国で生まれ 00:00:18.786 --> 00:00:21.762 台湾へ渡り のちに アメリカにやってきました 00:00:21.786 --> 00:00:23.336 つまり 私は人生ずっと 00:00:23.360 --> 00:00:28.286 自由という 引き継いだものの脆さを 鋭く感じ取ってきたのです 00:00:29.364 --> 00:00:33.871 だからこそ私は 民主主義を教え 説き 実行することに 時間を割いているのです NOTE Paragraph 00:00:34.760 --> 00:00:36.602 私は幻想など抱いていません 00:00:36.626 --> 00:00:37.888 現在 世界中で 00:00:37.912 --> 00:00:40.538 人びとは民主主義の実効性を 疑っています 00:00:41.276 --> 00:00:43.714 独裁者や 扇動者は 自信をつけたように見え 00:00:43.738 --> 00:00:45.237 うぬぼれすら 感じとれます 00:00:45.261 --> 00:00:47.189 自由世界にリーダーは 不在なように思えます NOTE Paragraph 00:00:48.086 --> 00:00:50.435 それでもなお 私は希望を持っています 00:00:51.406 --> 00:00:53.369 楽観的という意味ではありません 00:00:53.393 --> 00:00:55.491 楽観は傍観者が持つ感情です 00:00:55.515 --> 00:00:57.952 希望は 力の存在を暗示します 00:00:57.976 --> 00:01:00.277 結果を左右する力が 私にあることを意味します 00:01:00.301 --> 00:01:02.738 民主的な希望は 信頼を必要とします 00:01:02.762 --> 00:01:06.054 独裁者や カリスマ的な救世主に 対する信頼ではなく 00:01:06.078 --> 00:01:08.057 お互いに向けた信頼です 00:01:08.081 --> 00:01:12.652 自問を強いられます 「どうしたら その信頼に値する人間になれるだろうか」と 00:01:14.885 --> 00:01:18.003 私たちは現在 精神的な覚醒の時期を 迎えていると信じています 00:01:18.027 --> 00:01:20.836 かつて確実だったものが崩れる時に そんな覚醒が生じます 00:01:21.496 --> 00:01:25.416 私は その覚醒の核心を 「市民宗教 (Civic Religion)」と呼んでいます 00:01:26.310 --> 00:01:30.325 今日私がお話ししたいことは 「市民宗教」とは何か 00:01:30.349 --> 00:01:31.952 どのように実践するか 00:01:31.976 --> 00:01:34.436 そして なぜ 今まで以上に 必要とされるのか です NOTE Paragraph 00:01:34.460 --> 00:01:35.983 まずは 何か からお話します 00:01:36.932 --> 00:01:42.101 私の定義する 市民宗教は 自治共同体に属し 00:01:42.125 --> 00:01:45.812 市民として暮らすことを 選んだ人びとの間で共有される 00:01:45.836 --> 00:01:47.693 信念や 集団的な実践の 体系を指します 00:01:48.643 --> 00:01:52.263 私のいう「市民」は 身分証明書や パスポートとは 関係ありません 00:01:52.287 --> 00:01:55.504 「市民」とは 共同体への貢献者であり 構成員であるという 00:01:55.528 --> 00:01:58.670 より深く 幅広い 倫理的な概念を意味します 00:02:00.120 --> 00:02:04.104 市民宗教が 宗教であるというのは ことば遊びではありません 00:02:04.626 --> 00:02:05.777 なぜなら 民主主義は 00:02:05.801 --> 00:02:08.990 信頼がもっとも大きな原動力となっている 人間の活動だからです 00:02:09.840 --> 00:02:13.968 民主主義は それが機能すると信じる人が 十分にいる時だけ 機能するのです 00:02:14.611 --> 00:02:17.348 博打であると同時に 奇跡でもあるのです 00:02:18.437 --> 00:02:23.450 民主主義の正当性は 憲法による枠組みから 生じるわけではありません 00:02:23.474 --> 00:02:26.108 市民精神という 内面的なところからくるのです NOTE Paragraph 00:02:27.633 --> 00:02:30.006 どの宗教でもそうですが 市民宗教には 00:02:30.030 --> 00:02:34.153 神聖な信条 神聖な行い 神聖な儀式があります 00:02:35.055 --> 00:02:39.804 市民宗教の信条には 「法の平等な保護」 00:02:39.828 --> 