1 00:00:03,736 --> 00:00:06,049 ある問題に取り掛かろう。 2 00:00:06,049 --> 00:00:07,761 [風が吹く音] 3 00:00:14,514 --> 00:00:16,356 アリスとボブは樹上に家を構えて住んでいる。 4 00:00:16,356 --> 00:00:18,135 2人の家は遠く離れているため、 5 00:00:18,135 --> 00:00:20,931 互いを目視することはできないが、 6 00:00:20,931 --> 00:00:23,273 意思疎通を行いたい。 7 00:00:23,273 --> 00:00:25,054 そこで2つの家の間に、 8 00:00:25,054 --> 00:00:26,737 針金を張ることにした。 9 00:00:39,945 --> 00:00:41,651 針金を強く張り、 10 00:00:41,651 --> 00:00:44,973 末端にブリキの缶を取り付けた。 11 00:00:52,215 --> 00:00:53,899 そして互いの声を弱い信号として、 12 00:00:53,899 --> 00:00:55,884 針金越しに送れるようにした。 13 00:00:58,915 --> 00:01:01,515 [ボブのくぐもった声] もしもし? 14 00:01:01,515 --> 00:01:05,573 [アリスのくぐもった声] もしもし、聞こえないよ。 15 00:01:05,581 --> 00:01:08,688 [ボブのくぐもった声] こっちも辛うじて聞き取れるくらいだ。 16 00:01:08,688 --> 00:01:14,591 [アリスのくぐもった声] 1. 2. 3. 4. 5. 17 00:01:14,591 --> 00:01:18,299 しかし、問題があった: 18 00:01:18,299 --> 00:01:20,682 「ノイズ」だ。 19 00:01:20,682 --> 00:01:22,255 風が強い日は決まって、 20 00:01:22,255 --> 00:01:24,170 ノイズにかき消され、 21 00:01:24,170 --> 00:01:26,927 信号を聞き取れない。 22 00:01:28,897 --> 00:01:30,259 そこで信号のエネルギーをー 23 00:01:30,259 --> 00:01:32,439 増加させ、ノイズ下でも信号をー 24 00:01:32,439 --> 00:01:34,931 識別できるようにする必要があった。 25 00:01:34,931 --> 00:01:37,126 ここでボブに案が閃いた。 26 00:01:40,446 --> 00:01:42,859 針金をはじく音なら、 27 00:01:42,859 --> 00:01:46,599 ノイズの中でも認識しやすい。 28 00:01:46,599 --> 00:01:48,979 そうすると新たな問題が生じた。 29 00:01:48,979 --> 00:01:53,165 どうすればメッセージを「はじき方」に変換できるだろう? 30 00:01:56,571 --> 00:01:57,979 さて彼らは、 31 00:01:57,979 --> 00:02:00,140 遠距離間でボードゲームをしたいため、 32 00:02:00,140 --> 00:02:03,270 最もありがちなメッセージの1つであるー 33 00:02:03,270 --> 00:02:06,075 サイコロ2つを振った数値の送信に取り組んだ。 34 00:02:06,075 --> 00:02:08,630 ここで送信するメッセージは、 35 00:02:08,630 --> 00:02:10,869 有限個の記号、 36 00:02:10,869 --> 00:02:13,840 この場合11通りの数値から、 37 00:02:13,840 --> 00:02:17,090 1つを選択したものとみなせる。 38 00:02:17,090 --> 00:02:19,997 これを「離散情報源」という。 39 00:02:23,962 --> 00:02:27,455 最初、彼らは最もシンプルな方法を採用した。 40 00:02:27,455 --> 00:02:30,610 はじく回数で結果を送信するのだ。 41 00:02:30,610 --> 00:02:33,803 つまり「3」を送信するためには3回はじく。 42 00:02:33,803 --> 00:02:35,626 「9」なら9回はじき、 43 00:02:35,626 --> 00:02:38,176 「12」なら12回はじく。 44 00:02:38,176 --> 00:02:40,510 しかし、これでは必要以上に時間がかかるとー 45 00:02:40,510 --> 00:02:43,262 すぐに気付いた。 46 00:02:44,416 --> 00:02:48,476 経験から、はじくスピードは最大でー 47 00:02:48,476 --> 00:02:50,919 毎秒2回だと分かった。 48 00:02:50,919 --> 00:02:53,769 これ以上だと信号が混ざってしまう。 