1 00:00:00,678 --> 00:00:03,274 2013年の夏のある日の午後に 2 00:00:03,298 --> 00:00:06,426 ワシントンDC警察は ある危険そうに見えた男の 3 00:00:06,450 --> 00:00:09,542 勾留、尋問、捜査をしました 4 00:00:10,316 --> 00:00:13,761 公正さのために言うと 私はこんな服で 勾留されたのではありません 5 00:00:13,785 --> 00:00:15,608 でも その時の写真も持っています 6 00:00:15,632 --> 00:00:18,328 恐ろしい体験を予見して 冷静さを保とうとしているの図 7 00:00:18,352 --> 00:00:19,445 (笑) 8 00:00:19,469 --> 00:00:21,891 当時私は インターンとして 9 00:00:21,915 --> 00:00:24,647 ワシントンDCの 公選弁護人サービスで働いていて 10 00:00:24,671 --> 00:00:27,090 仕事のため 警察署を訪れていました 11 00:00:27,114 --> 00:00:28,274 外に出て 12 00:00:28,298 --> 00:00:30,290 車のところへ行こうとした時 13 00:00:30,314 --> 00:00:32,615 2台のパトカーが停まって 私の行く手をふさぎ 14 00:00:32,639 --> 00:00:34,970 1人の警察官が 後部から私に近づきました 15 00:00:34,994 --> 00:00:37,266 警官は 私に 止まって リュックサックを下ろし 16 00:00:37,290 --> 00:00:40,366 隣に停まったパトカーの車体に 両手を置くよう命じました 17 00:00:40,800 --> 00:00:43,795 10人くらいの警察官が その時 私たちの近くに集まりました 18 00:00:43,819 --> 00:00:45,066 全員がピストルを持ち 19 00:00:45,090 --> 00:00:46,430 何人かは自動小銃を持っていました 20 00:00:46,454 --> 00:00:48,188 リュックの中を 隈なく調べました 21 00:00:48,212 --> 00:00:49,617 ボディチェックをしました 22 00:00:49,641 --> 00:00:52,002 パトカーの上に手をついたまま 何枚も写真を撮りました 23 00:00:52,026 --> 00:00:53,182 笑い声も上がりました 24 00:00:53,206 --> 00:00:54,746 一連のことが起こっている間 — 25 00:00:54,770 --> 00:00:58,020 パトカーに手をついて 自分の脚の震えを考えないようにしながら 26 00:00:58,044 --> 00:01:00,379 どうすべきか 理性的に考えようとしていた時 27 00:01:00,403 --> 00:01:02,402 私は 奇妙なことに気づきました 28 00:01:02,426 --> 00:01:04,420 この写真に写った自分の姿を見て 29 00:01:04,444 --> 00:01:06,279 自分の人相を描写するなら 30 00:01:06,303 --> 00:01:08,090 こんな風になると思います 31 00:01:08,114 --> 00:01:13,503 「19歳のインド系男性 派手な色のTシャツ 眼鏡を着用」 32 00:01:13,527 --> 00:01:15,808 でもこういった特徴は 一切含まれていませんでした 33 00:01:15,832 --> 00:01:18,082 警察は 無線での私の人物描写で 34 00:01:18,106 --> 00:01:20,738 こう言い続けました 「リュックを背負った中東系男性 35 00:01:20,762 --> 00:01:22,791 リュックを背負った中東系男性」と 36 00:01:22,815 --> 00:01:25,888 そしてこの表現は そのまま 警察署での報告書に転記されました 37 00:01:26,419 --> 00:01:31,025 自国の警察に こんな描写をされるなんて 予想もしませんでした 38 00:01:31,049 --> 00:01:32,307 「不審な」 39 00:01:33,301 --> 00:01:34,532 「凶悪な」 40 00:01:35,832 --> 00:01:36,992 「テロリスト」 41 00:01:37,016 --> 00:01:38,959 勾留は長引いて次のようになりました 42 00:01:38,983 --> 00:01:42,861 警察は 爆発物探知犬を使って 私が出入りした場所を捜査しました 43 00:01:42,885 --> 00:01:46,312 私が要注意人物リストに載っていないか 連邦政府に電話照会しました 44 00:01:46,336 --> 00:01:49,187 数人の刑事を呼んで 私をさらに追及しました 45 00:01:49,211 --> 00:01:51,327 隠すことがないと言うのであれば なぜ 46 00:01:51,351 --> 00:01:53,397 車の捜査に同意しないのか と詰問されました 47 00:01:53,421 --> 00:01:55,482 警察が私の態度に満足ではないと 分かるものの 48 00:01:55,506 --> 00:01:58,589 次に警察に何を要求されるか 皆目分かりませんでした 49 00:01:58,613 --> 00:02:01,510 ある時点で 私の身体検査をした警官が 50 00:02:01,534 --> 00:02:05,064 セキュリティカメラの位置を確認するため 警察署の建物の脇を隈なく調べて 51 00:02:05,088 --> 00:02:07,960 捜査がどのくらい記録されているかを 確認しました 52 00:02:07,984 --> 00:02:09,151 その時 53 00:02:09,175 --> 00:02:12,646 自分が全く警察のなすがままだと 心底思い知りました 54 00:02:12,670 --> 00:02:15,093 私はこう思います 私たちはみんな 若い頃から 55 00:02:15,117 --> 00:02:18,870 警察官、逮捕、手錠に慣らされているので 56 00:02:18,894 --> 00:02:22,836 他の人の身体の自由を奪うことが どれほど屈辱的で威圧的なことかを 57 00:02:22,860 --> 00:02:25,765 忘れてしまいがちです 58 00:02:25,789 --> 00:02:28,434 人種のせいで ひどい扱いを受けたことが 話の主旨だと 59 00:02:28,458 --> 00:02:30,300 思われかねない言い方になりますが 60 00:02:30,324 --> 00:02:33,444 確かに 私が白人だったら 勾留はなかっただろうと思います 61 00:02:33,468 --> 00:02:36,207 でも 今日 私が言いたいのは 別のことです 62 00:02:36,231 --> 00:02:37,649 私が裕福でなかったら 63 00:02:37,673 --> 00:02:40,137 事態はずっと悪かったかもしれない ということです 64 00:02:40,161 --> 00:02:43,079 つまり 警察は 爆弾を仕掛けようとしたと疑って 65 00:02:43,103 --> 00:02:46,272 1時間半かけて その可能性を 捜査しました 66 00:02:46,296 --> 00:02:48,008 でも手錠をかけられることはなく 67 00:02:48,032 --> 00:02:50,044 拘置所に連行されることもありませんでした 68 00:02:50,068 --> 00:02:54,128 私がもし ワシントンDCの 有色人種の低所得者地区に住んでいて 69 00:02:54,152 --> 00:02:56,575 警官が私から生命の脅威を感じたら 70 00:02:56,599 --> 00:02:58,220 結果は 違っていたと思います 71 00:02:58,244 --> 00:03:01,648 実際 米国のシステムの中では 72 00:03:01,672 --> 00:03:03,960 警察署爆破未遂の容疑をかけらる 裕福な人の方が 73 00:03:03,984 --> 00:03:08,332 もっとずっと軽微な犯罪の容疑を かけられる貧乏人よりもましです 74 00:03:08,356 --> 00:03:10,931 私の今の仕事から 一つの例をお見せしましょう 75 00:03:11,309 --> 00:03:14,559 現在 私は ワシントンDCにある 公民権の団体で働いています 76 00:03:14,583 --> 00:03:16,915 「Equal Justice Under Law (法の下の平等な正義)」です 77 00:03:16,939 --> 00:03:19,848 まずみなさんにお聞きします 78 00:03:19,872 --> 00:03:22,859 これまでに駐車違反の切符を 切られたことのある人は 79 00:03:22,883 --> 00:03:24,047 手を挙げてください 80 00:03:24,071 --> 00:03:26,017 はい 私も経験あります 81 00:03:26,041 --> 00:03:27,374 違反金を払わねばならず 82 00:03:27,398 --> 00:03:29,429 煩わしく 嫌な感じがしましたが 83 00:03:29,453 --> 00:03:31,369 でも 違反金を払って片付けました 84 00:03:31,393 --> 00:03:34,084 みなさんも大方 駐車違反の違反金を払ったことがあるでしょう 85 00:03:34,616 --> 00:03:38,903 でも もしお金がなくて払えず 86 00:03:38,927 --> 00:03:42,097 家族にもお金がなかったら どうなるでしょうか? 