00:02:41.689 「われら国民は」 などが挙げられます 00:02:41.713 --> 00:02:46.246 市民宗教の神聖な行いには 奴隷制廃止運動 女性参政権運動 00:02:46.270 --> 00:02:47.870 公民権運動 00:02:47.894 --> 00:02:50.208 連合軍によるノルマンディー上陸 00:02:50.232 --> 00:02:51.585 ベルリンの壁の崩壊などが含まれます 00:02:52.655 --> 00:02:56.043 そして 後ほどお伝えするのは 新たな市民の儀式です NOTE Paragraph 00:02:57.337 --> 00:02:59.201 地球上のどこで生まれても 00:02:59.225 --> 00:03:03.709 自分の教義 行い 儀式を 見つけ 作ることができます 00:03:04.423 --> 00:03:08.673 市民宗教の実践とは 国家の崇拝や 00:03:08.697 --> 00:03:11.079 政権への服従を 意味するのではなく 00:03:11.103 --> 00:03:12.933 お互いに対する献身や 00:03:12.957 --> 00:03:14.300 共有する理想への献身です 00:03:14.943 --> 00:03:19.633 そして 市民宗教の神聖性は 神や 超自然に依拠するものではありません 00:03:20.572 --> 00:03:23.318 市民宗教の神聖性とは 異なる人々が 00:03:23.342 --> 00:03:26.440 似ていることや 団結について 00:03:26.464 --> 00:03:27.842 語っていることにあります NOTE Paragraph 00:03:29.293 --> 00:03:31.329 カルトへ勧誘しているように 00:03:31.353 --> 00:03:33.479 思えて 心配される方もいるでしょう 00:03:33.503 --> 00:03:35.048 ご安心ください 00:03:35.381 --> 00:03:37.148 私から勧誘する必要はありません 00:03:37.172 --> 00:03:40.864 人であれば どんな時でも カルトや 00:03:40.888 --> 00:03:43.711 何らかの宗教的な経験を 求めているのです 00:03:43.735 --> 00:03:47.072 超越的な目的のための連帯を促す 神聖なる信念について 00:03:47.096 --> 00:03:50.738 私たちは 宇宙論的な説明を 生まれながらに求めるのです 00:03:51.556 --> 00:03:54.563 人は群れをなすからこそ 宗教を作るのです 00:03:55.262 --> 00:03:59.036 私たちが選べるのは その集団性を 善のために使うかどうか それだけです 00:04:00.204 --> 00:04:03.270 信心深い方ならわかるでしょう 00:04:03.294 --> 00:04:04.926 信心深くない方は 00:04:04.950 --> 00:04:06.792 つまり 礼拝の参加をやめていたり 00:04:06.816 --> 00:04:08.480 一度も参加したことのない方は 00:04:08.504 --> 00:04:12.279 自分の宗教はヨガであると おっしゃるかもしれません 00:04:12.303 --> 00:04:14.839 あるいは プレミアリーグ・サッカーや 00:04:14.863 --> 00:04:17.696 編み物や プログラミングや TEDトークかもしれません 00:04:18.950 --> 00:04:23.439 神が存在すると 信じていようが いまいが 00:04:23.463 --> 00:04:27.241 市民宗教の信仰は 他の信仰の放棄を前提とはしていません 00:04:27.265 --> 00:04:30.184 単に 市民として 役目を果たすことを 求めているのです NOTE Paragraph 00:04:31.578 --> 00:04:34.075 この点から 次の話題に移りましょう 00:04:34.099 --> 00:04:37.023 市民宗教は どのようにして 生産的に実践できるのでしょうか 00:04:38.293 --> 00:04:40.953 先ほど触れた 新しい市民の儀式について ご説明しましょう 00:04:40.977 --> 00:04:42.898 「市民の土曜日 (Civic Saturday) 」 と呼ばれ 00:04:42.922 --> 00:04:45.700 宗教の集会になぞらえたものです 00:04:45.724 --> 00:04:47.065 私たちは 一緒に歌い 00:04:47.089 --> 00:04:51.056 隣に立つ見知らぬ人と 市民的な問題について議論を行い 00:04:52.199 --> 00:04:54.342 詩や 聖典に耳を傾けます 00:04:54.366 --> 00:04:55.762 そして このような聖句を 00:04:55.762 --> 00:04:59.850 今日の 倫理的選択や議論に結びつける 