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身近な人が持っている、世界が記憶すべき物語

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    今日 ここであることを
    証明したいと思います
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    大切な人や 友達や
    初めて会う人とでも
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    意味あるインタビューを
    一緒に録音することが
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    その人にとって
    そしてあなた自身にも
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    人生で最も大切な瞬間に
    なるかもしれないということです
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    私は22才の時
    幸運にも天職にめぐり会いました
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    ラジオ番組制作です
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    それと同じ頃に
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    とても仲の良かった父が
    ゲイであることを知りました
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    完全に寝耳に水でした
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    絆の固い家族だったので
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    大ショックを受けました
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    ある時 ぎこちなくなってしまった
    会話の中で
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    父がストーンウォールの反乱のことを
    話しはじめました
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    1969年の ある夜
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    若い黒人やラテン系の
    ドラァグクイーンたちが
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    マンハッタンのゲイバー
    ストーンウォール・インで
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    警官に立ち向かい
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    現在のゲイ解放運動の
    発火点になったというのです
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    本当にすごい話で
    強く興味を掻き立てられました
  • 1:01 - 1:06
    そこでテープレコーダーを手にとり
    もっと調べることにしたのです
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    マイケル・シャーカーという
    若い記録保管人の助けを借りて
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    その夜ストーンウォール・インにいた人を
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    できる限り
    探し出しました
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    インタビューを録音していて
    気づいたのは
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    マイクは私にとって
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    それがなければ決して
    行くことのなかっただろう場所に行き
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    話すことのなかっただろう人々と話せる
    許可証となることです
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    光栄にも 知り合えたのは
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    それまで出会った中で
    最も素晴らしく パワフルで
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    勇気ある人々でした
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    ストーンウォールの話が
    全米のリスナーに
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    届けられたのは これが初めてでした
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    私はこの番組を父に捧げ
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    これが父との関係と
    私の人生を一変させました
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    その後15年以上に渡って
    更に沢山のラジオドキュメンタリーを制作し
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    メディアが 滅多に取り上げない人々に
    光を当てました
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    何度も目にしたのは
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    インタビューを受けるという
    単純なことが
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    人々にとって大きな意味を持つ
    ということです
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    話を真剣に聞いてもらえない
    経験をした人にとっては 特にそうでした
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    マイクに向かって話し始めたとたん
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    本当にみんな背筋が伸びるのです
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    1998年にマンハッタンの
    バワリー地区に残る
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    最後の簡易宿泊所の
    ドキュメンタリーを制作しました
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    男たちが何十年もの間
    こういった安宿で暮らしていました
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    彼らが住む部屋は
    刑務所の独房ほどの広さで
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    金網で囲まれていて
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    隣に飛び移れないように
    なっていました
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    後日 写真家のハーヴェイ・ワンと組んで
    この男たちの本を書きました
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    印象に残っているのは
    本の草稿を持って宿泊所に行き
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    自分のことが書かれたページを
    本人に見せた時のことです
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    彼は立ち尽くし
    黙って見ていましたが
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    ふいに私の手から
    本を引ったくると
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    ページを頭上に掲げて
    細い廊下を走りながら
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    叫び始めました
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    「俺はいるんだ! 確かにいるんだ!」
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    (拍手)
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    いろんな意味で「俺はいるんだ」は
    StoryCorpsのきっかけになった言葉です
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    この途方もないアイデアは
    十数年前に思いついたものです
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    ドキュメンタリー作成を
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    逆転させるという発想でした
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    これまでドキュメンタリーとは
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    多くの人が見聞きする
    芸術や娯楽や教養のための
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    番組制作を目的として
    インタビューを録音することでした
  • 3:19 - 3:20
    でも私がやりたかったのは
  • 3:20 - 3:23
    インタビュー自体が目的のプロジェクトでした
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    話を聞いてもらえる機会を
    可能な限り多くの人に
  • 3:26 - 3:29
    与えられないものか
    試したかったのです
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    そこで11年前に
    グランド・セントラル駅に
  • 3:32 - 3:34
    誰でも使えるブースを作り
  • 3:34 - 3:40
    人生についてインタビューすることを通じて
    その人を称えられる場所にしました