87 00:03:42,121 --> 00:03:45,112 法のもとで起きてはならないことが 1つあります 88 00:03:45,136 --> 00:03:47,240 違反金を払えないというだけの理由で 89 00:03:47,264 --> 00:03:49,360 逮捕 収監されてはならないのです 90 00:03:49,384 --> 00:03:51,188 これは 連邦法に反します 91 00:03:51,212 --> 00:03:54,140 でも これは全国で地方自治体が 貧乏な人々に対して 92 00:03:54,164 --> 00:03:55,321 行っていることです 93 00:03:55,345 --> 00:03:58,265 そして「Equal Justice Under Law」の 扱う訴訟の多くが 94 00:03:58,289 --> 00:04:00,742 こんな現代版の「債務者監獄」についての 訴えです 95 00:04:01,771 --> 00:04:04,492 その1つが ミズーリ州ファーガソン市を 相手取ったものです 96 00:04:04,516 --> 00:04:06,340 ファーガソンと言うと 97 00:04:06,364 --> 00:04:08,462 警官による暴行事件を 思い出す人が多いでしょう 98 00:04:08,486 --> 00:04:10,773 でも 今日は違う側面について 話したいと思います 99 00:04:10,797 --> 00:04:14,263 警察と市民との関係という側面です 100 00:04:14,287 --> 00:04:19,851 ファーガソンは 毎年1人あたり 平均2通の逮捕令状を発行していました 101 00:04:19,875 --> 00:04:22,124 大半が 法的負債の不払いに対するものでした 102 00:04:22,996 --> 00:04:27,019 外出の度に 次のようなことが起こる 可能性があったら どんな感じでしょう 103 00:04:27,043 --> 00:04:30,143 警官にナンバープレートを照会されて 104 00:04:30,167 --> 00:04:31,858 未払いの債務が見つかったら 105 00:04:31,882 --> 00:04:34,012 DCで起こったように 身体を拘束されて 106 00:04:34,036 --> 00:04:35,953 留置場に連行されるかもしれないのです 107 00:04:35,977 --> 00:04:37,611 吐き気を催します 108 00:04:38,838 --> 00:04:41,994 ファーガソンでは このような経験のある人にたくさん会って 109 00:04:42,018 --> 00:04:43,805 そのうちの何人かに話を聞きました 110 00:04:43,829 --> 00:04:45,197 ファーガソンの拘置所では 111 00:04:45,221 --> 00:04:48,330 各監房に 簡易ベッドと便器が1つずつありますが 112 00:04:48,354 --> 00:04:50,656 そこに4人が詰め込まれます 113 00:04:50,680 --> 00:04:53,795 2人が簡易ベッドで そして残りの2人が床で寝させられ 114 00:04:53,819 --> 00:04:56,746 床に寝るうちの1人は 掃除されたこともない不潔な便器の 115 00:04:56,770 --> 00:04:57,930 真横しかないのでした 116 00:04:57,954 --> 00:05:00,117 実際 監房全体が 掃除されることはなかったため 117 00:05:00,141 --> 00:05:03,696 床にも壁にも 血液と粘液が 付着していたそうです 118 00:05:04,088 --> 00:05:05,238 飲み水はなく 119 00:05:05,262 --> 00:05:07,966 あるのは トイレに付属した 蛇口からの水だけでした 120 00:05:07,990 --> 00:05:09,710 その水は見た目も味も不潔で 121 00:05:09,734 --> 00:05:11,249 食べ物も不十分で 122 00:05:11,273 --> 00:05:12,821 シャワーどころか 123 00:05:12,845 --> 00:05:15,635 生理中の女性への 衛生用品の支給もなく 124 