0:00:00.817,0:00:04.087 とても面白い経験をしました 0:00:04.111,0:00:05.261 5年前の事です 0:00:06.278,0:00:08.887 夫と 2日に一度の 0:00:08.887,0:00:10.720 食料品の買い出しに行きました 0:00:10.744,0:00:14.037 その日は 高級感がある[br]つまり ― 0:00:14.037,0:00:17.839 フェアトレードでオーガニックの 0:00:17.863,0:00:20.395 ケニア産の[br]シングルオリジンコーヒーを見つけ 0:00:20.419,0:00:22.152 奮発して買ってみました 0:00:23.252,0:00:26.554 問題は その時すでに始まっていたのです 0:00:26.578,0:00:30.418 夫は そのコーヒーが[br]いつもの低価格品に比べ 0:00:30.442,0:00:32.831 格上であると感じたのです 0:00:32.855,0:00:37.204 私はというと[br]高級なコーヒーを飲む生活のせいで 0:00:37.228,0:00:39.656 家計が破綻することを[br]想像していました 0:00:39.680,0:00:40.681 (笑) 0:00:40.705,0:00:41.855 さらに悪いことに 0:00:43.038,0:00:46.140 そんなものにお金をかけるのは[br]ムダだと心配しました 0:00:46.164,0:00:49.680 どのみち違いなど[br]判るまいと思いました 0:00:51.355,0:00:55.188 残念なことに[br]これは 特に夫に言える事ですが 0:00:55.212,0:00:58.332 彼は 妻が神経科学者で[br]しかも 専門が食品科学である事を 0:00:58.356,0:01:00.141 一時的に 忘れていました 0:01:00.165,0:01:01.339 (笑) 0:01:01.363,0:01:02.536 おかしいですよね? 0:01:02.560,0:01:04.187 事をややこしくせずに 0:01:04.211,0:01:06.428 夫をテストしてみました 0:01:07.126,0:01:09.087 とある実験を企て 0:01:09.111,0:01:11.996 夫に目隠しをつけて 0:01:12.475,0:01:13.626 (笑) 0:01:13.650,0:01:17.101 コーヒーを2種類淹れ 0:01:17.125,0:01:19.705 「1種類ずつ試してもらうわね」と 0:01:19.729,0:01:21.069 夫に言いました 0:01:22.387,0:01:24.236 夫は はっきり確信を持って 0:01:24.260,0:01:26.678 最初のコーヒーの方が 0:01:26.702,0:01:27.998 より鋭い味で 苦いと言いました 0:01:28.022,0:01:30.752 コクが強く[br]体を揺さぶり起こす為にできたような 0:01:30.776,0:01:34.747 朝にもってこいのコーヒーです 0:01:34.771,0:01:36.874 (笑) 0:01:36.898,0:01:39.762 反対に 次に出したコーヒーは 0:01:39.786,0:01:43.577 フルーティで軽やかだと言いました 0:01:43.601,0:01:47.668 夕方に飲んで[br]リラックスするためのコーヒーです 0:01:49.466,0:01:52.299 夫は知る由もなかったのですが 0:01:52.323,0:01:55.648 実はテストでは[br]2種類のコーヒーではなく 0:01:55.670,0:01:58.810 全く同じコーヒーを[br]2回出しただけだったのです 0:01:58.834,0:02:01.001 (笑) 0:02:01.358,0:02:03.992 もちろん 同じコーヒーが 0:02:04.016,0:02:06.960 突如 粗悪品から極上品に[br]変わった訳ではありません 0:02:07.270,0:02:11.137 味の違いは[br]夫の気持ちの産物に過ぎません 0:02:11.521,0:02:14.528 高級コーヒーをひいきする[br]というバイアスが 0:02:14.552,0:02:17.941 実際には存在しない[br]味の違いを感じさせたのです 0:02:19.640,0:02:24.341 さて 家計を救うことができ 0:02:24.365,0:02:26.048 殊に 私にとっては 0:02:26.072,0:02:27.247 笑い話で終わりましたが 0:02:27.271,0:02:28.278 (笑) 0:02:28.302,0:02:31.268 次第に疑問に思い始めたことは 0:02:31.292,0:02:34.894 何故 1杯のコーヒーに対し[br]回答がそこまで二分したのかです 0:02:35.331,0:02:39.022 夫は 後々まで公に笑い者にされる[br]リスクを負ってまで 0:02:39.046,0:02:43.493 何故あの様な [br]大胆な発言をしたのでしょうか 0:02:43.517,0:02:45.350 (笑) 