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(h) TROM 私の現実 - 2.26 死

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    [死]
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    日々の暮らしの中で
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    自分もいつか死ぬという事実が意識されることはない
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    本当は常に死と隣り合わせなのに
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    英国では、この番組中にも約60人が死んで行く
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    死を目にすることはほとんどない
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    せいぜい映画やテレビの中だけだ
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    死はそこでは暴力的で苦痛を伴うものとして描かれる
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    人は自分が死ぬという事実は考えたくはない
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    突然死が訪れることがあるという事実を
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    医療の進歩、栄養や飲料水の改善により
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    寿命は100年前の2倍になった
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    主な死因は老齢による疾病だ
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    癌や脳卒中
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    最大の死因である心臓疾患
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    西洋人の1/4が心臓疾患で亡くなっている
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    中でも心不全に襲われる人が最も多い
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    残念なことに、貨幣システムでは
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    全く根拠がなく、人々の啓発に役立たないような
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    様々な理論が拡散するのはやむを得ない
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    死は最も重要な問題であるのに
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    死についての答えが知りたいなら
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    死後に関する理論や思想に当たると良い
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    しかし悲しいことに、理論といえるほどのものはない
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    貨幣システムが死に関与するのは、人のためではない
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    考えているのは金儲けだけだ
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    非科学的・精神論的・非現実的な答えしか得られない
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    こうなるのは、人には合理性より
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    売れているとか身近であることを
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    重視して判断する傾向があるからだ
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    これから言うのが、死についての真実だ
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    現時点での科学的な真実だ
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    ローストチキン、フライドポテト、コカコーラ
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    マクドナルドも
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    食べたものの大部分は身体の一部となる
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    他に、呼吸で摂り入れる酸素がある
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    食べ物は消化され、吸収可能な形に変化する
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    食べ物は口で唾液と混じり
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    歯ですり潰され細かくされ、唾液によって溶け始める
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    舌で喉に押し出され
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    咽頭の食べ物が嚥下反応を刺激し
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    喉頭が喉頭蓋まで押し上がって気管を塞ぐ
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    食べ物は咽頭から食道へ入り
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    蠕動によって食道を下降する
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    食道括約筋による蠕動運動で食べ物は胃に至る
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    胃は食べ物をキームスと呼ばれる粥状の状態にする
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    キームスは幽門括約筋を通って十二指腸へ押し出される
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    消化吸収の大部分は小腸で行われる
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    粘膜分泌酵素が膵臓と肝臓の消化酵素を供給する
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    ここで消化の化学的過程は終わる
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    絨毛に覆われた腸壁で栄養分は吸収される
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    絨毛内には毛細血管と乳糜管が走り
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    消化された栄養分を摂取する
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    栄養分は体内の他の細胞へ搬送される
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    消化されない食べ物は回盲弁から大腸や直腸へ向かう
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    結腸では水分吸収やビタミン生成や
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    粘膜生成が行われ、排泄物を形成し排出する
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    大蠕動が排泄物を直腸へ押し出し、排便反射を刺激する
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    母親から酸素や養分を貰っている胎児も同じだ
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    胎児の発達
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    驚きはしないよ
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    全部終わったわけじゃない
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    何度も心を痛めて
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    跡を残すのはやめたんだ
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    自分をけなして
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    徹底的に問いかけた
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    躍起になって
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    自分に失望した
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    失わないようがんばった
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    100万通りの言い訳を考えた
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    全ての可能性を考えた
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    いつか全てが変わる時がくるんだ
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    君のおかげで二人はうまくいく
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    僕が貰うよりたくさんのものを君にあげよう
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    まだ見ぬ君へ
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    待たなきゃいけない
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    あきらめないよ
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    半分はタイミングで
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    あとの半分は運だ
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    君はどこにいようと
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    いつだって必要なときになれば
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    どこからともなく僕の人生に現れるんだ
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    僕らは素晴らしい二人になれるよ
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    君の愛が僕を変えていく
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    今ならどんな可能性でも見える
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    全てが変わっていくってなぜだか分かるんだ
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    君のおかげで二人はうまくいく
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    僕が貰うよりたくさんのものを君にあげよう
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    まだ見ぬ君へ
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    愛と戦争では
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    全てが公平だという
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    でも戦う必要なんてない
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    きっとうまくいく
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    そして僕らは結ばれる
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    僕らは素晴らしい二人になれるよ
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    君の愛は僕を変えていく
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    今ならどんな小さな可能性でも見えるよ
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    いつか全てが変わるんだ
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    きっとうまくいく
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    僕が貰うよりたくさんのものを君にあげよう
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    よりたくさんのものを
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    全てが変わるんだ
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    君のおかげで二人はうまくいく
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    僕が貰うよりたくさんのものを君にあげよう
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    まだ見ぬ君へ
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    まだ見ぬ君へ
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    約束するよ
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    僕が貰うよりたくさんのものを君にあげよう
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    愛してる、愛してる…
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    まだ見ぬ君へ
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    愛してる、愛してる…
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    まだ見ぬ君へ
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    さて仮に、この子をガラスケースに入れて
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    18歳まで食料と酸素の供給を続けたとしよう
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    その変化がどれほど驚くべきものかが分かるだろう
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    与えたほとんどのものが、身体の一部へと変化している
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    これが始めの、そしてこれが18年後の姿
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    これが成長過程で起きていることであり、人は変化そのものだ
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    では、死の過程で起こることは?
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    死は完全に残酷で否定的な出来事とされている
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    喪失と別れをもたらすものと
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    しかし、誕生の瞬間から生と死は深くつながっている
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    私たちの身体は細胞の塊が結合したものであり
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    実際に目に見えるのは、膨大な数の細胞の集合体だ
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    何百万もの細胞の
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    細胞それぞれに役割がある
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    心細胞、筋細胞、脳細胞
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    細胞は、驚くべき調和と組織的な働きにより
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    その臓器をきちんと機能させている
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    この自分の義務を果たそうとする精力的な活動の中で
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    産まれた瞬間から、細胞の死が必要となっている
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    胎児の細胞にも、自己崩壊の信号を受け取るものがある
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    手が形成されるとき、膨大な数の余分な細胞が
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    系統的に破壊される
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    指、そして指と指の間が
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    彫刻家が石を削り取るのと同じように形成される
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    人体の長い物語が始まったときから
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    死は、生命活動に欠かせないものとなっている
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    細胞の破壊は、顕微鏡を用いて観察できる
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    この過程は、人の一生を通して続く
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    細胞は、損傷し摩耗する
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    この番組の間も、あなたの細胞は何百万も死んでいる
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    この番組では、死によって健康や生存が維持されていることをお見せする
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    死を創造的なものと考えることができるようになるはずだ
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    しかし私たち自身の死は、人類という大きな身体の一部の死という役割を果たしているのか?
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    私たちは、宇宙のメカニズムの細胞のようなものなのか?
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    そして、死にはより大きな知られざる理由があるのか?
