WEBVTT 00:00:00.169 --> 00:00:03.688 人類の持つ技術は長い間 00:00:03.785 --> 00:00:06.334 火と尖った棒だった 00:00:06.573 --> 00:00:10.087 今は発電所や核兵器に変わり 00:00:10.177 --> 00:00:12.657 人の脳は進歩した 00:00:13.072 --> 00:00:17.666 1960年代からは機械が進歩を続け 00:00:17.762 --> 00:00:21.897 年々より小型に より強力になった 00:00:22.357 --> 00:00:25.715 だがここに物理的限界がきた 00:00:25.802 --> 00:00:28.840 小さくなりすぎたのだ 00:00:29.229 --> 00:00:33.147 この問題を基礎から説明していこう 00:00:39.646 --> 00:00:43.908 コンピューターの構成要素は単純だ 00:00:44.010 --> 00:00:48.553 記憶 演算 制御の装置でできている 00:00:48.983 --> 00:00:51.065 中にはチップ モジュール 00:00:51.154 --> 00:00:54.116 論理ゲート トランジスタがある 00:00:54.394 --> 00:00:58.421 トランジスタは単純なスイッチで 00:00:58.518 --> 00:01:03.492 情報を流したり止めたりしている 00:01:03.836 --> 00:01:06.347 情報はビットで表され 00:01:06.450 --> 00:01:08.652 0か1の値を取る 00:01:08.939 --> 00:01:13.026 複数あれば より複雑な情報も表せる 00:01:13.421 --> 00:01:17.964 論理ゲートは単純な演算を行う 00:01:18.063 --> 00:01:20.085 例えばANDゲートは 00:01:20.179 --> 00:01:22.704 全部1だと1を送り 00:01:22.797 --> 00:01:25.279 それ以外は0を送る 00:01:25.559 --> 00:01:29.047 この集まりがモジュールとなり 00:01:29.152 --> 00:01:31.139 足し算ができる 00:01:31.305 --> 00:01:33.703 足し算で掛け算ができ 00:01:33.794 --> 00:01:37.269 掛け算ができれば 何でもできる 00:01:37.375 --> 00:01:40.983 あるのは単純な計算の集まりだ 00:01:41.084 --> 00:01:43.673 7歳の子が集まって 00:01:43.764 --> 00:01:46.340 計算しているようなもの 00:01:46.437 --> 00:01:47.908 だがこれで 00:01:47.998 --> 00:01:51.048 物理学やゼルダが可能になる 00:01:51.208 --> 00:01:53.695 物質が小さくなると 00:01:53.796 --> 00:01:56.327 量子の性質が現れる 00:01:56.511 --> 00:01:59.820 トランジスタは電気のスイッチだ 00:01:59.925 --> 00:02:03.086 電流は電子の動きであり 00:02:03.182 --> 00:02:08.080 スイッチはこの流れを遮断している 00:02:08.269 --> 00:02:11.862 今この大きさは14ナノメートルで 00:02:11.965 --> 00:02:15.553 HIVウイルスの8分の1 00:02:15.645 --> 00:02:18.706 赤血球の500分の1しかない 00:02:18.908 --> 00:02:22.207 この大きさまで小さくなると 00:02:22.295 --> 00:02:25.356 電子はトンネル効果により 00:02:25.459 --> 00:02:28.402 壁をすり抜けてしまう 00:02:28.632 --> 00:02:33.257 量子の世界に通常の物理学は使えず 00:02:33.364 --> 00:02:36.522 機械も使えなくなってしまう 00:02:36.899 --> 00:02:41.372 技術は物理の限界に来たようだ 00:02:41.570 --> 00:02:44.056 この問題を解決するため 00:02:44.160 --> 00:02:47.099 新しい機械が考案された 00:02:47.203 --> 00:02:49.283 量子コンピューターだ 00:02:49.580 --> 00:02:53.154 普通はビットを使うところを 00:02:53.434 --> 00:02:55.909 二つの状態を取れる 00:02:56.015 --> 00:02:58.006 量子ビットを使う 00:02:58.103 --> 00:03:01.131 量子が磁場であると同時に 00:03:01.224 --> 00:03:04.234 粒子であることを利用する 00:03:04.473 --> 00:03:07.449 0と1の状態があり 00:03:07.542 --> 00:03:10.994 これは光子の偏光状態に近い 00:03:11.090 --> 00:03:14.537 量子ビットは一つの状態ではなく 00:03:14.636 --> 00:03:17.727 一度に二つの状態で存在する 00:03:17.836 --> 00:03:20.165 