00:05:15,659 --> 00:05:17,353 診療の機会は 全くなかったそうです 125 00:05:17,377 --> 00:05:19,557 私が一人の女性に 医療行為の提供について聞くと 126 00:05:19,581 --> 00:05:21,976 その女性は 笑って言いました 「とんでもない 127 00:05:22,000 --> 00:05:25,145 イヤラシイ目つきの看守が 目配りしているだけ」 128 00:05:25,838 --> 00:05:28,558 未払い金があると ここに連行されてこう告げられます 129 00:05:28,582 --> 00:05:32,118 「負債を支払うまで帰らせない」 130 00:05:32,142 --> 00:05:34,772 もし 家族の誰かに電話することができて 131 00:05:34,796 --> 00:05:36,937 その誰かが なんとかして お金を工面できれば 132 00:05:36,961 --> 00:05:38,354 出してもらえるかもしれません 133 00:05:38,378 --> 00:05:40,537 必要額であれば 釈放してもらえるでしょう 134 00:05:40,561 --> 00:05:43,879 でも 必要額に達しなければ 何日も何週間もそこに居ることになります 135 00:05:43,903 --> 00:05:46,689 そして毎日 看守たちが 監房までやってきて 136 00:05:46,713 --> 00:05:50,100 債務不履行者に その日の 保釈金についてとやかく言うのです 137 00:05:50,625 --> 00:05:54,747 勾留期間が延びて そのうちに 監房が満杯になり 138 00:05:54,771 --> 00:05:56,721 新たな入居者を入れる必要が出てきます 139 00:05:56,745 --> 00:05:58,306 するとこう考えるのでしょう 140 00:05:58,330 --> 00:06:01,085 「どうも この人物には 金を工面できそうにない 141 00:06:01,109 --> 00:06:02,969 この新入りなら工面出来そうだ」と 142 00:06:02,993 --> 00:06:05,971 誰かが出所し 別の人が入所し システムは動き続けます 143 00:06:05,995 --> 00:06:08,021 私が会った男性は 144 00:06:08,045 --> 00:06:12,312 9年前に ドラッグストア内で 物乞いをした罪で逮捕されました 145 00:06:12,336 --> 00:06:16,392 その男性は 罰金と訴訟費用を 払うお金がありませんでした 146 00:06:16,416 --> 00:06:19,412 幼い時に住宅の火事に遭い 147 00:06:19,436 --> 00:06:22,409 3階の窓から飛び降りて かろうじて助かったのです 148 00:06:22,433 --> 00:06:24,634 でもその衝撃で 脳や 片脚を含む 身体のあちこちに 149 00:06:24,658 --> 00:06:27,093 損傷を負いました 150 00:06:27,117 --> 00:06:28,276 働くことができず 151 00:06:28,300 --> 00:06:30,802 社会保障の給付金を頼りに なんとかしのいでいました 152 00:06:30,826 --> 00:06:32,512 彼のアパートの部屋を訪ねると 153 00:06:32,536 --> 00:06:35,415 金目のものはおろか 冷蔵庫に食べ物すらありませんでした 154 00:06:35,439 --> 00:06:36,604 いつも空腹なのです 155 00:06:36,628 --> 00:06:40,107 アパートには金目のものが一切なく ただ一片の厚紙が宝物でした 156 00:06:40,131 --> 00:06:42,369 彼の子供たちの名前を 自分で書いた紙です 157 00:06:42,389 --> 00:06:44,961 彼はこれを大切にしていて 嬉しそうに見せてくれました 158 00:06:44,991 --> 00:06:48,141 でも彼には売るものもなく 罰金や訴訟費用が払えません 159 00:06:48,175 --> 00:06:51,541 過去9年間に 彼は物乞いをしたことで 160 00:06:51,565 --> 00:06:55,896 13回 逮捕され 延べ130日間 拘留されました 161 00:06:56,659 --> 00:06:59,707 このうちの一回は 45日続きました 162 00:06:59,731 --> 00:07:04,137 先ほどお伝えしたような場所に 今から6月くらいまで 163 00:07:04,161 --> 00:07:06,957 