  • 3:40 - 3:43
    ブースに来ると進行係がいて
    中に案内してくれます
  • 3:43 - 3:46
    そして 例えば
    自分のおじいさんの前に座り
  • 3:46 - 3:49
    1時間近く
    話を聞いたり 話したりします
  • 3:49 - 3:53
    多くの人が考えるのは
    「もし これが最後の会話だとしたら
  • 3:53 - 3:56
    自分にとってかけがえのない
    この相手に何を尋ね
  • 3:56 - 3:58
    何を言おうか?」
    ということです
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    インタビューが終わると
    録音のコピーをもらえます
  • 4:01 - 4:04
    もう1本のコピーは
    米国議会図書館の
  • 4:04 - 4:06
    アメリカ民俗センターに送られます
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    これでいつか ひ孫のそのまた孫たちが
    あなたのおじいさんについて
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    知る機会を得られるでしょう
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    世界有数の繁華街に
    開設したこのブースで
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    人々に他の人間と
    ものすごく親密な会話を
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    してもらおうというわけです
  • 4:21 - 4:26
    どういう結果になるか 全くわかりませんでしたが
    最初からうまくいきました
  • 4:26 - 4:29
    みんな この体験を
    ものすごく大事なものとして扱ってくれました
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    ブース内では本当に素晴らしい
    会話が行われました
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    ここで グランド・セントラル駅の
    ブースで録音された
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    とあるインタビューの一部に
    アニメを付けたものをお見せします
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    12才のジョシュア・リットマンが
    母親のサラにインタビューしたものです
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    ジョシュはアスペルガー症候群です
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    ご存知かも知れませんが
    アスペルガーの子どもは
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    ものすごく頭がいいのですが
    社会的には苦労します
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    強いこだわりを持つことが多く
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    ジョシュの場合 その対象は動物です
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    9年前にグランド・セントラル駅で行われた
  • 4:57 - 5:00
    ジョシュと母親サラの会話を
    お聞きください
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    ジョシュ・リットマン:
    もし動物がいなかったら
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    人生は10点満点で
    何点になってたと思う?
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    サラ・リットマン:
    動物がいない人生は8点ね
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    動物はいっぱい喜びを与えてくれるから
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    ジョシュ:動物がいなかったら
    人生はどう違ってたと思う?
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    サラ:ゴキブリや蛇は
    いなくてもいいわ
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    ジョシュ:僕は蛇なら大丈夫
    毒のないやつとか
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    締め付けてこないやつならね
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    サラ:そうね 私は蛇は好きではないわ
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    ジョシュ:ゴキブリも嫌われ者だよね
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    サラ:確かにそうね
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    ジョシュ:子どもがいて
    大変だと思ったことはある?
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    サラ:あなたが赤ちゃんの時
    ひどい疝痛になって
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    泣いてばかりいたのを思い出すわ
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    ジョシュ:疝痛って?
    サラ:何時間も泣き叫ぶほど
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    お腹がいたくなることよ
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    ジョシュ:エイミーより大きな声で?
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    サラ:あなたは大声だったけど
    エイミーのは甲高かったわ
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    ジョシュ:みんなエイミーの方が
    好きみたいだよね
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    まるで小さな天使みたいに
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    サラ:エイミーの方が好かれているように
    思うのはわかるわ
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    でも それはアスペルガー症候群の
    せいじゃないの
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    エイミーはすぐ人と仲良くなれるけど
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    あなたには それが大変だからだと思う
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    でも 時間をかけてあなたを知った人は
    あなたのことが大好きよ
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    ジョシュ:ベンやエリックやカルロスみたいに?
    サラ:そうよ
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    ジョシュ:数は少ないけど
    友だちの質が高いってこと? (笑)
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    サラ:質をどうこう言うつもりはないけど・・・
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    ジョシュ:だってエイミーなんて クローディアを
    好きになって その後嫌いになって
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    また好きになって
    嫌いになるじゃない
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    サラ:それは女の子によくあることなのよ
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    あなたにとって大切なのは
    親友が何人かいることよ
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    それが人生で本当に必要なことね
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    ジョシュ:僕 生まれた時に
    母さんが望んだ通りの息子になった?
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    母さんの期待通りになった?
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    サラ:あなたは私の期待以上よ
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    確かに自分の子どもの将来は
    いろいろ想像するけれど
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    あなたのおかげで 私は親として
    成長したんだから それは ―
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    ジョシュ:僕のおかげで
    親になれたんだよね
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    サラ:あなたのおかげで親になれた・・・
    それもそうね (笑)
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    ただ それだけじゃなく
    あなたは
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    育児本に書いてあるような
    考え方をする子どもじゃないから
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    私も一緒に 枠にとらわれない
    考え方を学ばなければならなかった
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    だから親としても人としても
    ずっと創造的になれたの
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    あなたにはいつも感謝してるわ
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    ジョシュ:エイミーの時にも役に立った?
