0:00:01.146,0:00:03.527
私は宇宙力学の研究者です

0:00:03.551,0:00:07.011
映画『オデッセイ』に出てきた[br]リッチ・パーネルと同じです

0:00:07.885,0:00:13.762
そして私の仕事は 宇宙空間の物体の[br]動きについて研究し予測することです

0:00:15.172,0:00:20.924
現在 私たちは軌道上の危険な物体の[br]約１パーセントを追跡しています

0:00:21.714,0:00:24.831
危険を及ぼす対象は位置情報

0:00:24.855,0:00:27.205
農業 金融

0:00:27.229,0:00:29.196
放送や通信など

0:00:29.220,0:00:31.086
そしてすぐに 本当にすぐに[br]その対象は

0:00:31.110,0:00:32.783
インターネットにさえ及びます

0:00:33.892,0:00:40.089
現時点では それらのサービスは概算で[br]50万個の様々な物体に対し無防備です

0:00:40.113,0:00:42.233
サイズで言うと 塗料の小片から

0:00:43.060,0:00:45.210
スクールバスの大きさの[br]物体まで様々です

0:00:46.398,0:00:48.272
塗料の小片は

0:00:48.296,0:00:51.151
それなりのスピードで宇宙を移動していて

0:00:51.175,0:00:52.733
他の物体に衝突すると

0:00:52.757,0:00:54.976
その物体を使い物にならなくする[br]おそれがあります

0:00:56.394,0:01:00.319
しかし塗料の小片サイズの[br]小さな物体は追跡できません

0:01:00.694,0:01:04.858
スマートフォンサイズなら[br]追跡は可能になりますが

0:01:05.605,0:01:10.471
憂慮しなければならない物体が[br]50万個もある内

0:01:10.495,0:01:14.652
私たちが追跡できるのは[br]２万６千個に過ぎません

0:01:14.676,0:01:20.318
その２万６千個の中で 機能を果たしているのは[br]わずかに２千個です

0:01:21.805,0:01:22.955
それ以外はすべて

0:01:23.764,0:01:24.914
ゴミです

0:01:26.481,0:01:27.849
本当にたくさんのゴミです

0:01:28.227,0:01:30.155
更にもう少しばかり良くないことに

0:01:31.356,0:01:35.425
私たちが打ち上げる殆どのものは[br]戻ってくることがないのです

0:01:37.496,0:01:40.107
私たちは衛星を軌道に打ち出し

0:01:40.131,0:01:43.099
それが機能を停止し あるいは[br]燃料を使い切ってしまうと

0:01:43.123,0:01:45.758
別の衛星を打ち上げます

0:01:45.782,0:01:48.147
そしてまた 別の衛星を打ち上げ

0:01:48.171,0:01:49.662
そしてまた別のものという具合です

0:01:49.686,0:01:51.215
また場合によっては

0:01:51.239,0:01:53.769
そのうちの２つが衝突を起こしたり

0:01:53.793,0:01:55.564
あるいはその１つが爆発を起こしたり

0:01:55.588,0:01:56.783
更に悪いケースでは

0:01:56.807,0:02:00.492
軌道上の衛星を 何者かが[br]破壊するかもしれず

0:02:01.595,0:02:05.254
その場合には[br]より多くの破片が生み出されて

0:02:05.278,0:02:07.880
それらの大半もまた[br]永遠に戻ることはありません

0:02:08.748,0:02:12.508
そのような物体は 単に無造作に[br]軌道上に散在しているわけではありません

0:02:13.715,0:02:16.960
時空の曲率を考慮すると

0:02:16.984,0:02:18.946
いくつかの衛星は

0:02:18.970,0:02:20.956
配置すべき場所が決まります

0:02:20.980,0:02:23.731
宇宙の高速道路だと考えてください

0:02:25.344,0:02:27.233
地上の高速道路とよく似ていて

0:02:27.257,0:02:31.976
宇宙の高速道路も[br]宇宙での安全な運用を継続するために

0:02:32.000,0:02:35.780
担うことのできる交通量には[br]上限があります

0:02:37.014,0:02:39.350
地上の高速道路と異なるのは

0:02:39.374,0:02:41.586
宇宙には交通ルールが全くないことです

