1 00:00:06,886 --> 00:00:11,216 イエローストーン・カルデラの 間欠泉や温泉の地下深くには 2 00:00:11,216 --> 00:00:16,184 マントル中のホットスポットにより作り出された マグマ溜まりがあります 3 00:00:16,184 --> 00:00:19,077 マグマが地表に向かって 移動するとき 4 00:00:19,077 --> 00:00:23,337 結晶化して 新しく熱い火成岩となります 5 00:00:23,337 --> 00:00:27,492 岩石の熱で地下水が 地表の方に押し出され 6 00:00:27,492 --> 00:00:32,882 水が冷えると イオンが沈殿して 結晶になります 7 00:00:32,882 --> 00:00:36,876 珪素と酸素からなる石英 8 00:00:36,876 --> 00:00:41,886 カリウム アルミニウム 珪素 酸素からなる長石 9 00:00:41,886 --> 00:00:45,126 鉛と硫黄からなる方鉛鉱など 10 00:00:45,126 --> 00:00:47,736 これらの結晶の多くは 特徴的な形を持っています 11 00:00:47,736 --> 00:00:52,856 尖った針山のような石英や 立方体を積み重ねたような方鉛鉱 12 00:00:52,856 --> 00:00:57,321 でも なぜ繰り返し このような形になるのでしょう? 13 00:00:57,321 --> 00:01:00,013 その鍵は原子にあります 14 00:01:00,013 --> 00:01:04,933 結晶の原子は整然と繰り返す パターンに並んでいます 15 00:01:04,933 --> 00:01:08,508 このパターンこそ 結晶の決定的な特徴であり 16 00:01:08,508 --> 00:01:10,518 これは鉱物に限りません 17 00:01:10,518 --> 00:01:15,758 砂 氷 砂糖 チョコレート セラミックス 金属 DNA 18 00:01:15,758 --> 00:01:19,679 さらには ある種の液体も 結晶構造を持ちます 19 00:01:19,679 --> 00:01:22,459 結晶における 原子の並び方は 20 00:01:22,459 --> 00:01:25,699 大きく6つに分けられます 21 00:01:25,699 --> 00:01:32,319 立方晶系 正方晶系 直方晶系 単斜晶系 三斜晶系 六方晶系です 22 00:01:32,319 --> 00:01:34,359 適切な環境下であれば 23 00:01:34,359 --> 00:01:37,009 結晶は原子の配列に応じた 24 00:01:37,009 --> 00:01:39,699 幾何学的な形へと成長します 25 00:01:39,699 --> 00:01:44,579 方鉛鉱の場合 立方晶系の構造を持ち 鉛と硫黄から構成されています 26 00:01:44,579 --> 00:01:46,622 比較的大きな鉛原子は 27 00:01:46,622 --> 00:01:50,932 互いが90度の角度で接する 3次元格子状に並びます 28 00:01:50,932 --> 00:01:55,662 比較的小さな硫黄原子は 鉛の隙間にうまく納まります 29 00:01:55,662 --> 00:02:00,174 結晶が成長するにつれ これらの場所に硫黄原子が引き寄せられ 30 00:02:00,174 --> 00:02:03,656 これらの場所に鉛原子が 結び付きます 31 00:02:03,656 --> 00:02:07,096 そのようにして結合した原子が 格子を形作ります 32 00:02:07,096 --> 00:02:11,236 90度の格子になった 方鉛鉱結晶の構造は 33 00:02:11,236 --> 00:02:14,593 結晶の見た目の形にも 反映されています 34 00:02:14,593 --> 00:02:17,973 一方で石英は六方晶系の 結晶構造を持っています 35 00:02:17,973 --> 00:02:22,103 平面で見ると 六角形に並んでいます 36 00:02:22,103 --> 00:02:27,564 立体的には この六角形はたくさんの 三角錐を敷き詰めてできたもので 37 00:02:27,564 --> 00:02:31,794 各三角錐は1つの珪素原子と 4つの酸素原子からできています 38 00:02:31,794 --> 00:02:34,171 石英に特徴的な形は 39 00:02:34,171 --> 00:02:37,861 先端が尖った 六角柱です 40 00:02:39,571 --> 00:02:41,691 環境条件に応じて 41 00:02:41,691 --> 00:02:46,111 多くの結晶は複数の 幾何学的な形状を取り得ます 42 00:02:46,111 --> 00:02:50,041 たとえばダイアモンドは マントルの奥深くで形成されますが 43 00:02:50,041 --> 00:02:56,261 立方晶系の結晶構造を持ち 立方体か八面体へと成長します 44 00:02:56,261 --> 00:02:58,861 どちらの形になるかは 45 00:02:58,861 --> 00:03:02,031 圧力 温度 化学的な環境 といった 46 00:03:02,031 --> 00:03:05,451 成長する際の条件に 依存します 47 00:03:05,451 --> 00:03:09,128 マントル内の成長条件を 直接観察はできませんが 48 00:03:09,128 --> 00:03:11,868 実験室で得られた結果では 49 00:03:11,868 --> 00:03:15,838 低温では立方体に 50 00:03:15,838 --> 00:03:19,026 高温では八面体になる 傾向があります 51 00:03:19,026 --> 00:03:23,496 微量の水 珪素 ゲルマニウム マグネシウムの存在も 52 00:03:23,496 --> 00:03:26,646 ダイアモンドの形に影響します 53 00:03:26,646 --> 00:03:31,256 ダイアモンドが宝石店で見られるような形へと 自然に成長することはなく 54 00:03:31,256 --> 00:03:36,474 あれは燦めきと透明度が出るよう 人為的にカットされたものです 55 00:03:36,474 --> 00:03:41,621 環境条件によって結晶ができたり できなかったりもします 56 00:03:41,621 --> 00:03:44,126 ガラスは溶かした珪砂から 作られますが 57 00:03:44,126 --> 00:03:45,686 結晶にはなっていません 58 00:03:45,686 --> 00:03:48,706 ガラスは比較的急速に 冷やされるため 59 00:03:48,706 --> 00:03:54,576 石英の整然とした結晶構造へと 原子が整列する暇がなく 60 00:03:54,576 --> 00:03:58,346 溶けたガラス中の 原子が乱雑に並んだ状態が 61 00:03:58,346 --> 00:04:00,906 そのまま固定化されて しまうのです 62 00:04:00,906 --> 00:04:03,816 多くの結晶は幾何学的な形を 形成しませんが 63 00:04:03,816 --> 00:04:08,086 これは他の結晶と混在する中で 成長するためです 64 00:04:08,086 --> 00:04:10,859 花崗岩のような岩石には 結晶がたくさん含まれますが 65 00:04:10,859 --> 00:04:13,379 それと分かるような 形はしていません 66 00:04:13,379 --> 00:04:15,539 マグマが冷えて固まるとき 67 00:04:15,539 --> 00:04:21,249 様々な鉱物が同時に結晶化し 隙間がすぐに埋まってしまうのです 68 00:04:21,249 --> 00:04:23,881 トルコ石のような結晶では 69 00:04:23,881 --> 00:04:27,481 たとえ十分な空間があっても ほとんどの環境条件下で 70 00:04:27,481 --> 00:04:31,014 それと分かるような 幾何学的形状には成長しません 71 00:04:31,014 --> 00:04:34,204 それぞれの結晶の構造には 独特な性質があり 72 00:04:34,204 --> 00:04:39,134 人間の感性に訴えるような ものではなくとも 73 00:04:39,134 --> 00:04:44,464 材料科学や医学で 役立っているのです