0:02:46.831,0:02:51.172 驚くような答えでしたが[br]皆さんも同じように答えたと思うのです 0:02:51.196,0:02:54.442 私たちが受けとる回答の[br]裏に潜む真実を査定する事 ― 0:02:54.466,0:02:57.776 それは 私が関わる科学分野において 0:02:57.800,0:02:58.966 最も大きな課題なのです 0:02:58.990,0:03:01.801 人々が 美味しいと実際に言っている[br]意見を頼れないのなら 0:03:01.825,0:03:05.419 どうやって食品の味を[br]改良すればいいのでしょう 0:03:06.728,0:03:10.478 それを理解するべく まずは[br]人が食物を感知する仕組みに注目しましょう 0:03:10.923,0:03:13.241 私がコーヒーを飲むと 0:03:13.265,0:03:17.407 体内の受容体がコーヒーを感知し 0:03:17.431,0:03:21.878 その情報は[br]脳内の活性細胞に変換されます 0:03:22.570,0:03:25.300 光の波長は[br]色に変換されます 0:03:25.324,0:03:29.459 液体中の分子は[br]口内の受容体により感知され 0:03:29.483,0:03:32.804 5つの基本味の1つに分類されます 0:03:33.266,0:03:37.496 塩味 酸味 苦味 甘味 旨味です 0:03:38.433,0:03:41.734 空気中の分子は[br]鼻腔の受容体により感知され 0:03:41.758,0:03:43.292 においに変換されます 0:03:43.704,0:03:48.077 軽く触れる刺激 温度 音などにも[br]同じ事が言えます 0:03:48.394,0:03:52.252 これらの情報は全て[br]受容体により感知され 0:03:52.276,0:03:55.545 脳内の細胞間で[br]信号に変換されるのです 0:03:55.569,0:04:00.456 それらの情報が[br]絡み合い 統合され 0:04:00.480,0:04:03.331 私の脳は 0:04:03.355,0:04:09.112 今コーヒーを飲んだな[br]好きな味だな と認識します 0:04:09.763,0:04:11.739 こうした 脳細胞の大奮闘を経て 0:04:11.763,0:04:14.747 ようやく 私たちは 0:04:14.771,0:04:18.036 コーヒーの味を[br]意識して経験するのです 0:04:18.988,0:04:22.922 これは 現在みんなが[br]誤認している点です 0:04:23.473,0:04:27.004 意識として経験することは 0:04:27.028,0:04:30.218 現実の絶対的真実の反映に[br]違いないと考えがちです 0:04:30.588,0:04:32.302 ですが 今お話ししたように 0:04:32.326,0:04:35.842 物理的な事物と それに対する[br]意識としての経験の間に関する 0:04:35.866,0:04:40.371 神経の解釈には[br]いくつもの段階があります 0:04:40.395,0:04:42.514 つまり 場合によっては 0:04:42.538,0:04:46.341 この 意識としての経験は[br]現実を全く反映しません 0:04:46.720,0:04:48.920 私の夫に起こったことがその例です 0:04:49.808,0:04:53.950 それは 身体に対する刺激の中には[br]弱過ぎる為に 0:04:53.974,0:04:58.347 障壁を破って[br]意識に入り込めないものもあり 0:04:58.371,0:05:00.253 一方で 入り込めた情報は 0:05:00.277,0:05:04.623 到達前に 隠れたバイアスにより[br]歪められてしまう恐れがあるからです 0:05:04.824,0:05:08.995 そして 人々は[br]沢山のバイアスを持っているのです 0:05:11.649,0:05:14.181 今ここに座っておられる皆さんは[br]自分だったら恐らく 0:05:15.760,0:05:18.776 私の夫よりも 上手くやれただろうとか 0:05:18.800,0:05:22.347 2種類のコーヒーを正しく判別できただろう[br]とか思っているでしょう 0:05:22.371,0:05:25.180 だとすれば[br]実は あるバイアスに囚われているのです 0:05:26.116,0:05:28.585 これは 「バイアスの盲点」[br]と言われるもので 0:05:28.609,0:05:33.415 自分は 他人ほどには[br]バイアスを持っていないと思い込む傾向です 0:05:33.717,0:05:34.907 (笑) 0:05:34.931,0:05:36.424 バイアスの対象のバイアスにさえ 0:05:36.448,0:05:38.415 バイアスを持つ事があります 0:05:38.439,0:05:39.440 (笑) 0:05:39.464,0:05:41.588 厄介なことに こんなのもあります 0:05:42.270,0:05:46.896 食品業界で知られているのは[br]「礼儀バイアス」です 