説教もあります 00:05:00.889 --> 00:05:03.381 しかし 歌や 聖典や 説教は 00:05:03.405 --> 00:05:06.058 教会や シナゴーグや モスクのものではありません 00:05:06.082 --> 00:05:07.454 市民的なものなのです 00:05:07.478 --> 00:05:09.632 私たちに共有される 市民的な理想と 00:05:09.656 --> 00:05:14.145 その理想を主張し 争ったという 共通の歴史から 来たものなのです 00:05:15.016 --> 00:05:20.533 そのあとは みんなで集まって 集会を計画したり 有権者登録をしたり 00:05:20.557 --> 00:05:22.619 クラブに参加したり 友達を作ったりします NOTE Paragraph 00:05:24.243 --> 00:05:27.077 2016年 シアトルで 私は同僚と一緒に 00:05:27.101 --> 00:05:29.401 「市民の土曜日」を開催し始めました 00:05:29.425 --> 00:05:32.291 以来 「市民の土曜日」は アメリカ大陸中に広まりました 00:05:32.315 --> 00:05:35.557 数百人が参加するときもあれば 数十人の時もあります 00:05:35.581 --> 00:05:38.260 「市民の土曜日」は 図書館や 公民館 00:05:38.284 --> 00:05:39.634 コワーキング・スペース 00:05:39.658 --> 00:05:42.203 仮設テントから 大きな公会堂まで 色々な場所で行われます 00:05:43.114 --> 00:05:46.542 この社会技術に ハイテクな要素は全くありません 00:05:47.115 --> 00:05:51.446 面と向かって連帯したいという 根本的で人間的な欲求に訴えるのです 00:05:52.374 --> 00:05:55.927 この考えに引き寄せられるのは 若者も老人も 左派も右派も 00:05:55.951 --> 00:05:58.753 貧乏人も金持ちも 信心深い人もそうでない人も 00:05:58.777 --> 00:06:00.101 あらゆる人種 全ての人です 00:06:01.130 --> 00:06:06.078 「市民の土曜日」に参加すると こんな問いを論じてみないかと 誘われます 00:06:06.102 --> 00:06:08.305 例えば「誰に対して責任を持っているのか?」 00:06:08.329 --> 00:06:14.395 あるいは「共同体のために あなたがリスクにさらし 犠牲にできるものは何か?」といった問いです 00:06:15.363 --> 00:06:17.403 議論があると 何かが動きます 00:06:17.427 --> 00:06:19.274 あなたの心が動くのです 00:06:19.298 --> 00:06:21.096 そして あなたは語り始めます 00:06:21.120 --> 00:06:23.806 すると 本当の意味で 相手を知ることができます 00:06:23.830 --> 00:06:28.111 ホームレス問題 銃による暴力 都市の富裕化 00:06:28.135 --> 00:06:31.593 ひどい渋滞 新参者に対する不信 フェイク・ニュースなど 00:06:31.617 --> 00:06:34.024 このような問題が 対岸の火事ではなく 00:06:34.048 --> 00:06:37.571 あなた自身の日々の行いや怠慢が 集積したものだとに気付くのです 00:06:38.319 --> 00:06:40.603 あなたの振る舞いが 社会それ自体になるのです NOTE Paragraph 00:06:43.484 --> 00:06:48.086 普段 市民であることの意味を 考えるように言われることはありません 00:06:49.244 --> 00:06:54.944 ほとんどの人は 市民の務めを もっと 果たさないかと 誘われることはありませんし 00:06:54.968 --> 00:06:59.094 また その誘いを どれだけ欲しているか 気付くこともありません NOTE Paragraph 00:07:01.014 --> 00:07:03.310 私たちは 市民宗教の 「神学校」も作りました 00:07:03.334 --> 00:07:07.103 各地から人を集めて 訓練し 「市民の土曜日」集会を 00:07:07.127 --> 00:07:08.881 自ら 地元で行えるようにするのです 00:07:09.865 --> 00:07:12.227 テネシー州 アセンズの共同体では 00:07:12.251 --> 00:07:14.832 ホイットニー・キンボール・コーという 意欲あふれたリーダーが 00:07:14.856 --> 00:07:17.309 美術額装店で青年合唱団と一緒に 00:07:17.333 --> 00:07:19.794 小さな旗に囲まれて 開催しています 00:07:20.205 --> 00:07:22.415 ベルト・アグアヨという 