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    悲しいことだが、そんなものはない
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    死はセックスの代償だとも思える
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    セックスによって新しい命を生み出すことができるのだが
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    それは単なる自分のコピーではない
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    一人一人の赤ちゃんは全く違う。両親の遺伝子が混ざるからだ
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    遺伝子の組合せが進化を通して次世代へ受け継がれる
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    この「自然淘汰」と呼ばれる過程が
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    適応や進化を速めた
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    セックスによる遺伝子の交配がなかったら
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    こんな複雑な臓器の発達はなかっただろう
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    死につつある人体の変化は驚くべきものだ
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    これは、人体が死後24時間かけて冷たくなっていく様子だ
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    死は単なる一瞬の出来事ではなく
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    緩やかな過程なのだ
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    いつ全ての細胞が死ぬのかを特定するのは難しい
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    呼吸が止まるずっと前に脳死が起こり
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    人格が永遠に失われることがある
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    死の過程で、全ての人間らしさが失われる
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    人格、個性、感情、温もり
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    何が意識が継続するという感覚を与えているのか?
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    脳のどこかにその機能を見出せるのだろうか?
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    脳の働きを観察する実験だ
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    128個のセンサーが
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    脳細胞の発火によって発せられた
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    かすかな電気信号を捉える
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    これがくつろいでいるときのパターン
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    全く何もしていない時の活動状態だ
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    目を開けた瞬間、脳は一気に活動を始める
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    テレビを観るような簡単な課題であっても
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    脳内では何百万もの活動が起こっている
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    1000分の1秒のスケールで見ると
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    脳全体で膨大な活動が行われているのが分かる
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    まず情報は後頭部の脳へ行き
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    そこから活動部位は短期記憶領域を通過し
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    思考を行う脳の前部へ移動する
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    問題は
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    自分が自分だという感覚を与える脳の部位を特定できるかだ
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    自分がロバート・ウィンストンだという感覚を与える部位を
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    脳はかなり複雑にできているようです
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    実際それはオーケストラのようなもので
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    それぞれのパートが異なる仕事をしています
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    弦楽器、指揮者、金管奏者
  • 16:30 - 16:33
    しかし、その成果である音楽とは
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    それぞれのパートのことではなく
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    それらの仕事が生み出す秩序全体のことです
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    どの楽器をいつどうやって演奏させるかによって
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    たった一つのオーケストラが無限の音楽を奏でるように
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    脳細胞の結び付きの組み合わせによって
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    脳も無限の結果を生み出すことができる
  • 17:01 - 17:05
    しかし、脳は100人程度の演奏者とは比べものにならない
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    脳の表面だけでも、脳細胞結合の組合せを数えあげるのに
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    3200万年を要する計算になる
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    科学者はこの恐ろしい複雑さをもって
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    死ぬ時に失われる「自分」の感覚の源泉が
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    脳に存在すると信じている
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    心臓パイパス手術だ
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    血管の付け替えが可能なのは心臓が止まっているときだけだ
  • 17:41 - 17:46
    心筋の一部が動脈を塞ぎ、血流を妨害している
  • 17:51 - 17:54
    もしこの患者と同じ状態の人が手術室の外にいたら
  • 17:54 - 17:56
    その人は死んでいるはずです
  • 17:56 - 18:01
    脈も呼吸もなく、心臓は全く動いていませんから
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    しかしこの患者は間もなく目覚め
  • 18:04 - 18:08
    家族や友人と会話さえするだろう
  • 18:08 - 18:11
    今日では人の生死は
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    心臓が止まっているかどうかだけでは判断できない
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    代わりに、ある脳の重要な部位を観察する
  • 18:18 - 18:20
    脳幹だ
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    後頭部に埋め込まれた脳幹は
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    はるか古代の遺物であり
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    何百万年前の祖先の脳そのものだ
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    祖先である原始的な生物の脳であり
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    実際その部分は「爬虫類脳」とも呼ばれる
  • 18:40 - 18:45
    進化した部分は、より複雑な脳の層に相当する
  • 18:45 - 18:48
    しかし、そこは今も生命維持の根幹だ
  • 18:51 - 18:54
    最も基本的な生命機能を制御している
  • 18:54 - 18:56
    心臓の鼓動や呼吸を維持し
  • 18:56 - 19:00
    血圧や体温を一定に保っている
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    これが、脳幹が死んだときに
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    患者の臨床的な死を医師が確信できる理由だ
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    自分自身の死について考えるのは難しい
  • 19:28 - 19:33
    いつかこの世にいなくなる日が来るのを想像するのは
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    しかし、私たちが死んだ後も
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    身体には生き続ける道が残されている
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    宇宙が始まって以来存在している原子が
  • 19:48 - 19:51
    常に交換や再生を行っています
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    私たちの身体は
  • 19:54 - 19:58
    かつては植物、動物、樹木や
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    更には、他の人の一部だったものでできているのです
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    未来も同じことです
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    私たち一人一人の誕生から死に至るこの旅は