0:05:47.619,0:05:50.032 社会的に受け入れられそうな意見を[br]述べがちだという 0:05:50.056,0:05:53.711 バイアスのことですが 0:05:53.735,0:05:56.400 それは私たち自身の[br]意見ではありませんよね 0:05:57.575,0:06:00.130 この事は 食品研究者としての課題です 0:06:00.154,0:06:05.252 私が新しく作った低糖質ミルクシェイクを[br]みんなが美味しいと言ったとしても 0:06:05.276,0:06:06.458 果して本当でしょうか 0:06:06.482,0:06:07.537 (笑) 0:06:07.561,0:06:09.910 ひょっとすると[br]私が聞いているのを知っていて 0:06:09.934,0:06:12.915 喜ばせるために[br]そう言っているのかも知れませんよね 0:06:13.544,0:06:16.768 あるいは彼らはただ 健康志向だと[br]私に思われたかったのかも知れません 0:06:18.115,0:06:19.718 私には知る由もありません 0:06:19.742,0:06:24.355 でも もっとタチが悪いことに[br]答えた人たちも 分かっていないのです 0:06:25.348,0:06:26.705 熟練した食品査定専門家は 0:06:26.729,0:06:29.300 嗅覚と味覚を分別して捉えることを 0:06:29.324,0:06:33.451 徹底的に学習した専門職ですが[br]彼らでさえも 0:06:33.475,0:06:36.582 バニラが含まれていると[br]食品をより甘く感じてしまうという 0:06:36.606,0:06:38.139 バイアスにかかることもあります 0:06:38.455,0:06:39.605 何故でしょう 0:06:39.978,0:06:43.128 もちろん[br]バニラが本当に甘いからではありません 0:06:44.510,0:06:48.466 それは 専門家と言えども[br]結局のところ人であり 0:06:48.490,0:06:51.720 私たち同様[br]沢山のデザートを食べた事があり 0:06:51.744,0:06:55.239 甘味とバニラの香りを[br]結びつけて覚えているからです 0:06:56.056,0:06:59.373 ですから 味覚と嗅覚[br]その他の知覚情報は 0:06:59.397,0:07:02.484 私たちの意識の中で[br]密接に絡み合っているのです 0:07:02.508,0:07:05.434 考えようによっては[br]この事を利用できます 0:07:05.458,0:07:07.927 これらの意識経験を利用して 0:07:07.951,0:07:12.220 データをうまく活用し[br]砂糖の代わりに バニラを足して 0:07:12.244,0:07:13.844 甘さを増す事ができます 0:07:14.823,0:07:17.149 しかしその一方で 0:07:17.173,0:07:18.760 これらの意識上の評価では 0:07:18.784,0:07:19.982 人々が本当に 0:07:20.006,0:07:22.871 低糖質のミルクシェイクを好むかは[br]私にはやはり分かりません 0:07:24.006,0:07:25.791 では 如何に問題に対処しましょう 0:07:25.815,0:07:28.077 意識上の食品評価の裏に潜む真実を 0:07:28.101,0:07:30.736 どのように査定すれば良いでしょうか 0:07:30.760,0:07:34.935 その鍵は 意識の障壁を取り除き 0:07:34.959,0:07:38.231 代わりに脳内の情報に直接[br]焦点を当てることにあります 0:07:39.015,0:07:40.316 そうして判ったのは 0:07:40.340,0:07:43.407 私たちの脳には[br]興味深い秘密が沢山あるということです 0:07:43.872,0:07:48.940 私たちの脳は 常時 [br]全身から感覚情報を受信しており 0:07:48.964,0:07:51.321 その殆どを[br]私たちは自覚さえしていません 0:07:51.345,0:07:54.265 例えば 消化管から常時受容する ― 0:07:54.289,0:07:56.158 味覚情報などがそれです 0:07:56.647,0:08:00.718 脳もまた[br]全ての感覚情報に反応します 0:08:01.274,0:08:04.710 脳は 私が自覚しないところで[br]私の行動を変え 0:08:04.734,0:08:07.990 好ましい事を経験すると 0:08:08.014,0:08:09.974 瞳孔を散大する事ができます 0:08:10.355,0:08:13.410 また その感情が強い時には 0:08:13.434,0:08:15.301 発汗量をほんの少し増加させます 0:08:16.300,0:08:17.990 また 脳スキャンにより 0:08:18.014,0:08:21.280 今では[br]この脳内情報の評価が可能です 0:08:22.021,0:08:24.469 具体的には 