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    サラ:役に立つ以上に
    あなたはすごく特別な存在だから
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    あなたの親になれて
    私は本当に幸せ者ね
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    (拍手)
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    デイヴ・アイセイ:この話が
    放送されると
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    ジョシュに手紙が何百通も届きました
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    彼の素晴らしさを称えた手紙です
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    母親のサラは手紙を1冊にまとめて
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    ジョシュが学校でいじめられた時
    一緒にそれを読みました
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    この2人のヒーローが
    ここに来てくれています
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    ご紹介しましょう
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    サラ・リットマンと息子のジョシュです
    彼は今 大学の特待生です
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    (拍手)
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    StoryCorpsの話を聞いて
    泣いたという人がたくさんいます
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    でも話が悲しかったからではありません
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    ほとんどは違います
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    それはきっと純粋な真実の話を
    聞いたからだと思います
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    現代はどれが現実で
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    どれが広告なのか
    見分けにくいことも多いですから
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    これは いわば反リアリティTVです
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    お金のために来る人はいません
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    有名になるために来る人もいません
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    ただ 愛情と思いやりから生じた行為です
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    大部分が普通の人で
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    優しさ 勇気 良識 尊厳をもって生きた
    人生について話してくれます
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    そんな話を聞いていると
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    聖域に足を踏み入れたような
    気持ちになることがあります
  • 8:31 - 8:33
    グランド・セントラル駅での
    実験が成功したので
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    次はこれを全国に展開しました
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    これまでに全米50州の
    何千もの街で
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    10万人以上が
  • 8:41 - 8:44
    StoryCorpsのインタビューを
    録音しています
  • 8:44 - 8:49
    肉声のコレクションとしては
    過去最大です
  • 8:49 - 8:55
    (拍手)
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    インタビューの手引きをするために
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    何百人もの進行役を
    採用し育ててきました
  • 9:00 - 9:02
    多くの人は1年か2年の間
    全国を旅しながら
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    StoryCorpsで働き
    人類の英知を収集します
  • 9:06 - 9:08
    彼らは自分の役割は立会人だと言います
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    進行役にたずねたなら
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    全員が こう答えるでしょう
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    インタビューに立ち会って学んだ
    一番大切なことは
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    「人間は本質的に善良である」
    ということだと
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    確かにStoryCorpsの最初の1年は
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    人選に偏りがあったかもしれません
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    でも全国のあらゆる場所で
    あらゆる人々が行った