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    より大きな旅の途中の
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    ほんの小さな一歩に過ぎない
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    生から死へと無限に繰り返される循環のほんの一部なのです
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    虫が大きくなり、植物が成長し
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    あなたの身体は自然の一部へと変化する
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    これが真実だ
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    ライオンに食べられた人の身体はどうなるのか?
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    あなたの食べた鶏肉のニワトリと同じことだ
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    他の食べ物と何ら変わりない
  • 20:46 - 20:50
    ライオンの身体に取り込まれ、ライオンに貢献する
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    実際、人が死ぬのも、他の変化と何ら変わらない
  • 21:00 - 21:02
    死後どうなるかは
  • 21:02 - 21:05
    今見てきた通りであり、それ以上何かあると思うなら
  • 21:05 - 21:08
    それらの考えの起源について考えてみればよい
  • 21:08 - 21:09
    その動機は何か、そして
  • 21:09 - 21:13
    あなたの主張を支持する何らかの事実があるかどうかを
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    死後の世界についての物語を何億作っても仕方ない
  • 21:18 - 21:22
    分かっていることについては言及する責任がある
  • 21:23 - 21:25
    人間は宇宙の一部であり
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    私たち自身が、宇宙内部の変化そのものだ
  • 21:28 - 21:34
    私たちの身体は、ある実体を構成するための原子の集まりだ
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    原子は様々に組み合わされ、あらゆるものを形成している
  • 21:39 - 21:42
    恒星から牧草まで
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    宇宙から微生物まで
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    人体は一定の方法で構成された
  • 21:48 - 21:50
    原子の集合体であり
  • 21:50 - 21:55
    ヒトという種は、原子の組み合わせのパターンで定義される
  • 21:56 - 22:01
    私たち一人一人は脳内の電気信号によって表される
  • 22:01 - 22:06
    その信号は作り出され、修正され、除去される
  • 22:10 - 22:13
    決して死がどういうものかを知ることはできない
  • 22:14 - 22:16
    しかし、死のほんの近くまで行って
  • 22:16 - 22:20
    そこから戻り、死の瞬間を語る人達がいる
  • 22:20 - 22:24
    臨死体験は、死に瀕した脳に対して
  • 22:24 - 22:28
    同じような内部体験を与えるようだ
  • 22:31 - 22:34
    バイクで事故に遭いました
  • 22:35 - 22:39
    頭蓋骨を骨折し、頭に大量の骨の破片が入り込みました
  • 22:39 - 22:43
    「神様、もしそこにいるのなら」と…無神論者なもので…
  • 22:44 - 22:48
    「連れて行って。もう終わり。耐えられません」と
  • 22:48 - 22:52
    そのとき、あの辺りに自分の存在を感じました
  • 22:52 - 22:57
    ちょうど身体から離れて臨死体験に入るところでした
  • 23:02 - 23:06
    気が付くとトンネルの中にいました
  • 23:06 - 23:10
    見えないけど、確かに感じるとしか言いようがありません
  • 23:10 - 23:14
    遠くに小さな光が見え
  • 23:14 - 23:17
    光は少しずつ大きくなっていきました
  • 23:17 - 23:21
    ちょうどトンネルの出口の光と同じ感じです
  • 23:23 - 23:27
    かなりの速度でトンネルを通り過ぎると
  • 23:27 - 23:31
    過去、現在、未来、全ての存在を感じました
  • 23:31 - 23:36
    私達自身も含めて
  • 23:39 - 23:42
    臨死体験者のほとんど全員が
  • 23:42 - 23:45
    体外離脱やトンネルに光の感覚について
  • 23:45 - 23:47
    同様の内容を語っている
  • 23:51 - 23:55
    戦闘機パイロットにも同様な体験の報告がある
  • 23:55 - 23:58
    大きな加速度にさらされたとき
  • 23:58 - 24:00
    意識を失う
  • 24:00 - 24:03
    ビデオセット完了、飛行準備、確認
  • 24:03 - 24:05
    了解、飛行甲板、人員配置準備完了
  • 24:16 - 24:19
    これは、世界最大の遠心機だ
  • 24:19 - 24:24
    重力加速度のパイロットへの影響を調査するためのものだ
  • 24:26 - 24:33
    加速度によって脳から血液が流出し、パイロットは失神する
  • 24:34 - 24:36
    準備完了
  • 24:36 - 24:40
    3, 2, 1, 開始
  • 24:47 - 24:51
    このパイロットの失神状態の調査は
  • 24:51 - 24:56
    臨死状態の調査とほぼ同じものです
  • 25:14 - 25:16
    一定の重力加速度に達すると
  • 25:16 - 25:21
    意識喪失の元で被験者が体験した事が記録される
  • 25:21 - 25:24
    「何をやろうとしてもだめだ」
  • 25:24 - 25:26
    「OK、それで君は生きてるの?」
  • 25:27 - 25:29
    「もちろん。どうして?」
  • 25:29 - 25:32
    失神状態で経験される感覚にはほとんど常に
  • 25:32 - 25:35
    トンネル体験が含まれています
  • 25:35 - 25:41
    前方の中心にある明るい点へ向かう体験です
  • 25:46 - 25:51
    極限の重力加速度と臨死体験のいずれもが
  • 25:51 - 25:54
    トンネル体験を作り出す理由は?
  • 25:57 - 25:59
    低酸素脳状態においては
  • 25:59 - 26:02
    視覚を担うニューロンが無秩序に発火し
  • 26:02 - 26:06
    明るい光の感覚を生み出している
  • 26:07 - 26:11
    ニューロンの数が視野の中心に関わるものが多く
  • 26:11 - 26:13
    周辺部は少ないので
  • 26:13 - 26:17
    中心部が最も明るくなり、トンネル体験を生み出す
  • 26:18 - 26:22
    できるなら、そこから戻りたいとは決して思わなかった
  • 26:22 - 26:24
    完璧で素晴らしい世界だった
  • 26:25 - 26:27
    言い表すのは難しいけど、とにかく全てが
  • 26:27 - 26:33
    愛、幸福、至福、知識
  • 26:33 - 26:36
    3...2...1...加圧
  • 26:36 - 26:40
    さあリラックスして。完璧だったよ
  • 26:42 - 26:46
    意識喪失状態のエピソードの35%がここにあります
  • 26:51 - 26:58
    そのほとんど全てが快適で多幸感をもたらすものでした
  • 26:59 - 27:01
    ハッハッハッ…
  • 27:01 - 27:06
    多幸感の原因は、激しい苦痛を和らげるために
  • 27:06 - 27:10
    脳がアヘンと同様の物質を分泌しているからだ
  • 27:15 - 27:20
    これが記憶と感情を担う脳の部位に幻覚をもたらす
  • 27:22 - 27:24
    この調査によって
  • 27:24 - 27:29
    意識喪失や死に対する恐怖の緩和について
  • 27:29 - 27:33
    より深く理解することができたと確信しています
  • 27:48 - 27:52
    さて、次のような状況を想定してみよう
  • 27:52 - 27:55
    ほとんどの人が現実逃避していることが明らかになるはずだ
  • 27:55 - 28:00
    目覚めると、4階建て、10部屋の建物の中だった
  • 28:00 - 28:04
    建物にはモノも食料もたくさんある
  • 28:04 - 28:08
    外には出られそうもない
  • 28:08 - 28:11
    左手には一種の爆弾が仕掛けられている
  • 28:11 - 28:16
    よくできた爆弾で、自動的に毒物を血管に注射し
  • 28:16 - 28:18
    即座にあなたを殺すことができる
  • 28:18 - 28:23
    手ごと切り離そうとしても、血流が停止すると作動する
  • 28:23 - 28:26
    手から外そうとしても同じことだ
  • 28:26 - 28:31
    爆弾のタイマーには、残された時間が表示されている
  • 28:31 - 28:35
    「あと2日」— その後、爆弾は爆発する
  • 28:35 - 28:40
    建物には、あなたと同じ状況の人が100人いる
  • 28:40 - 28:43
    残り時間は互いに見ることはできず
  • 28:43 - 28:47
    自分の置かれた状況を深く考えている人もいない
  • 28:47 - 28:48
    開始
  • 28:49 - 28:51
    あなたならどうする?
  • 28:52 - 28:55
    建物を確認するために中を歩き回る?
  • 28:56 - 28:59
    他の人と知り合いになる?
  • 29:00 - 29:02
    窓の外を眺める?
  • 29:02 - 29:06
    景色を見て、脱出を試してみる?
  • 29:07 - 29:09
    音楽を作る?
  • 29:09 - 29:11
    それとも詩?
  • 29:11 - 29:16
    あなたの死後も他の人が住み続けるその建物について何を考える?
  • 29:17 - 29:20
    食料は全員分、十分にあるのか?
  • 29:20 - 29:22
    人が多くなり過ぎないか?
  • 29:23 - 29:26
    爆弾の爆発後の世界がどんなものかを考える?
  • 29:27 - 29:30
    あなたならどうする?
  • 29:30 - 29:33
    多くの人は、爆弾から信管を抜こうとするだろう
  • 29:34 - 29:37
    死なないために
  • 29:40 - 29:43
    実は、あなたの置かれた状況はこれと同じだ
  • 29:43 - 29:46
    ショッキングではないか?
  • 30:16 - 30:19
    起きると4階建ての建物の中
  • 30:19 - 30:21
    部屋は10個
  • 30:21 - 30:23
    モノは豊富にある
  • 30:23 - 30:25
    食料も豊富だ
  • 30:25 - 30:28
    外には出られそうもない
  • 30:29 - 30:31
    左手には爆弾が仕掛けられている
  • 30:31 - 30:37
    よくできた爆弾で、自動的に毒物を血管に注射し
  • 30:39 - 30:41
    即座にあなたを殺すことができる
  • 30:41 - 30:43
    手ごと切り離すと、血流の停止により爆弾は作動する
  • 30:44 - 30:47
    手から外そうとしても同じだ
  • 30:47 - 30:51
    爆弾のタイマーには、残された時間が表示されている
  • 30:51 - 30:56
    「あと2日」その後、爆弾は爆発する
  • 30:56 - 31:01
    建物には、あなたと全く同じ状況の人が100人いる
  • 31:01 - 31:04
    互いに残り時間を見ることはできず
  • 31:04 - 31:07
    自分の置かれた状況を深く考えている人もいない
  • 31:09 - 31:10
    開始
  • 31:10 - 31:13
    あなたはどうする?
