1 00:00:01,032 --> 00:00:02,562 周りを見回してください 2 00:00:02,586 --> 00:00:08,286 あなたのいる所が 地下鉄 公園 空港 レストラン 3 00:00:08,310 --> 00:00:10,029 このトーク会場であっても 4 00:00:10,053 --> 00:00:13,441 誰もが手に又はポケットに 携帯電話を持っています 5 00:00:13,465 --> 00:00:15,291 本を持っている人は何人いますか? 6 00:00:15,315 --> 00:00:16,465 少数ですよね? 7 00:00:17,069 --> 00:00:18,946 これがオフィスのビルから外に出る度に 8 00:00:18,970 --> 00:00:21,077 私を出迎えてくれた光景です 9 00:00:21,101 --> 00:00:24,752 携帯電話にかじりつく 20代の専門職に就く若者に 10 00:00:24,776 --> 00:00:26,243 囲まれていました 11 00:00:26,560 --> 00:00:29,038 本を持つ人は誰一人としていませんでした 12 00:00:29,600 --> 00:00:32,195 そのことにいつも不満を感じていました 13 00:00:32,505 --> 00:00:34,671 私は生まれてこの方 本の虫でした 14 00:00:34,695 --> 00:00:37,403 私の人生の節目には必ず本がありました 15 00:00:37,427 --> 00:00:40,474 私の初恋はミスター・ダーシーでした (『高慢と偏見』オースティン) 16 00:00:40,990 --> 00:00:46,080 『ハリーポッター』を初めて読んだのは 大学の夏休みの21歳の時 17 00:00:46,601 --> 00:00:50,184 20代の半ばに買った 小さなマンションで迎えた最初の夜 18 00:00:50,184 --> 00:00:52,426 誇らしく思ったことを 覚えていますが 19 00:00:52,450 --> 00:00:55,355 『ダ・ヴィンチ・コード』を 読みながら一夜を過ごしました 20 00:00:55,379 --> 00:00:57,688 ここで恥ずかしい告白をします 21 00:00:57,712 --> 00:01:01,391 今でも落ち込んでしまったら 『戦争と平和』と共にベッドに潜り込みます 22 00:01:01,415 --> 00:01:02,565 笑わないでくださいね 23 00:01:02,589 --> 00:01:03,620 (笑) 24 00:01:04,030 --> 00:01:07,331 ところが私自身も周りの人と同じでした 25 00:01:07,355 --> 00:01:09,029 私も携帯電話を片時も離さず 26 00:01:09,053 --> 00:01:11,537 食料品はオンラインで購入し 27 00:01:11,561 --> 00:01:15,695 アプリが今月分の紙おむつを 注文する時期だと知らせてくれました 28 00:01:16,339 --> 00:01:19,220 映画館の切符は携帯で予約しました 29 00:01:19,244 --> 00:01:21,913 飛行機の予約も携帯でした 30 00:01:21,937 --> 00:01:26,326 そして私も都会に住む大半のインド人同様に 家に帰る長い通勤の途中に 31 00:01:26,350 --> 00:01:29,293 交通渋滞に巻き込まれてしまうと 32 00:01:29,293 --> 00:01:33,457 暇つぶしに私の双子のもう一人と WhatsAppでビデオチャットしてました 33 00:01:33,457 --> 00:01:37,803 私も当時インドで起きていた 驚くべき革命の一部でした 34 00:01:37,827 --> 00:01:41,957 インド人は携帯電話のユーザー数では 世界2番目です 35 00:01:42,466 --> 00:01:46,323 データ通信費が大幅に低下したことで 36 00:01:46,347 --> 00:01:50,045 インドの都会人口の半数 そしての地方人口の一部さえも 37 00:01:50,069 --> 00:01:53,347 今ではスマートフォンと データ通信を手にしてます 38 00:01:53,371 --> 00:01:55,204 インドについて少しでも 知識があれば 39 00:01:55,228 --> 00:01:58,554 「半数」とは アメリカの全人口と 同じぐらいだとわかります 40 00:01:58,578 --> 00:02:00,125 莫大な人数です 41 00:02:00,149 --> 00:02:01,299 (笑) 42 00:02:02,220 --> 00:02:04,998 この人数は増え続けています 43 00:02:05,022 --> 00:02:06,204 桁外れの増え方で 44 00:02:06,228 --> 00:02:08,300 それがインド人の生活に これまでにない方法で 45 00:02:08,324 --> 00:02:10,782 力を与えています 46 00:02:10,806 --> 00:02:14,244 ところが私の周りで起きていた 大きな変化の波はどれも 47 00:02:14,268 --> 00:02:18,034 私の世界 ―本の分野には 影響がありませんでした 48 00:02:18,034 --> 00:02:21,101 私が住む国はヨーロッパほどの大きさですが 49 00:02:21,125 --> 00:02:23,594 