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    何万回ものインタビュー
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    豊かな人や 貧しい人
    5才から105才まで
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    80の言語を話す多様な政治観の人々の
    インタビューが行われた今
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    彼らの証言は真実だと
    思わないわけにはいかないでしょう
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    私もインタビューから
    本当にたくさんのことを学んできました
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    身近な人々の言葉の中に
    詩と叡智と品格を
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    見いだせることを学びました
  • 9:51 - 9:54
    耳を傾ける時間を
    作りさえすればいいのです
  • 9:54 - 9:57
    例えば このインタビュー
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    ブルックリンに住む
    賭屋の店員ダニー・ペラーザが
  • 10:00 - 10:05
    妻のアニーをStoryCorpsに連れてきて
    彼女への愛を語ったものです
  • 10:07 - 10:09
    ダニー・ペラーザ:
    いいかい よく聞いてくれ
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    「愛してる」って言うとき
    必ず罪悪感があるんだ
  • 10:11 - 10:14
    いつも「愛してる」って言うのは
    こんなに不細工な俺だけど
  • 10:14 - 10:17
    そんな俺からの言葉だってこと
    意識して欲しいから言うのさ
  • 10:17 - 10:21
    きれいな歌を 壊れかけの
    古いラジオで聞くみたいだけど
  • 10:21 - 10:23
    家にラジオがあるのはいいことだよ
  • 10:23 - 10:25
    アニー・ペラーザ:キッチンに
    メモが無い時は
  • 10:25 - 10:27
    何かあったのかと思うわ
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    毎朝のラブレターだから
  • 10:28 - 10:30
    ダニー:何かあったとしても
  • 10:30 - 10:32
    ペンが見つからないくらいだな
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    アニー:「お姫様へ ―
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    今日の天気は大雨だよ
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    午前11時20分に電話するよ」
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    ダニー:ロマンチックな天気予報さ
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    アニー:「愛してる 愛してる 愛してる」
  • 10:44 - 10:47
    ダニー:男にとって幸せな結婚ってのは
    仕事で何があっても
  • 10:47 - 10:49
    その日 何が起ころうとも
  • 10:49 - 10:51
    家に帰れば安心できる場所があって
  • 10:51 - 10:53
    抱きしめられる誰かがいて
    そんなことしても
  • 10:53 - 10:57
    「離して」なんて言われて
    階段から突き落とされないことだな
  • 10:57 - 10:59
    結婚ってのは
    カラーテレビのようなもんだ
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    白黒には戻れない
  • 11:01 - 11:05
    (笑)
  • 11:05 - 11:07
    デイヴ:ダニーは
    身長150cm足らず
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    斜視で 1本出っ歯がありますが
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    それでも ハリウッドの
    トップ俳優が全員でかかっても
  • 11:14 - 11:17
    かなわないほどの
    大恋愛をしていたのです
  • 11:17 - 11:19
    他にも学んだことがあります
  • 11:19 - 11:22
    他人を許す心には
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    想像を絶するほどの許容量があること
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    立ち直る力
    そして 人間の強さです
  • 11:28 - 11:31
    例えば オーシェイ・イズリエルと
    メアリー・ジョンソンのインタビュー
  • 11:31 - 11:36
    オーシェイは十代の時
    メアリーの一人息子ララミアン・バードを
  • 11:36 - 11:38
    ギャングの抗争中に殺害しました
  • 11:38 - 11:41
    メアリーは十数年後に刑務所を訪れて
  • 11:41 - 11:44
    オーシェイに会い 息子の命を奪ったのが
  • 11:44 - 11:46
    どんな人間なのか
    確かめようとしました
  • 11:46 - 11:49
    驚くべきことに2人は
    次第に友情を育み
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    刑務所から釈放された
    オーシェイは
  • 11:52 - 11:55
    メアリーの家の隣に
    越してきたのです
  • 11:55 - 11:59
    これは彼が自由の身になってすぐ
    StoryCorpで録音された
  • 11:59 - 12:01
    2人の会話のほんの一部です
  • 12:02 - 12:05
    メアリー・ジョンソン:
    私の本当の息子はもういない
  • 12:05 - 12:09
    あの子の卒業は見られなかった
    でも今 あなたが大学に行こうとしてる
  • 12:09 - 12:12
    だからあなたの卒業は見られるわね