  • 31:14 - 31:17
    建物を確認するために中を歩き回る?
  • 31:18 - 31:21
    人々と知り合いになる?
  • 31:22 - 31:24
    窓の外を眺める?
  • 31:24 - 31:27
    景色を見て、脱出を試みる?
  • 31:28 - 31:30
    音楽を作る?
  • 31:31 - 31:32
    それとも詩?
  • 31:33 - 31:38
    あなたの死後も他の人が住み続けるその建物について何を考える?
  • 31:39 - 31:41
    食料は十分か?
  • 31:41 - 31:44
    人が多くなり過ぎないか?
  • 31:44 - 31:48
    爆弾の爆発後の世界がどんなものかを考える?
  • 31:49 - 32:09
    あなたならどうする?
  • 32:14 - 32:17
    問題は、自覚がないことだ
  • 32:17 - 32:20
    それは、今と死ぬ時との間にある長い時間のせいだ
  • 32:21 - 32:26
    確かにショッキングで驚くべきことだが、これが現実だ
  • 32:47 - 32:51
    それは死を間近にしてはじめて分かる
  • 32:51 - 32:56
    例えば、残りの人生があと数ヶ月しかないときだ
  • 32:57 - 32:59
    そして、確実に言えるのは
  • 32:59 - 33:02
    死の本当の意味を知ったなら
  • 33:02 - 33:04
    人生をもっと楽しむことができる
  • 33:07 - 33:10
    メアリー・アランは王立オペラ劇場を運営に関わってきた
  • 33:10 - 33:15
    今、彼女は一日の殆どを、庭仕事や小説執筆に費やしている
  • 33:16 - 33:18
    あの頃は、5時に起きて
  • 33:18 - 33:21
    5時半に自宅を出発、6時には机に
  • 33:21 - 33:23
    誰かが来るまでの3時間を
  • 33:23 - 33:26
    読書と思索と執筆に使っていたわ
  • 33:27 - 33:30
    9時から夜7時は会議で
  • 33:30 - 33:35
    7時になると観劇や夕食会や催し物のために外出
  • 33:35 - 33:37
    花を見るヒマもなかったのでは?
  • 33:37 - 33:39
    時折、一瞬かな
  • 33:39 - 33:41
    本当にほんの一瞬だけ
  • 33:41 - 33:44
    一番大変だったのは?
  • 33:46 - 33:48
    巡業中の健康管理かな
  • 33:49 - 33:52
    たしか、1997年の2月
  • 33:52 - 33:55
    自分が空っぽだと気付き、何も続ける気がしなくなったの
  • 33:55 - 33:59
    私の生活は、芸術に関するカネ、駆け引き…たまに芸術
  • 33:59 - 34:01
    それ以外のことは頭になかったし
  • 34:01 - 34:02
    話すこともできなかったわ
  • 34:03 - 34:07
    1999年、メアリーは乳癌と診断された
  • 34:07 - 34:12
    彼女にとって最も重要な、輝かしいキャリアは終った
  • 34:12 - 34:15
    死を考えることであなたの価値観はどう変わった?
  • 34:15 - 34:20
    一夜にして全てに対する見方が変わったわ
  • 34:20 - 34:23
    私にとって最も重要なのは
  • 34:23 - 34:28
    ここ数年間ずっと芸術委員会や王立オペラ劇場にいて
  • 34:28 - 34:31
    友達は待ってくれるものだと思う一方で
  • 34:31 - 34:35
    私自身が友達と会おうとしないことは意に介さず
  • 34:35 - 34:39
    時間はほとんど無限にあることを前提に行動していたの
  • 34:39 - 34:44
    人に対して使う時間とエネルギーが格段に増えたわ
  • 34:44 - 34:49
    その相手とは、夫をはじめとする
  • 34:49 - 34:51
    家族や友人たちよ
  • 34:52 - 34:54
    重要でなくなったことは?
  • 34:54 - 34:56
    仕事
  • 34:57 - 35:00
    仕事よ、仕事。突然だけど
  • 35:00 - 35:03
    仕事が、ただ生活資金を得るための
  • 35:03 - 35:05
    手段以外の何でもなくなったの
  • 35:05 - 35:08
    じゃあ、以前は?
  • 35:08 - 35:14
    うーん、それまでは、良い気分や知的な刺激のような
  • 35:14 - 35:17
    様々な達成感や、他では得られない
  • 35:17 - 35:22
    あらゆるものを仕事で得ていたわ
  • 35:25 - 35:29
    末期癌の告知の1年後から、ハービーの撮影は始まった
  • 35:30 - 35:32
    医師から妻に告知がありました
  • 35:32 - 35:39
    病状が最悪で、腫瘍がサッカーボール2つ分になっていると
  • 35:39 - 35:41
    妻は「余命は?」と尋ねました
  • 35:41 - 35:50
    医者は「分らない。半年か、1年か、数ヶ月か…」と
  • 35:51 - 35:55
    数ヶ月前、ここに小さな庭をこしらえました
  • 35:55 - 35:58
    そしてスイスから親友を呼び寄せて
  • 35:58 - 36:02
    庭にバラを2,3本植えました
  • 36:02 - 36:07
    私が骨だけになって
  • 36:07 - 36:13
    妻のハンネローアがその後、このバラの周りに
  • 36:13 - 36:16
    この草を植えてくれる
  • 36:16 - 36:19
    それが私の最大の望みです
  • 36:19 - 36:22
    ここの土の中で永遠に眠っていたいのです
  • 36:23 - 36:27
    気分はどう、ハービー?
  • 36:30 - 36:33
    ハービーと妻のハンネローアは
  • 36:33 - 36:36
    最後の瞬間の撮影を許してくれた
  • 36:38 - 36:44
    私がこのフィルムを生きてる間に見ることはない
  • 36:44 - 36:51
    先の方から少し漏れが多くなっているわ…先週から…
  • 36:53 - 36:57
    病気はコントロールできる。私のように
  • 36:57 - 37:01
    それを皆にわかって欲しいですね
  • 37:01 - 37:05
    この映像を見た人皆に、人が死ぬ時の最も良いやり方は
  • 37:05 - 37:10
    こんな感じだとわかって貰えればと思います
  • 37:10 - 37:16
    ホスピスの職員と私はとても親密で、信頼しあっている
  • 37:16 - 37:21
    「死ぬときはどうなるのかな?」と職員に聞いたとき
  • 37:21 - 37:25
    彼女は「ハービー、心配しなくていいわよ」
  • 37:27 - 37:30
    「痛みもなく、穏やかに逝けるから」と
  • 37:32 - 37:36
    明日、今日、数ヶ月先、いつ死ぬかは気にならない
  • 37:36 - 37:40
    何が来るかわかっているからね
  • 37:48 - 37:50
    ハービー、どなたが来たと思う?
  • 37:50 - 37:52
    これは、マーフィー先生 — 今晩は
  • 37:52 - 37:54
    お顔が見られてうれしいです
  • 37:54 - 37:56
    喜んでくれるかと思ってはるばる来ましたよ
  • 37:56 - 37:59
    もちろん嬉しいです
  • 38:00 - 38:02
    何か訴えは?