0:02:41.610,0:02:43.543
本当に何もないのです[br]信じられますか？

0:02:45.662,0:02:46.812
ああっ

0:02:48.450,0:02:50.395
これではどうなってしまうのでしょう？

0:02:50.419,0:02:51.786
（笑）

0:02:52.482,0:02:54.797
そこで あったらいいなと思うのが

0:02:54.821,0:02:58.459
宇宙の交通地図のようなものです

0:02:58.483,0:03:01.506
宇宙版Waze（GPSアプリ）のように

0:03:01.530,0:03:04.297
宇宙での現在の交通状況を調べられ 更には

0:03:04.321,0:03:05.755
予測までできるかもしれません

0:03:05.779,0:03:07.882
しかしここで問題があります

0:03:07.906,0:03:11.268
５人の異なる人に こう尋ねたとします

0:03:12.337,0:03:14.993
「軌道上で何が起きていますか？[br]物体はどこに向かっていますか？」

0:03:15.003,0:03:17.676
すると10の異なる答えを[br]得ることになるでしょう

0:03:17.700,0:03:19.082
一体なぜでしょう

0:03:19.106,0:03:23.916
軌道上での物体に関する情報が[br]一元的に共有されていないからなのです

0:03:25.187,0:03:27.682
そこでもしも私たちに

0:03:27.706,0:03:31.054
宇宙にある全物体の位置を[br]広く知らせることのできるー

0:03:31.078,0:03:34.093
世界中からアクセス可能な[br]オープンで透明な情報システムがあったら？

0:03:34.117,0:03:37.097
宇宙を安全かつ持続可能で[br]あり続けさせるためにです

0:03:37.121,0:03:40.725
そして もしそのシステムが[br]宇宙における交通ルールの

0:03:40.750,0:03:45.322
根拠に基づく行動規範を定めるのに[br]利用できるとしたらどうでしょうか？

0:03:45.830,0:03:47.989
そこで私はASTRIAGraphという

0:03:48.013,0:03:51.778
世界初のクラウドソースによる[br]宇宙交通状況監視システムを

0:03:51.802,0:03:53.596
テキサス大学オースティン校で開発しました

0:03:54.694,0:03:59.976
ASTRIAGraphは産学官の[br]世界中の情報を統合して

0:04:00.000,0:04:01.917
それを今や誰もがアクセスできる ―

0:04:01.941,0:04:05.958
共通フレームワークに表示します

0:04:07.249,0:04:11.759
このように地球を周回する軌道にある[br]２万６千個の物体が表示され

0:04:11.783,0:04:13.612
複数の機関の見解が

0:04:13.636,0:04:16.109
ほぼリアルタイムで反映されます

0:04:16.447,0:04:20.053
宇宙交通地図の問題に戻りましょう

0:04:20.077,0:04:23.446
もし米国政府からの情報しかないと[br]どうなるでしょうか？

0:04:24.018,0:04:27.392
その場合には宇宙交通地図は[br]このようになります

0:04:27.989,0:04:30.379
でもロシアの意見ではどうなるでしょうか？

0:04:33.343,0:04:35.293
全然見た感じが違いますね

0:04:35.881,0:04:38.034
誰が正しくて 誰が間違っているのか？

0:04:38.058,0:04:39.463
何を信じればいいのか？

0:04:39.487,0:04:40.847
何が信用できるのか？

0:04:40.871,0:04:42.335
これは課題の１つです

0:04:43.864,0:04:50.641
宇宙関係者の行動や 宇宙での活動を[br]監視するための このフレームワーク ―

0:04:51.421,0:04:55.464
つまり そのような物体のある位置を監視して

0:04:55.493,0:04:58.430
くい違う見解の間を取り持って

0:04:58.454,0:05:00.910
そしてその知識を共通認識にするための

0:05:00.934,0:05:04.555
このフレームワークが欠如していると

0:05:05.580,0:05:08.626
人類の公益のために宇宙を活用する能力を[br]失うリスクを負うことになるのです

0:05:10.393,0:05:11.552
ありがとうございました

0:05:11.576,0:05:16.206
（拍手と歓声）