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「ポスト・トゥルース(脱真実)」の世界で何を信じるべきか

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    ベル・ギブソンは若く 幸せでした
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    豪州のパースで暮らし
    スケボーが大好きでした
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    でも2009年に脳腫瘍で
    余命4ヶ月と判明します
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    2ヶ月に及ぶ化学治療も
    放射線治療も無駄でした
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    しかし彼女は諦めませんでした
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    彼女はずっと闘ってきました
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    6歳の頃から 自閉症の弟と
    多発性硬化症のお母さんの
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    食事を作る必要がありました
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    父親はいませんでした
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    ベルは 運動と瞑想をし
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    肉を絶ち 野菜と果物を食べて
    闘いました
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    そしてガンを完治させたのです
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    彼女の話は瞬く間に広まりました
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    ツイッターやブログで共有され
    何百万人もの人々に読まれました
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    それは従来の医療を避けて
    良い食事と運動をすることが
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    どれほど効果的かを示しました
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    2013年8月 ベルは
    The Whole Pantryという食事管理アプリを
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    発表しました
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    最初の1ヶ月で
    20万回ダウンロードされました
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    しかしベルの話は嘘だったのです
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    彼女はガンになど
    なっていませんでした
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    人々は話の真偽を
    確かめずに共有したのです
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    これは「確証バイアス」の典型的な例です
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    私達は 自分が信じたいことを
    裏付ける話は無条件に受け入れ
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    それに矛盾する話は拒絶します
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    確証バイアスは 私達が話を共有し
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    無視する時 どのくらい頻繁に
    表れるのでしょう?
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    政治、ビジネス、健康アドバイスの話では
    どうでしょうか
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    オックスフォード大学出版局の2016年の
    「今年の言葉」は “post-truth” でした
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    私達が今や「脱真実」の世界に
    住んでいると認めることで
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    事実を確認することの
    重要性が高まっています
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    しかし私のトークの要点は
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    事実確認だけでは不十分だということです
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    もしベルの話が本当だったとしても
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    それは関係ないことです
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    なぜなのか?
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    ここで統計学の最も基本的な
    技法の1つを見てみましょう
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    ベイズ推定です
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    簡単な例です
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    大事なのは「データが仮説を裏付けるか?」
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    「データは仮説の
    信憑性を高めるか?」です
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    ところが私達は「データが仮説と
    矛盾しないか?」と問いがちです
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    でも 仮説と矛盾しないからといって
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    データが裏付けに
    なるとは限りません
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    それはなぜか?
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    大事な3つ目の要素を忘れているからです
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    そのデータは対立する説とも
    矛盾していないかもしれないからです
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    でも確証バイアスのせいで
    私達は他の説を考慮に入れません
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    自分が支持する説を
    守りたいと思ってしまうからです
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    ここでベルの話を検討してみましょう
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    私達にとって重要なのは「ベルの話は
    食事でガンが治るという仮説を
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    裏付けるか」です
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    ところが私達は
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    「ベルの話が 食事でガンが治るという説と
    矛盾しないか」との疑問に着目しがちで
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    その答えは「矛盾しない」です
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    食事で本当にガンが治るのなら
    ベルの話に似た話を聞くでしょう
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    ただ 食事でガンが治らないとしても
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    そういう話を耳にするものです
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    患者が自然に治ったように
    見えるけれど
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    そもそもただの誤診だった など
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    「タバコを吸うのが健康に悪いとしても
  • 3:27 - 3:30
    100歳超えて生きた喫煙者もいる」
    というのと同じことです
  • 3:31 - 3:32
    (笑)
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    教育で将来の稼ぎが変わるといっても
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    大学を出なかった
    超お金持ちがいるという話も同じです
  • 3:39 - 3:44
    (笑)
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    ベルの話の最大の問題は
    それが嘘だったことではなく
  • 3:48 - 3:51
    たった1件の話にすぎない
    ということです
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    食事療法で病状が回復しなかった人も
    何千人といるでしょうが
  • 3:55 - 3:57
    その人達の話は耳にはしません
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    私達が例外のケースを共有するのは
    それが真新しいからで
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    「ニュース」になったからです
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    私達はごく普通の話は共有しないものです
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    どこででも起きる
    一般的なことですから
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    それが私達が無視する
    99%の真実なのです
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    社会と同じように
    1%の例外の話
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    外れ値だけを聞いて
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    99%の一般的な話を
    無視してはいけません
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    これが確証バイアスの
    2個目の例だからです
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    私達は事実を
    データとして受け入れます
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    最大の問題は世界が
    脱真実であることではなく
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    世界が「脱データ」になっている
    ということです
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    私達はたくさんのデータよりも
    1つの物語を好みます
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    物語は力強く鮮やかで 生き生きとしています
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    すべてのスピーチを
    物語で始めよと言われます
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    私もそうしました
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    でもたった1件の体験談は
    それを支持する大量のデータが無い限り
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    無意味で 紛らわしいだけです
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    しかも大量のデータがあるだけでも
  • 5:02 - 5:04
    十分とは言えないかもしれません
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    対立する仮説とも矛盾しない
    可能性があるからです
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    説明しますね
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    心理学者ピーター・ウェイソンの
    有名な研究では
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    3つの数字の組み合わせを見せられ
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    組み合わせの規則を
    考えるよう求められます
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    もし 2 4 6 を見せられたら
    規則は何でしょうか?