私の活用してきた[br]脳スキャン技術は 0:08:24.493,0:08:26.846 脳波計測と呼ばれるものです 0:08:26.870,0:08:28.703 略して「EEG」です 0:08:28.727,0:08:32.672 私の研究では 全部で128個の電極を[br]キャップに付け 0:08:32.696,0:08:35.164 これをかぶってもらいます 0:08:35.957,0:08:39.568 それぞれの電極は[br]脳内の電気的活動を 0:08:39.592,0:08:42.193 ミリ秒まで正確に測定します 0:08:43.640,0:08:45.680 しかしながら 問題があります 0:08:45.704,0:08:48.133 それは 電気的活動は[br]脳のみでなく 0:08:48.157,0:08:50.895 体内の他の部分でも行われており 0:08:50.919,0:08:53.633 また 周囲の環境でも[br]常に 電気的活動が起きています 0:08:53.657,0:08:55.045 私が実験を行うにあたり 0:08:55.069,0:08:58.069 それらのノイズを[br]最小限に抑える必要があります 0:08:58.411,0:09:01.894 そのため 実験参加者には[br]いくつかの事をお願いします 0:09:02.427,0:09:03.586 まず 0:09:03.610,0:09:06.915 筋肉の動きを抑えるべく 0:09:06.939,0:09:09.360 頭を顎あてに載せてもらいます 0:09:09.384,0:09:13.379 また 目の動きと瞬きを抑えるべく 0:09:13.403,0:09:16.172 コンピューター画面の中央に[br]視線を合わせてもらいます 0:09:16.196,0:09:18.704 また 唾を飲み込む事も避けたいので 0:09:18.728,0:09:23.320 ガラスのボウルを置き 0:09:23.344,0:09:25.352 その上に 舌を突き出してもらいます 0:09:25.376,0:09:29.576 私が味覚刺激を[br]ひっきりなしに 舌に乗せる為 0:09:29.600,0:09:31.704 それがボウルに滴り落ちるのです 0:09:31.728,0:09:33.212 (笑) 0:09:33.236,0:09:37.379 この素敵な光景の仕上げに 0:09:37.403,0:09:39.990 参加者に よだれかけを支給します 0:09:40.014,0:09:43.117 ピンクかブルーか[br]好きな方を選んでもらいます 0:09:43.141,0:09:47.228 (笑) 0:09:47.252,0:09:49.366 普通の食事風景みたいでしょう? 0:09:49.390,0:09:50.540 (笑) 0:09:51.585,0:09:53.005 そんなわけないですよね 0:09:54.546,0:09:55.895 さらに悪いのは 0:09:55.919,0:09:59.260 私も 参加者の思考を[br]コントロールできませんから 0:09:59.284,0:10:01.395 この味覚実験を 0:10:01.419,0:10:02.569 複数回行う必要があります 0:10:02.958,0:10:05.789 参加者の皆さんは 最初は[br]支給される無料ランチのことを 0:10:05.813,0:10:07.974 考えているのかもしれません 0:10:07.998,0:10:11.296 あるいは2度目は[br]もうすぐ来るクリスマスの事で 0:10:11.320,0:10:14.310 今年は お母さんに何を贈ろうかを[br]考えているのかもしれません 0:10:15.109,0:10:19.236 けれども それぞれの反応の[br]共通事項は味なのです 0:10:19.260,0:10:22.527 ですので この味覚実験を[br]複数回繰り返すのです 0:10:22.871,0:10:24.720 60回です 0:10:25.291,0:10:26.911 その後 反応の平均をとります 0:10:26.935,0:10:29.839 これは 味覚と関係のない反応を[br]平均化させる為です 0:10:30.307,0:10:31.958 この方法を用い 0:10:31.982,0:10:34.506 私の また他の研究所で 0:10:34.530,0:10:38.033 「食べ物を舌に載せた」時点から 0:10:38.057,0:10:41.036 脳が その味を認識するまでの[br]所要時間を調べたところ 0:10:41.639,0:10:44.853 それは最初の100ミリ秒以内に[br]起きているのが判りました 0:10:44.877,0:10:47.853 これは 私たちの実際の知覚よりも[br]0.5秒早いのです 0:10:48.268,0:10:50.080 次に 0:10:50.104,0:10:53.903 砂糖と 味の酷似した人工甘味料との 0:10:53.927,0:10:56.203 味の違いを調べました 0:10:56.563,0:10:58.594 実際 あまりに味が酷似している為 0:10:58.618,0:11:02.197 参加者の半数は[br]ほとんど違いを識別できず 