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敵を味方に変えるレッスン

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    2014年の夏のこと
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    私は敵としか
    言いようのない人間と
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    向き合って座っていました
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    クレイグ・ワッツという男で
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    養鶏農家です
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    家畜を守り
    工場畜産をなくすために
  • 0:21 - 0:23
    私はずっと
    働いてきました
  • 0:23 - 0:26
    その時まで すべての時間を
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    この男が象徴するすべてと
    戦うために費やしてきた私が
  • 0:32 - 0:35
    その男の家の居間にいたのです
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    私がクレイグ・ワッツに会った時点で
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    彼は22年間 パーデュー社のために
    養鶏をしていました
  • 0:43 - 0:46
    アメリカでも4番目に大きな
    鶏肉会社です
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    若い頃の彼は
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    州内でも最も貧しい地域で
    暮らしていくため
  • 0:51 - 0:55
    養鶏をしたいと思っていて
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    養鶏業界が
    その地域に進出してきたとき
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    これで夢がかなうと思いました
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    25万ドル借金して
  • 1:03 - 1:05
    鶏舎を建てました
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    パーデュー社が
    鶏の群れをよこし
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    それを育てると
    お金がもらえて
  • 1:10 - 1:13
    住宅ローンのように少しずつ
    借金を返していきます
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    でも すぐに鶏が
    病気になり始めました
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    工場畜産ですから
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    ぎっしり詰め込まれた
    2万5千羽の鶏が
  • 1:22 - 1:26
    糞にまみれ
    アンモニア臭に満ちた空気を吸って
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    生きていたんです
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    病気になると
    死ぬものも出てきます
  • 1:31 - 1:33
    死んだ鶏には
    お金が貰えず
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    クレイグは借金が返せなくなり
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    誤りを犯したことに
    気付きましたが
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    彼はもはや年季奉公人の身でした
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    私が会った時には
    限界に達していました
  • 1:46 - 1:49
    借金の支払いには
    きりがなく
  • 1:49 - 1:54
    鶏の死と 病気と 絶望にも
    きりがありませんでした
  • 1:55 - 2:02
    できるだけ酷い 不当で汚らしく
    残忍なフードシステムを
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    いくら考え出そうとしても
  • 2:05 - 2:10
    工場畜産より酷いものは
    思い付かないでしょう
  • 2:10 - 2:14
    世界では年に
    800億匹に上る家畜が
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    育てられ殺されています
  • 2:16 - 2:20
    檻や厩舎に詰め込まれ
    陽の光を見ることもありません
  • 2:20 - 2:24
    これは家畜にとってだけの
    問題ではありません
  • 2:24 - 2:29
    畜産による温室効果ガス排出量は
  • 2:29 - 2:33
    飛行機と列車と自動車を
    合わせたよりも多いのです
  • 2:33 - 2:37
    耕作可能な土地の3分の1は
    人間のためではなく
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    工場畜産用の飼料を
    育てるために使われています
  • 2:41 - 2:45
    そうした土地には
    膨大な化学物質が散布されます
  • 2:45 - 2:50
    アマゾンのような
    生態学的に重要な生息地が
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    家畜を飼うために
    伐採され 焼き払われています
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    私の3人の子供が
    大人になる頃には
  • 2:59 - 3:05
    シロクマも スマトラゾウも オランウータンも
    見られそうにありません
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    私が生きている間にも
  • 3:08 - 3:13
    鳥や 両生類や 爬虫類や 哺乳類の数が
    半減しています
  • 3:13 - 3:16
    その主な原因は
  • 3:16 - 3:20
    肉や 乳製品や 卵の
    需要を満たすためです
  • 3:20 - 3:23
    そして その日まで
  • 3:23 - 3:27
    私から見た悪党は
    クレイグ・ワッツだったんです
  • 3:27 - 3:30
    彼の居間にいる間に
  • 3:30 - 3:34
    私の恐れや怒りは
    別のものに変わりました
  • 3:35 - 3:37
    恥ずかしさです
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    私はずっと彼のことを
    非難し 憎んできて
  • 3:41 - 3:43
    病気にでもなればいいと
    思っていました
  • 3:44 - 3:47
    彼の苦しみや選択について
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    考えたことは
    ありませんでした
  • 3:51 - 3:53
    彼が味方になることなど
    あり得るのか?