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    大半の人は
    連続する偶数だと思うでしょう
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    その仮説をどう証明しますか?
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    別の連続する偶数の組を
    挙げることもできるかもしれません
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    468や12 14 16 などです
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    ピーターなら その数字も
    当てはまると言うでしょう
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    でもこれらの組や
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    連続する偶数の組が何百組
    規則に当てはまると分かったとしても
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    何にもならないのです
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    だって次のような対立する仮説も
    成り立ってしまうのですから
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    規則はもしかしたら
    「任意の3つの偶数」や
  • 5:59 - 6:01
    「任意の増加する3つの数」
    かもしれません
  • 6:02 - 6:05
    そしてこれが確証バイアスの
    3つ目の例です
  • 6:05 - 6:09
    対立する仮説と矛盾が無くても
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    データを証拠として
    受け入れてしまうことです
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    データは事実の集合にすぎず
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    エビデンスとは「1つの仮説を肯定し
    他の仮説を否定するデータ」です
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    そのため自分の説を
    確かなものにするには
  • 6:25 - 6:29
    自説に反論してみるのが一番です
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    例えば「4 12 26」を検証して
  • 6:35 - 6:39
    それが正しいとすれば あなたが立てた
    「連続する3つの偶数」という説は
  • 6:39 - 6:41
    間違っていることがわかります
  • 6:41 - 6:43
    しかも この確認方法は役に立ちます
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    もし この数列が当てはまらないなら任意の
    3つの偶数と任意の増加する3つの数という説は
  • 6:48 - 6:50
    否定されるからです
  • 6:50 - 6:53
    他の説は否定しますが
    自説は否定されません
  • 6:54 - 6:59
    でも大半の人は怖くて
    4 12 26を試せません
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    自説が否定されるのが嫌だからです
  • 7:05 - 7:10
    確証バイアスは 他のデータを
    試そうとしないことだけでなく
  • 7:10 - 7:14
    データの解釈を
    間違うことでもあります
  • 7:14 - 7:18
    これは現実世界の
    問題についても言えます
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    以下はトーマス・エジソンの名言です
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    「私は失敗したのではない
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    うまくいかない1万通りの
    方法を発見したのだ」
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    間違っていると気づくことは
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    何が正しいのかを知る唯一の方法です
  • 7:35 - 7:38
    仮に あなたが大学の
    入学事務局長だとしましょう
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    あなたの仮説は 家庭が裕福で
    成績の良い学生だけが
  • 7:40 - 7:42
    成功するというものです
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    だからそのような学生のみを
    受け入れます
  • 7:45 - 7:46
    彼らは成功します
  • 7:46 - 7:49
    ただ これは対立する仮説とも
    矛盾しません
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    もしかしたら家庭の貧富に関係なく
    成績が良い学生は
  • 7:52 - 7:54
    成功するのかもしれません
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    でもあなたは自説を覆されたくなくて
    貧しい学生を入学させないので
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    自説を検証することはできません
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    ここで何が学べるでしょうか?
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    体験談は事実とは言えません
    真実では無いかもしれないからです
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    事実とはデータではありません
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    ある1件のデータだけでは
    その事象を代表しているとは言えません
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    そしてデータはエビデンスではありません
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    データが対立する仮説に矛盾しないなら
    自説を立証することにならないからです
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    ならばあなたは
    どうするべきなのでしょう
  • 8:27 - 8:30
    あなたが人生の岐路に立った時
  • 8:30 - 8:33
    例えば会社の経営方針を決める時や
  • 8:33 - 8:35
    子供の教育方針を決める時
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    健康的な生活の方針を決める時に
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    どうすれば確実に ただの事例でなく
    エビデンスに基づいて
  • 8:41 - 8:43
    判断できるでしょう?