0:11:02.221,0:11:04.546 残りの半数に至っては[br]全く識別できませんでした 0:11:05.015,0:11:06.776 しかし驚くことに 0:11:06.800,0:11:09.926 参加者全員が共通して 0:11:09.950,0:11:13.751 脳内では明らかに[br]味覚を識別できていました 0:11:14.895,0:11:17.754 ですから EEGや[br]その他の脳スキャン装置 0:11:17.778,0:11:19.938 また その他の生理学的測定法である ― 0:11:19.962,0:11:21.133 発汗量や瞳孔サイズ測定で 0:11:21.157,0:11:23.172 新たな入り口から[br]脳について理解できます 0:11:23.625,0:11:27.316 人々が持つバイアスにとらわれず 0:11:27.340,0:11:29.523 意識の障壁を取り除き 0:11:29.547,0:11:32.327 潜在意識下で味覚の差異を[br]捉えるのに役立つ入り口です 0:11:32.689,0:11:37.000 それは 人々が食べ物を口に入れた時の[br]一番最初の反応を 0:11:37.024,0:11:38.841 実際に 人がそれを意識に上らせ 0:11:38.865,0:11:42.031 その好き嫌いを合理的に説明できる前に[br]測定できるからです 0:11:42.476,0:11:44.651 私たちは 人々の表情を測定できます 0:11:44.675,0:11:47.172 また 視線や 0:11:47.196,0:11:49.196 発汗反応や 0:11:49.220,0:11:51.620 脳反応を測定できます 0:11:52.030,0:11:54.093 これらの手法を使えば 0:11:54.117,0:11:56.455 より味の優れた食べ物を[br]作る事ができるでしょう 0:11:56.479,0:11:58.876 それは 人々が本当に[br]あの低糖質のミルクシェイクを 0:11:58.900,0:12:00.637 好きなのか測定可能だからです 0:12:00.661,0:12:04.764 また 味の面で妥協することなく[br]より体に良い食品を作ることができます 0:12:04.788,0:12:07.561 何故かと言うと[br]異なる甘味料への反応を測定する事で 0:12:07.585,0:12:10.688 砂糖に対する反応に[br]より近い反応が出る甘味料を 0:12:10.712,0:12:12.005 探せるからです 0:12:12.029,0:12:14.704 さらに よりヘルシーな食品を作る[br]助けにもなります 0:12:14.728,0:12:17.695 私たちが そもそも実際に[br]食品をどう感知しているのかを 0:12:17.719,0:12:18.986 理解するのに役立つからです 0:12:19.533,0:12:22.200 それは 驚くほどに[br]ほとんど知られていない事です 0:12:22.589,0:12:25.920 例えば 5つの基本味のことは[br]既に知っていますが 0:12:25.944,0:12:28.187 他の味も存在するのではと[br]強く思っています 0:12:28.211,0:12:33.188 実際に EEG装置を使い 0:12:33.212,0:12:35.799 脂質は 食感とにおいに加え[br]味覚としても感知できることを 0:12:35.823,0:12:37.092 裏付ける証拠を掴みました 0:12:37.553,0:12:40.934 つまり 脂味は[br]第六の基本味かもしれないのです 0:12:41.522,0:12:45.879 そして 私たちの脳が[br]脂質と糖分を認識する仕組みを解明したら 0:12:45.903,0:12:47.220 夢の様な話でしょうが 0:12:47.244,0:12:48.736 本当に実現したら いつかは 0:12:48.760,0:12:52.798 ノンカロリーで 味は本物に劣らない[br]ミルクシェイクも 夢ではないかも知れません 0:12:54.894,0:12:57.172 あるいは[br]私たちは 消化管の受容体を介して 0:12:57.196,0:12:59.766 潜在意識下で[br]カロリーを検知できるので 0:12:59.790,0:13:02.574 そんな事は[br]不可能だと解るかもしれません 0:13:03.137,0:13:04.537 将来は まだ未知数です 0:13:05.978,0:13:08.803 私たちの意識に上る 食に関する経験は 0:13:08.827,0:13:13.791 食に対する 総合的知覚の中での[br]氷山の一角に過ぎません 0:13:13.815,0:13:16.122 意識に上るものでも[br]潜在意識下のものでも 0:13:16.146,0:13:19.022 この総合的知覚を研究していく事で 0:13:19.046,0:13:23.555 人々にとり より味に優れ 体に良い食品を[br]作れると強く確信しています 0:13:23.579,0:13:24.730 ありがとうございました 0:13:24.754,0:13:30.096 (拍手)