書籍の揃ったまともな本屋は たった50店舗しかありません 50 00:02:24,053 --> 00:02:27,290 本を楽しみとして読もうとする様子は インド人にはありませんでした 51 00:02:27,314 --> 00:02:29,825 そこでインドのベストセラー ランキングを見ると 52 00:02:29,849 --> 00:02:32,070 いつもそのリストに並んでいるのは 53 00:02:32,094 --> 00:02:33,909 試験や専門職のマニュアル本です 54 00:02:33,933 --> 00:02:37,928 SAT試験の対策本が 「ニューヨークタイムズ」のベストセラーで 55 00:02:37,928 --> 00:02:41,622 何ヵ月にも渡り1位になることを 想像してみてください 56 00:02:41,659 --> 00:02:44,714 そのような状況にも関わらず スマートフォン革命は 57 00:02:44,714 --> 00:02:48,229 違う類の読者と作家を 生み出していました 58 00:02:48,254 --> 00:02:51,095 Facebook でも WhatsApp でも ところ構わず 59 00:02:51,119 --> 00:02:55,960 インド人は様々なことを書き 読み 共有していました 60 00:02:55,984 --> 00:02:59,698 面白くもないジョーク 事実とかけ離れた歴史談義 61 00:02:59,722 --> 00:03:02,398 長くて感情的な告白 62 00:03:02,422 --> 00:03:04,593 延々と続く政府批判 63 00:03:04,617 --> 00:03:08,913 そのような内容を読み 共有しながら 私が考えたのが 64 00:03:08,913 --> 00:03:12,189 「ここにいる筆者や読者を 65 00:03:12,213 --> 00:03:14,546 私の読者に変えることは できないだろうか?」 66 00:03:15,212 --> 00:03:17,895 そこで私は自分の優雅な角部屋のオフィスと 67 00:03:17,919 --> 00:03:22,291 インド 有数の出版社での 出版担当職を捨てて 68 00:03:22,315 --> 00:03:23,993 独立しました 69 00:03:24,017 --> 00:03:29,894 デリーの安くて自由な雰囲気の地域にある 大きなワンルームに 70 00:03:29,894 --> 00:03:32,058 数人だけのチームと引越しました 71 00:03:32,402 --> 00:03:35,376 そこで新しい類の出版社を始めました 72 00:03:36,355 --> 00:03:38,425 新しい類の出版社には 73 00:03:38,545 --> 00:03:41,584 新しい類の読者と 新しい類の本が必要です 74 00:03:42,218 --> 00:03:45,138 そこで私は自問しました 「新しい読者は何を求めるだろうか? 75 00:03:45,162 --> 00:03:47,840 彼らが重んじるのは 76 00:03:47,840 --> 00:03:51,258 緊急性 関連性 適時性 率直性— 77 00:03:51,282 --> 00:03:54,958 オンラインサービスに求める要素と 一致した要素ではないだろうか 78 00:03:54,982 --> 00:03:58,120 まさに現代社会に求める要素と 同じではないだろうか?」 79 00:03:59,149 --> 00:04:01,783 私の読者は常に飛び回っている 80 00:04:01,807 --> 00:04:04,728 そんなライフスタイルと 忙しい日常に適応しなくてはならない 81 00:04:04,752 --> 00:04:07,810 200ページの本を読みたがるだろうか? 82 00:04:07,834 --> 00:04:11,697 それよりも もっと簡単に読み通せるものが 欲しいのではないだろうか? 83 00:04:11,697 --> 00:04:14,652 インド人は驚くほど価格に敏感で 84 00:04:14,676 --> 00:04:17,220 オンライン著作に関しては特にそうです 85 00:04:17,244 --> 00:04:20,636 1ドル以下の本を提供しなくては ならないことは解っていました 86 00:04:21,735 --> 00:04:25,167 そう考え私は会社を設立し 起業したのでした 87 00:04:25,191 --> 00:04:31,426 スマートフォンの為に書き下ろされた 作品を並べるためのプラットフォームであり 88 00:04:31,450 --> 00:04:35,625 アマチュア作家が自分の作品を アップロードし 89 00:04:35,649 --> 00:04:38,220 読者として大好きな作家の作品と 並べて公開することも 90 00:04:38,244 --> 00:04:39,974 できるようにしました 91 00:04:39,998 --> 00:04:44,506 私たちも他人のデジタルプラットフォームを 閲覧することが可能でした 92 00:04:44,999 --> 00:04:46,785 そこで想像してみてください— 93 00:04:46,809 --> 00:04:50,173 受付係として働いているあなたの 長い一日もやっと終わりました 94 00:04:50,197 --> 00:04:52,644 あなたは配車のアプリを使って タクシーを頼みます 95 00:04:52,668 --> 00:04:54,007 