1 00:00:06,224 --> 00:00:07,724 1970年 2 00:00:07,724 --> 00:00:13,144 アメリカで マリファナは 薬物規制の中でも 3 00:00:13,144 --> 00:00:15,737 最も厳しいスケジュール1に 分類されました 4 00:00:15,737 --> 00:00:20,779 つまり 完全に違法とされ 医療用としても認められませんでした 5 00:00:20,779 --> 00:00:23,529 この認識は 何十年と続き 6 00:00:23,529 --> 00:00:28,538 薬としてのメカニズムや効果を 研究する上での妨げとなりました 7 00:00:28,538 --> 00:00:33,028 現在 マリファナの医療上での効果は 広く知られており 8 00:00:33,028 --> 00:00:36,592 中には 医療目的の使用を合法化した国や 9 00:00:36,592 --> 00:00:38,482 合法化しようとしている国々があります 10 00:00:38,482 --> 00:00:42,381 しかし マリファナの医療価値が 広く認められても 11 00:00:42,381 --> 00:00:44,081 このことは次の疑問に答えていません 12 00:00:44,081 --> 00:00:49,095 「娯楽目的のマリファナの使用は 脳に悪いのか?」 13 00:00:49,095 --> 00:00:52,805 マリファナは脳や体中に受容体を持つ 14 00:00:52,805 --> 00:00:56,445 エンドカンナビノイドシステム (身体調節機能)に作用します 15 00:00:56,445 --> 00:01:01,036 元から体にある エンドカンナビノイドと呼ばれる分子も 16 00:01:01,036 --> 00:01:03,696 これらの受容体に作用します 17 00:01:03,696 --> 00:01:07,471 私たちは カンナビノイドシステムを 完全には理解していませんが 18 00:01:07,471 --> 00:01:12,137 機能を理解する上で 大きなヒントとなる ある特徴があります 19 00:01:12,137 --> 00:01:15,887 ほとんどの神経伝達物質は 情報を伝達するのに 20 00:01:15,887 --> 00:01:19,457 一つのニューロンから次のニューロンへと シナプスを通して信号を伝えます 21 00:01:19,457 --> 00:01:23,223 しかし エンドカンナビノイドは 逆方法へと進みます 22 00:01:23,223 --> 00:01:26,716 1つのニューロンから 次のニューロンへと信号が伝わると 23 00:01:26,716 --> 00:01:30,631 信号を受信したニューロンは エンドカンナビノイドを放出します 24 00:01:30,631 --> 00:01:33,608 しかしエンドカンナビノイドは 逆方向へと進むため 25 00:01:33,608 --> 00:01:35,748 送信側のニューロンに影響を与えるのです 26 00:01:35,748 --> 00:01:40,416 つまり 送信側のニューロンは 受信側からフィードバックをもらうのです 27 00:01:40,416 --> 00:01:44,496 この仕組みから 科学者は エンドカンナビノイドシステムは 28 00:01:44,496 --> 00:01:49,374 主に各種の信号を増幅したり 縮小したりして 29 00:01:49,374 --> 00:01:51,832 調節するのだと考えています 30 00:01:51,832 --> 00:01:57,156 エンドカンナビノイドのフィードバックにより 神経信号の伝達速度は低下します 31 00:01:57,156 --> 00:01:59,088 だからといって 32 00:01:59,088 --> 00:02:01,918 行動や知覚が遅くなるわけではありません 33 00:02:01,918 --> 00:02:05,978 例えば 嗅覚を阻害する信号の速度を 低下させると 34 00:02:05,978 --> 00:02:09,652 実際に 匂いをより強く 感じることがあります 35 00:02:09,652 --> 00:02:13,497 マリファナには 2つの主な有効成分があります 36 00:02:13,497 --> 00:02:21,900 テトラヒドロカンナビノール (THC)と カンナビジオール (CBD)です 37 00:02:21,900 --> 00:02:27,605 THCは主にマリファナの 向精神作用をもたらして 38 00:02:27,605 --> 00:02:30,471 行動 認知 知覚に影響する一方 39 00:02:30,471 --> 00:02:35,413 CBDは非精神的な作用を もたらすと考えられています 40 00:02:35,413 --> 00:02:37,773 エンドカンナビノイドと同様に 41 00:02:37,773 --> 00:02:43,361 THCはカンナビノイド受容体に結合し 信号を遅らせます 42 00:02:43,361 --> 00:02:48,324 しかし THCは方々に拡散する システム全体で 直ちに結合します 43 00:02:48,324 --> 00:02:52,294 一方 エンドカンナビノイドは 特定の刺激に反応して 44 00:02:52,294 --> 00:02:55,221 特定の場所で放出されます 45 00:02:55,221 --> 00:02:58,021 このような広範囲の作用に 46 00:02:58,021 --> 00:03:02,421 カンナビノイドシステムの 他のシステムへの間接的な影響が加わることで 47 00:03:02,421 --> 00:03:06,560 各個人の 脳の化学的性質 遺伝的性質 48 00:03:06,560 --> 00:03:08,935 そして これまでの人生経験によって 49 00:03:08,935 --> 00:03:11,989 マリファナに対する反応が 概ね決まることを意味します 50 00:03:11,989 --> 00:03:16,499 これは1つ ないし少数の特定の経路を通して 効果を及ぼす他の薬物との違いからも 51 00:03:16,499 --> 00:03:20,731 ファリファナのもたらす真実と言えます 52 