  • 3:53 - 3:57
    鶏みたいに囚われたように
    彼が感じていようとは
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    思いもしませんでした
  • 4:00 - 4:03
    何時間も話し込み
  • 4:03 - 4:08
    昼時だったのが午後になり
    日が暮れ 夜になり
  • 4:08 - 4:12
    彼がふと
    「じゃあ 鶏を見ますか?」と言いました
  • 4:12 - 4:14
    暗い中を
  • 4:14 - 4:18
    長い灰色の建物のほうへ
    歩いて行きました
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    彼が扉を開けて
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    一緒に中へ入ると
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    圧倒されるような
    臭気に包まれ
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    体中の筋肉がこわばり
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    咳込んで 涙が出ました
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    肉体的不快感に圧倒され
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    最初は周りが
    見えていませんでしたが
  • 4:35 - 4:37
    その光景が目に入ると
  • 4:37 - 4:40
    私は泣き出しました
  • 4:40 - 4:43
    何万という
    生まれたばかりのヒヨコが
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    暗い倉庫の中にいて
  • 4:46 - 4:49
    どこへ行くことも
    何をすることもできずにいました
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    それから数か月の間に
  • 4:52 - 4:55
    私は映画作家のレーガン・ホッジと
    そこを何度も訪れ
  • 4:55 - 4:58
    記録を取り
    理解し
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    クレイグと信頼関係を築きました
  • 5:00 - 5:03
    鶏舎を一緒に歩きながら
    彼は鶏を拾い上げました
  • 5:03 - 5:04
    死んでいるものもいれば
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    脚の曲がったもの
    上手く呼吸できないもの
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    歩けないものもいました
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    そのすべてを映像に収めました
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    それから 彼にしろ私にしろ
    最初会った時には考えもしなかったことを
  • 5:17 - 5:18
    することにしました
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    その映像を
    一般公開することにしたのです
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    私たちのどちらにとっても
    危険なことでした
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    彼は収入や 家や 土地を失い
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    近所の人たちから憎まれることに
    なるかもしれません
  • 5:30 - 5:33
    私も所属組織が
    訴えられるかもしれず
  • 5:33 - 5:36
    彼がすべてを失う元凶になる
    かもしれませんでしたが
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    それでも やらなければと
    思いました
  • 5:42 - 5:44
    ニューヨークタイムズが記事にして
  • 5:44 - 5:50
    最初の1日で百万人が
    その映像を見ました
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    瞬く間に広まって
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    突然 工場畜産について議論する
    世界的な場ができました
  • 6:01 - 6:04
    クレイグと協力したことで
    私は考えるようになりました
  • 6:04 - 6:08
    他にも 考えもしなかった
    味方がいるのでは?
  • 6:09 - 6:13
    新たな展開や学べることが
    他にも あるのでは—
  • 6:13 - 6:16
    敵との境界線を超えさえすれば?
  • 6:17 - 6:19
    第一の教訓は
  • 6:19 - 6:23
    気まずい状況を
    嫌がらない必要があること
  • 6:24 - 6:27
    同意できる相手としか
    話さなければ
  • 6:27 - 6:29
    問題は解決しません
  • 6:31 - 6:35
    進んで相手の領分に
    入っていく必要があります
  • 6:35 - 6:38
    解決しようとしている
    問題を変える力を持っているのが
  • 6:38 - 6:42
    敵だというのは
    よくあることです
  • 6:42 - 6:45
    私にどうにかできる鶏は