  • 12:12 - 12:15
    あの子の結婚は見られなかった
  • 12:15 - 12:19
    でもいつか あなたの結婚に
    立ち会えるといいわ
  • 12:19 - 12:21
    オーシェイ・イズリエル:
    そう言ってくれることとか
  • 12:21 - 12:25
    今みたいに人生に関わってくれることが
    俺の生きる力になってるんだ
  • 12:25 - 12:30
    正しい道から外れないよう導いてくれる
  • 12:30 - 12:32
    俺を信じてくれること
  • 12:32 - 12:35
    あんなに苦しませたのに
    信じてくれるっていうことは
  • 12:35 - 12:37
    本当にすごいと思うよ
  • 12:37 - 12:43
    メアリー:この話題って
    簡単に話し合えるものじゃないわね
  • 12:43 - 12:46
    今みたいに お互い顔を合わせて
    座っていてもそう
  • 12:46 - 12:52
    簡単じゃないと わかってるから
    あなたが話してくれること すごいと思うわ
  • 12:52 - 12:57
    オーシェイ:大好きだよ メアリーおばさん
    メアリー:私もよ オーシェイ
  • 13:00 - 13:06
    (拍手)
  • 13:06 - 13:12
    デイヴ:私が何度も繰り返し
    気付かされるのは 人の勇気と善良さ
  • 13:12 - 13:17
    そして歴史の流れが
    正しい方向に向かう様子です
  • 13:17 - 13:19
    例えばアレクシス・マルティネスの話
  • 13:19 - 13:24
    シカゴのハロルド・アイクス公営団地で
    生まれた時 彼女は「アーサー」でした
  • 13:24 - 13:27
    このインタビューでは娘のレズリーに
  • 13:27 - 13:29
    若い頃 ギャングの一員になったことや
  • 13:29 - 13:34
    後に 女性になったこと
    そしてそれが運命だったことを話しています
  • 13:34 - 13:36
    アレクシスと娘のレズリーの話を
    お聞きください
  • 13:36 - 13:39
    アレクシス・マルティネス:
    私にとって つらかったのは
  • 13:39 - 13:42
    孫娘に近づかせて
    もらえないんじゃないかって
  • 13:42 - 13:45
    いつも不安だったことね
  • 13:45 - 13:48
    でも あなたたち夫婦は
    そんな不安を
  • 13:48 - 13:49
    吹き飛ばしてくれた
  • 13:49 - 13:52
    それで実を結んだのが
    私と孫娘たちとの関係
  • 13:52 - 13:56
    時々 私がおじいちゃんなのか
    おばあちゃんなのか もめてるわ
  • 13:56 - 13:58
    レズリー・マルティネス:
    そこは放っといているの
  • 13:58 - 14:01
    アレクシス:自由に話せるなんて
    私には奇跡みたい
  • 14:01 - 14:05
    レズリー:謝ることもないし
    こそこそしなくてもいいのよ
  • 14:05 - 14:09
    縁を切ったりなんかしないから
    そこをわかって欲しいの
  • 14:09 - 14:12
    母さんは愛されているんだから
  • 14:12 - 14:15
    アレクシス:それは毎日 感じてるわ
  • 14:15 - 14:20
    女性として道を歩いていると
    今の自分に心が休まるの
  • 14:20 - 14:22
    もうちょっと声が
    ソフトだったらとは思うけど
  • 14:22 - 14:28
    今は愛で心が満たされているし
    毎日そう生きていこうとしてるの
  • 14:32 - 14:35
    デイヴ:「今 愛で心が満たされている」
  • 14:35 - 14:38
    StoryCorpsの秘密を教えましょう
  • 14:38 - 14:41
    こういう会話をするには
    少し勇気が必要ですよね
  • 14:41 - 14:44
    だから 命に限りがあることを
    思い出してもらうのです
  • 14:44 - 14:48
    利用者は自分の死後ずっと先に
    誰かが録音を聞くことを知っています
  • 14:48 - 14:50
    ホスピスの医師である
    アイラ・バイアックは
  • 14:50 - 14:53
    私たちと協力して 死にゆく人々の
  • 14:53 - 14:54
    インタビューを録音しています
  • 14:54 - 14:57
    彼は『最も大切な4つのこと』という
    本の中で
  • 14:57 - 15:00
    自分や一番大切な人の
    死を前にして
  • 15:00 - 15:04
    伝えるべき4つの言葉が
    何かを書いています
  • 15:04 - 15:06
    「ありがとう」「愛してる」
  • 15:06 - 15:09
    「許してほしい」「許してあげる」
  • 15:09 - 15:13
    これは私たちが人と伝え合える
    最も力強い言葉で
  • 15:13 - 15:17
    StoryCorpsのブースでも
    よく聞かれます
  • 15:17 - 15:20
    これは大切な人と共に
    心の整理をするチャンスなのです
  • 15:20 - 15:23
    後悔も 言いそびれたことも無いように
  • 15:23 - 15:26
    これは難しいことですし
    勇気もいりますが
  • 15:26 - 15:30
    そのために私たちは
    生きているのではないでしょうか?
  • 15:31 - 15:34
    それでは TEDプライズについてです
  • 15:34 - 15:37
    数か月前にTEDとクリスから
  • 15:37 - 15:41
    受賞の可能性があると聞いて
    ありえない位びっくりしました
  • 15:41 - 15:44
    そして人類に向けた私の望みを
    50語以内で簡潔に
  • 15:44 - 15:46
    考えてほしいと頼まれました
  • 15:46 - 15:49
    そこで考えまして
    50語にまとめました
  • 15:49 - 15:53
    何週間か経ってクリスが電話で
    「これで行こう」と言ってくれました
  • 15:53 - 15:56
    私の望みは こうです
  • 15:56 - 15:59
    「みなさんの手で
    StoryCorpsの活動を通じ
  • 15:59 - 16:02
    我々が学んできた あらゆることを
  • 16:02 - 16:05
    世界中に広め
  • 16:05 - 16:09
    誰もが どこでも 簡単に
    誰かと意味深いインタビューを録音して
  • 16:09 - 16:14
    歴史の1ページに
    刻めるようにしたい」
  • 16:14 - 16:18
    では どうやって実現させるのか?