  • 38:02 - 38:08
    腫瘍は肝臓や腎臓といった重要臓器を圧迫している
  • 38:10 - 38:16
    体内の微妙な化学的平衡を保つことで細胞の健康を維持している
  • 38:16 - 38:17
    脈を取りますよ
  • 38:18 - 38:21
    これらの臓器が破壊されると均衡は失われ
  • 38:21 - 38:24
    身体はそれ以上生命を維持できなくなる
  • 38:24 - 38:26
    誰か訪ねてくる人は?兄弟は?
  • 38:26 - 38:30
    今夜、弟が来ますよ — 今夜?
  • 38:30 - 38:33
    楽しみですね — 多分最後になるでしょう
  • 38:33 - 38:36
    いや、最後ってことはないですよ
  • 38:36 - 38:42
    最後が近いってわかるんですよ
  • 38:42 - 38:45
    そう思う? — 感じます
  • 38:45 - 38:48
    不安では? — いえ、全然
  • 38:48 - 38:49
    わかるんです
  • 38:49 - 38:52
    あなたは驚くべき人だ。違いますか?
  • 38:52 - 38:55
    日曜は誕生日なの — そう、日曜
  • 38:55 - 38:59
    知らなかった、何歳に?
  • 38:59 - 39:00
    63歳
  • 39:00 - 39:03
    63歳…悪くない歳ですね
  • 39:16 - 39:18
    私は心から嬉しいのですよ
  • 39:18 - 39:22
    また春がきて、季節が変わり
  • 39:22 - 39:26
    気候が少し良くなって、太陽が顔を出し
  • 39:27 - 39:31
    自然が好きだから、どこへでも行きます
  • 39:31 - 39:36
    花や木も一斉に成長をはじめます
  • 39:43 - 39:46
    でも明日のことはわからない
  • 39:46 - 39:49
    お腹の腫瘍は一種の時限爆弾です
  • 39:50 - 39:54
    本当の時限爆弾。明日どうなるかわからない
  • 39:54 - 39:58
    だから今は毎日を楽しむのです
  • 39:58 - 40:02
    こう思ってます。死んだら
  • 40:02 - 40:04
    それで終わり
  • 40:04 - 40:07
    来世も何もないと信じています
  • 40:07 - 40:10
    死ねば、永遠にいなくなるだけ
  • 40:10 - 40:15
    塵は残るけど、何も残らない
  • 40:15 - 40:18
    残るのは、一握りの灰だけ
  • 40:23 - 40:30
    月曜、ごく普通の一日が始まり、一緒に朝食をとりました
  • 40:30 - 40:34
    いつもと全く同じ
  • 40:36 - 40:39
    そして、いつも通りに再び寝室へ
  • 40:43 - 40:47
    火曜の朝、5時頃、ハービーが私を呼びました
  • 40:47 - 40:53
    とても呼吸が辛く、気分が悪いと伝え
  • 40:53 - 40:57
    「私は今日死ぬと思う」と私に言いました
  • 40:59 - 41:01
    [ 4月8日 火曜日 10:00 ]
  • 42:03 - 42:06
    彼に話しかけたいけど、聞こえると思いますか?
  • 42:06 - 42:10
    はい。最後まで残るのは聴覚です
  • 42:10 - 42:17
    皆が満足していることがわかるよう、何も言わないのも大事です
  • 42:17 - 42:21
    死の淵から帰ってきた人の話によると
  • 42:21 - 42:25
    周りのどんな小さな声も聞こえていたそうですから
  • 42:25 - 42:27
    最も大事なこと
  • 42:27 - 42:28
    それは決して…
  • 42:33 - 42:36
    [ 木曜日 7:00 ]
  • 42:38 - 42:41
    大丈夫?
  • 43:05 - 43:09
    ハービーが何か欲しがって手を伸ばしてる
  • 43:09 - 43:13
    最後の時間、友人達がハービーを訪れて来た
  • 43:13 - 43:17
    最後にと、ブランドンと幼い娘のオーラがやって来た
  • 43:19 - 43:21
    これをハービーに渡して
  • 43:21 - 43:23
    手を握ってあげて
  • 43:23 - 43:25
    きれいな、温かい手だよ
  • 43:26 - 43:28
    こんにちは、オーラ
  • 43:28 - 43:30
    僕もモルヒネを打ってたら同じように温かいんだろうね
  • 43:33 - 43:36
    ハービーはもうすぐこの世からいなくなるんだよ
  • 43:36 - 43:39
    ハービーは聞こえてるわ。話しても大丈夫
  • 43:39 - 43:42
    長い間この時に備えてきたんだね
  • 43:42 - 43:46
    "Wild Mountain Thyme"を歌ってあげて欲しいの
  • 43:46 - 43:48
    もちろんです
  • 43:48 - 43:49
    お願いね
  • 43:49 - 43:53
    コーラス部分は分かる?♪ Will you go lassie go
  • 43:53 - 43:55
    分かるわ — オッケー
  • 43:56 - 44:00
    Oh the summer time is comin' (夏の日が近づいてくる)
  • 44:01 - 44:06
    and the leaves are sweetly bloomin'(樹木は美しく花を付け)
  • 44:06 - 44:11
    And the wild mountain thyme(その時、野山のタイムは)
  • 44:12 - 44:17
    grows around the bloomin' heather(ヘザーを取り巻き咲き乱れる)
  • 44:18 - 44:24
    Will you go lassie go(娘さん、行きませんか)
  • 44:25 - 44:31
    and we'll all go together(みんな一緒に行こうよ)
  • 44:31 - 44:36
    To pluck wild mountain thyme(野生のタイムを摘みに)
  • 44:37 - 44:42
    all around the bloomin' heather(咲き乱れるヘザーを取り巻き)
  • 44:43 - 44:49
    Will you go lassie go(娘さん、行きませんか)
  • 44:55 - 44:59
    前回ここに来たときも同じだった。いなくなるとは思えない
  • 44:59 - 45:02
    お大事に、ハービー
  • 45:19 - 45:21
    [4月9日 水曜日]
  • 45:23 - 45:26
    もしもし、マーフィー先生、ホスピス看護師のペギーです
  • 45:26 - 45:28
    今到着したところで、ハービーのところにいます
  • 45:28 - 45:32
    非常に厳しい状態です…
  • 45:32 - 45:36
    朝にかけて、ハービーの呼吸に雑音が混ざるようになった
  • 45:37 - 45:40
    よくあることだ、問題ない
  • 45:40 - 45:43
    薬ですぐ良くなる
  • 45:43 - 45:46
    痛みはないと思うわ — そうね
  • 45:46 - 45:51
    この雑音と、震えね
  • 45:51 - 45:54
    今朝から?
  • 45:54 - 45:57
    ちょうど… — 私が来る直前?
  • 45:57 - 45:58
    その前から — そう
  • 45:58 - 46:00
    こんな風に震えていたの
  • 46:00 - 46:04
    異常ではない? — 起こりうることよ
  • 46:05 - 46:07
    [午後3:30]
  • 47:20 - 47:22
    安らかに死ぬのよ
  • 47:23 - 47:25
    安らかにね
  • 47:26 - 47:29
    そう、安らかに死ぬのよ
  • 47:37 - 47:40
    メアリー、今、ハービーは亡くなったわ…うん…
  • 47:43 - 47:45
    大丈夫?