49 00:02:53,769 --> 00:02:57,340 つまり、毎秒2回弾きが、 50 00:02:57,340 --> 00:03:00,736 この通信手段の「通信路容量」とみなせる。 51 00:03:00,736 --> 00:03:05,841 [弾く音] 52 00:03:05,841 --> 00:03:06,945 それから、最もー 53 00:03:06,945 --> 00:03:09,745 出やすい目は7だと分かった。 54 00:03:09,745 --> 00:03:14,355 さて、7を送信するには3.5秒かかる。 55 00:03:14,355 --> 00:03:20,173 [7回弾く音] 56 00:03:21,775 --> 00:03:24,486 ここでアリスは、符号化の方法を変えることで、 57 00:03:24,486 --> 00:03:27,429 ずっと良くできることに気付いた。 58 00:03:27,429 --> 00:03:29,894 彼女は、それぞれの目が出る確率に、 59 00:03:29,894 --> 00:03:31,704 簡単な規則がある事に目をつけた。 60 00:03:31,704 --> 00:03:33,853 2が出るのは1通り。 61 00:03:33,853 --> 00:03:35,879 3が出るのは2通り。 62 00:03:35,879 --> 00:03:38,020 4が出るのは3通り。 63 00:03:38,020 --> 00:03:40,330 5が出るのは4通り。 64 00:03:40,330 --> 00:03:42,618 6が出るのは5通り。 65 00:03:42,618 --> 00:03:44,724 7が出るのは6通りで、 66 00:03:44,724 --> 00:03:46,277 これが最も出やすい。 67 00:03:46,277 --> 00:03:48,597 8が出るのは5通り。 68 00:03:48,597 --> 00:03:50,319 9には4通り。 69 00:03:50,319 --> 00:03:53,728 以下続いて、12では1通りに戻る。 70 00:03:53,728 --> 00:03:54,886 このグラフは、 71 00:03:54,886 --> 00:03:57,927 結果ごとの場合の数を表していて、 72 00:03:57,927 --> 00:04:00,089 明確なパターンが見て取れる。 73 00:04:00,089 --> 00:04:02,141 それでは、グラフを 74 00:04:02,141 --> 00:04:05,359 「数値 対 はじく回数」 に変えてみよう。 75 00:04:05,359 --> 00:04:06,799 彼女は、最も出やすい数であるー 76 00:04:06,799 --> 00:04:08,110 7を、 77 00:04:08,110 --> 00:04:12,009 最も短い信号である1回はじきに割り当てた。 78 00:04:12,009 --> 00:04:14,230 [1回弾く音] 79 00:04:14,230 --> 00:04:17,125 それからその次に出やすい数を割り当てた。 80 00:04:17,125 --> 00:04:20,076 同確率の時は、ランダムに選んだ。 81 00:04:20,076 --> 00:04:22,959 今回は6を2回に、 82 00:04:22,959 --> 00:04:25,427 8を3回に、 83 00:04:25,427 --> 00:04:28,232 戻って5を4回に、 84 00:04:28,232 --> 00:04:30,344 それから9を5回、 85 00:04:30,344 --> 00:04:33,793 次に5を…と割り当て、最後の12には 86 00:04:33,793 --> 00:04:36,403 11回はじきを割り当てた。 87 00:04:36,403 --> 00:04:39,444 すると、最も出やすい7をー 88 00:04:39,444 --> 00:04:41,800 1秒とかからずに送ることができる。 89 00:04:41,800 --> 00:04:43,788 大きな改善だ。 90 00:04:43,788 --> 00:04:46,050 この簡単な改善で、 91 00:04:46,050 --> 00:04:51,964 同じ時間でも平均的にはより多くの情報を送れるようになった。 92 00:04:51,964 --> 00:04:54,440 実際、この簡単な例では、 93 00:04:54,440 --> 00:04:56,020 この符号化手法が最も良い。 94 00:04:56,020 --> 00:04:57,649 しかし、はじくだけでー 95 00:04:57,649 --> 00:05:00,030 サイコロ2つの結果を送る、 96 00:05:00,030 --> 00:05:04,671 もっと速い方法を思いついたなら話は別だ。 97 00:05:04,671 --> 00:05:08,715 さて、針金で何度か遊んだ後、 98 00:05:08,715 --> 00:05:11,094 ボブに新たなアイデアが閃いた。