タクシーが来ると 96 00:04:54,031 --> 00:04:56,911 あなたは車に乗り込み シートにもたれかかると 97 00:04:56,935 --> 00:04:59,101 自分の携帯アプリを見ます 98 00:04:59,125 --> 00:05:03,187 するとあなたの通勤時間に合わせた ストーリーが待っています 99 00:05:04,017 --> 00:05:07,724 あなたがルックノーのような デリー近郊のやや保守的な町に住む 100 00:05:07,724 --> 00:05:10,842 若いゲイの女性だと想像してみてください 101 00:05:11,300 --> 00:05:14,022 両親があなたの性的志向に 気づいているはずはありません 102 00:05:14,046 --> 00:05:16,532 それを知ったら 悲鳴を上げること間違いなし 103 00:05:16,532 --> 00:05:22,315 1ドル以下で購入できる ヒンディー語のレズビアンラブストーリーを 104 00:05:22,339 --> 00:05:24,728 あなたの携帯で秘かに読みませんか? 105 00:05:25,244 --> 00:05:27,855 そして私は周辺でリアルタイムに 起きている出来事と 106 00:05:27,879 --> 00:05:32,189 読者を組み合わせられないだろうか? 107 00:05:32,982 --> 00:05:37,156 そこで私たちは 有名な政治家が重要な選挙に当選したら 108 00:05:37,180 --> 00:05:39,941 半生記を出版しました 109 00:05:40,633 --> 00:05:44,188 最高裁が同性愛を非犯罪化した時 110 00:05:44,212 --> 00:05:47,959 LGBTQの選び抜かれた作品が 私達のホームページに掲載されていました 111 00:05:48,482 --> 00:05:53,591 そして通称「インドのトニー・モリソン」 偉大な作家モハッシェタ・デビが亡くなると 112 00:05:53,615 --> 00:05:57,460 逝去のニュースを受けてすぐに 彼女の 短編小説が読者の目に触れるようにしました 113 00:05:58,046 --> 00:06:02,807 狙いは 読者の人生における全ての瞬間に 関連した読み物を提供することでしたた 114 00:06:03,823 --> 00:06:05,157 私達の読者とは誰でしょう? 115 00:06:05,562 --> 00:06:08,657 ほとんどが30歳以下の 若い男性です 116 00:06:08,681 --> 00:06:10,665 例えばサリル 117 00:06:10,689 --> 00:06:13,768 彼は近代的な本屋のない町に住んでいます 118 00:06:13,792 --> 00:06:16,525 私達のアプリを毎日のように開きます 119 00:06:16,852 --> 00:06:18,678 マノージみたいな人もいます 120 00:06:18,702 --> 00:06:21,894 帰宅までの長い通勤時間に 私達の書籍を読んでいます 121 00:06:22,266 --> 00:06:25,861 またアーメッドみたいな人もいます 低い単価で買えて 122 00:06:25,885 --> 00:06:29,847 一気に読めるノンフィクションが 好みです 123 00:06:30,831 --> 00:06:33,832 あなたがインドのシリコンバレーである バンガロールに住む 124 00:06:33,856 --> 00:06:38,187 技術系の若い男性だとしましょう 125 00:06:39,031 --> 00:06:41,578 ある日アプリの通知が届きます 126 00:06:41,602 --> 00:06:45,053 あなたの好きな女優が セクシーな短編小説を執筆しました 127 00:06:45,077 --> 00:06:46,672 すぐ読めますという内容です 128 00:06:46,696 --> 00:06:48,768 それが Juggernaut(ジャガーノート)の 出発点でした 129 00:06:48,792 --> 00:06:53,188 サニー・リオンという有名な 元アダルトスターに依頼しました 130 00:06:53,212 --> 00:06:56,347 彼女の名はインドで一番検索されて いるそうです 131 00:06:56,371 --> 00:07:00,395 彼女にセクシーな短編小説の コレクションを書いてもらい 132 00:07:00,419 --> 00:07:02,958 毎晩1編づつ 1週間に渡り出版しました 133 00:07:02,982 --> 00:07:04,410 大ヒットでした 134 00:07:04,434 --> 00:07:08,034 サニー・リオンに執筆をお願いしたなんて 誰も信じませんでしたが 135 00:07:08,466 --> 00:07:09,626 彼女が実際に書いたもので 136 00:07:09,650 --> 00:07:12,212 彼女は人々の認識が 間違いだったことを証明し 137 00:07:12,236 --> 00:07:14,577 巨大な読者層を開拓しました 138 00:07:15,084 --> 00:07:20,704 本の役割と読者の習性を 再定義してみたのと同じように 139 00:07:20,728 --> 00:07:23,204 作者とは誰なのかも見直してみました 140 00:07:23,228 --> 00:07:25,471 私共のアマチュア作家の 