過ごさないといけない状況を 想像してください 164 00:07:08,616 --> 00:07:12,697 彼は ファーガソンの監房で見た 自殺未遂について全て話してくれました 165 00:07:12,721 --> 00:07:14,994 ある男性が他の収容者の目を逃れて 166 00:07:15,018 --> 00:07:16,678 どうにか首つりを試みました 167 00:07:16,702 --> 00:07:19,864 他の収容者にできたのは 何度も何度も叫んで 168 00:07:19,888 --> 00:07:21,628 ロープを切って 男性を下ろしてもらえるよう 169 00:07:21,652 --> 00:07:23,645 看守を呼ぶことだけでした 170 00:07:23,669 --> 00:07:27,105 彼の言葉によれば 看守が来るまでに5分以上かかり 171 00:07:27,129 --> 00:07:29,397 首をつった男は 意識を失っていました 172 00:07:29,421 --> 00:07:32,592 そこで 救急隊が呼ばれて 監房へ行きましたが 173 00:07:32,616 --> 00:07:33,948 「問題ない」と言って 174 00:07:33,972 --> 00:07:36,176 男を床に寝かせたまま 立ち去りました 175 00:07:36,200 --> 00:07:39,494 こんな話は 何度も聞いたことがあり 驚くべき話でもなかったはずです 176 00:07:39,518 --> 00:07:43,070 なぜなら 自殺は 地域の拘置所での 死亡原因の断トツ一位だからです 177 00:07:43,852 --> 00:07:46,839 これは 拘置所に精神科治療が ないことに関連します 178 00:07:46,863 --> 00:07:50,783 私が会ったある女性は 3人の子を持つ シングルマザーで時給7ドルで働いていました 179 00:07:50,807 --> 00:07:53,599 生活保護の食料配給券を頼りに 自分と子供を養っていました 180 00:07:54,108 --> 00:07:55,652 10年ほど前に 181 00:07:55,676 --> 00:07:59,441 この女性は 何回か交通違反切符を切られ 一度 軽い窃盗罪に問われましたが 182 00:07:59,465 --> 00:08:02,233 お金がなく 罰金や手数料を 払うことができませんでした 183 00:08:02,726 --> 00:08:06,226 それ以来 彼女は このようなケースで 10回ほど拘留されましたが 184 00:08:06,250 --> 00:08:08,533 統合失調症と両極性障害があるので 185 00:08:08,557 --> 00:08:10,708 毎日の投薬が欠かせません 186 00:08:10,732 --> 00:08:13,770 でも ファーガソンの拘置所には 常用の薬が持ち込めないため 187 00:08:13,794 --> 00:08:16,010 薬が飲めません 188 00:08:16,034 --> 00:08:20,060 2週間の収監中の経験を 彼女は話してくれました 189 00:08:20,084 --> 00:08:23,637 幻覚症状で人や物の影を見たり 幻聴を聞きながら 190 00:08:23,661 --> 00:08:26,255 症状をすっかり止めるための 薬が欲しいと懇願しても 191 00:08:26,279 --> 00:08:27,649 無視されるだけの2週間です 192 00:08:28,370 --> 00:08:30,216 これは 珍しいことではないのです 193 00:08:30,240 --> 00:08:33,765 地域の拘置所に入所する女性の30%が 深刻な精神疾患を持っています 194 00:08:33,789 --> 00:08:34,945 彼女もその一人です 195 00:08:34,969 --> 00:08:39,486 でも 収監中に 何らかの精神科治療を 受けられるのは6人に1人です 196 00:08:39,510 --> 00:08:43,335 私は グロテスクな 地下牢の話を色々聞きました 197 00:08:43,359 --> 00:08:45,557 行政に負債がある人が 囚われる場所です 198 00:08:45,581 --> 00:08:47,874 そして 実際に視察する機会があって 199 00:08:47,898 --> 00:08:49,852 ファーガソン刑務所を訪れる際 200 00:08:49,876 --> 00:08:51,916 何があるか見当もつかないとはいえ 201 00:08:51,940 --> 00:08:53,894 これは予想していませんでした 202 00:08:54,495 --> 00:08:56,334 