犬儒派の哲学 / ウィリアム・D・デズモンド
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0:07 - 0:10紀元前4世紀に
シノペの町で -
0:10 - 0:15金貸しの息子が
贋金事件を起こします -
0:15 - 0:20事が片付いたとき
そのディオゲネスという名の若者は -
0:20 - 0:26市民権と財産をすべて
剥奪されました -
0:26 - 0:29少なくとも そう伝えられています
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0:29 - 0:33ディオゲネスの生涯は
謎に包まれていますが -
0:33 - 0:39この不名誉な一件から生まれたその思想は
今日まで生き続けています -
0:39 - 0:41追放されたディオゲネスは
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0:41 - 0:45「他人の意見や 社会的な成功の尺度を
拒絶することで -
0:45 - 0:48真に自由になれる」
と考えるようになりました -
0:48 - 0:52自然の中で
自給自足の生活をし -
0:52 - 0:55物質主義や 虚栄や 慣習には
囚われまいと -
0:55 - 1:00そして 何年も
ギリシアの都市を渡り歩き -
1:00 - 1:05マントと杖と袋だけを手に
年中外で暮らし -
1:05 - 1:10文明的なものや 風呂や
調理された食べ物なしで過ごしました -
1:10 - 1:13しかも その新たな生活を
ひそやかにするのではなく -
1:13 - 1:17通行人をからかったり
権力者を嘲笑したりし -
1:17 - 1:23公の場で食事や小便や
自慰までしました -
1:23 - 1:27人々は彼を
キオン (kyôn 吠える犬) と呼びました -
1:27 - 1:33侮辱を意図したものですが 彼の思想からすると
犬というのは好ましい存在でした -
1:33 - 1:38幸福な生き物で 富や評判のような概念に
囚われていません -
1:38 - 1:41ディオゲネスに従う者は
増えていき -
1:41 - 1:46キュニコス派 (kynikoi 犬儒) と呼ばれ
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1:46 - 1:50それが後に シニック (cynic) という
言葉になりました -
1:50 - 1:52初期のシニックは
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1:52 - 1:56自由な放浪生活に惹かれた
気ままな人たちでした -
1:56 - 2:02ディオゲネスが有名になると
その考えに挑もうとする人たちも現れます -
2:02 - 2:05アレクサンダー大王は 望みを何でも
かなえてやろうと彼に持ちかけましたが -
2:05 - 2:08ディオゲネスは
物を所望する代わりに -
2:08 - 2:13日陰になるから
そこをよけてくれと言いました -
2:13 - 2:15ディオゲネスの死後も
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2:15 - 2:19その思想の追随者たちは
紀元500年頃まで -
2:19 - 2:24900年の間
シニックと称していました -
2:24 - 2:26ストア派のような
ギリシアの哲学者の中には -
2:26 - 2:30みんなディオゲネスに
倣うべきだと考える人々もいて -
2:30 - 2:34彼の思想を もっと社会的に
受け入れやすいものへと -
2:34 - 2:36和らげようとしましたが
-
2:36 - 2:41むろんそれはディオゲネスの考えには
反することでした -
2:41 - 2:44シニックにもっと否定的な
見方をする人々もいました -
2:44 - 2:492世紀のローマ帝国領シリアにいた
風刺作家ルキアノスは -
2:49 - 2:57当時のシニックを 無節操で物質主義的な
自己宣伝の偽善者であり -
2:57 - 3:01ディオゲネスが行っていたことを
説教するだけで実践していないとしました -
3:01 - 3:06何世紀も後にルキアノスの文章を読んだ
ルネサンスや宗教改革時代の作家たちは -
3:06 - 3:10ライバルを侮辱してシニックと呼び
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3:10 - 3:15それは「中身のあることを言わずに
人を批判する人」を意味していました -
3:15 - 3:21これが皮肉屋を意味するシニックの
現代的用法の元になっています -
3:21 - 3:27「高尚な動機があるフリをしていても
人間は所詮 利己的なものだと思っている人」 -
3:27 - 3:29ということです
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3:29 - 3:32それでもシニックの思想に
感服する人もいました -
3:32 - 3:36特に社会の現状に
疑問を持つ人たちです -
3:36 - 3:4018世紀フランスの思想家
ジャン=ジャック・ルソーは -
3:40 - 3:43「新たなディオゲネス」と呼ばれましたが
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3:43 - 3:47それは芸術や科学や技術は
人間を堕落させるとしていたためです -
3:47 - 3:52フリードリヒ・ニーチェは1882年に
ディオゲネスの逸話を書いています -
3:52 - 3:55正直な人間が誰かいないか
-
3:55 - 3:59ランタンを手にアテネの市場を
無駄に探し回るという話で -
3:59 - 4:02ニーチェ版では
狂人と呼ばれる彼が -
4:02 - 4:06広場に走り出て
「神は死んだ」と宣言します -
4:06 - 4:11これはニーチェ流の
「価値の再検討」の訴えであり -
4:11 - 4:15普遍的・霊的なものを
物質的なものの上に置く -
4:15 - 4:19支配的だったキリスト教的・プラトン主義的な
考え方を否定するものでした -
4:19 - 4:23頑固なまでに「いま・ここ」にこだわった
ディオゲネスに -
4:23 - 4:25ニーチェは敬服していたのです
-
4:25 - 4:28もっと最近では
1960年代のヒッピーが -
4:28 - 4:32カウンターカルチャー的反抗という点で
ディオゲネスに比せられています -
4:32 - 4:37ディオゲネスの考えは繰り返し
取り入れられ再考されてきましたが -
4:37 - 4:41元々のシニックは そのような新たな解釈を
良しとはしないかもしれません -
4:41 - 4:45慣習を否定し 自然とともに生きるという
自分たちの価値観が -
4:45 - 4:49唯一正しいものだと
考えていたからです -
4:49 - 4:53シニックやそこから派生した考えに
同意するかはともかくとして -
4:53 - 4:58それらに共通しているのは
現状に疑問を持つ姿勢であり -
4:58 - 5:00その点は今なお
倣う価値があるでしょう -
5:00 - 5:04慣習的なことや大多数の考え方に
盲目的に従うのでなく -
5:04 - 5:09本当に価値あることは何か
真剣に考えるということです
- Title:
- 犬儒派の哲学 / ウィリアム・D・デズモンド
- Speaker:
- ウィリアム・D・デズモンド
- Description:
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紀元前4世紀にシノペの若者ディオゲネスは贋金つくりで捕まり、市民権と財産を剥奪され、追放されました。そして物質主義や虚栄や慣習に囚われずに自然の中で自給自足的に暮らすことで真に自由になれると彼は考えるようになりました。ディオゲネスがいかに犬儒派哲学を起こすことになったのか、ウィリアム・D・デズモンドが語ります。
講師 ウィリアム・D・デズモンド
監督 アヴィ・オファーこのビデオの教材 https://ed.ted.com/lessons/the-philosophy-of-cynicism-william-d-desmond
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TED-Ed
- Duration:
- 05:09
Yasushi Aoki approved Japanese subtitles for The philosophy of cynicism | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for The philosophy of cynicism | ||
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Tomoyuki Suzuki accepted Japanese subtitles for The philosophy of cynicism | ||
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