00:03:20,731 --> 00:03:26,170 よって 悪影響があるとすれば それは 一人ひとり大きく異なるのです 53 00:03:26,170 --> 00:03:28,730 また マリファナが 特定の危険な作用を及ぼす仕組みは 54 00:03:28,730 --> 00:03:31,213 分かっていませんが 55 00:03:31,213 --> 00:03:37,036 有害な経験をする可能性を高める 明確な危険因子が存在しています 56 00:03:37,036 --> 00:03:40,003 最もはっきりしている危険因子は年齢です 57 00:03:40,003 --> 00:03:42,133 25歳以下の人は 25歳以上の人と比べると 58 00:03:42,133 --> 00:03:46,113 カンナビノイド受容体が 59 00:03:46,113 --> 00:03:48,533 (脳の)白質により集中しています 60 00:03:48,533 --> 00:03:51,620 白質は コミュニケーション 61 00:03:51,620 --> 00:03:54,870 学習 記憶 感情などの機能に 関係しています 62 00:03:54,870 --> 00:03:56,284 マリファナを多用すると 63 00:03:56,284 --> 00:03:59,254 白質の発達が中断し 64 00:03:59,254 --> 00:04:03,438 脳が新しい接続を発達させる能力に 悪影響を及ぼすので 65 00:04:03,438 --> 00:04:08,091 長期的な学習能力と問題解決力に 障害を与えるかもしれません 66 00:04:08,091 --> 00:04:10,932 今のところ どれくらい深刻な 障害を与えるのか 67 00:04:10,932 --> 00:04:13,082 また 回復可能かは 定かではありません 68 00:04:13,082 --> 00:04:14,849 また 若い人たちの間でさえも 69 00:04:14,849 --> 00:04:17,889 若ければ若いほど リスクが高くなります 70 00:04:17,889 --> 00:04:22,515 例えば 15歳のほうが22歳よりも 危険性は遥かに高いのです 71 00:04:22,515 --> 00:04:27,112 さらに マリファナは幻覚や 偏執性妄想を引き起こします 72 00:04:27,112 --> 00:04:29,842 「大麻誘発性精神障害」 として知られるこの症状は 73 00:04:29,842 --> 00:04:33,845 マリファナの使用を断つと 症状は たいてい治まります 74 00:04:33,845 --> 00:04:37,284 しかし まれに症状が治まらず 75 00:04:37,284 --> 00:04:41,706 持続的な精神疾患が表面化します 76 00:04:41,706 --> 00:04:46,246 統合失調症などの 精神疾患を患う家系の場合 77 00:04:46,246 --> 00:04:49,427 唯一ではないものの 最も明らかな危険因子となります 78 00:04:49,427 --> 00:04:53,955 大麻誘発性精神障害は 若い成人により多くみられますが 79 00:04:53,955 --> 00:04:56,469 精神疾患というものは 一般的にこの年齢層で 80 00:04:56,469 --> 00:04:59,199 表面化しやすいという事実に 注目する必要があります 81 00:04:59,199 --> 00:05:03,093 若い成人の場合 精神疾患が 82 00:05:03,093 --> 00:05:05,399 マリファナを使用していなくても 発症したのか 83 00:05:05,399 --> 00:05:07,989 マリファナの使用が精神疾患を早期に 引き起こしたのか 84 00:05:07,989 --> 00:05:12,243 使用により 超えることのない 限界点に達し 発症を誘発したのか 85 00:05:12,243 --> 00:05:15,964 あるいは マリファナに対する反応が 基礎疾患の存在を示唆しているだけなのか 86 00:05:15,964 --> 00:05:18,174 はっきりとしていません 87 00:05:18,174 --> 00:05:23,391 おそらく マリファナによる影響は 一人ひとり異なるでしょう 88 00:05:23,391 --> 00:05:25,941 年齢によらず 他の多くの薬物と同じように 89 00:05:25,941 --> 00:05:27,238 脳と体は 90 00:05:27,238 --> 00:05:31,208 何度も使用するにつれ マリファナに対して鈍感になり 91 00:05:31,208 --> 00:05:35,108 同じ効果を得るのに より多くの量を 必要とするようになります 92 00:05:35,108 --> 00:05:37,939 幸いにも 他の多くの薬物とは違い 93 00:05:37,939 --> 00:05:41,229 マリファナの過剰摂取により 死に至る危険性はありませんし 94 00:05:41,229 --> 00:05:44,204 乱用したとしても衰弱したり 95 00:05:44,204 --> 00:05:48,273 使用をやめても 生命に危険をもたらす 禁断症状もありません 96 00:05:48,273 --> 00:05:52,176 しかし 危険性の低い マリファナの禁断症状として 97 00:05:52,176 --> 00:05:56,851 睡眠の妨げ イライラ うつ状態などがあります 98 00:05:56,851 --> 00:06:00,661 これらは使用をやめれば数週間以内に 消えるものです 99 00:06:00,661 --> 00:06:03,220 では マリファナは脳に悪いでのしょうか? 100 00:06:03,220 --> 00:06:05,340 人によって異なります 101 00:06:05,340 --> 00:06:08,858 同定しやすい危険因子がある一方 102 00:06:08,858 --> 00:06:11,128 よく理解されていない因子もあり― 103 00:06:11,128 --> 00:06:16,077 つまり 既知の危険因子がないとしても 104 00:06:16,077 --> 00:06:19,777 負の効果を経験する可能性が なおもあるということです