  • 8:44 - 8:46
    3つのアドバイスをしましょう
  • 8:47 - 8:51
    1つ目は 積極的に
    自分と異なる視点を探してみることです
  • 8:51 - 8:54
    自分とは全く意見が違う人の
    話も聞いてください
  • 8:54 - 8:58
    彼らの意見のうち9割は
    間違いのように思えるかもしれない
  • 8:59 - 9:01
    でも1割でも正しいとすれば?
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    アリストテレスが言ったように
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    「必ずしも同意せずして
  • 9:06 - 9:09
    考えを検証してみることができれば
    それこそが
  • 9:09 - 9:11
    教育された精神の証である」
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    周りに自分の考えを試す人を置き
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    活発に異議が生まれる環境を
    作ってください
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    一部の銀行は
    集団思考の悪影響を受けました
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    上司の融資決済に
    一般行員が反論できない状況が
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    世界金融危機の一因になったのです
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    会議では自分のお気に入りの考えに対して
    反論して検証を促してくれる
  • 9:33 - 9:35
    そんな人を指名しておいてください
  • 9:36 - 9:38
    そして異なる意見は
    聞き流してはなりません
  • 9:38 - 9:40
    積極的に耳を傾けてください
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    心理学者スティーブン・R・コヴィーが
    言ったように
  • 9:44 - 9:47
    「理解しようとして聞きなさい
  • 9:47 - 9:49
    言い返すためにではなく」
  • 9:50 - 9:53
    対立する意見とは
    学ぶためのものであって
  • 9:53 - 9:55
    言い負かすためのものではないのです
  • 9:56 - 10:00
    これはベイズ推定の
    他の条件を思い出させます
  • 10:00 - 10:03
    データは私達に
    学ばせてくれるからです
  • 10:03 - 10:06
    しかし学ぶ上で肝心なのがその際の姿勢です
  • 10:06 - 10:12
    自分の説が確実に正しいと
    思いこんでいれば
  • 10:12 - 10:14
    どんなデータを見ようと
  • 10:14 - 10:16
    見方は変わらないでしょう
  • 10:17 - 10:21
    間違うことを
    恐れないようになって初めて
  • 10:21 - 10:22
    学ぶことができるのです
  • 10:24 - 10:26
    レフ・トルストイが言うように
  • 10:26 - 10:28
    「最も難しいことでも
  • 10:28 - 10:31
    相手が先入観を持っていなければ
  • 10:31 - 10:34
    理解の遅い人にも教えられる
  • 10:34 - 10:36
    しかし 最も簡単なことでも
  • 10:36 - 10:39
    相手が既にそれを知っていると
    信じ込んでいる場合は
  • 10:39 - 10:43
    どんなに賢い人にも伝わらない」
  • 10:44 - 10:48
    2つ目のアドバイスは
    「専門家の言うことを聞く」こと
  • 10:49 - 10:53
    私ができる一番つまらない助言でしょうか
  • 10:53 - 10:54
    (笑)
  • 10:54 - 10:59
    イギリスの政治家マイケル・ゴーヴは
    有名な言葉を残しています
  • 10:59 - 11:01
    「英国民は専門家にうんざりしている」
  • 11:02 - 11:05
    最近の調査では信じられる人として
    行きつけの美容師や
  • 11:05 - 11:08
    (笑)
  • 11:08 - 11:09
    道端にいる人を挙げた人の方が
  • 11:09 - 11:14
    経営者や医師や更には慈善事業経営者を
    挙げた人より多かった
  • 11:14 - 11:18
    私達は主婦が発明した
    歯のホワイトニング法や
  • 11:18 - 11:21
    女優の予防接種に対する見解を
    より重視します
  • 11:21 - 11:24
    私達は ありのままを語る人
    自分の勘を信じる人を好み
  • 11:24 - 11:26
    彼らを信頼できると考えます
  • 11:27 - 11:30
    しかし勘にも限界があります
  • 11:31 - 11:35
    直感に従えば 下痢の赤ん坊に
    水は絶対に飲ませないでしょう
  • 11:35 - 11:38
    すぐ下から出ていくだけですからね
  • 11:38 - 11:40
    しかし専門知識があればそうは思わない
  • 11:41 - 11:45
    道端の人に自分の手術は託さないものです
  • 11:45 - 11:48
    何年も手術してきて良い腕を持った
  • 11:48 - 11:50
    専門家にしてほしいはずです
  • 11:52 - 11:55
    それはいかなる大きな選択においても同じです
  • 11:55 - 12:00
    政治、経営、健康アドバイス
  • 12:00 - 12:03
    どれも手術と同じように専門知識が必要です
  • 12:04 - 12:08
    ならば なぜこれ程までに
    専門家への不信感があるのか?