若い活動家は 00:07:22.439 --> 00:07:24.884 「市民の土曜日」を シカゴの 00:07:24.908 --> 00:07:27.871 バック・オブ・ザ・ヤーズ地区の 街角で主催しています 00:07:27.895 --> 00:07:30.162 昔 ベルトは ギャングと関わりがありました 00:07:30.186 --> 00:07:32.678 今では 彼は 治安維持に参加し 00:07:32.702 --> 00:07:34.559 政治運動を組織しています 00:07:35.705 --> 00:07:38.501 ホノルルでは ラファエル・バーグストロームという 00:07:38.525 --> 00:07:43.164 プロ野球選手から 写真家 兼 自然保護活動家に転向した人物が 00:07:43.188 --> 00:07:45.997 「市民活動はイケてる("Civics IS Sexy")」と題して主催しています 00:07:46.793 --> 00:07:47.944 確かに イケてます NOTE Paragraph 00:07:47.968 --> 00:07:50.591 (笑) NOTE Paragraph 00:07:50.615 --> 00:07:53.006 時々 「神学校」の学生にも 尋ねられます 00:07:53.030 --> 00:07:55.954 「宗教的な用語を使うのは 危険じゃないんでしょうか? 00:07:55.978 --> 00:08:00.358 私たちの政治的主張が 教条的で 独善的なものになりませんか?」と 00:08:00.382 --> 00:08:04.278 この見解の前提は 全ての宗教が 狂信的な原理主義であるという仮定です 00:08:04.990 --> 00:08:06.140 そうではありません 00:08:06.767 --> 00:08:10.601 宗教は善悪の指標であり 00:08:10.625 --> 00:08:12.557 疑念の容認であり 00:08:12.581 --> 00:08:16.094 自分を切り離し 他者に奉仕するという献身であり 00:08:16.118 --> 00:08:18.283 世の中を修復しよう という挑戦です 00:08:19.057 --> 00:08:23.358 その意味で政治は もっと宗教のように ふるまっても良いのです 00:08:23.382 --> 00:08:24.557 その逆ではなく NOTE Paragraph 00:08:25.747 --> 00:08:28.296 最後の論点に移っていきます 00:08:28.320 --> 00:08:30.359 なぜ 市民宗教は今 必要とされているのか 00:08:31.544 --> 00:08:33.469 理由を二つ提示しましょう 00:08:33.493 --> 00:08:37.010 一つ目は 超個人主義の文化に 対抗するため 00:08:38.193 --> 00:08:41.376 私たちが 画面や 市場から受け取っている 00:08:41.400 --> 00:08:43.238 メッセージというのは 00:08:43.262 --> 00:08:45.043 私たちは皆 れっきとした個人だということ 00:08:45.067 --> 00:08:46.621 自由な行為者であり 00:08:46.645 --> 00:08:48.885 身の振り方を決める自由があり 00:08:48.909 --> 00:08:50.234 橋の下に住む自由があり 00:08:50.941 --> 00:08:52.937 副業をする自由があり 00:08:52.961 --> 00:08:54.996 健康保険なしに孤独死する 自由があるということ 00:08:56.027 --> 00:09:00.005 市場自由主義によると 私たちは 何にも縛られない主人です 00:09:00.029 --> 00:09:03.139 しかし 実際に 我々は 消費主義と 自らの地位への不安により 00:09:03.163 --> 00:09:06.687 ひどい孤立の下僕に させられているのです NOTE Paragraph 00:09:07.005 --> 00:09:08.187 (聴衆)そのとおり! NOTE Paragraph 00:09:08.211 --> 00:09:11.221 現在 何百万人もの人が これに反対しています 00:09:11.245 --> 00:09:14.224 私たちは気づき始めたのです 00:09:14.248 --> 00:09:17.753 何でもやりたい放題ということは 皆が自由であることとは別物なのです NOTE Paragraph 00:09:17.777 --> 00:09:23.647 (拍手) NOTE Paragraph 00:09:23.671 --> 00:09:26.408 私たちに真の自由をもたらすのは 相互扶助と義務によって 00:09:26.432 --> 00:09:28.516 他人と結ばれている状態です 00:09:28.540 --> 00:09:32.917 住んでいる地域や 街で 全てが出来るだけ上手く回るように 00:09:32.941 --> 00:09:35.036 あたかも運命共同体で あるかのように— 00:09:35.060 --> 00:09:36.446 実際そうなのですから— 00:09:36.470 --> 00:09:39.043 あたかも共同体から 脱退できないように 00:09:39.067 --> 00:09:40.988 実際 脱退はできないのです 00:09:41.793 --> 00:09:45.150 自らを共同体と結びつけることは 自分を自由にすることなのです 00:09:45.640 --> 00:09:49.033 私たちが 等しく尊厳に 値することが 明らかになります 00:09:49.057 --> 00:09:51.983 権利には 責任が伴っていることを 気付かせてくれます 00:09:53.201 --> 00:09:54.717 そして 正しく理解すれば 00:09:54.741 --> 00:09:58.836 権利が 責任と同じ意味である ということも気付かせてくれます NOTE Paragraph 00:10:00.130 --> 00:10:03.242 市民宗教が 今こそ重要である 2つ目の理由としては 00:10:03.266 --> 00:10:07.504 市民宗教こそ 「私たち」と「彼ら」の 最も健全な共通点だからです 00:10:08.536 --> 00:10:14.861 私たちは アイデンティティ政治を 何か新しい概念のように捉えていますが 00:10:14.885 --> 00:10:17.014 そうではありません 00:10:17.038 --> 00:10:19.143 あらゆる政治は アイデンティティ政治です 00:10:19.167 --> 00:10:22.625 その集団に真に属するのは誰か という 終わりのない議論なのです 00:10:23.379 --> 00:10:28.776 「血と土」のように 一部の人たちを 永遠に部外者とみなす不健全な作り話と違い 00:10:28.800 --> 00:10:32.545 市民宗教は 貢献 参加 包含といった 00:10:32.569 --> 00:10:37.274 普遍的な信条によって あらゆる人に 00:10:37.298 --> 00:10:38.448 帰属意識を与えます 00:10:39.079 --> 00:10:43.994 市民宗教では「私たち」というのは 奉仕しようとする人であり 00:10:44.018 --> 00:10:48.000 ボランティアをし 投票し 耳を傾け 他人から学び 共感し よりよく議論し 00:10:48.024 --> 00:10:50.764 権力を蓄えるのではなく 循環させる人を指します 00:10:50.788 --> 00:10:52.938 「彼ら」というのは そうでない人たちです 00:10:54.250 --> 00:10:57.400 「彼ら」を厳しく批判することは できるでしょう 00:10:57.424 --> 00:10:59.376 しかし その必要はありません 00:10:59.400 --> 00:11:03.949 いつでも「彼ら」は 市民のように生きることを選ぶだけで 00:11:03.973 --> 00:11:06.631 「私たち」となりうるのです NOTE Paragraph 00:11:07.836 --> 00:11:09.377 だから 喜んで受け入れましょう 00:11:10.027 --> 00:11:13.643 ホイットニーも ベルトも ラファエルも 新参者の受け入れは大得意です 00:11:14.598 --> 00:11:17.692 それぞれ 地元に根ざした独自の方法で 00:11:17.716 --> 00:11:20.930 民主主義への信頼を 身近なものにしています 00:11:21.494 --> 00:11:25.045 アパラチア訛り シカゴ南部訛り ハワイ訛り どんな訛りであっても 00:11:25.069 --> 00:11:26.950 言っていることは同じ 00:11:26.974 --> 00:11:31.061 市民愛 市民精神 市民の責任です NOTE Paragraph 00:11:32.822 --> 00:11:35.395 市民宗教なんて 私のように 熱意ある移民二世しか 00:11:35.419 --> 00:11:38.728 興味を持たないと思われる方も いらっしゃるかもしれません 00:11:40.045 --> 00:11:42.832 しかし実際は 誰でも どこでも 00:11:42.856 --> 00:11:45.114 信頼 愛情 共同作業といった 00:11:45.138 --> 00:11:47.714 自由に自治をするために必要な絆を 00:11:47.738 --> 00:11:49.722 求める人のためのものなのです 00:11:50.851 --> 00:11:53.392 「市民の土曜日」には 不向きの方もいるでしょう 00:11:53.416 --> 00:11:54.841 構いません 00:11:54.865 --> 00:11:58.805 市民的な心の習慣を育む 自分に合った方法を探せばいいのです NOTE Paragraph 00:12:00.360 --> 00:12:03.591 この覚醒の時代において 市民共同体は 様々な形で 00:12:03.615 --> 00:12:05.417 繁栄しています 00:12:05.441 --> 00:12:07.939 コミュニティ・オーガナイジング・ ジャパンでは 00:12:07.963 --> 00:12:11.289 物語を伝えるという 創作的で舞台的な儀式によって 00:12:11.313 --> 00:12:13.372 女性の地位向上を推進しています 00:12:14.075 --> 00:12:16.750 アイスランドでは 「市民堅信礼」が行われ 00:12:16.774 --> 00:12:18.771 年長者の手ほどきのもと 若者が 00:12:18.795 --> 00:12:22.124 社会の歴史や 市民としての伝統を学び 00:12:22.148 --> 00:12:25.024 教会で行われる堅信礼に似た 00:12:25.048 --> 00:12:26.611 通過儀礼に実を結びます 00:12:27.984 --> 00:12:30.414 アメリカの ベン・フランクリン・ サークル(Ben Franklin Circles)では 00:12:30.438 --> 00:12:32.404 仲間で毎月集まって 00:12:32.428 --> 00:12:35.993 ベンジャミン・フランクリンが 自伝で表明した 00:12:36.017 --> 00:12:37.927 正義 感謝 許容といった徳目について 00:12:37.951 --> 00:12:41.549 議論し そして 思索します NOTE Paragraph 00:12:43.394 --> 00:12:45.879 市民宗教だけでは 今日の根源的な不平等に対して 00:12:45.903 --> 00:12:48.529 解決を与えられないことは わかっています 00:12:49.022 --> 00:12:50.827 そうするには力が必要です 00:12:51.323 --> 00:12:55.108 しかし 品格のない権力にもたらされた 治癒は 病気よりもひどいものです 00:12:56.393 --> 00:12:59.616 市民宗教だけでは 腐敗した制度を直せません 00:13:01.243 --> 00:13:05.543 しかし 新たな規範を伴わない 制度改革は 長続きしません 00:13:06.375 --> 00:13:08.495 文化は 法の上流にあり 00:13:08.519 --> 00:13:10.977 精神は 政策の上流にあり 00:13:11.001 --> 00:13:13.947 そして 魂は 国家の上流にあります 00:13:13.971 --> 00:13:18.567 政治が汚染されたときには 下流だけを掃除しても清浄にはなりません 00:13:18.591 --> 00:13:20.091 汚染の元まで戻る必要があります 00:13:20.846 --> 00:13:22.607 元というのは 私たちの価値観です 00:13:23.752 --> 00:13:28.085 価値観について 私の助言は 「持ちましょう」これだけです NOTE Paragraph 00:13:28.556 --> 00:13:30.975 (笑) NOTE Paragraph 00:13:30.999 --> 00:13:35.504 (拍手) NOTE Paragraph 00:13:35.528 --> 00:13:37.956 その価値観が 社会のためになるか 確かめて 00:13:37.980 --> 00:13:39.646 実践してください 00:13:39.670 --> 00:13:41.878 他の人と一緒に 実践するのです 00:13:41.902 --> 00:13:45.720 教義、行為 そして 喜びに満ちた儀式の組み合わせで 00:13:45.744 --> 00:13:47.656 みんなが 再び参加するように NOTE Paragraph 00:13:49.067 --> 00:13:52.887 民主主義を信奉し 実行できると 信じている私たちには 00:13:52.911 --> 00:13:55.238 それを証明する重い任務があります 00:13:55.262 --> 00:13:58.399 しかし 自分を人間扱いしてくれ 00:13:58.423 --> 00:14:01.769 自分に影響することに対して 意見を述べることができ 00:14:01.793 --> 00:14:04.217 知り合いでなくても 尊敬される 00:14:04.241 --> 00:14:06.898 そんな共同体の一員となることは 重荷ではありません 00:14:07.884 --> 00:14:09.392 それは むしろ恵みであって 00:14:10.171 --> 00:14:12.503 信じる者全員 与えられるのです NOTE Paragraph 00:14:13.434 --> 00:14:14.585 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:14:14.609 --> 00:14:20.642 (拍手)