執筆プラットフォームには 141 00:07:25,471 --> 00:07:28,505 ティーンエイジャーから主婦まで 幅広い層の作者がいます 142 00:07:28,505 --> 00:07:30,397 そして皆様々な内容の執筆をしています 143 00:07:30,421 --> 00:07:35,863 最初に書くのは 詩やエッセーや短編小説です 144 00:07:36,292 --> 00:07:39,739 50%の人は再度執筆するために アプリに戻ってきます 145 00:07:40,514 --> 00:07:42,559 ニーラジのような人を例にあげます 146 00:07:42,559 --> 00:07:47,028 彼は中年の会社役員 妻 2人の子供 良い職に恵まれています 147 00:07:47,053 --> 00:07:48,815 ニーラジは読書が大好きです 148 00:07:48,839 --> 00:07:51,673 ところが気に入った本を読む度に 149 00:07:51,697 --> 00:07:53,871 後悔に取りつかれていました 150 00:07:53,895 --> 00:07:56,505 自分にも何か書けないだろうかと 思うようになりました 151 00:07:56,529 --> 00:07:58,974 自分も伝えたいストーリーが あると確信していました 152 00:07:59,450 --> 00:08:04,410 ところが限られた時間と現実に直面し できるはずはないと思っていました 153 00:08:04,434 --> 00:08:07,648 そんな時にジャガーノートの 執筆プラットフォームの話を聞きました 154 00:08:07,672 --> 00:08:10,416 一番気にいったことは 155 00:08:10,416 --> 00:08:14,612 自分も今まで一番敬服していた作家と同等に 156 00:08:14,637 --> 00:08:17,141 並ぶことが可能だと 思える場所だったことです 157 00:08:17,165 --> 00:08:18,831 それがきっかけで書くようになりました 158 00:08:19,252 --> 00:08:23,014 ここで1分 違うところで1時間 159 00:08:23,038 --> 00:08:25,252 空港の待ち時間や 160 00:08:25,276 --> 00:08:28,240 夜遅く少しだけ時間の余裕がある時に 時間を割きました 161 00:08:28,867 --> 00:08:31,184 素晴らしいストーリーが 書き上がりました 162 00:08:31,208 --> 00:08:34,033 デリー旧市街の曲がりくねった路地に住む 163 00:08:34,057 --> 00:08:37,057 暗殺者一族の話です 164 00:08:37,371 --> 00:08:40,251 私達はすぐ気に入りました 新鮮でオリジナルな内容だったから 165 00:08:40,275 --> 00:08:44,712 あっという間にニーラジは 映画化の契約を得ただけでなく 166 00:08:44,736 --> 00:08:48,011 新たなストーリーを書くための 契約も結んでいました 167 00:08:48,323 --> 00:08:52,190 ニーラジの作品は私達のアプリで 一番購読されている作品の一つです 168 00:08:53,619 --> 00:08:56,135 私が歩んできたのは まだまだ短い道のりです 169 00:08:56,159 --> 00:08:59,911 私達は創立2年目の会社で まだ長い道のりが待っています 170 00:09:00,984 --> 00:09:05,234 でもすでに年末までには 約50万編に及ぶ作品が揃います 171 00:09:05,234 --> 00:09:07,984 その多くは1ドル以下の価格です 172 00:09:09,159 --> 00:09:11,935 ほとんどの読者は 読書が大好きで 173 00:09:11,959 --> 00:09:15,093 今まで聞いたことがないような作家を 試しに読んでみます 174 00:09:15,117 --> 00:09:17,577 ホームページを介して読まれる 30%の読み物は 175 00:09:17,601 --> 00:09:21,010 執筆プラットフォームから 生まれたものです 176 00:09:22,210 --> 00:09:24,321 ありとあらゆる場所で利用できる 177 00:09:24,345 --> 00:09:26,925 利便性と関連性を追求することで 178 00:09:27,734 --> 00:09:30,514 読書を日常の習慣として 簡単で楽な行為にしたいと思っています 179 00:09:30,538 --> 00:09:33,761 メールをチェックすることや 180 00:09:34,270 --> 00:09:36,840 オンライン予約で切符を購入することや 181 00:09:36,840 --> 00:09:38,881 食料品の買い物をするのと同じように 182 00:09:38,881 --> 00:09:41,365 私はどうなのかというと ある発見をしました 183 00:09:41,365 --> 00:09:45,196 15センチのスマートフォンの世界に 一歩踏み込むと 184 00:09:45,196 --> 00:09:48,516 私の世界が突然とてつもなく 大きくなったのでした 185 00:09:48,516 --> 00:09:50,582 ありがとうございました 186 00:09:50,582 --> 00:09:53,586 (拍手)