イエローストーン・カルデラの 間欠泉や温泉の地下深くには マントル中のホットスポットにより作り出された マグマ溜まりがあります マグマが地表に向かって 移動するとき 結晶化して 新しく熱い火成岩となります 岩石の熱で地下水が 地表の方に押し出され 水が冷えると イオンが沈殿して 結晶になります 珪素と酸素からなる石英 カリウム アルミニウム 珪素 酸素からなる長石 鉛と硫黄からなる方鉛鉱など これらの結晶の多くは 特徴的な形を持っています 尖った針山のような石英や 立方体を積み重ねたような方鉛鉱 でも なぜ繰り返し このような形になるのでしょう? その鍵は原子にあります 結晶の原子は整然と繰り返す パターンに並んでいます このパターンこそ 結晶の決定的な特徴であり これは鉱物に限りません 砂 氷 砂糖 チョコレート セラミックス 金属 DNA さらには ある種の液体も 結晶構造を持ちます 結晶における 原子の並び方は 大きく6つに分けられます 立方晶系 正方晶系 直方晶系 単斜晶系 三斜晶系 六方晶系です 適切な環境下であれば 結晶は原子の配列に応じた 幾何学的な形へと成長します 方鉛鉱の場合 立方晶系の構造を持ち 鉛と硫黄から構成されています 比較的大きな鉛原子は 互いが90度の角度で接する 3次元格子状に並びます 比較的小さな硫黄原子は 鉛の隙間にうまく納まります 結晶が成長するにつれ これらの場所に硫黄原子が引き寄せられ これらの場所に鉛原子が 結び付きます そのようにして結合した原子が 格子を形作ります 90度の格子になった 方鉛鉱結晶の構造は 結晶の見た目の形にも 反映されています 一方で石英は六方晶系の 結晶構造を持っています 平面で見ると 六角形に並んでいます 立体的には この六角形はたくさんの 三角錐を敷き詰めてできたもので 各三角錐は1つの珪素原子と 4つの酸素原子からできています 石英に特徴的な形は 先端が尖った 六角柱です 環境条件に応じて 多くの結晶は複数の 幾何学的な形状を取り得ます たとえばダイアモンドは マントルの奥深くで形成されますが 立方晶系の結晶構造を持ち 立方体か八面体へと成長します どちらの形になるかは 圧力 温度 化学的な環境 といった 成長する際の条件に 依存します マントル内の成長条件を 直接観察はできませんが 実験室で得られた結果では 低温では立方体に 高温では八面体になる 傾向があります 微量の水 珪素 ゲルマニウム マグネシウムの存在も ダイアモンドの形に影響します ダイアモンドが宝石店で見られるような形へと 自然に成長することはなく あれは燦めきと透明度が出るよう 人為的にカットされたものです 環境条件によって結晶ができたり できなかったりもします ガラスは溶かした珪砂から 作られますが 結晶にはなっていません ガラスは比較的急速に 冷やされるため 石英の整然とした結晶構造へと 原子が整列する暇がなく 溶けたガラス中の 原子が乱雑に並んだ状態が そのまま固定化されて しまうのです 多くの結晶は幾何学的な形を 形成しませんが これは他の結晶と混在する中で 成長するためです 花崗岩のような岩石には 結晶がたくさん含まれますが それと分かるような 形はしていません マグマが冷えて固まるとき 様々な鉱物が同時に結晶化し 隙間がすぐに埋まってしまうのです トルコ石のような結晶では たとえ十分な空間があっても ほとんどの環境条件下で それと分かるような 幾何学的形状には成長しません それぞれの結晶の構造には 独特な性質があり 人間の感性に訴えるような ものではなくとも 材料科学や医学で 役立っているのです