  • 12:09 - 12:12
    理由の一つは
    彼らが遠い存在に思えるからです
  • 12:12 - 12:16
    億万長者の社長が道端の人の気持ちを
    代弁できるはずがないように
  • 12:17 - 12:21
    しかし本当の専門性は
    エビデンスによって築かれます
  • 12:21 - 12:24
    エビデンスは道端の人の主張を支え
  • 12:24 - 12:26
    エリートに対抗します
  • 12:26 - 12:29
    エビデンスには証明が必要だからです
  • 12:30 - 12:34
    エビデンスはエリートが自分の意見を
    証拠もなく押し付けるのを
  • 12:34 - 12:35
    防ぐのです
  • 12:37 - 12:39
    専門家が信用されない
    もう1つの理由は
  • 12:39 - 12:42
    言うことがそれぞれ違うからです
  • 12:42 - 12:47
    EU離脱はイギリスにとって
    不利益になると言った専門家と
  • 12:47 - 12:49
    有益だと言った専門家が同じ位います
  • 12:49 - 12:53
    半分の専門家らしき人々は
    間違っていることになります
  • 12:54 - 12:58
    専門家の論文の大半は
    誤っているのも事実です
  • 12:59 - 13:02
    確固たるエビデンスがないものも含まれます
  • 13:03 - 13:06
    だから専門家の言うことを
    鵜呑みにはできません
  • 13:07 - 13:13
    2016年11月に役員報酬の調査が
    新聞に載りました
  • 13:13 - 13:16
    しかしそれを報じた新聞は一社として
  • 13:16 - 13:18
    調査を見てもいなかったのです
  • 13:19 - 13:20
    調査はまだ公表されてもいませんでした
  • 13:21 - 13:23
    著者の言葉をただ信じたのです
  • 13:24 - 13:25
    ベルの場合と全く同じです
  • 13:26 - 13:29
    また 自分の意見に合う研究だけを
  • 13:29 - 13:31
    選べばいいという訳でもありません
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    それもまた確証バイアスです
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    あるいは「7つの研究がAを示し
  • 13:35 - 13:37
    3つの研究がBを示すならば
  • 13:37 - 13:39
    Aが必ず正しい」のでもありません
  • 13:39 - 13:42
    大切なのは専門知識の質であり
  • 13:42 - 13:45
    量ではないのです
  • 13:46 - 13:48
    なのでこれから言う2つのことをしてください
  • 13:48 - 13:53
    まず著者の信憑性をしっかりと吟味すること
  • 13:54 - 13:58
    自分を手術することになる外科医の資格を
    厳しく調べるのと同じです
  • 13:58 - 14:02
    本当にその人はその事柄の専門家なのか
  • 14:02 - 14:04
    あるいは利害は絡んでいるか?