  • 48:11 - 48:14
    死因は、手術不可能なほど巨大な癌と
  • 48:14 - 48:16
    後腹膜脂肪肉腫
  • 48:16 - 48:21
    心臓、肺、肝臓、腎臓の不全
  • 48:21 - 48:27
    直近1年半の癌の影響による臓器全般に渡る不全
  • 48:27 - 48:30
    こんなに生き長らえたのは珍しいです
  • 48:39 - 48:44
    その後、彼の身体を横たえたとき
  • 48:44 - 48:49
    とても穏やかに、本当に素敵な死に顔で
  • 48:50 - 48:55
    泣くことはできませんでした
  • 48:58 - 49:03
    ハービーが安らかでいるという安心感
  • 49:04 - 49:07
    彼の全てが終ったのです
  • 49:08 - 49:11
    私ではなく、彼の全てが
  • 49:13 - 49:16
    彼のおかげで幸せでした
  • 49:25 - 49:30
    Oh the summer time is comin' (夏の日が近づいてくる)
  • 49:30 - 49:35
    and the leaves are sweetly bloomin'(樹木は美しく花を付け)
  • 49:35 - 49:39
    And the wild mountain thyme(その時、野山のタイムは)
  • 49:39 - 49:44
    grows around the bloomin' heather(ヘザーを取り巻き咲き乱れる)
  • 49:44 - 49:49
    Will you go lassie go(娘さん、行きませんか)
  • 49:49 - 49:54
    and we'll all go together(みんな一緒に行こうよ)
  • 49:54 - 49:58
    To pluck wild mountain thyme(野生のタイムを摘みに)
  • 49:58 - 50:03
    all around the bloomin' heather(咲き乱れるヘザーを取り巻き)
  • 50:03 - 50:07
    Will you go lassie go(娘さん、行きませんか)
  • 50:07 - 50:10
    親愛なる友人達、ハービーの遺志です
  • 50:10 - 50:17
    バラの花のなかに灰を撒く前に、この遺言を読んで欲しいと
  • 50:17 - 50:25
    1981年、妻ハンネローアと私は、アイルランドで平和と調和の中に生きる決意をしました
  • 50:25 - 50:30
    彼女と重ねた充実した年月を振り返り
  • 50:30 - 50:35
    私と共に歩んでくれたことを深く感謝しています
  • 50:35 - 50:42
    友人達や近所の人々が皆、妬みや恨みを持たずに
  • 50:42 - 50:46
    共に平和に暮らすこと、私の望みはそれだけです
  • 50:47 - 50:51
    私のことが、良き思い出としてあなた達の記憶に残りますよう願います
  • 50:51 - 50:54
    Will you go lassie go(娘さん、行きませんか)
  • 50:54 - 50:55
    ハービーと一緒に歌いましょう
  • 50:55 - 50:59
    and we'll all go together(みんな一緒に行こうよ)
  • 50:59 - 51:04
    To pluck wild mountain thyme(野生のタイムを摘みに)
  • 51:04 - 51:08
    all around the bloomin' heather(咲き乱れるヘザーを取り巻き)
  • 51:08 - 51:13
    Will you go lassie go(娘さん、行きませんか)
  • 51:13 - 51:19
    Will you go lassie go(娘さん、行きませんか)
  • 51:26 - 51:29
    見るために眼がついているという
  • 51:29 - 51:32
    普通の人はそういうものだと思っている
  • 51:32 - 51:36
    眼があって、光があれば見えるって
  • 51:36 - 51:38
    しかし、見るための眼なんてない
  • 51:38 - 51:41
    聞くために耳がついているって
  • 51:41 - 51:43
    違う、耳があるから聞こえるのだ
  • 51:43 - 51:48
    動物の中には、音のする方に耳を動かせる奴がいる
  • 51:48 - 51:51
    人生に目的などない
  • 51:51 - 51:53
    それを受け入れるのは難しいがね
  • 51:53 - 51:55
    みんな自分勝手だ
  • 51:55 - 51:58
    「フレスコは世界をより良くするためにいる」だって
  • 51:58 - 52:01
    うれしいねえ
  • 52:01 - 52:03
    しかし、そんな言葉はクソクラエだ
  • 52:03 - 52:08
    自然に目的など無いことを知ってるからね
  • 52:10 - 52:13
    スペンサーという名の男、科学者だが
  • 52:13 - 52:16
    生命とは何かを定義しようとした
  • 52:16 - 52:19
    彼は生命をこう言った — 自動調整機構だと
  • 52:19 - 52:23
    暑ければ汗をかいて体温を下げる
  • 52:23 - 52:28
    寒ければ熱を発生させるために震える
  • 52:28 - 52:30
    摩擦で熱を作り出すのだ
  • 52:30 - 52:34
    生きているということは、そういうことだと
  • 52:34 - 52:38
    そこである男がこう言った「うちの冷蔵庫と全く同じだ
  • 52:38 - 52:41
    温度が上がれば自動で温度を下げるからね」
  • 52:41 - 52:49
    そう、今も生物と非生物の違いは明確に説明できないのだ
  • 53:12 - 53:17
    [ 別の解決方法 ]
  • 53:26 - 53:31
    死因の多くは老化に伴うものだ
  • 53:35 - 53:38
    老化は複雑だが自然な過程です
  • 53:38 - 53:44
    全ての分子、細胞、臓器、全身の機能に影響を及ぼします
  • 53:44 - 53:47
    残念ながら、年々老化することは避けられません
  • 53:47 - 53:51
    長年にわたり、科学の究極の目的は
  • 53:51 - 53:53
    老化の秘密を解明することでした
  • 53:54 - 53:58
    最近、細胞の老化という観点から
  • 53:58 - 54:03
    身体機能、複製、寿命への影響の科学的調査が行われており
  • 54:03 - 54:06
    老齢疾患の原因解明に寄与することが期待されています
  • 54:06 - 54:09
    究極的には治療法の発見が期待されます
  • 54:09 - 54:11
    心臓病や癌のような病気の
  • 54:14 - 54:17
    年齢の割に老けて見える人がいますね
  • 54:17 - 54:21
    遺伝的要素はもちろん、生活習慣、食事
  • 54:21 - 54:24
    全てが老化に影響を与えています
  • 54:24 - 54:27
    しかし、細胞での老化に関わる多数の要因の働きで
  • 54:27 - 54:29
    現在分かっているのは
  • 54:29 - 54:34
    老化を遅らせるのか早めるのか、それだけです
  • 54:35 - 54:37
    老化の第一の原因はDNAの損傷です
  • 54:37 - 54:40
    DNAは常に脅威にさらされています
  • 54:40 - 54:44
    電離放射線や環境毒素だけでなく
  • 54:44 - 54:48
    正常な代謝のによってさえ損傷しています
  • 54:48 - 54:52
    DNAの損傷は1日当たり100万回にも及び
  • 54:52 - 54:57
    その結果、DNA複製の際に情報転写エラーが発生し
  • 54:57 - 55:02
    突然変異が蓄積され、最終的に細胞の機能不全や
  • 55:02 - 55:04
    早期の細胞死を引き起こします
  • 55:04 - 55:09
    身体にはこのDNA損傷に対処する機構が備わっていますが
  • 55:09 - 55:13
    修復から漏れたDNAが老化に直接関係すると思われます
  • 55:14 - 55:17
