1 00:00:00,439 --> 00:00:02,423 これは「バップ」です 2 00:00:03,014 --> 00:00:05,528 バップは 大衆ダンスの スタイルの一つです 3 00:00:09,109 --> 00:00:10,749 ダンスは ことばであり 4 00:00:10,773 --> 00:00:14,672 そして大衆ダンスは コミュニティが生んだ表現です 5 00:00:15,238 --> 00:00:18,583 大衆ダンスは 特定の人の振付に 従うものではありません 6 00:00:18,607 --> 00:00:21,172 起源を突き止めることもできません 7 00:00:21,196 --> 00:00:24,203 各ダンススタイルには それぞれ 決まったステップがありますが 8 00:00:24,227 --> 00:00:27,793 肝心なのは 個人がアイデンティティを 自由に表現することです 9 00:00:29,772 --> 00:00:30,927 ですから 10 00:00:30,951 --> 00:00:32,343 大衆ダンスというものは 11 00:00:32,367 --> 00:00:33,534 変化しながら 12 00:00:33,558 --> 00:00:35,333 またたく間に広まるのです 13 00:00:36,962 --> 00:00:39,778 その歴史は 人間の記憶に残る限りの 昔にさかのぼります 14 00:00:41,492 --> 00:00:43,733 アメリカのアフリカ系の 大衆ダンスを見れば 15 00:00:43,757 --> 00:00:45,505 200年以上にわたり 16 00:00:45,529 --> 00:00:50,263 アフリカをルーツとする伝統が 歴史に及ぼしてきた影響がわかります 17 00:00:52,329 --> 00:00:54,841 現在は常に過去を含むものです 18 00:00:55,388 --> 00:00:57,877 過去は今の私たちや 19 00:00:57,901 --> 00:00:59,493 私たちの未来をも形づくります 20 00:00:59,517 --> 00:01:01,860 (手拍子) 21 00:01:03,304 --> 00:01:06,451 「ジュバ・ダンス」はアフリカ人奴隷の プランテーション農園での 22 00:01:06,475 --> 00:01:07,823 経験から生まれました 23 00:01:08,312 --> 00:01:09,497 アメリカ大陸に連れてこられ 24 00:01:09,521 --> 00:01:11,756 共通言語を奪われたアフリカ人奴隷が 25 00:01:11,780 --> 00:01:16,052 自分たちの故郷を忘れないために 踊ったダンスです 26 00:01:16,076 --> 00:01:18,723 当時はこんな様子だったと思われます 27 00:01:24,556 --> 00:01:25,723 太ももを叩き 28 00:01:25,747 --> 00:01:26,981 すり足で 29 00:01:27,005 --> 00:01:28,805 手を叩き 30 00:01:28,829 --> 00:01:32,400 このようにして彼らは 主人のドラム禁止令をかいくぐり 31 00:01:32,974 --> 00:01:35,077 複雑なリズムを即興で生み出しました 32 00:01:35,101 --> 00:01:37,976 これはまさしく彼らの先祖たちが ドラムを使って 33 00:01:38,000 --> 00:01:40,648 ハイチや西アフリカのヨルバで していたことです 34 00:01:44,804 --> 00:01:47,921 このダンスの意義とは 文化的伝統を存続させ 35 00:01:47,945 --> 00:01:51,722 囚われの身ながらも 心の中で 自由の感覚を保つことでした 36 00:01:53,555 --> 00:01:57,522 同じく 支配をぶち壊そうとする精神が 生み出したダンスがあります 37 00:01:58,191 --> 00:01:59,361 「ケークウォーク」です 38 00:01:59,385 --> 00:02:03,161 南部の上流社交界の人々に特徴的だった 振る舞い方を風刺したダンスです 39 00:02:03,185 --> 00:02:06,387 奴隷たちが主人を 公然と茶化す方法の一つでした 40 00:02:06,849 --> 00:02:08,800 ケークウォークの何が面白いかって 41 00:02:08,824 --> 00:02:11,761 奴隷が主人のために 踊るダンスだったことです 42 00:02:11,785 --> 00:02:14,746 主人は馬鹿にされているなんて 疑ってもいないのですからね 43 00:02:17,069 --> 00:02:19,257 さあ これは見覚えがあるかもしれません 44 00:02:19,805 --> 00:02:20,975 1920年代に生まれた— 45 00:02:20,999 --> 00:02:22,454 「チャールストン」 46 00:02:25,715 --> 00:02:29,466 チャールストンとは 即興と音楽性が全てでした 47 00:02:29,490 --> 00:02:31,505 ここから発展して 「リンディーホップ」や 48 00:02:31,529 --> 00:02:32,689 「スウィングダンス」 49 00:02:32,713 --> 00:02:33,950 そして「キッド&プレイ」— 50 00:02:33,974 --> 00:02:36,891 元は「ファンキー・チャールストン」 と呼ばれていたものです 51 00:02:41,088 --> 00:02:45,222 サウスカロライナ州チャールストン近郊にある 結束の固い黒人コミュニティで生まれ 52 00:02:45,246 --> 00:02:47,350 チャールストンは ダンスホールを席巻しました 53 00:02:47,355 --> 00:02:50,416 ここで突如 若い女性は かかとを振り上げ 足をバタつかせ 54 00:02:50,440 --> 00:02:52,177 踊る自由を手にしたわけです 55 00:02:57,273 --> 00:03:00,931 大衆ダンスの本質は コミュニティと絆にあります 56 00:03:00,955 --> 00:03:02,399 特定のステップが分かることは 57 00:03:02,409 --> 00:03:04,367 特定の集団の一員であることを 意味しました 58 00:03:04,377 --> 00:03:06,855 でもこれが世界規模の流行になったら どうでしょう? 59 00:03:07,257 --> 00:03:08,925 「ツイスト」にいきましょう 60 00:03:08,949 --> 00:03:13,256 ツイストの歴史が19世紀にまで たどれるのは驚きに値しません 61 00:03:13,280 --> 00:03:16,397 奴隷制時代に コンゴから アメリカに持ち込まれました 62 00:03:16,872 --> 00:03:18,085 でも50年代後半 63 00:03:18,109 --> 00:03:20,183 公民権運動の直前 ツイストは 64 00:03:20,207 --> 00:03:23,938 チャビー・チェッカーと ディック・クラークにより有名になりました 65 00:03:23,962 --> 00:03:26,533 突然誰も彼もが ツイストを踊りだしました 66 00:03:26,557 --> 00:03:27,750 白人のティーンエイジャーも 67 00:03:27,774 --> 00:03:29,361 ラテンアメリカの子どももです 68 00:03:29,385 --> 00:03:32,092 そしてツイストは 音楽や映画にも登場し始めました 69 00:03:32,116 --> 00:03:33,303 大衆ダンスを通じて 70 00:03:33,327 --> 00:03:36,209 集団と集団の間の境界は 薄れていくものなのです 71 00:03:39,196 --> 00:03:42,445 この流れは80年代 そして90年代に続きます 72 00:03:42,866 --> 00:03:45,102 「ヒップホップ」の出現に伴って 73 00:03:45,126 --> 00:03:49,068 アメリカのアフリカ系大衆ダンスは いっそう注目されるようになり 74 00:03:49,092 --> 00:03:51,318 長い歴史を引き継ぎながら 75 00:03:51,342 --> 00:03:53,953 文化を形づくり また 文化によって形づくられます 76 00:04:02,364 --> 00:04:07,091 今日 これらのダンスは進化・成長し 広がり続けています 77 00:04:08,020 --> 00:04:09,535 なぜ私たちは踊るのでしょう? 78 00:04:09,559 --> 00:04:10,728 体を動かし 79 00:04:10,752 --> 00:04:11,941 己を解放し 80 00:04:11,965 --> 00:04:13,340 表現するためです 81 00:04:13,364 --> 00:04:15,176 なぜ私たちは一緒に踊るのでしょう? 82 00:04:15,200 --> 00:04:16,359 癒され 83 00:04:16,383 --> 00:04:17,534 昔に思いを馳せ 84 00:04:17,558 --> 00:04:20,056 意思表示するためです 「私たちは共通のことばを話し 85 00:04:20,080 --> 00:04:21,231 確かに存在し 86 00:04:21,255 --> 00:04:22,732 自由なのだ」と