    これを使います
  • 16:18 - 16:22
    世界中 誰でも
    スマートフォンを使える未来が
  • 16:22 - 16:24
    急速に実現しつつあります
  • 16:24 - 16:28
    私がStoryCorpsを始めた
    11年前には想像すらできなかった
  • 16:28 - 16:30
    大きな力を秘めています
  • 16:30 - 16:31
    マイクがあり
  • 16:31 - 16:34
    やり方も教えてくれ
  • 16:34 - 16:36
    音声ファイルを送信できます
  • 16:36 - 16:39
    これが重要な要素です
  • 16:39 - 16:42
    だから 私の望みの半分は
    すでに進行中です
  • 16:42 - 16:43
    この2か月間
  • 16:43 - 16:46
    開発チームが猛烈に
    作業してきました
  • 16:46 - 16:50
    StoryCoprsをブースの外へと
    持ち出せるアプリを作り
  • 16:50 - 16:55
    誰もが いつでも どこでも
    インタビューを体験できるように
  • 16:55 - 16:59
    StoryCorpsでは対話する2人以外に
    必ず進行係がいて
  • 16:59 - 17:03
    会話の録音を手伝い
    録音された会話は永久保存されます
  • 17:03 - 17:05
    現在はStoryCorpsアプリの
  • 17:05 - 17:09
    公開ベータバージョンを
    出そうとしているところです
  • 17:09 - 17:12
    これは いわばデジタル進行係で
    StoryCorpsの
  • 17:12 - 17:14
    インタビューの手順を一歩一歩
    教えてくれたり
  • 17:14 - 17:16
    質問を選ぶのを手伝ってくれたり
  • 17:16 - 17:18
    意味深いインタビューを
  • 17:18 - 17:21
    録音するために必要なヒントをくれ
  • 17:21 - 17:26
    タップ1つで米国議会図書館の
    アーカイブに録音をアップロードします
  • 17:26 - 17:29
    今のは技術的な側面
    簡単な部分です
  • 17:29 - 17:32
    本当の課題は 皆さんにかかっています
  • 17:32 - 17:35
    このツールを手にとり
    アメリカ中 そして世界中で
  • 17:35 - 17:38
    どう使えるかを考えることです
  • 17:38 - 17:41
    そうすれば これまで
    年に数千件だったインタビューを
  • 17:41 - 17:44
    何万件 何十万件 あるいは
  • 17:44 - 17:46
    それ以上に
  • 17:46 - 17:48
    増やせる可能性があるのです
  • 17:49 - 17:53
    想像してみてください
    例えばアメリカ史を学ぶ
  • 17:53 - 17:57
    全国の高校生に同じ宿題を出します
  • 17:57 - 18:00
    感謝祭の休日に お年寄りにインタビューをし
    録音するようにと
  • 18:00 - 18:03
    そうすれば たった1回の週末で
  • 18:03 - 18:08
    アメリカの一世代全体の
    暮らしや体験を記録できます
  • 18:08 - 18:14
    (拍手)
  • 18:16 - 18:19
    また こんなのはどうでしょう
    世界のどこか紛争中の国々で
  • 18:19 - 18:23
    両サイドの母親たちが
    紛争について語るためではなく
  • 18:23 - 18:25
    お互いに人としての本当の姿を見い出し
  • 18:25 - 18:29
    それによって信頼の絆を
    築き始められるよう対話するのです
  • 18:29 - 18:32
    あるいは いつか
    StoryCorpsのインタビューで
  • 18:32 - 18:35
    75才の誕生日を祝うことが
  • 18:35 - 18:37
    世界中で習わしになったら
    どうでしょう
  • 18:37 - 18:39
    それとも地域の人々が
  • 18:39 - 18:44
    老人ホームや 病院や ホームレスの
    シェルターや 刑務所にも出かけ
  • 18:44 - 18:48
    このアプリを駆使して
    社会にほとんど注目されない人々を称え
  • 18:48 - 18:51
    彼らの本当の姿や
    人生で学んできたこと そして
  • 18:51 - 18:53
    どんな形で人の記憶に残りたいかを
    聞くのです
  • 18:53 - 18:59
    (拍手)
  • 19:01 - 19:04
    私は10年前StoryCorpsで
    父へのインタビューを録音しました
  • 19:04 - 19:09