    DNA損傷の保護と修復のバランスの境界点は
  • 55:17 - 55:22
    現在活発に研究がなされている分野です
  • 55:23 - 55:26
    病気同様に老化に影響を与えるものに
  • 55:26 - 55:28
    「調節遺伝子」の活性化があります
  • 55:28 - 55:31
    「転写因子」としても知られているものです
  • 55:31 - 55:34
    この因子は、体内の代謝の大部分に影響を及ぼしています
  • 55:34 - 55:38
    DNAの損傷と修復のバランスや
  • 55:38 - 55:41
    エネルギーの産生と減退の力学的バランス
  • 55:41 - 55:43
    それによって細胞の寿命を決定しています
  • 55:43 - 55:47
    時間とともに調節遺伝子の働きが衰えるため
  • 55:47 - 55:50
    細胞損傷が累積されていくと考えられています
  • 55:50 - 55:54
    損傷の累積が、老化を促進する細胞劣化を招き
  • 55:54 - 55:57
    多くの老人病の発生に寄与しています
  • 55:57 - 56:01
    癌や腎不全や認知症といった病気です
  • 56:02 - 56:06
    3番目は、ミトコンドリアと呼ばれる細胞内構造です
  • 56:06 - 56:10
    ミトコンドリアは、食べ物の炭水化物や脂肪や蛋白質を
  • 56:10 - 56:15
    利用可能なエネルギーに変換する工場です
  • 56:15 - 56:18
    しかし、この変換過程で遊離基が生成されています
  • 56:18 - 56:21
    遊離基はDNAやミトコンドリアの膜に
  • 56:21 - 56:23
    深刻な損傷を与えます
  • 56:23 - 56:25
    この酸化による損傷は時間とともに累積され
  • 56:25 - 56:29
    細胞内のミトコンドリアの数は減少し
  • 56:29 - 56:31
    細胞の機能障害を起こし
  • 56:31 - 56:34
    多くの老化に伴う病気を発生させています
  • 56:34 - 56:38
    例えば、心臓病、関節炎、アルツハイマー症
  • 56:39 - 56:43
    老化に伴い、蛋白質や他の分子構造は
  • 56:43 - 56:48
    糖化反応と呼ばれる過程で互いに損傷を与えていきます
  • 56:48 - 56:50
    グルコース分子は蛋白質と結合し
  • 56:50 - 56:53
    終末糖化産物と呼ばれる物質となります
  • 56:53 - 56:55
    AGE蛋白質とも呼ばれています
  • 56:55 - 56:58
    損傷された蛋白質は動脈内に蓄積され
  • 56:58 - 57:01
    ひび割れ状のものを形成します
  • 57:01 - 57:05
    これは、老化に伴う衰弱と深い関係があります
  • 57:06 - 57:09
    科学者はこの老化蛋白質の
  • 57:09 - 57:11
    重要な働きを理論化しつつあります
  • 57:11 - 57:13
    アテローム性動脈硬化や
  • 57:13 - 57:16
    ある種の糖尿病と慢性腎不全の合併症の発生の理論です
  • 57:29 - 57:32
    抗加齢薬はすでにあるのか?
  • 57:33 - 57:38
    本当に効果のある薬はまだ開発されていません
  • 57:38 - 57:40
    実際に存在するのは
  • 57:40 - 57:43
    特定の老化機序に対して異常に感受性が高い人に対し
  • 57:43 - 57:46
    一定の効果を発揮するものだけです
  • 57:46 - 57:50
    例えば2型糖尿病患者は30代で発病します
  • 57:50 - 57:53
    心臓病を抱えた患者の発病も30代です
  • 57:53 - 57:57
    遺伝子感受性が高ければ、非常に若くして発症しますが
  • 57:57 - 58:01
    それを防ぐ方法もあるし
  • 58:01 - 58:04
    危険を抱えたまま長く生きることもできます
  • 58:04 - 58:07
    平均寿命近くまで
  • 58:07 - 58:11
    しかし、元々平均寿命まで生きられる人は
  • 58:11 - 58:15
    トラックにでも轢かれない限り、80歳まで死ぬことはありません
  • 58:15 - 58:19
    つまり、寿命を伸ばす方法はないということです
  • 58:20 - 58:24
    遺伝子はどれだけ寿命に関与しているのか?
  • 58:25 - 58:28
    一般的になされている報道には
  • 58:28 - 58:32
    遺伝子の寿命に対する影響を誤解しているものが多々あります
  • 58:32 - 58:38
    その理由は、科学者が、人ごとの比較において
  • 58:38 - 58:41
    遺伝子の寿命に対する重要性を多く挙げているからです
  • 58:41 - 58:44
    他の説明は難しい
  • 58:44 - 58:46
    他人同士には
  • 58:46 - 58:51
    通常25%の遺伝子の相違があり
  • 58:51 - 58:55
    それを寿命の相違の理由としています
  • 58:56 - 59:00
    しかし現実には、寿命はほぼ完全に遺伝子で決定します
  • 59:00 - 59:04
    究極には、ネズミであれ何であれ
  • 59:04 - 59:07
    寿命の違いは遺伝子によって説明されます
  • 59:07 - 59:10
    彼らの寿命が短い理由は究極には
  • 59:10 - 59:13
    遺伝子によって速く老化する身体が作られるからであり
  • 59:13 - 59:17
    ゆえに老化のスピードが速くなります
  • 59:18 - 59:22
    なぜヒトの寿命がここ100年で延びたのか?
  • 59:23 - 59:26
    現在の工業社会では
  • 59:26 - 59:29
    平均寿命は過去の2倍になりました
  • 59:29 - 59:34
    100年、120年前からかなりの速さで伸びています
  • 59:34 - 59:36
    寿命は2段階に別れて伸びました
  • 59:36 - 59:41
    第1段階は100〜50年前
  • 59:41 - 59:45
    寿命の伸びの多くは
  • 59:45 - 59:49
    若年層の死亡の減少、特に
  • 59:49 - 59:51
    幼児死亡率の減少によります
  • 59:51 - 59:55
    もちろん、全ての人の寿命を考えるときは
  • 59:55 - 59:58
    0歳での死亡も含むことになりますから
  • 59:58 - 60:02
    100年、150年前には0歳での死亡が相当数ありましたが
  • 60:02 - 60:04
    現在の工業化社会では滅多になくなりましたから
  • 60:04 - 60:08
    次の段階は、過去50年間
  • 60:08 - 60:10
    若年死の問題は解決され
  • 60:10 - 60:14
    もはや平均余命には影響を及ぼさないはずなのに
  • 60:14 - 60:17
    平均余命は伸び続けました
  • 60:17 - 60:22
    老人の死亡のペースが緩やかになったからです
  • 60:22 - 60:29
    その理由は乳幼児死亡率の減少ほど明確ではありません
  • 60:29 - 60:32
    もちろん、乳幼児死亡率の低下は
  • 60:32 - 60:34
    衛生状態の向上や、抗生物質やワクチンの発見によります
  • 60:34 - 60:37
    最近の状況については
  • 60:37 - 60:40
    何が起こっているのかは厳密には分かりません
  • 60:40 - 60:43
    ただ、多様な要素が絡んでいると思われます
  • 60:43 - 60:46
    喫煙者の減少もその一つでしょう
  • 60:46 - 60:48
    胎児に関しても
  • 60:48 - 60:54
    胎児への母親の血液からの栄養供給とは別に
  • 60:54 - 60:59
    非常に興味深い別の要素が存在しており
  • 60:59 - 61:02
    平均余命に強い相関関係があると考えられていますが
  • 61:02 - 61:05
    いまだに未解決の問題です
  • 61:07 - 61:09
    なぜ老化を解明すべきなのか?