そこは 普通の 市の庁舎です 203 00:08:56,358 --> 00:08:58,814 郵便局や学校のような建物です 204 00:08:58,838 --> 00:09:02,530 これでわかりました この非合法で計画的な強要行為は 205 00:09:02,554 --> 00:09:04,642 隠れて行われているのではなく 206 00:09:04,666 --> 00:09:07,382 公務員によって 公然と行われているのです 207 00:09:07,406 --> 00:09:09,106 これは公共政策の問題です 208 00:09:09,130 --> 00:09:11,969 ここから思い起こされるのは 概して 貧困者の収監は 209 00:09:11,993 --> 00:09:14,201 「債務者監獄」という背景を抜きにしても 210 00:09:14,225 --> 00:09:17,146 司法制度において 非常に目立つ 中心的な役割を持つという事です 211 00:09:17,818 --> 00:09:20,030 保釈の指針について 考えてみましょう 212 00:09:20,054 --> 00:09:22,606 米国では 係争中に 勾留されるか保釈されるかは 213 00:09:22,630 --> 00:09:28,032 被告人の危険度や 海外逃亡の危険性の問題ではなく 214 00:09:28,056 --> 00:09:31,142 被告人に保釈金が 払えるかどうかの問題なのです 215 00:09:31,166 --> 00:09:33,878 ビル・コスビーは 100万ドルの保釈金を課せられましたが 216 00:09:33,902 --> 00:09:37,362 即座に小切手を書いたので 一秒たりとも拘束されませんでした 217 00:09:37,386 --> 00:09:39,118 獄中死した サンドラ・ブランドは 218 00:09:39,142 --> 00:09:43,140 家族に500ドルが工面できなかった というだけの理由で収監されました 219 00:09:43,164 --> 00:09:46,551 サンドラ・ブランドのような人が 実際 国内に50万人ほどいます 220 00:09:46,575 --> 00:09:48,841 50万人が 今現在 収監されています 221 00:09:48,865 --> 00:09:51,526 理由は保釈金が払えないというだけです 222 00:09:51,550 --> 00:09:54,607 私たちは 刑務所は犯罪者を 収容する所だと教わりましたが 223 00:09:54,631 --> 00:09:56,644 統計的には そうではありません 224 00:09:56,668 --> 00:10:00,969 現在収監中の5人のうち3人が 予備審問段階で 225 00:10:00,993 --> 00:10:03,175 いかなる有罪判決も 言い渡されていません 226 00:10:03,199 --> 00:10:05,710 罪を認めた訳でもありません 227 00:10:06,351 --> 00:10:07,695 ここ サンフランシスコでまさに — 228 00:10:07,719 --> 00:10:11,109 サンフランシスコの刑務所の 収容者の85%が 229 00:10:11,133 --> 00:10:12,877 予備審問のために勾留されているのです 230 00:10:12,901 --> 00:10:16,286 つまり サンフランシスコは 8千万ドルほどの予算を使って 231 00:10:16,310 --> 00:10:17,480 毎年 232 00:10:17,504 --> 00:10:19,220 裁判待ちの人を拘束をしている訳です 233 00:10:21,240 --> 00:10:25,659 保釈金を払えないというだけの理由で 刑務所に入れられている人の多くが 234 00:10:25,683 --> 00:10:27,929 あまりにも軽い犯罪の容疑なので 235 00:10:27,953 --> 00:10:31,336 裁判を待つ時間の方が 236 00:10:31,360 --> 00:10:34,412 有罪判決を受けた場合に 言い渡される刑期よりも長く 237 00:10:34,436 --> 00:10:36,704 単に罪を認めてしまった方が 間違いなく 238 00:10:36,728 --> 00:10:38,012 早く外に出られるのです 239 00:10:38,036 --> 00:10:39,595 したがって 選択肢は 240 00:10:39,619 --> 00:10:42,492 このようなひどい場所に留まって 241 00:10:42,516 --> 00:10:44,626 家族や扶養者と引き離されて 242 00:10:44,650 --> 00:10:47,127 ほぼ間違いなく 職を失うリスクを冒して 243 00:10:47,151 --> 00:10:48,772 無罪を勝ち取るために戦うか? 