  • 14:05 - 14:07
    次に一流の学術誌で発表された論文に
  • 14:07 - 14:11
    特に注意を向けることです
  • 14:12 - 14:16
    学者は浮世離れしていると
    よく言われます
  • 14:17 - 14:20
    しかしだからこそ何年も研究し続け
  • 14:20 - 14:22
    正しい結果を追求し
  • 14:22 - 14:24
    他の説を反駁し
  • 14:24 - 14:27
    相関と因果関係を見分けられるのです
  • 14:28 - 14:32
    学術誌では互いに査読し合い
  • 14:32 - 14:34
    論文が精査されます
  • 14:34 - 14:35
    (笑)
  • 14:35 - 14:37
    世界有数の知性によってですよ
  • 14:38 - 14:41
    良い学術誌ほど水準が高いのです
  • 14:41 - 14:46
    最も権威のある学術誌では
    論文の95%が不採用となります
  • 14:47 - 14:51
    ええ 学問的な証拠だけが全てでは
    ありません
  • 14:51 - 14:54
    実世界での経験も非常に大切です
  • 14:54 - 14:58
    査読も完璧ではありません
    間違いも起こることがあります
  • 14:59 - 15:01
    でも確認がないものよりは
  • 15:01 - 15:02
    よっぽどマシです
  • 15:03 - 15:06
    著者が何者か ましてやそれが
    検証されているのかを考えずに
  • 15:06 - 15:10
    結論が気に入ったというだけで
    研究に執着すると
  • 15:10 - 15:13
    その研究が誤った結論へと導いている
    可能性がとても高いのです
  • 15:15 - 15:17
    そして専門家だと自負する我々自身も
  • 15:17 - 15:21
    自分達の分析には限界があると認識すべきです
  • 15:21 - 15:26
    何かを確実に証明したり
    予知できることはめったにないけれど
  • 15:26 - 15:31
    なのに根拠もなく決めつけた
    発言をしたくなってしまうものです
  • 15:31 - 15:35
    記事にしたりツイートしたりするのは容易です
  • 15:36 - 15:40
    でもエビデンスさえ証拠となるとは限りません
  • 15:40 - 15:45
    すべての場合に
    当てはまらないかもしれないからです
  • 15:45 - 15:50
    赤ワインと長寿に
    相関関係があるというだけで
  • 15:50 - 15:55
    「赤ワインを飲むと長生きする」と
    結論づけないでください
  • 15:55 - 15:58
    それも良く運動する人々だけの研究で
  • 16:00 - 16:04
    最後の助言は「情報を共有する前に
    一旦立ち止まって考える」こと
  • 16:05 - 16:08
    ヒポクラテスの誓いにこうあります
    「まず何より害を与えるな」
  • 16:09 - 16:12
    私達が共有する情報は
    拡散する可能性があるので
  • 16:12 - 16:16
    どんな情報を広めるかに
    細心の注意を払って下さい
  • 16:17 - 16:20
    「いいね」やリツイートをもらうのが
    目的となってはいけません
  • 16:20 - 16:24
    そうなってしまうと 多数意見しか共有されず
    誰も異議を唱えなくなります
  • 16:24 - 16:27
    そうなってしまうと 証拠の有無に変わらず
  • 16:27 - 16:29
    聞こえのいいことしか共有しなくなります
  • 16:30 - 16:33
    私達は こう問うべきです
  • 16:34 - 16:36
    その話は本当だろうか?
  • 16:36 - 16:39
    もし本当なら 証拠となる
    大量のエビデンスはあるか?
  • 16:39 - 16:41
    誰が研究し その人は信頼できるか?
  • 16:41 - 16:44
    論文は発表されているか?
    その学術誌はどれほど厳格か?
  • 16:45 - 16:47
    そしてこの難問を自分に問うてください
  • 16:48 - 16:52
    研究論文が同じ著者によって書かれたもので
  • 16:53 - 16:55
    真逆の結果であったとしても
  • 16:56 - 16:59
    それを信じて共有したいと思いますか?
  • 17:01 - 17:04
    どんな問題であれ
    扱うのは難しいものです
  • 17:04 - 17:08
    それが国家の経済であろうと
  • 17:08 - 17:09
    個人の健康であろうと
  • 17:09 - 17:14
    ですから本当に正しいエビデンスに
    導かれていなくてはなりません
  • 17:14 - 17:17
    真実でなければ事実ではありません
  • 17:18 - 17:20
    典型的で代表する情報でなければ
    データとは呼べません
  • 17:21 - 17:24
    根拠がなければエビデンスではありません
  • 17:24 - 17:29
    そしてエビデンスによってのみ
    私達は脱真実の世界から
  • 17:30 - 17:31
    真実志向の世界へと移行できるのです
  • 17:32 - 17:34
    ご清聴ありがとうございました
  • 17:34 - 17:35
    (拍手)
Title:
「ポスト・トゥルース(脱真実)」の世界で何を信じるべきか
Speaker:
アレックス・エドマンズ
Description:

アレックス・エドマンズは間違っている可能性があることを受け入れて初めて学ぶことができると言います。奥深いトークで彼は、自分の意見を裏付ける情報のみを受け入れる傾向である「確証バイアス」が、ソーシャルメディア、政治、その他もろもろにおいてあなたを誤らせているかもしれないということを説明します。そして本当に信じられるエビデンスを見極める3つの手法を紹介します。(ヒント:人生であなたに対して検証を促してくれる人が必要です)

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
17:47

Japanese subtitles

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