  • 61:09 - 61:14
    老化は、大きな苦痛を与えつつ人の一生を終らせています
  • 61:14 - 61:19
    その上老化は、世界中で1日になんと約10万人を殺しています
  • 61:19 - 61:24
    約15万人が毎日世界中で死んでいますが
  • 61:24 - 61:28
    そのうち2/3が老齢によるものです
  • 61:28 - 61:30
    もちろん若い人はそんなには死にません
  • 61:30 - 61:35
    工業化社会では90%以上の人が老齢で死に
  • 61:36 - 61:39
    その8割は苦痛を伴う病気が原因です
  • 61:39 - 61:46
    つまり、なぜ死を解明すべきかという問い自体が奇妙なのです
  • 61:46 - 61:52
    癌、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー症
  • 61:52 - 61:54
    糖尿病の解明は大事であり
  • 61:54 - 61:58
    それらが悪であることに議論の余地はありません
  • 61:58 - 62:03
    これらの問題を効果的に解決するため
  • 62:03 - 62:08
    優秀な人材を投入するのも医療上・人道上の義務だ
  • 62:08 - 62:10
    さて、死の原因はこれらの病気だけでなく
  • 62:10 - 62:14
    免疫低下、筋重量減少、体脂肪増加といった
  • 62:14 - 62:17
    病気とまでは言えないものも少し含まれます
  • 62:17 - 62:19
    といっても、同じことです
  • 62:19 - 62:24
    死は結局、不本意な老化の様々な面の総和に過ぎません
  • 62:25 - 62:28
    永遠の若さは50年後には実現しているだろうか?
  • 62:29 - 62:32
    老化をコントロールすることが
  • 62:32 - 62:34
    50年以内に完全に実現するかどうかは分かりません
  • 62:34 - 62:39
    しかし、特に今後10年間に必要となる動物実験に対して
  • 62:39 - 62:42
    充分な資金が与えられれば、大きな進展があると思います
  • 62:42 - 62:45
    生きることを、生きる年数という観点から見ると
  • 62:45 - 62:49
    唯一問題となるのは「永遠」という言葉ではないでしょうか
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    絶対にトラックに轢かれない訳などない
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    しかし間違いなく、いつかは
  • 62:56 - 63:01
    老化に伴う健康や気力や活力の衰えを
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    遠ざけることは可能になるでしょう
  • 63:04 - 63:07
    最終的には、老化で死ななくなるのか?
  • 63:08 - 63:13
    今でも小児麻痺や結核で死ぬ可能性があるのと同様に
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    治療法があっても老齢で死ななくなる訳ではありません
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    しかし、老齢で死ぬ必要性はなくなるでしょう
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    これらの治療法が、老齢による分子や細胞の
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    損傷の蓄積を遅らせるからです
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    適切な例えではないかも知れませんが
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    クラシックカーは完全には死ぬことはありません
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    車に死亡率という観念はありません
  • 63:36 - 63:40
    クラシックカーが死ぬのは、所有者が整備を放棄した時です
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    老化の研究に対し、政府はどのような役割を果たすべきか?
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    政府の果たすべき役割は、今のところほとんどありません
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    驚くべきことではないと思います
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    老化に対抗することが良いことかどうか
  • 63:58 - 64:01
    未だに議論があるからです
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    老化を恐ろしいことと考える人々がいる一方で
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    老化と共に生きるべきだと考える人々がいますから
  • 64:06 - 64:14
    何世紀もかけ、老化を不合理と考える段階に到達しました
  • 64:14 - 64:19
    今も、老化に対抗するために税金などを投資することが
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    本当に認められたかどうか定かではありません
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    それが政府が本気で投資しづらい理由です
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    抗加齢の研究を支援するのはどんな団体か?
  • 64:29 - 64:35
    今のところ、研究を支援する団体は十分にあるとは言えません
  • 64:35 - 64:40
    私が理事長と研究開発担当をしているメトセラ財団では
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    その主要な研究テーマは
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    実際に加齢に対抗する未来の治療法の開発です
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    もちろん世界中で多くの研究が進んでいますが
  • 64:52 - 64:55
    それらは間接的に抗加齢療法の開発について
  • 64:55 - 64:59
    将来的な発展を期待するものです
  • 64:59 - 65:04
    老化研究の一分野である老年学は本質的に
  • 65:04 - 65:10
    将来の治療法の開発を期待するものです
  • 65:10 - 65:14
    しかし、私たちとは違った、更に間接的なアプローチもあります
  • 65:14 - 65:19
    ほとんど研究せず、既存のものを売るだけの人達も
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    もちろん存在しており
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    彼らの関心は商品の有効性を高めることだけです
  • 65:26 - 65:31
    そこで抗加齢薬の類似品を見出す会社が現れ
  • 65:31 - 65:37
    その商品が老化防止に効果があると思う人も現れます
  • 65:41 - 65:44
    可能な限りの人間に対する危険を取り除き
  • 65:45 - 65:49
    老化の問題より先に、一人一人の健康増進に取り組むべきだ
  • 65:50 - 65:52
    貨幣システムの社会では
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    老化の治療法が人類全体の利益とはならない
  • 65:55 - 65:59
    価格がつき、社会的に優位な人しか利用できなくなるからだ
  • 66:01 - 66:04
    この社会は利益が最優先で
  • 66:04 - 66:06
    老化の治療法が商売の対象になるからだ
  • 66:06 - 66:11
    この分野の研究で得られる成果は
  • 66:11 - 66:14
    財政によって制限されてしまう
  • 66:14 - 66:16
    悲しいが、これが真実だ
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    人類が進化した後の社会では
  • 66:20 - 66:22
    教育に重きを置くはずだ
  • 66:22 - 66:26
    自分たちが皆平等だと認識している社会では
  • 66:26 - 66:30
    自分たちが地球資源に依存していることが分かっている
  • 66:31 - 66:34
    そういう社会では、皆が知性を育み
  • 66:34 - 66:37
    老化の問題の解決に取り組んだり
  • 66:37 - 66:42
    人間存在に関する最重要課題に対して知識を深めあうはずだ
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    驚くべきことに、「万物の霊長」であるはずの人間は
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    自らの最も重要な問題に本気で取り組んでいない
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    —「死」という問題に
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    人間は、生命の最も重要な課題である死について
  • 67:21 - 67:24
    それを直視しないだけでなく、大部分は
  • 67:24 - 67:28
    それが問題だと認識さえしていない
  • 67:28 - 67:31
    私達は果たして賢い種だといえるのか
  • 67:31 - 67:35
    未だ、こんなに無知であるのに
Title:
(h) TROM 私の現実 - 2.26 死
Description:

http://tromsite.com - Full documentary, very well organized (download, youtube stream, subtitles, credits, share, get involved, and many more)

Documentary´s description :
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TROM (私の現実)はかつてないスケールのドキュメンタリーであり、世界の全てを解明する唯一の試みでもあります。化学から貨幣システムまでを網羅し、全人類の生活を改善するための解決策を提示しています。

これこそ、新しく「現実的な」世界を眺める方法です。

「ビッグバンから現在へ、そして未来へ」
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Video Language:
English
Duration:
01:07:45

Japanese subtitles

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