これを重ね合わせと呼ぶ 00:03:20.249 --> 00:03:24.348 光子は偏光板に通した瞬間 00:03:24.440 --> 00:03:28.907 垂直偏光か水平偏光かが決定される 00:03:29.196 --> 00:03:33.305 観測されない限り量子ビットは 00:03:33.403 --> 00:03:37.034 0と1の両方であると考えられ 00:03:37.400 --> 00:03:42.039 特定の状態は観測した瞬間に決まる 00:03:42.279 --> 00:03:44.744 重ね合わせが肝だ 00:03:45.118 --> 00:03:49.661 通常4ビットで情報を表すときは 00:03:49.762 --> 00:03:54.692 16通りあるうちの一つしか使えない 00:03:54.805 --> 00:03:57.341 でも量子ビットを使えば 00:03:57.439 --> 00:04:00.529 16通りすべてを一度に表せる 00:04:00.824 --> 00:04:03.966 この増加は指数関数的だ 00:04:04.402 --> 00:04:08.419 20個使えば100万通りが並列できる 00:04:08.652 --> 00:04:12.736 さらに量子もつれという現象がある 00:04:12.842 --> 00:04:16.861 二つの量子ビットが 離れていても 00:04:16.962 --> 00:04:20.072 同時に同じ状態になる現象だ 00:04:20.498 --> 00:04:23.452 これにより一方を見るだけで 00:04:23.550 --> 00:04:27.502 もう一方の状態を知ることができる 00:04:27.904 --> 00:04:30.920 量子ビットの操作は難しい 00:04:31.016 --> 00:04:32.431 論理ゲートでは 00:04:32.528 --> 00:04:36.416 一つの入力に一つの出力をしていた 00:04:36.500 --> 00:04:40.059 量子ゲートでは入力が回転して 00:04:40.143 --> 00:04:45.154 出力として別の重ね合わせが現れる 00:04:45.259 --> 00:04:48.235 量子ビットに入れた入力が 00:04:48.327 --> 00:04:51.412 量子ゲートを通ってもつれ 00:04:51.517 --> 00:04:53.526 それを観測すると 00:04:53.611 --> 00:04:57.639 重ね合わせが崩れて結果がわかる 00:04:57.899 --> 00:05:00.937 そこでは可能な計算が 00:05:01.045 --> 00:05:04.230 全部同時に行われている 00:05:04.570 --> 00:05:09.018 求めたい結果はその中の一つなので 00:05:09.119 --> 00:05:11.990 それを探し出す苦労がある 00:05:12.635 --> 00:05:16.594 だが量子の性質をうまく利用すれば 00:05:16.698 --> 00:05:20.610 超高速な計算が可能になるだろう 00:05:21.651 --> 00:05:25.523 私たちの生活に量子化は必要ないが 00:05:25.615 --> 00:05:28.535 いくつかの領域では重要だ 00:05:28.652 --> 00:05:30.765 一つはデータベース検索 00:05:30.865 --> 00:05:35.752 普通はすべての要素を参照するが 00:05:35.863 --> 00:05:38.401 量子のアルゴリズムでは 00:05:38.496 --> 00:05:42.083 その平方根の時間で検索できる 00:05:42.649 --> 00:05:46.685 一番大変なのは情報セキュリティだ 00:05:47.053 --> 00:05:49.730 現在 ネットや銀行では 00:05:49.826 --> 00:05:52.904 公開鍵を使う方法によって 00:05:53.008 --> 00:05:56.622 情報を暗号化して守っている 00:05:56.920 --> 00:05:59.899 だが公開鍵は計算すれば 00:06:00.005 --> 00:06:02.168 解読できるものだ 00:06:02.430 --> 00:06:05.391 普通のコンピューターでは 00:06:05.491 --> 00:06:07.896 何年もかかる計算だが 00:06:07.992 --> 00:06:12.006 量子コンピューターを使えば一瞬だ 00:06:12.475 --> 00:06:15.499 シミュレーションにも使える 00:06:15.598 --> 00:06:19.170 膨大な計算が必要な分野であり 00:06:19.273 --> 00:06:23.942 分子構造の解析などに役立つだろう 00:06:24.442 --> 00:06:28.458 量子力学自体の研究にも当然使える 00:06:28.921 --> 00:06:33.908 医学も飛躍的に進歩するだろう 00:06:34.357 --> 00:06:38.449 量子コンピューターは道具ではなく 00:06:38.543 --> 00:06:40.894 革命かもしれない 00:06:41.010 --> 00:06:43.568 技術に限界はあるのか? 00:06:43.671 --> 00:06:46.651 やってみなきゃわからない