    1羽もおらず
  • 6:45 - 6:47
    それができるのは
    養鶏農家や食肉会社です
  • 6:47 - 6:51
    問題を解決するには
    相手の領分に入っていく必要があるのです
  • 6:51 - 6:53
    クレイグと組んだ2年後に
  • 6:53 - 6:57
    そんなことするとは思わなかったことを
    またしました
  • 6:57 - 7:00
    さらに大きな“敵”と
    話をしたのです
  • 7:00 - 7:03
    ジム・パーデューその人—
  • 7:03 - 7:06
    あの映像で悪役にした相手です
  • 7:08 - 7:13
    再び 気まずさと
    話しにくい話を経て
  • 7:13 - 7:16
    パーデュー社は
    鶏肉会社として初めて
  • 7:16 - 7:19
    動物の適正な取扱いに関する
    基準を作りました
  • 7:19 - 7:22
    欠いているとして
    映像で批判した
  • 7:22 - 7:28
    鶏舎に窓を付けるといったことも
    盛り込まれ
  • 7:28 - 7:30
    そのための資金も
    出しています
  • 7:31 - 7:34
    これは私にとって
    すごく大きな教訓でした
  • 7:35 - 7:36
    第二の教訓は
  • 7:36 - 7:42
    敵と向き合って交渉するときに
    忘れてならないのは
  • 7:42 - 7:46
    目の前の相手にも
    人間的な面があるということ
  • 7:46 - 7:52
    おそらくは思っているよりも
    多くの共通点があるということです
  • 7:52 - 7:53
    私はこのことを
  • 7:53 - 7:58
    大手の鶏肉会社の本社に
    招待され訪問したときに学びました
  • 7:58 - 8:01
    私の組織にせよ
    他のどの組織にせよ
  • 8:01 - 8:06
    その会社に招待されたのは
    初めてのことでした
  • 8:06 - 8:08
    オフィスを歩いていくと
  • 8:08 - 8:11
    パーティションから
    顔をのぞかせた人たちが
  • 8:11 - 8:14
    動物の権利活動家がどんなものか
    一目見ようとしていました
  • 8:14 - 8:16
    私はこんな格好だったし
  • 8:16 - 8:19
    彼らが何を期待していたのか
    分かりません
  • 8:19 - 8:20
    (笑)
  • 8:20 - 8:23
    会議室に入ると
  • 8:23 - 8:26
    責任者の重役が座っていました
  • 8:26 - 8:28
    腕組みして
  • 8:28 - 8:30
    私なんか見たくない
    という感じでした
  • 8:30 - 8:33
    私がノートPCを開くと
  • 8:33 - 8:37
    壁紙にしていた
    3人の子供の写真が見えました
  • 8:37 - 8:40
    娘は息子たちとは
    見た目が違います
  • 8:40 - 8:44
    その写真を見ると
    彼は腕組をほどいて
  • 8:44 - 8:48
    頭を少し傾け
    身を乗り出して
  • 8:48 - 8:49
    「お子さんですか?」
    と聞きました
  • 8:49 - 8:53
    「ええ ちょうど娘として迎える
    手続きをしたところで—」
  • 8:53 - 8:56
    仕事の打ち合わせにはふさわしくないくらい
    おしゃべりしました
  • 8:56 - 9:00
    彼が口をはさみました
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    「私も2人養子にしてますよ」
  • 9:03 - 9:06
    それから20分くらい
  • 9:06 - 9:08
    ずっとその話をしていました
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    養子のこと
    親になるということ
  • 9:11 - 9:16
    その間 何のための会議かも
    忘れていました
  • 9:16 - 9:18
    その間 何のための会議かも
    忘れていました
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    壁が崩れて
  • 9:20 - 9:24
    溝に橋がかかりました
  • 9:24 - 9:27
    私たちの人間的な
    繋がりのおかげで
  • 9:27 - 9:31
    その会社とは
    ずっと大きな進展がありました
  • 9:32 - 9:34
    3つ目の教訓は
  • 9:34 - 9:39
    “敵”と話し合うときには
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    共に勝つ道を求めなければ
    ならないということ
  • 9:41 - 9:44
    クレイグ・ワッツのような
    農家と取り組むときには
  • 9:44 - 9:47
    「農家をやめさせなければ」
    と考えるのではなく
  • 9:47 - 9:50
    どうすれば 麻とか キノコとか
    他の種類の農家になる
  • 9:50 - 9:53
    手助けができるだろうと
    考えるようになりました
  • 9:53 - 9:57
    後に協力した農家の人は
    まさにそうしました
  • 9:58 - 10:01
    彼は私と一緒に暴露をし
    映像を作り
  • 10:01 - 10:03
    再びニューヨークタイムズに
    載りましたが
  • 10:03 - 10:05
    彼はそこからさらに進んで
  • 10:05 - 10:06
    鶏の工場畜産をやめました
  • 10:06 - 10:11
    実のところ
    あの長い灰色の鶏舎は
  • 10:11 - 10:15
    別のものの栽培に
    ピッタリだったんです
  • 10:15 - 10:19
    (笑)
  • 10:19 - 10:23
    (拍手)
  • 10:23 - 10:26
    麻ですよ 麻!