244 00:10:48,796 --> 00:10:52,365 検察側の求めるままに罪を認めて 釈放されるべきか? 245 00:10:52,389 --> 00:10:55,324 この時点では まだ裁判前の 勾留であり犯罪者ではありません 246 00:10:55,348 --> 00:10:58,240 でも 一旦 司法取引をすれば 犯罪者と呼ばれます 247 00:10:58,264 --> 00:11:01,644 裕福なら 決してこのような状況下に 置かれることはありません 248 00:11:01,668 --> 00:11:04,542 裕福なら 保釈金を払って外に出るだけです 249 00:11:04,566 --> 00:11:06,656 みなさん 不思議に思っているかもしれません 250 00:11:06,680 --> 00:11:09,474 「インスピレーション」のパートで 何の話なのかと 251 00:11:09,498 --> 00:11:10,658 (笑) 252 00:11:10,682 --> 00:11:13,488 「ひどく気が滅入る話だ お金を返して欲しい」 253 00:11:13,512 --> 00:11:14,718 (笑) 254 00:11:14,742 --> 00:11:17,141 でも 実際には 255 00:11:17,165 --> 00:11:21,555 身柄の拘束の話をしないよりもした方が 気の滅入らないことだと気づきました 256 00:11:21,579 --> 00:11:24,015 なぜなら 思うに 私たちが この問題を議論せず 257 00:11:24,039 --> 00:11:26,440 身柄の拘束への考え方を 全般的に変えていかなければ 258 00:11:26,464 --> 00:11:27,968 私たちの人生が終わる頃にも 259 00:11:27,992 --> 00:11:31,123 大した罪を犯していない貧乏な人で 刑務所が溢れかえるからです 260 00:11:31,147 --> 00:11:32,701 そうなれば 本当に気が滅入ります 261 00:11:32,725 --> 00:11:36,149 でも 私がワクワクするのは このような話で私たちが行動し 262 00:11:36,173 --> 00:11:38,216 身柄の拘束を違う言葉で 考えるようになると思うからです 263 00:11:38,240 --> 00:11:41,611 「大量投獄」や 「非暴力的な軽犯罪者への量刑」と言った 264 00:11:41,635 --> 00:11:43,621 無味乾燥な政策用語ではなく 265 00:11:43,645 --> 00:11:44,811 人間味のある言葉でです 266 00:11:44,835 --> 00:11:49,420 人間を何日も、何週間も、何ヶ月も 267 00:11:49,444 --> 00:11:50,888 何年も檻に閉じ込めるなんて 268 00:11:50,912 --> 00:11:53,261 その人の心と体に 一体何をしようとしているのか? 269 00:11:53,285 --> 00:11:56,043 私たちは 何が面白くて そんなことをするのでしょうか? 270 00:11:56,569 --> 00:11:59,375 ですから ここにいる私たち 数百人から始めたら 271 00:11:59,399 --> 00:12:02,443 違う見方で 身柄の拘束について 考えることができます 272 00:12:02,467 --> 00:12:05,947 そして 先ほどの「普通だという思い込み」を 打ち消すことができるでしょう 273 00:12:05,971 --> 00:12:09,009 最後に 今日みなさんに申し上げたいのは このアイデアです 274 00:12:09,033 --> 00:12:11,465 何かを根本的に変えたいと願うなら 275 00:12:11,489 --> 00:12:14,769 保釈金や罰金や訴訟費用に関する 政策を変えるだけではなく 276 00:12:14,793 --> 00:12:17,846 新たな政策がどんなものであれ それが新しいやり方で 277 00:12:17,870 --> 00:12:20,921 貧乏な人や 周縁に追いやられた人たちを 罰しないようにすることです 278 00:12:20,945 --> 00:12:22,577 このような形の変革を望むなら 279 00:12:22,601 --> 00:12:25,126 考え方の変革にこそ 一人ひとりが取り組むべきです 280 00:12:25,150 --> 00:12:26,334 ありがとうございました 281 00:12:26,358 --> 00:12:30,028 (拍手)