    父は精神科医でしたが 後にゲイの
    活動家として知られるようになりました
  • 19:09 - 19:12
    インタビューをする私たちの写真です
  • 19:12 - 19:16
    録音したことなど忘れていましたが
  • 19:16 - 19:19
    2年ほど前 健康そのものに見え
  • 19:19 - 19:21
    週に40時間も診察していた父が
  • 19:21 - 19:24
    ガンの告知を受けたのです
  • 19:24 - 19:27
    父は数日後 突然亡くなりました
  • 19:27 - 19:30
    2012年6月28日
  • 19:30 - 19:34
    ストーンウォールの反乱の記念日でした
  • 19:34 - 19:37
    父が死んだ日の朝3時に
    私は初めて
  • 19:37 - 19:39
    そのインタビューを聞きました
  • 19:39 - 19:41
    家には子どもが2人いますが
  • 19:41 - 19:45
    私にとって偉大な存在だった
    父という人間を
  • 19:45 - 19:49
    子どもたちが知る 唯一の手段が
    そのインタビューになりました
  • 19:49 - 19:53
    私はStoryCorpsの意義を
    これ以上ない程信じているつもりでしたが
  • 19:53 - 19:55
    まさに その時
  • 19:55 - 20:00
    全身で 心の底から
    録音の重要性を理解したのです
  • 20:00 - 20:02
    毎日 多くの人が私のところに来て言います
  • 20:02 - 20:06
    「父や祖母や兄と
    インタビューをしたかったのに
  • 20:06 - 20:08
    今はもう手遅れになってしまった」と
  • 20:08 - 20:10
    でも もう待つ必要はありません
  • 20:10 - 20:12
    コミュニケーションの大部分が
  • 20:12 - 20:16
    刹那的で取るに足らない
    こんな時代だからこそ
  • 20:16 - 20:18
    永久に残る 重要な会話を
  • 20:18 - 20:23
    デジタル・アーカイブに残す活動に
    参加してほしいのです
  • 20:23 - 20:25
    子どもたちへの贈り物として
  • 20:25 - 20:29
    私たちが どんな人間だったのか
    証を残す活動に手を貸してください
  • 20:29 - 20:33
    この望みを実現するために
    皆さんのご協力をお願いします
  • 20:33 - 20:38
    家族や友達 そして知らない人とも
    インタビューをしてください
  • 20:38 - 20:44
    そうすれば みんなで人間の英知を
    アーカイブにまとめられます
  • 20:44 - 20:46
    そしてたぶん そうすることで人は
  • 20:46 - 20:50
    相手の話を もっとよく聞くことを学び
    声高な主張は減るでしょう
  • 20:50 - 20:54
    そんな会話を通して 本当に大切なことを
    思い出せるかも知れません
  • 20:54 - 20:57
    そしていつか 私たちが
  • 20:57 - 21:00
    そんな会話から単純な真実に
    気づく日が来るかもしれません
  • 21:00 - 21:03
    すべての人 1人ひとりの人生が
  • 21:03 - 21:06
    等しく この上なく大切だということに
  • 21:06 - 21:09
    ありがとうございました
  • 21:09 - 21:11
    (拍手)
  • 21:11 - 21:15
    ありがとう ありがとう
  • 21:15 - 21:17
    (拍手)
  • 21:17 - 21:20
    ありがとう
  • 21:20 - 21:25
    (拍手)
Title:
身近な人が持っている、世界が記憶すべき物語
Speaker:
デイヴ・アイセイ
Description:

大切な人の話に耳を傾けることを通してその人を称えることができる静かな場所を作りたいという思いから、デイヴ・アイセイは2003年にStoryCorps (ストーリー・コー、お話し聞こう隊) の最初のブースをニューヨークのグランドセントラル駅構内に作りました。それ以来StoryCorpsは広がり続け、人々の声を集めた記録として世界最大のものになりました。彼がTEDプライズにかける願いは、人類の知恵を集めたこのデジタルの記録をさらに大きくすることです。StoryCorpsを全世界に広めようという彼のビジョン、そしてStoryCorpsアプリでインタビューをすることで、その一翼を担う方法をお聞きください。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
21:38

Japanese subtitles

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