  • 10:26 - 10:28
    (笑)
  • 10:30 - 10:33
    これは環境にやさしく
  • 10:33 - 10:37
    その土地を離れずに
    お金が稼げて
  • 10:37 - 10:42
    菜食主義の動物の権利活動家も
    養鶏農家も 支持できる方法です
  • 10:42 - 10:45
    (笑)
  • 10:45 - 10:51
    大きな食肉会社をどうすれば
    潰せるか考える代わりに
  • 10:51 - 10:55
    どうすれば別の業態に移行する
    手助けができるかと考えるようになりました
  • 10:55 - 10:58
    タンパク質を屠殺動物でなく
  • 10:58 - 11:01
    植物から取れるようにするとか
  • 11:01 - 11:03
    まさかと思うかもしれませんが
  • 11:03 - 11:06
    大企業がそういう方向に
    動き始めているのです
  • 11:06 - 11:10
    カーギル社や タイソン・フーズ社や
    パーデュー社が
  • 11:10 - 11:14
    植物性タンパク質の製品を
    扱い始めています
  • 11:14 - 11:17
    パーデュー氏自身が
    言っています
  • 11:17 - 11:20
    「私達は高級タンパク質食品会社であり
  • 11:20 - 11:23
    動物性のものに限るなどとは
    言っていません」
  • 11:23 - 11:27
    私が住んでいるアトランタでは
  • 11:27 - 11:30
    KFCがビヨンド・ミート社といっしょに
  • 11:30 - 11:33
    一日限定で試験的に
    植物由来のチキンナゲットを提供しました
  • 11:33 - 11:35
    すごかったですよ
  • 11:35 - 11:37
    行列が角の向こうまで続き
  • 11:37 - 11:39
    交通に支障が出たくらいで
  • 11:39 - 11:42
    ビヨンセのチケットの無料配布でも
    しているみたいでした
  • 11:42 - 11:46
    この転換をする準備が
    みんなできているんです
  • 11:47 - 11:50
    みんなが入れる大きなテントを
  • 11:50 - 11:52
    建てる必要があります
  • 11:52 - 11:54
    養鶏農家から
  • 11:54 - 11:56
    巨大食肉会社や
  • 11:56 - 11:59
    動物の権利活動家まで
  • 11:59 - 12:03
    これらの教訓は
    様々な問題に適用できます
  • 12:03 - 12:09
    別れた相手や
    お隣さんや 姻戚相手だろうと
  • 12:10 - 12:13
    あるいはもっと大きな
  • 12:13 - 12:16
    搾取や抑圧の問題—
  • 12:16 - 12:22
    工場畜産 女性蔑視 人種差別
    気候変動が相手でも
  • 12:23 - 12:27
    大きな問題でも
    小さな問題でも
  • 12:27 - 12:30
    相手を叩きのめすことでは
    解決せず
  • 12:30 - 12:34
    双方が勝つ道を共に探すことで
    解決するのです
  • 12:35 - 12:37
    そのためには
  • 12:37 - 12:42
    「我々 対 彼ら」という
    考えを捨て
  • 12:43 - 12:46
    我々はみんな
    ひとつであり
  • 12:46 - 12:51
    みんなで一緒に 不当なシステムと
    対決しているのだと気付く必要があります
  • 12:51 - 12:55
    それは難しく 混乱し
    気まずいものですが
  • 12:56 - 12:58
    重要なことです
  • 12:58 - 13:05
    それが 鶏にも 養鶏農家にも
    巨大食肉会社にも
  • 13:05 - 13:08
    私たちみんなにふさわしい
  • 13:08 - 13:12
    思いやりあるフードシステムを
    作るための
  • 13:12 - 13:14
    唯一の方法かもしれません
  • 13:14 - 13:16
    ありがとうございました
  • 13:16 - 13:21
    (拍手)
Title:
敵を味方に変えるレッスン
Speaker:
リア・ガーセス
Description:

問題の反対側にいる敵とどう和平を結び、問題を共に解決しようとしますか? 動物の権利活動家のリア・ガーセスが、鶏の工場畜産をなくすための野心的な計画を生み出そうと、協力者として最も予期しない相手、養鶏農家と組んだときに得た3つの教訓を語ります。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
13:33

Japanese subtitles

Revisions